8.27 疲れてるなあ。が、週明けで物事はどんどんやってくる。午前中は原稿。なんとかやっつける。午後はYAMAUCHIにKORGのD16を貸し出すため、内部ハードディスクの整理。PHATのストリート・レコーディングの曲が3曲入っていて、これは消すことができないので、自分の曲を消すことにする。ほとんどはベッドサイドで気まぐれにギター弾いて、鼻歌を歌っただけのものだが、聞いてみたら11曲もあった。いつのまにやったんだろ。一応、DATに落としておくことにする。
夕方、京橋に。映画美学校というところで、岸野雄一さんが監修している夏期音楽講座の講師に呼ばれたのだが、学校の場所が分からない。岸野さんの携帯も繋がらず。駅から2分とだけ知らされていたのだが、交番で聞いて、あそこですよと教えられたのは国立のフィルムセンター。確かに駅から2分。で、フィルムセンターで聞いたら、確か、あのビルの中って教えられたが、これがまた間違い。仕方なく、104で映画美学校を調べて、電話。行き方を教えてもらうが、京橋から銀座方向に向かうとの教えられたので、向かってみても全然出てこない。高速の手前という話だったが、手前にはないので、銀座から見て手前なのかと思い、さらに行くがやっぱりない。再び、交番で聞くが、やはり分からない。もう疲労困憊。京橋の駅に戻り、2分なんだからと、今までチェックしていない有楽町方向に進んだら、目の前にあった。2分どころか、地下鉄出口のほぼまん前。
バタバタとしたまま講座。3時間も喋ったら、どっと疲れた。あんなんで良かったのかなあ。地下鉄で中目黒に出て、思えば、昼から何も食べていなかったので、中華屋に飛びこみ、レバニラなどを頼むが、あまりに疲れていて、喉を通らず。でも、まだまだ仕事。
スタジオに行って、こないだからMIDIのトラブルで進められずにいた朝日のとあるアーティストへの提供楽曲のデモ作り。デジパフォのデータをもらうが、なんだ、やればできるじゃん、いつになく完成度高いデモ。ドラムとピアノをちょっとだけいじって、僕がベースだけダビングして完成。名曲。いきなりディミニッシュのコードから始まる切ないムードがかなり僕好み。人にあげるの勿体ないな。
ちょっとだけミックス〜マスタリング的なこともする・・・はずが、案の定、凝ってしまったりして、CD-Rに落として終了したのが午前4時。長い一日。疲れたとも言いたくなくなるくらい、ただただヘナヘナ。なのに、頭だけは妙に躁状態。いつまで続くんだろ、こんな日々。
8.28YAMAUCHIの電話で起こされる。「今、高円寺向かってるんですけれど」。ひどいなあ、モダン・トゥールズ行くなら、一緒に行こうって約束してたのに。彼の買い物はチューブテックのマイクプリ+EQ+コンプ。僕はアヴァロンのステレオ・コンプ+EQが買いたかったのだ。で、「帰りにスタジオ寄るんで、何かマイク貸してください」。はいはい、YAMAUCHIはマキシ・シングルに入れるピアノ弾き語りの曲を今日、明日で録る予定。
1本、原稿書いて、スタジオに。YAMAUCHIのNEUMANのM147と、結局はコレになるんじゃない?ってことでSURE SM57を貸し出す。美しいブルーのチューブテック見せびらかされ、機材話をひとしきり。
思い立って、ひがしみえちゃんの完パケている曲をミックス。すごく明るく、アッパーな曲なのだが、でも、軽く聞こえないようにはしたい。いろいろやってみるけれど、今ひとつ完成形が見えず。でも、一応、借り落とししてCD-Rに焼いてみる。
夕方、某レコード会社のA&Rとミーティング。昨日、CD-Rに焼いた朝日の楽曲を手渡す。どういう反応が返ってくるのだろうか? ちょっと予想できず。でも、めちゃめちゃ良い曲なので、依頼者がシングルに採用しなかったら、自分で歌えばいいだろう。
帰宅後、再び原稿仕事。ビョークの原稿を結局、僕は五つの媒体に書くことになった。が、レコード会社からはサンプルが来ない。そういえば、「ダンサー・イン・ザ・ダーク」もサンプル来なかったので自分で買ったんだっけ。でも、今回ぐらい原稿書けば、サンプルもらってもいいだろうと思って、レコード会社に電話してみたところ、「昨今はサンプルを削減しまして、音専誌に書いている方以外にはお送りしていません」というお答え。応対した人は僕の名前も知らないようで、そりゃあ、音楽専門誌に原稿なんて書かなくなって久しいからなあ・・・仕方ない、欲しいレコードは買えばいいのだけれど、でも、今やビョークほどのアーティストでも、狭い世界でしかプロモーションされないのだ、という洋楽の現実を見て、ちょっとガックリした。
音楽の世界でしか価値を認められない音楽。ひょっとすると、僕が好きな音楽、あるいは関わっている音楽のほとんどがそういう中に入ってしまうのかもしれない。でも、それを少しづつでも打ち破りたいと思う。ビョークのCDを聞く時、僕は静かに魔法を見守っているような気分になる。世界には今だってこんな魔法があるのだ。僕は魔法を信じているし、信じているからこそ、こうやって生きていける。どんな時代になったって、人が生きていること、そのこと自体が魔法のようなことなのだから。
8.29先週からかなり身体に来ていることは自覚していたのだが、朝起きたら、首が動かない。起き上がるだけでビリビリッと激痛。完全に寝違えたみたいだ。しょうがないので、マッサージに行く。本当はもっと早くに行くべきだったのだろう。マッサージしてもらうと、首どころか、肩、背中、腰、足までガチガチなのが分かる。
本当は今日、明日でやろうと思っていた、ひとりだけのスタジオ仕事があったのだが、自分で自分にキャンセルさせてもらう。音に関する繊細な判断が求められることは、このコンディションでやっても、良い結果が出ないだろう。帰って、ただただ休む。夕方、少し良くなってきたので、原稿仕事に復帰。
8.30首が痛いので、うまく寝返りが打てず、長時間、ベッドにいた割に眠った気がしない。なので、早起きはしたものの、物事はかどらず。茜屋珈琲店で700円もするコーヒーなど飲んでみるがダメだな〜、今日も。
でも、午後から青葉台のスタジオでYAMAUCHIのヴィデオ・クリップのMA。先日、2種類、ヴィデオ用のマスタリングをしたのだが、結局、ある程度、ローを出した方を採用。ヴィデオのリップシンクの精度を上げたり、部分的にカラー調整のリクエストを出したりもして、3時間半ほどかかる。しっかし、凄いものを作ってしまったものだ。山と海でロケして、フィルムで撮って、CGもふんだんに使って。音楽もそうだが、映像も情報量が多い。ラストは長いキスシーン。フランス映画みたい。一体、どういう反響を呼ぶのか、皆目、見当がつかず。でも、ディレクターの三輪くん、CG担当の志水くん以下、みんなで凄いもの作ろうと燃えた熱意の結晶。僕にとっても宝物だ。
事務所に行って、もろもろ雑務。10月に行われる東芝EMIのコンヴェンションにPHATが出演することになったので、急ピッチでいろいろ物事を準備することになる。
しかし、身体はどんどん辛くなる。首だけでなく、背中も胸も痛い。仕方なく、タクシーで帰宅。が、どうも寝たところで直りそうにない。ある程度、身体を動かした方が良さそうなので、もう一度、外出。学芸大のスターバックスでダブルショットのラテ。それからマッサージをたっぷり1時間。終わったら、あたかも霧が晴れたように身体が軽くなっていて驚く。助かった。あすはいよいよYAMAUCHIのマキシのマスタリング。
8.31午前中に原稿一本書き上げ、幾つか雑用もこなしてから渋谷へ。今日はM'S DISKでYAMAUCHIのマキシ・シングルのマスタリング。エンジニアはもちろん滝瀬さん。
滝瀬さんとのマスタリングは最近はサラッと終わってしまうことが多いのだが、今日はかなり細かいところまで詰めた。「樹海」はちょっとしたローの出し方ですごく世界が変わってしまう。残る2曲のインストは僕がミックスしたので、最初はお任せ気分だったのだが、マスタリングでレヴェルが出て、音が立ってくると、ミックスしていた時のモヤモヤしたムードが失われてきたので、調度良いところを探すのに時間がかかった。でも、家に帰って聞いてみたら素晴らしいマスタリングでした。とりわけ、「樹海」。マスタリングしたら透明感すら加わって、広々した空間が最高に気持ち良い。
東芝EMIでPHATに関してのミーティング。あれもこれも、やること山積みなのが分かる。YAMAUCHIのレコーディングは一段落したので、来週からはPHATを頑張ってやらねば。
帰宅後はちょっとゆっくり。「レッド・プラネット」を見る。たいしたことないと分かっていても見ちゃう火星物。
9.01高円寺に買い物に行くついでにマーブルトロンに。THE ITさんから「KNOW FUTURE VOL.2」のサンプルをもらう。お返しにYAMAUCHIのヴィデオ・クリップを見せて、びっくり仰天してもらった。「これ、普通に作ったら7〜800万円かかりません?」「う〜ん、ゼロ一個少ないけれど、そのかわりデスクトップで3カ月はやってたかも」。ヴィデオ・クリップなんて、しょせんプロモーションのためにルーティンで作る消耗品、みたいな感覚がメジャーのレコード会社にはあるけれど、コレはひとつの作品として作ったヴィデオでもある。インディーだって、人間のクリエティヴィティー次第でここまで出来るんだってことを見せることで、世の中変わらないかなって期待もちょっとある。人々もギョ〜カイの茶番にはとっくに気づき始めているのだから。
モダントゥールズではめあての買い物はできず。仕方なく新宿へ。オーディショップでケーブルを買おうと思ったが、適当な価格のものがなかったので、さらに秋葉原へ。オーディオショップ、パーツ屋、楽器屋、コンピューターショップなど、たくさん見てまわったが、結局、カルダスのケーブルだけ購入。ポケットにアヴァロンのコンプ/EQ買う予定だった大金が入っていたので、あやうくウェストレイクのスピーカーも衝動買いしそうになったが。
スタジオに行って、まずはPHATのプロモ用CDの編集〜マスタリング。東芝EMIのスタッフの要請でライヴが20分ほど収めた参考資料用CDなのだが、音作り頑張ったら、十分、売り物にもなりそうな出来に。それから、「SEA OF MEMORY」の編集〜マスタリング。このコンピレーションのマスタリングは迷った末、自分でやることにした。コンパイルする上で細かい編集作業をいろいろやりたくなってしまったので、そうなると外のマスタリング・スタジオでは制限がある。ひとりでじっくりやった方が、突然湧いたアイデアも形にできるし。
今日はとりあえず前半の5曲をPRO TOOLSに取りこみ、マスタリング。自分の曲ではマスタリングでそれは反則!と言われそうなことをいろいろやってしまった。トータル・リヴァーブをふたつも作り、曲中でEQをオートメーションで動かし、果ては前半のパートをモノラルに、それが後半、ワイド・ステレオに拡がっていくようにしてみた。気持ち良ければ何やってもいいんだ、と思えるようになったのは、こないだからYAMAUCHIと一緒に作業した収穫。KAMA INAの曲も結構、大胆にやらせてもらった。この調子で、あしたで終えられればいいが。
9.02昼まで寝過ごし、夕方まで家で雑用など。いつものように学芸大のスターバックスでなんとか息を吹き返し、スタジオで昨日からのマスタリングの続き。が、最初に手をつけたSAKANAの曲で3時間以上も費やす。シンプルなだけに難しい、プラス、SAKANAに関しては、こう聞かせたいっていう僕の中の欲が強いのかもしれない。リヴァーブを作り直し、アナログ盤の針音を録音しとか、ほとんどミックスだね、これじゃ。
結局、3時すぎまで作業して、全曲終了。昨日、マスタリングした曲の再チェックもしつつ、オーディオ・ファイルをひとつひとつ作り、CD-Rに焼いてみる。スタジオのラジカセで一度、通して聞くが、SUの曲が今ひとつ硬いかな。これはミックスを少しいじった方がいいかもしれない。家に帰って、今度はALRジョーダンのセットで聞いてみる。KAMA INAのミッドローが多過ぎたみたいだ。曲順も疑問が出てきた。最後の方に入れたSAKANAの曲だけヴォイスが入っているので、そのインパクトが強過ぎる気がしてきた。でも、こんなことしていると終わらないね、いつまで経っても。あすには決着つけよう。