06/16 誰か止めろよ!「ブレイド2」を観てくる。

 死んだはずの相棒ウィスラーがヴァンパイアにとらわれていることを知ったブレイドは、2年間、彼に止どめを刺すために探し続けていた。しかしようやく見つけたウィスラーはまだヴァンパイアには成り切っておらず、DNA操作によって人間として一命を取り留める。時を同じくして、ヴァンパイアの世界をも震撼させる「リーパーズ」と呼ばれる怪物が現われた。ヴァンパイアの王ダマスキノスは日中も活動できるブレイドと、彼を倒すために要請されたヴァンパイアの一団ブラッド・パックを協力させてリーパーズを殲滅しようとする。だが、ダマスキスの娘ニッサをも危険にさらすその計画の影には、ヴァンパイアであるがゆえの思惑と陰謀がうずまいていたのだった。果たしてリーパーズとは何者なのか、ブレイドとニッサの運命やいかに!

 とまあ奇抜なストーリーは良かったんだけど、全編に渡って繰り広げられる大乱闘とトリガーハッピーには辟易。しかも超人的なはずのヴァンパイアがガン・クレイジーなもんだから、超人的なただの人間にしか見えないのは情けない。ブレイド自身も前作のようなストイックさと悲哀、苦悩がすっかり薄れてしまって魅力激減。続編の出来としては「エイリアン2」と「プレデター2」をベースに戦闘シーンだけ抜き出した感じ。

 今回の鍵になるリーパーズなんだけど、ヴァンパイアの王との関係が本作の見どころなのに、これがあっけないほどあっさり描かれてしまって拍子抜け。おまけに、ほんとにエイリアンとプレデターと毒ヘビを合わせたような特徴があんまりグロテスクなんで、スプラッターながらスタイリッシュだった前作とはまったく違うイメージ。リーパーズに襲われるとリーパーズになる事の解明にウイルスをもってきたりと、多少頑張ってはいるんだけどね。

 どうにも納得できなかったのが、ブラッド・パックが紫外線に弱いはずなのに青いフィルターをつけたライトを持っていること。まああれでも紫外線カットフィルターだと百歩譲ったとして、暗闇でも目が見えるはずのヴァンパイアがライトを持つ意味があるのかよ。もう百歩譲ってこれがリーパーズの弱点に関るんだけど、それでもトリガーハッピーだってのはお前ら学習能力ないのかよ、アホか。ほかにも日光遮断スーツを持ってるはずなのに肝心な時に着ないとか、設定に矛盾が多いんだけどね。

 そもそも、ビジネスライクだったヴァンパイアの長たちが姿を消し、前時代的な王様なんてのを出したのがいかん。リーパーズと同じグロテスクな容姿ときたもんだから、ネタバレ云々以前に雰囲気ぶち壊しだぞ。前作の見せ場だったウィスラーの最期、これもぶち壊しちゃったしね。

 ケチばっかり付けてるのもなんだから見どころは・・・あったかな。2時間ずっとCGIまじりのアクションを見ていても飽きなければオッケー。ついでに頭ざっくりとか背中ばっくりとか結構ゲロゲロな描写が多いんで、これもだいじょうぶならよし。前回は血のシャワーくらいで楽しませてくれたクラブシーン、今回はラリパッパの集まりになっちまったぜ。

 前作よりも明らかにレベルダウンしたのは、ドラマ部分の脚本の弱さもさることながら、アメコミのおもしろさを忘れてしまい、香港アクションになってしまったからじゃないのかな。ヴァンパイアがマフィアにしかみえなかったし、アクションの合間にちまちまとスローモーションを入れたり、どう見ても香港アクションだろ。あ、カンフーというよりも忍者アクションだったな。アメリカがアメリカの映画作らんでどうする。

 久々にこの手のジャンルとしては酷評だったね。決してつまらないわけじゃないんだけど、アクションばかりで2時間は長すぎ。簡潔なストーリーなんだから90分ぐらいにまとめてくれればよかったかな。1作目がおもしろかったんで期待していたんだけどなぁ、あら残念。

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