BEFORE GET IN SLEEP

8.06
午後からスタジオに。今日は比較的のんびり。PHATの先日のストリート・レコーディングの素材をHDレコーダーからPRO TOOLSに移してみる。興が乗ったので、そのまま1曲、仮ミックス・・・などしていたら、ディストリビューターから電話。「ちょっと大変なんです」というのはビキニのCDのバックオーダー。週に4桁のバックオーダーが入るんなんて、これまで経験がなかったことだ。でも、驚いてばかりはいられない。プレス会社はもうすぐお盆休み。慌てて電話するが、営業担当者からは厳しいお答え。うちにも全然ストックがないので、来週あたりは品切れ必至だなあ。
品川に向かい、PHATのストリート・レコーディング二日目。もうセッティングも慣れたもの。その分、ちょっと緊張感に欠けるきらいもあるかも。品川はちょっとレイドバックしすぎてしまう。やはり渋谷で録りたいなと思う。
お客さんは常連を中心に40人くらい。通勤帰りのサラリーマンやOL、子供連れのお母さんなど、いろんな人がいる。
終了後、近くの中華料理店でややシリアスなミーティング。レコーディングのポスト・プロダクションに関する役割分担と、とあるメジャー・レーベルからのオファーについて。テーブルにはよそのお客さんのオーダー分までが間違えて運ばれてきてしまい、みんなで食べすぎた。

8.07
午前中からJASRACへ。急いでスタジオに戻り、午後はアコースティック・ダブ・メッセンジャーズが先週、レコーディングした音源の編集。ベースの高橋くんとふたりで数時間作業。この曲はイタリアでリリースされるアルバムに収録される。静かなアコースティック・ギターのループから始まるが、後半はハードボイルドな展開もする。ちょっとラウンジ・リザーズを思い出したり。格好良く仕上げたいな。ミックスはあさって。
比較的、早めに家に戻り、ちょっとゆっくり。遅れに遅れている物事の整理に着手。が、すぐに気が遠くなる。

8.08
ふと気がつくと溜まっている原稿仕事。少しづつ片付ける。
夕方、某レコード会社でミーティングをふたつ。さらに渋谷で別のレコード会社のA&Rとミーティング。いろいろいろいろ、また物事が動く。まだ書けないことが多くて、もどかしいが。
帰宅後、また原稿仕事。黙々とやるだけ。

8.09
早起きしてアンナミラーズでコーヒーをがぶがぶ飲み、さあ原稿、原稿。昼までに二本書き上げる。ひとつはエルマガジンの巻頭のビョークの記事。僕にしては珍しいスタイルの文章だったかも。しかし、このアルバムだったら、文章は幾らでも書けるな。
郵便局や宅急便屋に行った後、スタジオでアコースティック・ダブ・メッセンジャーズのミックス開始。この曲、録りのスタジオを僕は覗きには行ったが、直接、録音にはタッチしていない。しかし、ADATからPRO TOOLSに流し込んでみたら、結構、録り音が厳しい。レベルは低いし、ライン録りのベースは音ペナペナ。ドラムはハイハットの音がオーバーヘッドにもスネアのチャンネルにも入りすぎている。全体にすごくデジタルな音。なので質感を変えていくことにエネルギーを注ぐ。
NEVEのEQ通したり、UREIやADLのコンプ通したり。やっぱりアナログの高級機材はぐっと来る。PLUG-INではLA2Aのシミュレーションを多用。やっていくうちに自分で想像した以上に良いミックスになっていった。思うに、こういう風に不本意な録り音をミックスでカヴァーしていく方が簡単ちゃ簡単な気がするな。僕がしばしば陥る問題は、自分好みに作り込んでしまった録り音が、後で個々の音色は良いけれどオケ全体の抜けや明るさが足りないという結果を招くことだから。
夕方、アコダブのメンバーがやってくるが、今日は美人姉妹ぬき。ムサいスタジオに。ガッカリ・・・てのは冗談だが、だんだん勝手も分かってきたので、後半のハードボイルドな展開するパートはアナログ・エコーなども使って、存分にダブしてしまう。カッコイイ曲になりました。踊れるもん、コレ。アナログ欲しいが、イタリア盤が入ってくるのだろうか。
トータルのPLUG-INまで作れなかったので、今日は24BITのバウンス・ファイルを作って終了。あした、そこからマスターを作ることにする。それにしても、こうやって外注仕事をしていると、エンジニアとしてのスキルが最近、飛躍的に上がったのが分かる。たぶん、1年前だったらローファイな方向で録り音をごまかそうとしていたはずだが、今日は最終的にすごくタイトなリズムに到達した。格好良い音が作れた、というより、オケのグルーヴが出せたって思えるのが嬉しい。
夜中に三軒茶屋でライヴをやっていたPHATのダイスケ&ヌマちゃんと三宿の蕎麦屋で落ち合う。先日のミーティングの続き。秋にMEMORY LABからの二作目を出した後、来年始めにはPHATは某メジャー・レーベルに移籍することがほぼ決定する。

8.10
昨夜は寝苦しかった。ダイスケに車で送ってもらったかわりに、ビョークのCD取られちゃったし。
早起きしたものの、どうもしっくりこない気分のままダラダラ。火曜日に作った「やらにゃいけないことリスト」は十五件もあるというのに。
午後、渋谷のタワーレコードへ。岡村靖幸トリビュート・アルバムのスタッフ・ミーティング。先のスプリット・シングルは家内制手工業に近かったが、アルバムはとある原盤制作会社が出資。レーベル業務はバウンス・レコードとのコラボレーションになることが決まった。スプリット・シングルもラジオ・チャートに入り、店頭展開も好調なので、アルバムに向けて、あちこちで好感触アリ。
帰りに朝日と一緒にタワレコ渋谷店を覗く。2FのYさんが出迎えてくれて、「だいすき/あの娘・・・」がインディー・チャートで9位だと教えてくれる。
スタジオに行って、昨日のアコダブの曲のマスター作り。一夜明けて大音量で聞いてみたら、ややローが飽和気味。トータルでかなり細かいEQをしなければならなかった。が、他にも何カ所がノイズが気になったり、サンプル・ループされているギターのデジタルっぽさが気になったり。もう一度、細かいミックスの手直しからした方が良さそうだ。
が、今日は夜はタイスケが自分の曲のミックスをすることになっていたので、PRO TOOLSは彼に譲って、僕は一度、帰宅。ちょっと涼んだ後、青山のブルーノートへ。ニティン・ソーニーのライヴを観る。どういうライヴをやるのか、見当がつかなかったのだが、これがめちゃめちゃ面白かった。ともかく物凄い演奏力のメンバー揃い。特にベースは最高。ニティンはキーボードとギターを流麗に弾く。ゲスト・ヴォーカリストは4人。うちひとりがジェリーサ・アンダーソンだったので驚いた。
シリアスなところとユーモラスなところが良い感じに交錯していて、たぶん、ニティン・ソーニーなんてまったく知らない人が見ても楽しめただろう。客席の反応も凄かった。ブルーノートらしからぬくらい。
スタジオに戻って、アコダブのミックスの直しをやろうかと思ったが、ちょうど終電に乗れたのでなんとなく帰宅。今日は早寝して、あしたガンバロ。

8.11
昨日は早寝するはずだったのだが、夜中に起きてしまい、何週間ぶりかにテレビなどをつけたら、核戦争の映画をやっていて、思わず明け方まで見てしまった。で、涼しかったせいか、午後まで寝過ごしてしまったのだが、映画ひきずってヤバい夢。フリーズしたネットスケープ上に悪魔を賛えるメッセージがダーッと出てきたかと思うと、窓の外がフワッと明るくなり、身体がジーンと痺れて、ああ、世界の終わりと思って目が覚めた。覚めてみたら、外はどしゃ降り。
や〜な感じだったので、学芸大のスターバックス行って、ダブルトールラテで気を入れ直し、スタジオに。アコダブのミックスの手直しをする。手直ししたいところは、もう頭に描いてあったのだが、この曲、なにしろ10分以上もある上に、アナログ・エフェクターの手操作などもあるので、最後の落としを何度も失敗してはやりなおし、思わぬ時間がかかってしまった。
でも、24bitで一度バウンスしたマスターファイルをまたPRO TOOLSに呼び込んで、16bitに落とすためのトータルの作りこみをしていったら、ちょっとした発見もあって、また今までより上のレヴェルのミックスが作れた気がする。カッコイイです。リリースされたら絶対、聞いてね。
帰宅後、珍しくヴィデオなど。「処刑人」はアリイッシュの兄弟が主人公の意外に土臭い映画だった。ミュージシャンが作った映画らしくもあるな。

8.12
直枝さんは自称、B級、C級グルメだそうだ。でも、B級、C級でも、級が付くからには、なんらかの質やこだわりを感じさせる店でないといけないというようなことを言っていた。
夏の間、僕は2食に1食ぐらいはカレーを食べている。最近はほとんど自炊できないので、毎日、世田谷〜目黒のどっかのカレー屋に行くわけだ。なぜか、駒沢、自由が丘、三軒茶屋界隈はカレー屋が豊富でクォリティーも高い。が、ダントツのC級といえば、学芸大学にあるGという店かもしれない。ここはカレーと牛どんの店なのだが、松屋なんかよりも安い。めちゃうま!・・・なわけはない。値段が値段だし。が、客を満足させてナンボの気概みたいなものがどっかにある。なので、時々、匂いにも釣られて、ふっと入ってしまう。カレーライスの米がちゃんとパリッとしているのも級を付けられるポイントかも。
今日も学芸大でスターバックス飲んだ後、フラフラっとカレー食べたくなり、Gに足が向きかけたのだが、近くに新しいカレー屋がオープンしたのを発見。インド人がチラシ配っているのだから、本格的インド料理屋だろう。これはチェックしないわけにはいかない。
で、入って800円のランチ、野菜カレーのセットを頼んでみたら、これが興味深い内容。というのは、カレーはうまいっ! スパイスがフレッシュ。これはインド料理のポイントなので、カレーだけだったら90点付くぐらい。が、あとがことごとく駄目なのだ。
ライスはべちゃべちゃ。ナンはホットケーキみたい。たぶん、ちゃんとしたタンドーリがないんじゃないかと思われる。サラダはドレッシングかけすぎ。あと店の内装もなんだかな〜だったのだが、出てくる皿がひどい。住宅街で奥様が始めてしまった午後の紅茶とケーキの店みたいなファンシーな皿。ライスの皿がこんな小さくちゃ、カレーかけられないじゃん。以上、ほぼ0点。
店内見回すと、店主は初老の男のよう。キリモリしているのは、随分、歳が離れた感じの、でも奥方だろう。この人の趣味でこうなっちゃったのか。つまり、この店、カレーを作っているインド人の職人だけはグ〜。が、あとは素人がやっているのがミエミエ。フラストレーションたまるわ、こういう店入ると。
食後にチャイがつくはずだったが、なかなか出てこないので、断って席を立つ。レジで奥方は「ミルクティー、お嫌いなんですか?」と全然分かっていない。おまけに、お釣りの小銭とレシートを差し出すのに、トレーをこっちに差し出すのだ。客の手に触れるのが嫌みたいな感じで。
こういう商売しちゃいけないよなあ。音楽に例えれば、アーティストはいいのに、あるいは曲はいいのに、プロダクションが駄目、スタッフワークが駄目。そもそも客が見えてないってところか。それよりは、B級だろうとC級だろうと、客楽しませようと思って演奏しているバンドの方が気持ち良い・・・てなことを考えちゃいました。
スタジオ行って、ちょっとだけ作業したが、早めに帰宅。駒沢公園周辺をプラプラしていたら、246沿いに今まで気づかなかったカレー屋発見。正確にはカレー屋じゃなくてカレー・メインの洋食屋だったが、もちろん、チェックする。一日に二度ハズレだったらどうしよう?と思ったが、ここは下北沢の茄子おやじタイプの、カレールーにいまいちスパイシーさが欠けるものの、具を含めた全体でなごむ感じのカレーで悪くなかった。近所のヴィデオ屋が割引きだったので、さらにドカッと借りてしまう。「カル」を観る。怖っ。