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【作品名】蝋燭(コレクション)取り 【収録書籍】異形コレクション「蒐集家」 【出版社】光文社文庫 【定価】¥914 【発行日】2004年8月20日 |
人前で話すと災いが起こるとして「はなし塚」に封じられた噺、そんな謎と異常性こそがコレクターの心をくすぐる。 飯野氏の真骨頂とする噺怪談の一つですが、これまでの噺家に憑く話とは趣を変え、噺に憑く話。噺家を見舞う災難が常軌を逸したものではなく、身近に起こりうる程度に押さえられているあたりが、ほのぼのとしたリアリティーを醸し出しています。「噺」をコレクションする男が主人公ですが、事実上の主役は怪談「ろうそく取り」。この噺をコレクションの一つにした男が誰にも話して聞かせていないため、後日談がないのを潔しとするべきなのでしょうが、これまでの噺に憑かれた噺家の悲劇に慣れていると少々残念な気がしてなりません。 |