09/16 いきなり不愉快だ!「リターナー」を観てくる。

 のっけから容赦なく無情にも子供を射殺します。直接描写がないからいいだろうと思ったら大間違い、あれは十分直接描写のうちです。これは殺してはいないけど(殺したら終わりなのだが)ミヤモトとミリの出会いもそう。おそらくスタッフにとっては必要だから描いたのだろうと思うが、僕からみれば空へ放てば十分と思われるので全く不要。僕の関心はこの時点で映画から離れてしまった。

 ということを踏まえて、全体に飽きることはなくそれなりにおもしろかったけど緊張感も盛り上がりもありません。これからって時に悠長なカットに入り、とても時間的余裕のない話には見えないのが原因でしょう。さらに、映像もシナリオもパクリだらけ、まあこれはいいとしても稚拙な演出と稚拙な演技のおかげであからさまにパクリだと印象づけられてしまうのはいただけない。安心して見ていられるのは樹木希林と鈴木杏だけだぞ。

 ストーリーなんて最初の一匹の正体に気づき始めた時点でしおしおのパー。そういう話にするのならマフィアはやめてくれではなくて殺人は一切無くすべき。これは今時の子供をなめていっているのではなく、モラルの問題。作りたい話、作りたい映像をとにかくつなぎ合わせて周りを固めてしまった印象も強く、まるで張りぼてのよう。せっかく作った映像の質は悪くないのだから、シナリオを絞り込んで、たとえば戦争の回避だけに的を絞ってもいいし、僕としては樹木希林の事件簿でもいい、とにかく最初から最後まで一貫したストーリーを貫いてほしかった。ラストでは何の映画だったか忘れてしまったぞ。だからあらすじは書きません。

 そうそう、設定として書かれているリターナーの仕事、ブラックマネーを奪還するというわけのわからないことは劇中でいっさい語られてなかったのが良かった。銀行などから奪われた金を奪還するのならともかく、闇取引の場を襲って金を奪うのは横取りというのだ。劇中でもしっかり横取りしていたぞ。

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