BEFORE GET IN SLEEP

7.30
早起きして原稿。なんと2本書き終えてから家を出る。青山CAYで岡村靖幸トリビュート・イヴェント。バンドがふたつ。DJが3人。VJが一組。プロモーターだのは当然ついていない手作りイヴェントなので、いろいろと準備は大変だったが、リハがスムーズだったのは幸い。青山CAYは音作りが難しいのだが、恭一くんが頑張ってくれた。感謝。チケット交換とか、招待者のリストとか、開演前も細々としたことに忙殺されるが、おまけに朝日のJ-WAVE出演。会場直前に青山CAYを出て、渋谷のHMVでピストン西沢とトーク。素早く戻る。戻ったら、30分後にはオンステージ。でも、今まで一番、ステージに昇るまでが大変だったライヴなのに、不思議なぐらい、彼女は度胸が座っている感じだった。バンドを含め、演奏も良かったと思う。演奏終わってホッとして、あとは物販などしながら、いろんな人とお喋りしたり、直枝くん達のステージ楽しんだり。これがまたすごく良かった。江口さんにも会ったが、挨拶しかできなくて残念。終了後、近くの中華料理屋で打ち上げ。もりばやしさんが来てくれた。疲れたせいもあって、ちょっと飲み過ぎ。が、ロータス・カフェ行って、さらにMITOくんとワインなど飲んでしまう。明け方、スタジオに機材を積み卸して帰る。

7.31
自由が丘のスタジオでアコースティック・ダブ・メッセンジャーズがレコーディングしているというので、覗きに行く。イタリアで発売されるアルバム用の新音源。また、僕がミックスをやらせてもらえることになった。ドラムやギターの生だけれどもループ感覚のある演奏がとても良い。今日やっていた曲はちょっと、PHATのやっていることのソフト版みたいにも思えた。自由に演奏したものハードディスク上で再構成するという作曲法も、PHATに近いかも。
溜池のレコード会社でミーティングをふたつ。長時間におよぶ。仕事がいきなり増えた。さらに増えそう。
アコダブのスタジオに戻ると、録音はほぼ終了。ADATとハードディスクレコーダーのシンクでトラブっていて、一緒にあれこれ試してみるがうまく行かず、諦める。ADATのマルチは僕が預かって帰り、PRO TOOLSに入れることに。ラフト・ミュージックの笹岡さんとアコダブのメンバー4人でマルディグラに行って、ビール飲んでガンボを食す。なんか優雅な日だな。
が、帰ってビキニのBBSを開けると・・・う〜ん、昨夜からの書きこみが凄いことになっていて、考えさせられる。何が起こるのか、よく分からないイヴェントに、わざわざお金払って来てくれた人達が、必ずしも満足してくれなかったというのは、イヴェントを作る側だったひとりとしては辛い。これは謙虚に受けとめなきゃいけないとも思う。
以下は先にBBSに書きこんでしまったものだが。

 僕などは、どうしても音楽のことしか考えていなかったりす るから、「イケナイコトカイ」の中間部のインストパート を取り出して、オープニングのセレナーデみたいにアレンジして演奏できたこととか、音作りの難しい青山CAYで、 直枝&ブラウンノーズみたいなラウドなバンドがやるのは特に難しかったのだが、本番になったら恭一くん(エンジニ ア)の頑張りですごく良い音で彼らの演奏が聞けたこととかにヤッタ!と思っていたわけだけれど、お客さんが何を期 待してやってきたのかは把握しきれていなかった。そのへんのズレはあったのだろうなと思う、今になれば。
 このイヴェント、そもそも作る側もまったくもって手探りだった。
 トリビュートというのは、どうも風当たりが強いようで、直枝さんは直枝さんで、朝日は朝日でトリビュートなんて余< 技よりも自身の新曲をというファンの声をたくさん聞いている。トリビュートなんてしてくれるな、オマエラなんかが< 岡村の曲に触るな、という岡村ファンが少なからずいるだろうことも想像がつく。
そんな中で、ともかく、自分が差し出せるベストのものを差し出した、ということだと思う、ミュージシャンやDJやVJ、 その他のスタッフはみんな。そこで初めて分かったこともある。が、じゃあ、次はただ期待されたものを差し出せばいい のかと言えば、それも違う気がする。カヴァーがもっと多ければ、DJがもっとオカムラばかりかけていれば、それでイベ ントが成功した、というほど単純なこととも僕は受けとめていないから。
 謙虚に受けとめなければ行けないのは、そういう期待から外れることであっても、自分達が差し出せるベストなものを差 し出して、それで人をねじふせるだけの力が作り手である僕達にはなかったということだろう。みんながみんな、気持ち の入った素晴らしい仕事をしていたにもかかわらず。あれ以上はできなかったと正直に思う。が、それで足りなかったの だから、まだまだ修行が必要だということだ。
 ザ・バンドの『ラスト・ワルツ』のように、岡村靖幸のまわりで、いろんなミュージシャンがいろんな音楽を奏で、なお かつ、それがひとつの岡村靖幸的なものに昇華されるようなイヴェントを作れればいいだろう。そんな大それたこと、だけれども始めてしまったからには、やるしかないことでもある。僕個人としては、こんなことに巻き込まれるとは思っていなかったことだとしても。

と直枝さんにつられて、僕もここに書くべきことを先にBBSに投げてしまった。良かったのかどうか分からないが、でも、正直なところ。人を楽しませるにはもっともっと多くの配慮が必要、アイデアも必要、技術も必要だということが分かった。精進しかない。でも、こういう経験って滅多にできないことだろう。こうしてくれたらもっと楽しめたのに、と終わった後にきちんと伝えてもらえることなど、普通のイヴェントではないからだ。だから、批判してくれた人達にはすごく感謝。それだけ、このイヴェントはお客さんの期待も高かったのだ。それをお客さんと一緒に作り上げるところまで持っていけなかったのには、僕の絶対的な力不足を認めないわけにいかない。このリターンマッチはもうしないわけにはいかないようだ。昨夜で僕が岡村トリビュートに関してやることは一段落と思っていたのだが、こうなったら、やれるだけやるしかない巡り合わせなのか。

8.01
某レコード会社でミーティング。あちこちに連絡作業。いろいろやること増えて、8月はまた大変なので、気を引き締め直す。
スタジオでは先日やったカン・アキトシさんの曲をミックスしなおす。こないだのミックスはハッピネス・レコードからのコンピレーションに収録予定だが、よりR&Bっぽいテイストのミックスも作りたいというカンちゃんからの依頼。なるほどと思って、こないだ作り込んだ細かいリズム要素をバサバサッと捨て、キック、ベース重視でやってみる。アコギも捨てて、ハイハットまで捨ててしまった。こういう捨てる大胆さも必要だな、と思う。
だいたい出来たところでタイムリミット。トータルの作り込みはあすにすることにして、青山ブルーノートへ。オル・ダラを観る。期待通り、世界最高の鼻歌。何をやっても、アフロ〜カリブ〜アメリカの音楽史が豊かに拡がる空間。バンドがまた素晴らしかった。力抜けているにグルーヴがある。コード楽器がギターだけなのにゴージャス感があるのは、ドラムやパーカッションのピッチ感が良いからだろう。
帰宅後は原稿準備など。

8.02
涼しかったのでたっぷり寝坊。郵便局行ったり、宅急便屋行ったり、昨日に続く連絡作業もたくさんで、バタバタする。
スタジオで昨日のカンちゃんの曲を仕上げた後、朝日がやってきて、いろいろと相談。岡村トリビュートに関してはもう、アーティストとしてやることは終わってしまったので、次の彼女自身の作品のレコーディングについて話し合う。去年からレコーディングしていた素材はまたしてもボツ・・・ではないけれど、一度置いて、別の企画を考えることに。1曲、洋楽のカヴァーをやることにして、早速、そのアレンジ。ハワイアン・テイストでやりたいというので、アコギでいろいろ試してみる。ハワイアンぽくはないかもしれないが、曲を極端にスローにして、オープンなギター・ループでやったら、面白い感じに。週末にさらに煮詰めることにする。
トリビュートの方は当面、ビジネス面の調整待ちのこと多し。参加すると言ってくれたアーティストのレコード会社やマネージメントが協力的ではないこともままあったり、まだまだひとやま、ふたやまは越えなきゃ行けないだろうが、転がり始めてしまったことなので、なるようになるだろう。あと、先日のトリビュート・イヴェントのヴィデオをぜひ観たい、と某アーティストから連絡があったそう。送り届けることに。喜んでもらえるといいが。

8.03
物凄い勢いで日々が過ぎ去っていく感覚。なぜだろう? 夏の今頃って、そういう感覚に囚われることが多い。
午前中から原稿。短い原稿なのになかなか終わらず、出掛ける時間。郵便局行ったりした後、スタジオでダイスケとPHATの曲の編集作業。2曲分の編集を終える。PHATの場合、この編集はある部分、作曲でもある。「ZOOM」の時は僕が自在に編集していった曲もあって、ダイスケに言わせると、「アレは健太郎さんの作曲」だったりもした。なので、今回は編集に関してはルールが決めてある。今日やった2曲はダイスケのディレクションで編集し、ダブ的なこともその時点で決めこみ、ミックスでは音作りのみ。それもなるべく生音をそのまま生かすというのがルール。
ふたりで8時間ほど作業して終了。明日も続くので、僕はその準備もしてから帰宅。再び、原稿仕事。

8.04
早起きして原稿仕事。なんとか午前中に終わらせてスタジオに。昨日に続いて、PHATの曲編集。7/8拍子のスローテンポの曲に着手。
ほどなくダイスケがやってきて、ふたりで詰めていくが、どうもダイスケは自分のプレイに納得が行かない様子。結局、サックス・パートを全部オフにして、リズム・セクションのみで録った素材を検討する。サックスは後日、またスタジオ入りして、じっくりオーヴァーダビングすることが確定。
1曲編集終わった頃に、ダイスケの友人で風の人の一員でもあるマサトが来訪。別の曲に彼のラップをオーヴァーダビングする。この曲、インストだけ聞いても、これまでのPHATの曲の中でとびぬけてポップ。インスト・ヴァージョンとマサトのラップをフィーチュアしたヴァージョンの両方を作る予定。たぶん、PHATの代表曲のひとつになるだろう。ラップは4テイクぐらい録って終了。さらに、マサト、ダイスケのふたりでダブるパートやガヤをオーヴァーダビング。AKGのC12Aで、すごく太い声が録れた。7時頃で今日の作業は終了。
渋谷に出て買い物の後、吉祥寺に。マンダラ2でニノ・トリンカのワンマン。二部構成の一部は見れなかったが、途中の休憩時間になんとか会場着。またしても石垣くんに会う。バッタリ率ナンバーワンに加えて、周囲から指摘されるのは僕と石垣くんのファッションが揃っていること。今日もチェックの半袖シャツに半ズボンで揃っていた。さらに会場を見回すと、朝日、直枝ほか、知り合いがゾロゾロ。
ニノ・トリンカのライヴはともかくメンバーそれぞれの演奏で魅せる。どこを見ていたらいいのか分からなくなるくらい。みんながみんな、身体で音楽しているのがいい。新曲も多数でバンドにどんどん勢いが出てきているのが分かる。お客さんもほぼ満員の盛況。
終演後、上田くんをはじめ、みんなと色々話す。ニノ・トリンカと僕の関わりもひょっとするとひょっとするかも。
再びスタジオに戻って、ファイル整理など。レコーディングはしたものの、発表していない音源の量に唖然。今年は少しづつケリをつけていくはずだったのに、どんどん増えていくばかり。8月こそ、頑張らねば。

8.05
眠い、眠い。ちょっと気温が下がったせいか、やたらに眠い。久しぶりに午後まで惰眠を貪る。
スタジオ行って、今日は著作権関係の書類整理などをした後、ヤマウチと彼のブレーンであるガンちゃん、ゴカンくんと4人でミーティング。遅れに遅れているヤマウチのミックス・ダウンやヴィデオ編集について対策協議。遅れているのに加えて、予算が当初の予定よりかなり膨れ上がっている。が、このままクォリティー重視で行くことを確認。来春までのスケジュールをシミュレーションしなおす。リミックスを作ることやデビュー・マキシはCDエクストラ仕様にすることなどを決定。
ちょっと頓挫していた「SEA OF MEMORY」の最後の仕上げをひとりでやる。ダイスケの曲のマスターを作り、さらに僕の曲のミックスの手直し。この曲、完成したのは去年のはじめ。最後にファイルに触れたのは去年の7月。久しぶりに聞き返したが、特に大きな変更を加えたいとは思わなかった。PRO TOOLSの使い方はこの1年でかなり進歩したはずだが、プラグインもあまり使わず、シンプルなミックスになっているのが逆に新鮮だった。なので、ちょっとリヴァーブを加えて、トータルのコンプ、EQをいじっただけで完成。
夜は朝日がやってきて、一昨日、打ち合わせたカヴァー曲のデモ・レコーディング。エレクトライブでさっとリズムを打ち込み、アコギを録音。ベーシック・トラックはほぼ、このふたつの楽器だけで良さそうだ。朝日の曲としては、かつてなくスローテンポで、かつてなく音数少ないアレンジ。オリジナルはあまりに有名な80年代のハッピーなディスコ・チューンだが、どこか物悲しい響きのあるヴァージョンになった。
帰宅後、ネットを覗いたら、「だいすき」がなんとJ-WAVEのTOKIO HOT 100でも76位。OSAKAN HOT 100は51位までアップ。嬉しい。インディーでこんなチャート・アクションを起こすことがいかに難しいか知っているだけに、プッシュしてくれたFM関係者に感謝。先行シングルでこれだけの成績を残したことはアルバムに向けて、様々な面でプラスを生む。とにもかくにも転がり始めたことを実感。そして、転がっていった先には、どうやらとんでもないことも待っていそうな予感。