クリープショー

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 ある夜、ジュディ・ヴェレルの農地に隕石が落下した。彼が真っ先に考えたことは、この隕石に学者がいくらの値を付けるかであった。

 学者のもとに持ちこみ金を受け取る妄想にひたるヴェレル。しかしあまりに熱くて手を触れられないため、隕石に水をかける。すると、急激に冷やされた隕石はもうもうと白煙をあげ、真っ二つに割れてしまった。驚いたヴェレルは、再び妄想にひたる。砕けてしまった隕石には二セントの価値もないといい放つ学者。

 自分のバカさ加減を嘆きつつも、隕石のかけらを拾い、部屋に持ち込むヴェレル。テレビをつけ、ビールを飲みくつろいでいると、隕石に触れた指先が緑色に変色してしまった。今度は病院に行き、指先を切断される妄想にひたるヴェレル。慌てた彼が洗面所に向かい、鏡をのぞき込むと、指先をなめた舌先もまた緑色に変色していたのであった。

 しかし彼はまだ気がついていなかった、隕石の落ちた地面から、さらには隕石を入れたバケツからもなにやら奇怪な植物が生えはじめていたことを。

 その後も隕石から発生したらしい植物は順調に育ち、ヴェレルの家の周囲どころかヴェレル自身の体も緑に覆われつつあった。そして皮肉のようにテレビから流れる神父の説教、「それは神の意志なのです」と。ヴェレルはつぶやく、俺は成長している。そう、ヴェレルの体を覆いつつある植物はどんどん生長しているのだ。

 不快感の増したヴェレルはバスタブに湯をはる。しかしそこに聞こえてきたのは死んだはずの父の声だった。

「水につかるな、それは死への許可証なのだ」

 しかし自分を落伍者だと罵るヴェレルは、バスタブの中へと身を沈めてしまう。

 やがて全身を植物に覆われ緑色の怪物と化したヴェレルは、ライフルの銃口をあごにあてがい、今一度俺にツキをくれと言い残し、引き金を引く。そんなヴェレルには関係なく、農場を覆ったおぞましい緑のカーペットは、その周囲へと静かに侵略の手を広げていくのであった・・・。

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