BEFORE GET IN SLEEP

7.02
朝の7時くらいに朝日から泣きの電話。デザイナーの角田さんがまだ印刷所にデータを送っていないことが判明。一難去って、また一難。ビキニのCDの発売日は・・・遅れる可能性大だなあ、もはや。
そのままウトウトしていたら、朝は宅急便ラッシュ。ビキニのサンプル盤(もちろんジャケなし)が上がってきたので、メディアの人々に送るべく、資料の印刷や封筒作りをする。そういえば、こないだから不調だったプリンタはカラーのカートリッジに問題があることが分かり、交換したらOKになった。カラー印刷なんて、ほとんどしたことなかったのに。でも、ヒューレット・パッカードのユーザー・サポートは優秀。電話でひとつひとつ症状と状況を確認して、トラブルの原因を探り当てた。スキャナーの電源が入らないトラブルを他のサードパーティー製品のせいだと言って、まともに取り合わなかったキャノンのユーザー・サポートとは雲泥の差。
暗くなってからスタジオに行き、あすのカン・アキトシさんのセッションの準備。送ってもらったCD-Rからオーディオ・データをPRO TOOLSに読みこむ・・・はずだったが、アレ? コレはCD-Rじゃなくて、オーディオCDじゃん。オーディオCDから直接、ファイルを読み出す方法が分からなかったので、ネットをうろうろ。フリーウェアを使って、一度、AIFFファイルにコンヴァートすれば出来ることは判明したが、ファイルのコンヴァートは確実に音悪くなるからなあ。でも、仕方ないので、コンヴァートしてみる。そのまま、オケの仮ミックスまで作ってみた。
帰ってから、ひとつ原稿仕事。また原稿が溜まり始めている。今月から連載仕事がひとつ増えるし。今年くらいは夏休み欲しいけれど・・・。

7.03

午前中からカンアキトシさんのレコーディング。彼女は今日は夕方までしか時間がないので、それまでに歌入れを終えねばならないのだ。彼女の歌を録るのは初めて。彼女はともかく歌うことが好きみたいで、よくレコードと一緒に歌う。そういう時の声をそばで聞いていると、すごくのびやかなのに、レコードに聞けるヴォーカルは違う声になってしまっている。ヘッドフォンをしてマイクに向かうと何かが失われてしまうみたいだ。彼女自身もそのことを問題に思っていたようで、前々から歌の録音方法に関しては相談を受けていた。
なので、時間がない中でもいろいろ試行錯誤してみる。マイクはC12Aの方が声に太さがあって良いが、彼女自身はRODE CLASSICの方が倍音が抜けるので、モニターしていて気持ち良いようだ。ならばと、二本を縦に並べてみることにする。C12Aで口もとを、RODE CLASSICで鼻のあたりを狙う。モニターするオケのバランスなども調整していったら、「こんな風によく聞こえる状態で歌入れできたことないですよ」。
曲は彼女の仲間のハッちゃんと斉藤くんがリズム・トラックを作り、カンちゃんがメロディーを乗せたもので、全編、スキャット。タニア・マリアあたりを意識したみたいだが、それよりはアメール・ラリューに近いかな。やや暗めのメランコリックなメロディー。トラックはタブラが効いている。でも、ボッサもののコンピレーション用なので、ブラジリアン・テイストも欲しいということ。トラックにはあまりそれが感じられないので、キック、スネアの大きいビートの支配力を弱めて、16のビートが出るように、リズム・トラックに細かくディレイ処理をする。
が、作ったばかりの曲なので、カンちゃんも歌いなれていないようで、歌入れはたやすくはない。かなりキーが高く、音が飛ぶ、難しいメロディーだし。さらに、歌入れ途中でカンちゃんが貧血でダウン。それでもだましだまし、夕方までにOKテイクを録る。なにしろ、この曲、締め切りがあすの朝なのだ。
ここで僕は一度、帰宅。今日のうちに入れねばならない原稿をひとつ書き上げて、3時間ほどでまたスタジオにカムバック。ひとりでミックスダウン。ブワーッといろいろやる。カンちゃんのヴォーカルを何カ所か切り取って、アメール・ラリューみたいにヴォーカルのループでリズムを組むパートも作ってみた。ディレイや長〜いリヴァーブを多用しているので、聞いた感じはダビーなボッサ。僕がミックスしたので、ややテクノっぽくもなっているかな。
深夜、ハッちゃん達がやってきて、上がったDATを納品。一方で朝日とビキニのプロモーションに関して深夜ミーティング。彼女は今週末の直枝政広&ブラウンノーズの大阪ツアーに同行(ひょっとするとライヴにも飛び入り?)するので、その前に大阪方面のメディアへの情報の流し方をいろいろ検討しておく。三十通ばかり音資料入り封筒を作る。
長い一日。明け方、三宿の蕎麦屋でカレーライスつついて、軽く日本酒。ささやかな幸せ。それから自転車飛ばして、世田谷郵便局に郵便送って、ようやく帰宅。駒沢公園はもう老人達のウォーキングの時間。

7.04

暑いけれど、よく考えれば、もう夏なんだな。今年はなんだかもう時間の経過がよく分からない。
午前中、ビキニのCDのジャケットの色校が上がったとの連絡があったが、ともかく時間の余裕がないので、宅急便などに頼っていられない。すぐに飛び出して、取りに行く。プレス会社の担当者が「この絵、有名な方ですよね。一体、幾らくらいするんですか?」。今日は某レコード会社でミーティングが複数あったので、その色校を持ち歩いていたら、会う人、会う人が「エッ、ジャケット、江口寿史なんですか?」という反応。「メジャーじゃ無理ですよ」というのは、ひとつには予算的に、もうひとつには納期的にでしょうね。そんなもんを作ってるんだ、と思ったら、なんだか嬉しくなってきてしまった。
ミーティングでは僕の手掛けているアーティストのひとつについて、非常に前向きな話ができた。すごく面白くなりそうな予感。いやホントに、こんな面白いことばかりやっていていいんだろうか?と僕は時々、思う。毎日毎日、人から命令されたことなど何一つしていないわけで、ほとんど全部が全部、自分が企てたことのために目一杯、アクセル踏みこんでるだけなのだから。眠いとか、疲れたとか、文句は言えないよなあ。不満があるのは、ただただ自分自身の能力的なことだけ。でも、まだまだまだ精進する時間はあるだろう。頑張らないと。
このところ、スタジオ仕事が続いたこともあって、今日はミーティング後、あっさり帰宅。ビキニのプロモのための雑務と原稿仕事の準備。電話でカンちゃんと昨日の曲について少し話す。

7.05

バタバタと雑用。ここのところ、十分に新譜のレコードを聞く時間もなく、それはイコール、もろもろの原稿の準備が整わないことでもあって、かなり焦る。が、聞くってことをコレも仕事だ!と言い聞かせて、スピーカーの前に座るというのは非常に苦痛なことで、一体、自分は何をしているんだろう?って気持ちになってくる。で、聞かねばならない新譜のサンプルCDよりも、最近、買ったレコードや昔から聞き慣れたレコードを聞いてしまう。あ、デヴィッド・ミードのCD、買ってきたけれど、やっぱり良かった。2000年代の良質AOR。スーパートランプなんて思い出したりして。
午後に自転車飛ばして、下北沢に。またオトゲノムでミーティング。北岡さんと話すのは楽しい。まだまだ面白いことできるよねって気持ちになる。
夜、スタジオにとあるヒップホップ系のプロデューサーが来訪。初対面だったのだが、話せば話すほど、知り合いのミュージシャンやエンジニアがバンバン出てきて、昔からいろんなところで繋がっている人だった。楽しい機材話もたくさん。最近のR&Bやヒップホップの音作りについて、いろいろ教えてもらう。
そう、こないだニューヨークでテレビのブラック・エンターテインメント・チャンネル見ていて気づいたのは、最近のR&B〜ヒップホップはハイハットが入ってない!ってこと。ハイハットが入っているトラックは古臭く聞こえる。なんだよ、こないだまでチキチキだったのに・・・なのだけれど、でも、今のハイハット・レスのトラックというのは、明らかにチキチキの延長上にあるものでもあって、チキチキ言ってはいないし、キックのパターンなどもどんどんシンプルになっているのだが、しかし、それを乗りこなすヴォーカルのリズム感は確実にチキチキ的なダブルタイムの感覚を底に置いたものだったりする。
「でしょう! アレはヴォーカル入れるまではハイハット入れといて、最後にハイハット切っているんですよ」
そうだったのか。ハイハット切ることによって、逆にヴォーカルの細かいリズムの面白さが浮いてくるような作りになっているのだろう。でも、それって簡単に真似できない作りだなあ。キックとスネアの間を縫う、ヴォーカリストのリズム感がモロに問われるわけだから。しかし、やってみたい。朝日美穂という人は、ミリセカンド単位のヴォーカルのリズムの位置に異様に執着する人なので、ひょっとすると、日本語でそういう感覚を表わす音楽をできるかもしれないけれど・・・などと考える。

7.06

もろもろヤバイ状況になっているので、午前中から頑張るが、またもやマック不調。暑さのせい? 困った。
午後は自由が丘のスタジオで久しぶりの朝日美穂リハーサル。キーボードにエマーソン北村くんが復帰。7/30のイヴェント用に岡村靖幸の「イケナイコトカイ」をレゲエ・アレンジにしてみたのだが、やっていくうちに鹿島くんの提案で「もっとフェラ・クティっぽくやんない?」。さすがにフェラ・クティにはならなかったが、ダイちゃんのブレイク・ビーツ・ドラマーらしい感覚も加えて、ただのレゲエ・アレンジという枠にとどまらない格好良いリズム・アレンジになっていった。
あと、この曲、間奏のやたら転調していくメロディーとコード進行が凄い。ほとんど意味ないもん。変態?!or 天才?! こういう意味ないことやる人って、思えば、最近あまりいないかも。
この日は他に「MOMOTIE」、「アンモナイトと夢を」といった懐かしい曲を新しいリズム・アレンジでやってみる。ダイちゃんの反応力が素晴らしいので、これもすぐに良い感じに。あと、ダイちゃんんが最近、組んだインスト・バンドのCD-Rをくれたのだが、スタジオに戻って聞いてみたら、コレがカッコイイ! すぐにPHATのライヴァルになりそう。ダイちゃんいわく、「ジャズです」なのだが、ジャズという言葉に染みついた手垢の類とは無縁な、新世代のサイコ・ジャズ。往年のカンタベリー系ロックに通ずる雰囲気も少し。
夜は先日やったアコースティック・ダブ・メッセンジャーズのミックスの手直し。ベースの高橋くんとレーベル・オーナーの笹岡さんのふたりがやってきて、結局、午前一時くらいまでかけて、細かい手直しをする。ダブの部分をもう少し拡大し、トータルのEQとコンプも慎重に作りこんだ。どういうマスタリングになるのか分からないので、レベルをギリギリまで入れたDATと、余裕を残したDATと二種類マスターを作った。終了後、三宿の蕎麦屋で少しお酒。笹岡さんとレーベル運営に関して、いろいろと情報交換。アコダブがイタリアでリリースという話を聞いて、MEMORY LABも世界展開を頑張らなきゃと思う。

7.07

さすが疲れがたまっている。にもかかわらず、最近、不眠気味ですぐに目が覚めてしまう。頑張って、何度も寝直そうとするうちに余計、疲れていたり。結局、なんだかんだで午後までグッタリ。
夜、PHATのダイスケとミーティング。マーブルトロンのコンピレーションに提供するPHATの曲を決める。あとは今年後半のPHATの展開について、シリアスな話も。でも、最近のダイスケは自信に満ち満ちている。一昨日は北沢音楽祭というのに呼ばれて、幾つかのアーティストと共演したのだが、そこでもPHATは明らかに違うダイレクション、違うレベルで音楽をやっいると確信したみたいだ。でも、昨日もらったもうひとりのダイスケのバンドのCD-Rにはちょっとショックを受けたみたいで、「ウオーッ、やる気出たあ!」と言って、帰っていった。
深夜、渋谷のキンコーズでビキニの店頭用ポップ作り。あしたから大阪〜名古屋に行く朝日とプロモ・ミーティング。面白いことに名古屋や札幌では彼女のソニー時代の初期スタッフが今回のプロモーションを手伝ってくれている。人の繋がりというのは切れないものだ。さらに面白いことに、エピックと契約解消した岡村靖幸のマネージメントや出版に、最近、あらたにに関わり出したのも、朝日のソニー時代のプロモーション・スタッフなのだった。なんとも不思議な偶然。このトリビュート企画に関して、岡村本人はきっと良く思わないだろう、という業界関係者が少なからずいたのだが、今は岡村の周囲にいるのが彼女や僕のよく知っている人達なので、岡村本人の反応も伝わってきたりする。「だいすき」を聞いた岡村靖幸は「こんな風になるんだ!」と驚いていたそうで、「アレはたぶん、感動していたよ」と現マネージャー。だったら、嬉しいですね。そういえば、直枝さんの日記も嬉しかった。

7.07

今日もヘバリ気味。午前中から原稿に着手しようとするのだが、集中力が・・・。ゴハン食べたら、眠くなり、二度寝してしまう。
気がつくと、午後3時も回り、出掛けねばならない。まずスタジオに行って、PHATの「TAKE X TRAIN」という曲のラフミックスをDATに落とす・・・はずが、そのままミックスをはじめてしまい、30分くらいで結構、良い感じのが出来てしまった。フェーダーなどは何も書いていないが、せ〜のの一発録りで、自然な演奏のダイナミクスで聞かせたい曲なので、ちょっと暴力的なミックスでもOKじゃないかという気になる。
アナログの色校が届いたので、それを急いで目黒の角田さんのところに届けた後、吉祥寺のマンダラ2へ。ちょうど、さかなのリハが終わって、TICAのセッティング中。みんなに挨拶。それからビキニのフライヤーの折り込みをお願い。そっから、高円寺まで戻って、マーブルトロンに。THE ITさんにさっき作ったPHATのマスターとタイスケ・マツオの曲がたくさん入ったCD-Rを渡す。コンピレーション「KNOW THE FUTURE VOL.2」用。マツオくんのは曲CD-Rの中から好きに選んでもらうことにする。他にもTHE ITさんといろいろ仕事話。膠着状態だったとある企画に関して、別の出口が見つかる。
再びマンダラ2へ。TICAのライヴはほぼいつも通り。ナチュカラ森くんが客演。さかなはPOCOPEN、西脇の完全アコースティック・セット。これは初めての試み。POP鈴木くん、フリーボ石垣くん、サンレコ井上さんらと騒ぎながら見る。今日のPOCOPENは凄かった。語録拾えまくりのMC。お約束通り、曲の盛り上がりどころでポロッとシールド抜けたりするし・・・って、見る方も何を期待して見てるんだか。でも、新曲も聞けたし、「ロッキー・マウンテン」も久々に聞けた。ザ・バンドの「ザ・ナイト・ゼイ。ドローヴ・オール・デキシー・ダウン」のカヴァーは泣けちゃったぜ。大学時代思い出した。
終了後もいろいろお喋り。さかなは10/4にリキッドルームのイヴェント出演決定。11月の後半にママ・ミルクと一緒に東阪ツアーも決定。石垣くんと一緒に恵比寿まで帰り、駅前にとめてあった自転車を30分ほどこいで帰宅。さて、これからまだ原稿書かなきゃ。