08/14 真珠湾の憂鬱「パール・ハーバー」を観てくる。

 思いのほか戦闘シーンがあって、かなり満足。そこそこリアルだったし、迫力満点だったよ。グレート・ブリテンのドッグファイトもなかなか見事だったし、当時の米軍機の性能が劣っていることも言及されていたりしてね。いやぁ、結構冗談のつもりで観に行ったんだけど、これはスクリーンで観ておいてよかった。

 戦争映画は思想だけじゃぁ説得力がないのだ、というわけでもないけど、ジャパン・バッシングなどはみじんも感じられなかったのも意外だった。リメンバー・パール・ハーバーなどといったテーマなどそこには存在せず、強いアメリカ、強くありたいアメリカを描こうとしているのだな。

 まあ、愛と青春の旅立ちを想像していた私にとって、メロドラマがそれほどでしゃばっていなかったのがよかったね。実際、戦争などという全体主義には私的な感情など介入することは認められず、一応のテーマである恋愛などはこの作品にとって添え物に過ぎない・・・ってこともないけど、そういうシーンはほとんど無視できるくらいにおさえられていたと思うよ。

 そうそう、クローズ・ショットがいたずらに多用されなかったのはよかったけど、ラストのほうで目隠しガラス越しに見ているような変ににじませたレンズ効果、これを多用しすぎで目がおかしくなりそうだった。最初は患者の視線かな?なんて思ってたけど、そうでもなかった。どうにも意図が見えないし今ひとつ演出効果にもなってないから、理解に苦しむね。

 さて、ここがいちばん重要な部分だと思うけど、これから延々とつづく太平洋戦争のどこで幕を引いてエンディングを迎えるか。適当に端折ってミッドウェーあたりを大団円にまとめるくらいのことをするかなと思ったら、主人公にあわせるのもあったんだろうけど意外や意外、B25Bミッチェルの東京空襲作戦なのですねぇ。彼らの末路が史実と違うんじゃねぇか?というのはまあこの際おいといて、劇的なハッピーエンドではなく、静かなハッピーエンドにしたかったんだろうなぁ。

 なにはともあれ、反戦でも戦争賛美でもなかったんじゃないかな。そのためにも真珠湾は忘れられない悲劇の一つなんだし、それなりに悲惨な描写をしているんだろうね。ま、戦争をここで論じるつもりはないのでこのへんで。

 そういえば山本五十六を演じたマコ、地球の頂上の島のイメージがつきまとってるんだけど、西村晃に似てました。いやぁ、南国の黄門様!

補足:え〜、そもそもが史実に忠実な作品じゃありませんし、御覧になった皆様が反日、反米、反中感情を抱きましても私の関与するところではありません。このような作品が作られることも歓迎しますし、抗議の意見が出ることも歓迎します。世界から戦禍の火が消え去るまでは、どのようなかたちであれ戦争に対する意識をおこさせる作品は必要なのだと考えています。(人間が自分の悲劇にしか目を向けないことを嘆く8月20日)

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