04/25 モンスターズ・イン・クローゼット「モンスターズ・インク」を観てくる。

 モンスターズ・インクのナンバーワンコンビマイクとサリー、今日も子供たちの悲鳴と社内の喝采を一心に浴びて業績新記録に挑みます。しかし二人の活躍もむなしく、モンスターシティーは慢性的なエネルギー不足。そんなある日、終業後のモンスターズ・インクに戻ってきたサリーは工場に残された一枚のドアから人間の子供ブーを抱え込んでしまいます。モンスターにとって人間の子供はエネルギー源であるとともに危険な存在、モンスターシティーは上を下への大騒ぎ。しかしその裏側では秘密の計画が進められていたのでした。果たしてマイクとセリアの恋の行方・・・ではなくてマイクとサリー、ブーの運命やいかに!

 トイ・ストーリーやバグズライフとはまたひと味違ったCGの実在感は、リアル指向という言葉を見事に手玉に取った、デジタルぬいぐるみ人形劇。ふさふさの毛並みからミントの香りが漂ってきそうなサリーをはじめとした毛足の長いモンスターたち、技術的なことを抜きにして、さわって頬ずりしてみたいと思わせる質感がたまりませんね。あ、劇中ではとんでもない悪臭のコロンを使っているんですが、ブーがサリーにべったりなところからも、きっといい匂いがしてるんですよ。

 ところが、この見るからにぬくもりのあるサリーなんですが、子供を怖がらせるときの表情は打って変わって恐ろしいほどに豹変するんですね。これがトップ社員たるゆえんでもあり、ブーとの確執の原因にもなったりしてそのときにはもう「あちゃ〜〜〜!」とつい小さく口をついてしまったことはさておき、文楽の鬼女に変わる仕掛け人形で有名なガブさながらの変貌には正直驚かされました。

 もちろん、ほかのすべてのキャラクターたちも魅力たっぷり。オモチャっぽさもありますが、悪役ランドールにしてもどこか憎めませんし、彼の末路はなんとも哀れでさえあります。ことにブーのコロコロと変わる表情や仕草、何言ってんだかわからないんだけど本人にしてみれば楽しそうなところは本物の小さな子供そのまま。モンスターの着ぐるみでモンスターの子供たちにまぎれて楽しそうな姿、かわいいですね。

 そしてこの底抜けにユーモラスな人形劇を彩るモダンジャズやスタンダードナンバー(風?)の音楽が実に心地よく、思わずリズムを取ってしまいました。この特定の年齢層にくくられない仕上がりは、いかにもハリウッドらしいミュージカルコメディー。残念ながら時間の都合で日本語吹き替え版しか観ていないので、ぜひともオリジナル版を観たいものです。

 ところで、目ざわりにならない程度のパロディーをそれなりに盛り込んではいるんですが、寿司バーの名称がハリーハウゼンとなっているのは、やはりレイ・ハリーハウゼンへのオマージュでもあるのでしょうか。また、クローゼットへつづく扉はどこでもドアにヒントを得ていることは想像にかたくありません。クライマックスでの80秒間世界一周はお見事でした。

 後日、字幕版を観てきましたが、やはりミュージカルの部分はオリジナルの声の方がしっくり来ますね。ただし、子供向けの割には聞き取りにくかったのが残念です。

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