10/11 ランバダドラキュラ「ドラキュリア」を観てくる。

 地方公開しないかなと思ってDVDを輸入していたんだけど、短期とはいえ地元で公開されたからね。

 原題の「DRACULA 2000」が「DRACULA 2001」に変えられていたことに、のっけからひっくり返ってしまった。なにもそうまでして新作ぶらなくてもいいのに。まあそれはそれとして、オープニングの帆船から昔のロンドンまでのシーンには引き込まれるね。ドラキュラとしては定番のシチュエーションなんだけど、本編の中で最も美しいこのカット、大きなスクリーンと整った音響の迫力は違うよ。

 この後ストーリーはロックのリズム流れる現代に舞台を移すんだけど、あとはマトリックスやらブレイドやらスリーピー・ホロウやらチャーリーズ・エンジェルやらグリーン・ディステニーなんかをごっちゃにしたような代物になっちゃうんだよね。ラストはジーザス・クライスト・スーパースターだし。まあ、そのおかげでドラキュラとキリストの関係という、これまでにない奇抜なプロットが生きているんだけどね。奇抜といえば、ヘルシングとドラキュラが対決する時の鏡のトリックが面白かったな。

 残念なのが、ドラキュラ復活まで重要な位置を占める盗賊団がかっこいいのかまぬけなのか微妙な描かれ方をしていることと、突然強いヒーローになってしまうサイモンに何の説得力もなかったこと。雰囲気だけでもいいから、サイモンには英国紳士らしいスーツを着ていてほしかったな。いちばん渋い役どころで味のあったヘルシングがあっけなかったこともがっかりね。マリーの友達の神父も伏線じゃなかったし。

 まあ、女優に今ひとつ華がないとか、ドラキュラに刺がないとか、ドラキュラがラテン系ランバダ吸血鬼だとか、ドラキュラがロングコートマトリックスだとか、ほかにもなんだかなぁなとこはたくさんあるんだけど、勢いに押されて結構楽しく観れちゃうんだよね。映画館だから迫力もあるし、何度も観てるからわかってるんだけど結構どきどきしちゃうよ。

 新世紀ドラキュラは、アイデア勝負が功を奏したかな。あちこちに古典的ながら細かいネタが散りばめられているのも結構おもしろかったよ。映像の雰囲気としては、過去のロンドンと現代のロンドンの一部がゴシック調でよかったね。ニュー・オリンズでもちょっとだけ古めかしい雰囲気を出しているところもあるんだけど、ほとんどをバージンレコードに持ていかれちゃった感があるなぁ。

 それにしても、ドラキュリアなんてへんてこな邦題、何とかならなかったのかねぇ。本編でそう発音しているのはヘルシングだけなのに、現代のドラキュラを示す字幕は全部ドラキュリアにされちゃったよ。どうもお子様大活躍のドラキュリアンをイメージしちゃうんだよな。

 んで、ちょっとおまけ。本編中のおもしろいカットは実際に見ていただくとして、エンディングテロップのイラストがなかなかユニーク。しかし、パンフレットの「DRACULEA」の解説が大馬鹿者。ヴラド・ドラクル伯爵って誰だよ。僕の記憶が確かなら、ドラクルのあだ名を持つワラキア公ヴラド二世も、ドラキュラのあだ名を持つヴラド・ツェペシュも、爵位は授かっていない。伯爵の爵位を持っているのは、ブラム・ストーカーの描いたドラキュラだぞ。

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