07/28 恋愛アドベンチャー「スターウォーズ・エピソード2」を観てくる。

 共和国元老院の議員となったパドメ・アミダラは評議会にやってくるが、何者かに命を狙われていた。ジェダイは彼女の護衛にオビ=ワンとアナキンを付けるが、パドメとの再会を夢みていたアナキンはなにやら落ちつかない雰囲気に。そんなこんなで身の安全を考えたパドメはアナキンを伴って故郷の星に戻り、オビ=ワンは暗殺者のあとを追って一人宇宙に飛び立った。やがてオビ=ワンは今はなきジェダイによって組織されたクローン軍の存在と、ギルドたちがドゥーク伯爵のもとに集結しつつあることを知る。そんななか、夢によって母の危機を感じたアナキンはパドメと共にタトウィーンやってくるが、タスケン・レイダーにとらわれた母はアナキンの腕の中で息を引き取ってしまう。そして深い悲しみを感じたアナキンに転機が訪れようとしていた・・・。

 確かに大作の名に恥じない出来上がりではありますが、残念ながらエピソード1での危惧はそのまま引き継がれてしまいました。本質とは関係ないのにやたら長いシーン、どこかで見たようなの域を越えたカット、誰が見てもわかり切ったことをさも誰も気付かない大切な事のように主張するセリフの数々、ロボットに置き換えた大量殺戮、烏合の衆の共和国連合に希薄な人間関係、バレバレのサンプリング・サウンドなどなど。その際たるものがアミダラ・ファッションショー、もういい加減にしろよってぐらいに着替えます。しかもこのパドメ・アミダラ、一国の王女から一議員に身を転じたのはまあいいとして、とても重要な存在にみえないのに誰も彼もがやたら彼女にこだわることがまったく理解できません。なんでこの小娘の一票と意見が重要なんだろうね、いくらなんでもそこまでバカぞろいの評議会じゃないだろうと思うんだけど。ま、あのジャージャー・ビンクスが代議員をつとめるようなところじゃそんなもんか。それにもまして、ジェダイの存在意義がどうにも希薄。「ジェダイの騎士」ってくらいだから、ずっと「円卓の騎士」みたいなものだと思ってたんだけど、いったいどういう集まりなんでしょうね。共和国の政治に口出ししているみたいだし、相対するダークサイドは帝国の中心になろうとしているし。少林寺のような比叡山のような、下手すりゃマフィアだよというのは冗談。そのジェダイ、こんなに大勢いたの?ってなくらい大挙して登場なんだけどあら残念、ギルドの物量作戦には敵いませんでした。

 そして実はこれがもっとも懸念されたことなんだけど、父のいない(存在しない)アナキンの出生にこれっぽっちも言及していなかったぞ。アナキンは処女懐妊で生まれた事を匂わせた、まんま「ベン・ハー」だった前作、ほんとにただのパクリだったのだな。しかも本作ではアナキンの母は結婚して子供をもうけているぞ。

 そんなこんなのエピソード2の中でもっともその心情を理解でき、感情移入出来るのは、賞金稼ぎジャンゴ・フェットと幼いボバ・フェットのクローン親子。もともと脇役とも呼べない存在だったのに、妙に人気が出たボバ・フェットのために用意されたシナリオであることは目に見えているんだけど、どういうわけか一番いい話になってしまいました。フランコ・ネロのジャンゴにあやかったのもこれまたみえみえなんだけど、ちょっとだけ西部劇タッチのガン・アクションも良かったね。

 そして本作最大にして、僕にとってはこれしかない目的である、クリストファー・リー演じるドゥーク伯爵。とても80歳とは思えないのはさておき、一見好々爺ぜんとしていながらこれがまた実に悪い奴で、ヨーダをも凌駕する実力の持ち主というきわめて魅力的な存在。もともと巨大な体躯に加えて円熟味というには恐ろしいほどの貫禄と迫力、こりゃぁアナキンやオビ=ワンはもとより、ヨーダですらかないません。ちなみに、このCGと引き換えに実在感の薄れたヨーダ、確かに今となってはCGなくしては描かれない立ち回りなんですが、剣劇ではなく京劇なのにはもううんざり。その点ドゥーク伯爵は無駄な動きがなくてかっこよかったですね。もちろんお歳のためなんてこれっぽっちも思っちゃいません。そして何よりも空飛ぶスクーターに乗るドゥーク伯爵がとってもお茶目でした。

 というわけで最初の1時間半は乗り切れなかったんだけど、後半は見ごたえあり。わけのわからない感想ばかりをなんのかんの言ったけど、穿った見方をしなければ十分楽しめる作品。ダラダラと長いチェイスシーン、特に冒頭の「フィフス・エレメント」と中盤の「筋肉番付」を切り詰めていればもっと良かったのにね。エピソード3への期待は、アナキンの行く末よりもドゥーク伯爵がどんな最期を遂げるかだ。

 あ〜、アナキンとアミダラのラブストーリーだって?、なんのことはない仕事と家庭の両立が課題。ジェダイが教義で恋愛を禁じるのなら、それ相応の対処をしなきゃいかんでしょう。それからやたら「ダース・ベイダーのテーマ」を使うのは反則だと思うな、使うんならアナキンがダークサイドへと落ちてしまった後でしょう。(追記:これは「帝国のテーマ」だそうで、すいぶん長いこと勘違いしていたのですなぁ。)

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