05.19 一日キャプション書き。どうしても1アイテム、200字くらいにはなってしまう。それが200本ということはヒエ〜ッ!4万字。
でも、書き下ろしじゃないと面白くないから、ひたすら書く。ライター仕事だったら、200字のレヴューでも5000円はもらえるだろう。200本書いたらヒエ〜ッ!100万円。なんと楽な仕事だったのでしょう。レコード店のポップ書きなんてギャラはもらえない。なのに、いつも素晴らしいポップを手書きしてくれるレコード店の人達に、あらためて頭が下がる。ポップの言葉ひとつで売り上げが左右されるわけだから、はるかにシビアな世界だろうし。
半日かかって四分の一ほど、てことは1万字・・・と書くと、なんだよ、やれば出来るじゃん、と言う雑誌編集者の声も聞こえてきそうだが、書くために過去の自分の原稿、主にミュージック・マガジンのそれを読み返していたら、自分でもいろいろと思うことがあった。以下は今だから言えることだが・・・。
ミュージック・マガジンで「リトル・エジプトのケンタウルス」という訳の分からない連載をしていたことがある。97年から98年にかけて、2年くらいは続いたのか。連載の終了とともに僕はミュージック・マガジンから姿を消した。当分、書けません、と自分から申し出たのだが、そうでなくても、もう仕事は来ないだろうとも思っていた。当時の原稿を今日まで読み返したことは一度もなかった。サイアクだと自分でも分かっていたから。
その連載を始める少し前から、僕は原稿が書けなくなっていた。いや、レコード・レヴューくらいは書ける。インタヴューを起こせばいいインタヴュー記事くらいは書ける。二十年もやっていれば、そのくらいは職人仕事としてこなせないわけがない。でも、本当の意味で原稿らしい原稿は一行も書いていない。自分ではそう思っていた。にもかかわらず、編集部の野間易道くんの説得によって、コラムの連載を始めてしまった。何書いてもエエです、アンタの日々やっていることがオモロイんだから。そう言われて引き受けてしまった連載で、物書きとしての僕は完全に破綻した。
この連載で「音楽の未来に蘇るもの」を書いた頃のオレを取り戻すのだ、と思ったのも束の間、すぐに「ケンタウルス」は苦痛でしか、恐怖でしかなくなった。ともかく書けなかったのだ。月刊誌の連載なのに、ひとつ書いて一週間もすると次の締め切りがやってくるような感覚だった。コンピューターの前に座って書こうとするが何も出てこない。2000字ほどの連載が書けないのだから、他の記事など引き受けられない。連載だけを残して、特集やインタヴューやレヴューの依頼はすべて断って書こうとしたけれども、それでも書けなかった。いや、何とか入稿はしていたわけだけれど、今月もまた何も書けなかった。締め切りに大幅に遅れて、クズみたいなコラムを送って、物書きとしてのオレはもう終わりだ、と思うばかりだった。
松山晋也さんなどからは「音楽を作る方が面白くて書く方はもうつまらないんでしょう」と皮肉まじりに言われたが、そんな単純なことではなかった。当時の僕が抱えていた最大の障害は人には話せることではない。僕のすぐそばにいた人達もつゆ知らない。この地球上に4人くらいしか知っている人はいないし、そのうちの3人は海外にいる。あんな映画や小説よりも奇妙な出来事の中で、夜中に机に向かって書けるはずがなかったじゃないか。早くに休むべきだったのだ、と今は思う。が、強がりな僕は「休載させてください」と言い出すことが出来なかった。今月こそはホームラン打って取り返そう、と力んでは、結局、誌面が白くなるギリギリまで何も書けず、苦し紛れに行数を埋めた駄文を送るということを繰り返した。おかげで、野間くんには本当にひどい迷惑をかけたと思う。
誌面リニューアルとともに、編集部でも悪評紛々だったらしい「ケンタウルス」は終了となり、僕はタオルを投げてもらったかのようにホッとした。野間くんには合わせる顔がなかったので、僕はともかく終った、という安堵感の中で、そのまま疎遠になるに任せただけだった。
ところが、それから1年半くらいして、数少ないレギュラーしか原稿仕事を残していない僕が、再び、野間くんと仕事する羽目になってしまった。「COMPOSITE」誌のレコード・レヴューの担当編集者だった保母くんが辞めて、かわりにマガジンを少し前に辞めた野間くんが「COMPOSITE」に入ったのだ。しばらくはギクシャクした感情を抱えつつも、お互いポーカーフェイスで仕事を進めたものの、とある事件(それ自体は僕が引き起こしたことでも、野間くんが引き起こしたことでもなかったが)をきっかけに、彼と僕はすべてをぶちまけて話さなければならなくなった。マガジン時代のことを含め。奇妙な因縁に導かれた場だったが、おかげで、僕はようやく「ケンタウルス」で彼にかけた迷惑を謝罪する機会が得られ、ちょっと心の重荷を下ろしたところもあった。謝っても謝り足りないことだったとも思うが。
ところが、その時、野間くんが言ったことの中で、ひとつだけ、僕には予想外のことがあった。というのは「アンタはほとほと原稿の遅いサイアクのライターだったが、でもオモロカッタ。確かに編集部内でのコラムの評判は悪かったし、アンタもそうやって自分を卑下ばかりするが、オレは「ケンタウルス」の原稿を受け取る度にオモロイ!と思っていた」と野間くんは言ったのだった。そんなはずはない。当時、野間くんが書いた「フューチャー・ミュージック」特集の原稿を読んで、僕は彼の方が百倍、面白い原稿を書くと思っていた。もうオレなんかの出る幕ではないとも。そんな彼がわざわざ「COMPOSITE」にやってきて、なぜかまた僕の原稿を取っているのだから、やりにくくもあり、半分、腹立たしくもあったりしたのだ。
そんなはずはない。野間くんにアレはオモロカッタと言ってもらっても、やっぱり僕は「ケンタウルス」を読み返す気にはならなかった。何を書いていたのか、もはや記憶にも残っていなかった。記憶にあるのは、ともかく、涙が出るくらい書けなかったことだけだ。そして、今日の今日まで、当時のマガジンをめくる勇気は出なかった。思えば、連載終了からちょうど5年が経っていた。
でも、今日は必要にかられて、当時のマガジンを数冊引っ張り出すことになった。そして、おそるおそる「ケンタウルス」も数回分、読んでみた。読んでみたら、アレレ? こんなだっけ? なんだか自分で拍子抜けした。つ〜かさあ、これって、今こうやって書いている日記とどこが違うわけ? 一緒じゃん。こんなジャンクな駄文を権威ある音楽誌のページに原稿料もらって書いて良かったのかどうかは知らないよ。オモロイか、オモロクナイかは自分では判断がつかないし、悪評紛々だったのだから、オモロクナイと思った人がほとんどだったのだろう。でも、5年前にこんなこと書いてたのはオレ以外ないぜ、てところも幾つかある。デジタル・コピーで音は変わるか変わらないか?とか、トム・コインは黒人か白人か?とかいった話題は、当時の音楽誌の中ではズレまくってただろうけれど、今だったらどうだ? なんて考えるうちに、野間くんがオレに求めていたオモロイことが何だったのか、あまりに時遅いけれども、ようやく分かった気もした。
オレは愚かだった。だらしなかった。何書いてもエエです、アンタの日々やっていることがオモロイんだから、なんて言ってもらえることがどれだけのことか、理解してもいなかった。今、僕が媒体にこんなページを持っていたら、CCCDのことだって、ネットの片隅なんかじゃなく、バリバリ書けたのにな。初めて、そんな悔しさもこみあげてきた。
でもさ、今のオレはこれだけは自信があったりする。あの頃のオレよりももっとオモロク、日々、何かやっていることだけは。あと、この日記だけですぐに2000字越えちゃうくらいに、日々、ワープロも打っているぞ。ジャンクな駄文だけど、でも、今更、評論家然とした文章なんて書いてもオモロクないじゃん。そんなのは二十代の頃からたくさん書いてきた。おかげで権威ある評論家みたいなものになっちゃって、なかなかオモロク生きれなかったのだ。
オモロク生きよう。そうすれば、もっとオモロク書けるかもしれない。そもそも山名昇のような文才はないのだ。でも、音楽のまわりをグルグルする才能っつ〜か、何やってもオモロクやれる、そういう才能だけはオレは持っているみたいだ。だから、もっとオモロク生きよう。さっきからビール飲んじゃったんで、今日はいきなり、そんな結論見つけて終わりになるんだけどさ、なわけで、ゼ〜ンゼン苦じゃないわけですよ、怒涛のキャプション書きも。あと三卍。ウワッ、こんな変換初めて見た! あと3万字。
05.19ゆうべから腹痛。自分で料理した金目鯛のアラがよくなかったのか? 普段なら煮つけにするところだが、なんか気分じゃなかったので、フライパンでオリーブ油とバジルペーストを降りかけて焼いた後、軽くトマトソースで煮てみた。非常に美味だったのだが、軽くしか火を通さなかったからかな。あるいは、その後にココナッツの焼菓子をバクバク食べたのがいけなかったのか? たぶん、こっちだろう。思えば消化に悪そうだ。でも、僕は普段はとても健康なので、たまに頭痛や腹痛があるのも、身体のことを顧みる意味では良いのかもしれない。今年くらい、人間ドック行かなきゃなあ。成人病年齢まっさかりですから。
昨日の続きのキャプション書き。が、体調も落ちたため、やや息切れ。しょ〜がない。オモロクないのはヤダもん。毎日1万字もオモロイこと書けたら奇跡だし。しかしまあ、また仕事増やして、自分の首絞めて、馬鹿じゃないか!と周囲の目は冷たいです。オープンにさえこぎつければ、MEMORY LABの通販業務も統合できるから楽になるはずなんだけれどな。
夕方、デザイナーの菅原さん宅で、フジワラダイスケ・ソロのジャケット・ミーティング。すでに菅原さんが作ってあった表1にスンナリ決まる。常にこちらの想像を越える何かを出してきてくれる人は一緒に仕事していて楽しい。と同時に気が引き締まります。オレもこうじゃなきゃいけないと。
恵比寿に届け物などした後、自由が丘でちょっと買い物。早めに帰って、夜はヨーグルトとシリアルだけ食べ、早めに寝る。明日には回復せねば。
05.20溜池のレコード会社〜JASRAC〜新宿西口で郵便局やヨドバシカメラなど回った後、高円寺に。路上でブツを買う。極上品とはいえ、これっぽっちで25000円かあ。まあ、とっておきの、ね。あの娘にアレないですか?と言われたら、出してもいいかな?ってブツにしましょう。
そのままマーブロトロンのスタジオに。先日の湯川潮音ちゃんのレコーディングの時から置きっぱなしになっていたギターとベースを引き上げる。せっかく来たので、マーブルのカフェでしばしボーッと。夕方にタクシーで帰宅。まだまだ終らぬキャプション書き。
ところで、またまた「音楽配信メモ」で知ったネタですが、SONYのVAIOにもれなくバンドルされる「SonicStage Mastering Studio」。これにはビビリました。OXFORD EQまで付いてくる言われた日には、オレも買いに走りそうになったもん。ソニーのサイトでチェックしてみると、どうもSD2ファイルが使えないみたいだし、OXFORD EQもユーザー・インターフェイスが違う簡易版みたいなので、やっぱり要らないかって判断にはなったけれど。
訳分からない人に説明すると、OXFORD EQというのは、もともとはSONYのン千万円のデジタル・コンソールに搭載されていたイコライザーで、最近、プラグイン・ソフト化されて評判を呼んでいる、世のデジタルEQの中でも超ハイエンドな逸品なわけです。僕もマスタリング用に買うべきかな〜と悩んでいたところ。しっかし、そんなハイエンド・オーディオ・ツールをVAIOのエントリー・モデルにまでバンドルってさあ・・・。
基本的にはSonicStage Mastering Studioは、こないだ僕が買ったWAVE BURNER PROと同じようなマスタリング・ソフトウェア。OXFORD EQにWAVES L1とS1、今まで門外不出だったSONYのSBMまでソフトウェア化して搭載ってのは、WAVE BURNER PROに負けない(一部では勝る)マニアックな機能を備えているわけで、良いADコンバーターさえあれば、十分にプロ・レベルのマスタリングが出来てしまうでしょう(コンプがL1だけってのは若干辛いけれど)。つ〜か、先週、僕がここで書いたばかりのコンピューターに24BIT96KHZでマスターを録って、そのままCD-Rにダウンコンバートして落しちゃうっていうマスタリングが出来るんですよ、VAIO買うだけで。
しっかし、一般ピープルがこんなものを持って何をすると考えたのだろう、ソニーは? ソニーのサイトを見たら、「レコードプレーヤーやカセットデッキなどをバイオをオーディオケーブルで接続すれば」という解説があって、ちょっと笑った。え? CDはどうなの? アナログで取り込むんだったら、もちろん、CDだって取り込める。でも、CDのコピー・マシーンというイメージはマズイから、CDのアナログアウトのことを徹底して避けて解説している。また、こんな茶番。
だって、どう考えたって、取り込まれる音源として一番多いのはCDでしょう。次にMD。あるいはDVD。カセットデッキやレコードプレーヤーなんて今時、持っている人は少ないんだからさ。つ〜ことは、このSonicStage Mastering Studioというのは、大きな声じゃ言わないけれども、パソコンでリッピングできなくなったCD(=CCCD)も、アナログで取り込めば、CD-Rに焼いてあげますよ、という親切なソフトなわけじゃん。レーベルゲートCDへの懺悔? ソニーの技術者が結果的にそうなることを頭の片隅にも置かず、コレを作ったとは言わせません。
でも、それだけだったら24BIT96KHZ対応である必要はないかもしれないですね。OXFORD EQなんて搭載する必要もない。ここまでハイスペックにした理由は・・・そうか、分かった! せっかくプロのマスタリング・エンジニアがマスタリングしても、CCCDで製品化された日には、不本意なサウンドにならざるを得ない昨今。しかも、再生するとCDプレイヤーにも負担かかる。だったら、一度、アナログでアウトプットして、24BIT96KHZでリレコ。それをあなたの腕でリマスタリングして、もっと安全に、もっと良い音で聴けるCD-Rを作りましょう・・・というソフトなのだ! 本気でそう思って作ったのだとしたら凄いです。目の前がクラクラします。さすが世界のソニーつ〜かさ、アンタ達、実はど〜でもいいんだね、違法コピーがどうとか、著作権がどうとか、音楽産業に未来はあるかとか、そんなことは全部。それよりも、意味もなくハイスペックなものを世にまき散らして、シュールな世界を現出させることが望みなのだ。みんなでやろうリマスタリング! 日本人にしか考えつかないマッド・サイエンス!
で、こんなもんを作った人々は当然、考えてますよ、僕が17日の日誌に書いたようなことも。ある日、VAIOにSupar SonicStage Mastering Studioってのがバンドルされて、言うまでもなく、DSD録音が出来るわけです。で、SACD-Rが焼けちゃうわけです、きっと、その頃には(SACDってメディア自体はDVDと変わりないんだっけ?)。となると、もとはCDだったけれど、オレがSACDにリマスタリングしたSACD-Rはここまで音が良い!とか、競いあうオタク達も出てきたりして。オーディオ・マーケットでSACDを普及させるよりも、そっちから行った方が速いってな読みまであったら凄いなあ。ソニーに就職したくなちゃったよ、マジで。
05.21朝日新聞試聴室選考会議。先月から会議する場所が銀座のKIHACHI CHINAに変わったわけですが、どうも気取りすぎで好きになれないな、ここは。有楽町駅前のレバンテがいかに素晴らしい店だったか、思い知る。また、僕の好きな店がひとつ、なくなってしまった。いや、まだ一階は営業しているので、近いうちに行って、ホタテのピラフを食べよう。みなさんも今のうちに行くといいですよ、昭和の洋食の最も洗練された姿を味わえる。
終了後、蒲田に行って、文房具屋で先週見つけた太陽誘電OEMの8倍速CD-Rを棚ごと買い占める。店員があっけに取られていました。使いきれないくらい確保してしまったか。でも、今朝、ちょっとショッキングなことがあって、買いに走らずにはいられなかったのだ。
というのも、テストプレスが上がってきたのです。2種類のCD-Rマスターを使ったフジワラダイスケ・ソロのCDの。で、結果はというと、これが驚くべきものでした。ともかく、音は違った。が、その違いは2種類のCD-Rマスターをそれぞれ、うちのCDプレイヤーでかけた時の音質傾向の差とは、また違ったのだ。え? これは逆じゃない?と思って、三洋マービックメディアに電話入れてしまったくらい。
ここから先は企業秘密です。というより、まだ上手く解析できないんですけれどね。三洋マービックもこういう実験をしたのは初めてだそう。某大物アーティストがプレス・マシーンをテストして、一番良い音のプレス・マシーンを選択したというようなことはあるそうですが、CD-Rマスターのメディアの差が、プレスされた製品にどう反映するかをテストしたのは初めて。だから、僕の側も十分なフィードバックをせねばならないのですが、う〜ん、よけいに分からなくなった気がする。技術の人といろいろ話してみないと。
ただ言えるのは、反射面だとか、色素だとかいった要素が、CD-Rをそのまま再生する時に音質に与える影響と、プレスの工程を経て音質に与える影響はどうもイコールでないらしいということ。でもって、今回のマスターに関して言えば、僕の判断は太陽誘電の圧勝!でした。某社のオーディオ用はCDプレイヤーで聞く分には良かったのだが、プレスを経たら、違う傾向になってしまった。
でも、前にも書いたように、現在の太陽誘電製品には疑問もあるわけで、8倍速の頃のや、63分メディアなども試してみたいわけです。だって、ン万円のケーブルやン十万円のADコンバータに匹敵するくらい、メディアによる音質差はありますもん。コレ!というマスター・メディアが定められたら、そのアドバンテージはかなり大きい。何万円か試し買いしても安いものです、ケーブルなんかに比べたら。
夕方、家に戻って、再び怒涛のキャプション書き。なんか自分でも異常なほどタイピング・モードになっているのが分かる。このところ、この日誌の文字量も凄いことになっているし、ネットでもあちこちに書きこみしたりしているし。奇妙なものです。一方でレコーディング・モードの方はスイッチオフになってしまっている。本当は4曲ほど、オレがその気になれば、ミックスまで仕上げられる曲があるのですが、締め切りギリギリまでやりたくない気分だったりして。
たぶん、バランスを取りたいんだろうな、自分の中で。この2年くらい、自分を最も表現できているのはミックス・ダウンという作業を通じてだったと思うけれど、そればっかりやってたらオレじゃない!てのが、僕の難しいところなわけです。いきなり物書きモードに戻ってみたり。あと、今すごくやりたいのは、楽器をもう一度、ちゃんと練習することかな。一日一時間くらい練習するようにしたい。フィジカルなトレーニングで、今までつかえてたところの先に行けそうな気が、最近、ちょっとするんですよね、楽器も。で、なんか、そういう風に、グルグルいろんなとこで少しづつ何かしていかないと、すべてにおいてフレッシュなアイデアが湧かなくなっていく気がするのだ。ミックス・ダウンだって、そればっかりやっていれば、すぐにルーティンになっていくから。
05.22異常なタイピング・モードで今週は書き過ぎ、言い過ぎ。舌禍に気をつけないと。何でも赤裸々に書けばいいというもんじゃない、とちょっと反省。19日の日記みたいのは、当事者であった野間くんやミュージック・マガジン編集部に迷惑をかけかねなかったです。20日の日記もわざわざ誤解を招きよせるような書き方をしてしまいました。POCOPENが読んだら、めちゃめちゃ怒ったかもしれないな。先日、とあるライヴハウスで「トイレでマリファナを吸っている子がいる! 捕まえなくちゃ!」とPOCOPENが言い出し、「やめときなさい。あなた出演者なんだし、そんなことしている場合じゃ」となだめたことがあるのですが、僕が路上で買ったのは薬物とか植物とか、そういうものではないです、もちろん。
そもそも興味ないんですよ、ドラッグの類は。そりゃあ若い頃、外国に行ったりすればですね、僕の場合、最初の海外旅行がジャマイカだったりしたわけで、レゲエ・ミュージックの文化的背景を研究するためにはまず・・・というようなこともなくはなかったけれども、二度目にジャマイカ行った時にはもう目もくれなかったですね。そんなんで一日終っちゃたら、レコード買いに行けないもん。ナチュラル・ミスティックなんて言ったって、タールが多いから、身体に悪いし。別に好きにもならなかったから欲しくもないだけですが、それはそれでラッキーだったと思う。好きな人は大変だよね、この国では捕まった時の代償が大き過ぎるしさ。
でもって、路上で買った極上のブツとは、来週、湯川潮音ちゃんのマスタリングで使おうと思ったブツなんですが、ま、その話はまた。こんなもん路上で買う人はいないよねえ。あ、でも僕は昔、フェンダー・ツイン・リヴァーブをやはり高円寺の路上で買ったことはあります。
午前中はキャプション書きを少し。午後からスタジオ行って、久しぶりにレコーディング・モードに。朝日美穂レコーディング、といっても一人で作業。楽器のダビングを重ねていくと、最初にあったグルーヴが見失われがちになっていくので、初期のファイルをチェックしつつ、トラックの整理と各パートの編集。結構てこずる。ギターを弾きなおしたりもするが、どうも根性続かず。根性で弾ききるか、編集の鬼と化すか、どっちかだよなあ。どっちつかずなのは良くないなあ。
05.232種類のプレスマスターを作ってもらったフジワラダイスケ・ソロですが、僕とダイスケの意見は分かれてしまいました。僕の評価は太陽誘電のマスター用を使った方がはるかに良い!でしたが、彼はアクシアのオーディオ用をマスターにした方が好みだという。言われてみると、それも分からないではない。が、何度も聞き返してみた結果、やはり、僕は太陽誘電の方が良いと思う。フリーケンシー・バランスに関してはもう好みの問題というしかないですが、音の骨格が太陽誘電の方が気持ち、大きいように感じられる。
しかし、一昨日も書いたように、今回の実験の結果は簡単には解析できません。そもそも、マスターCD-Rは工場の納品してしまっているので、直接、マスターCD-Rの音とプレスされて上がってきたCDの音を比べることができない。それでメディアの評価をするというのは不可能なので、今日、あらためて、マスターCD-Rを焼いた時と同じ条件で、CD-Rを焼いてみることにした。
今回の2種類のマスターに使った太陽誘電のマスター用(CDR74MY)とアクシアのPRO FOR AUDIO。さらに最近、買い集めた他社の音楽用やデッドストックの低倍速メディアも数種類、焼いてみた。それらを工場から上がってきた2種類のCDと聴き比べてみたわけです。
まず、CDとその元となったマスターCD-Rの比較。太陽誘電の方は比較的、忠実にプレスが上がってきたのが分かる。中低域が豊かなキャラクターはマスターCD-RもプレスされたCDも共通している。どちらが音が良いかと言うと、どちらとも言えないくらい。プレスされたCDの方が当然ながら、世代落ちしているわけですが、メディアとしてはCD-Rよりもプレイヤーが読み取りやすいというアドバンテージもあるわけで、差し引き、同じくらいになったのかもしれない。
が、もう一方のアクシアは違うキャラクターで、プレスされたCDが上がってきてしまった。アクシアのCD-Rはハイの抜け、音の立ち上がりが際立ってよく、このアルバムに限って言えば、太陽誘電よりも好きかもしれない。が、CDにはそのキャラクターは引き継がれず、ハイが地味になった分、全体のスケールがこじんまりとしてしまった。聴きやすい音といえば聴きやすい音だが、これだけ違ってしまうと、今後、マスターに使うのはためらわれる。
ちなみに、こんな凄いページを発見したが(またまた「音楽配信メモ」からのリンク)、ここでの実験結果を見ると、現行製品の中では太陽誘電のマスター用とアクシアのPRO FORT AUDIOが際立ってエラーレートが低いのが分かる。マスタリング時に十枚近く現行製品をチェックした中で、この2枚が最も魅力的だったので僕はマスターCD-Rにしたわけだが、その聴感判断がエラーレートの測定結果と見事に一致していたのはちょっと驚いた。ただ、アクシアの方は残念ながら聴感上の魅力的な音色が、プレスされたCDにはあまり引き継がれなかっわわけだ。これはその音色が反射面や色素や印刷面のコーティングの素材などでチューニングされたものだからかもしれない。太陽誘電の方は音楽用に設計されたCD-Rメディアではなく、エラーレートの低いロットを選別してマスター用として売っているだけのもの。オーディオ用に耳でのチューニングなどはされていないだろう。
さて、それでは太陽誘電のマスター用がやはりCDプレスのマスターCD-Rとしてはベストなのか? そもそも、今回、実験させてもらうことになったのは、過去に信頼していたその太陽誘電のマスター用の音質に疑問が生じたからだったのだが、今日、再び様々なメディアをテストした結果、驚くべきことが分かってしまった。今日の結果はあえて採点するなら、こんな感じ。
太陽誘電マスター用:90
それをマスターにプレスされたCD:89
AXIA PRO FOR AUDIO:92
それをマスターにプレスされたCD:85
太陽誘電の音楽用:82
AXIAイルカ:88
MAXELL音楽用:80
TDK16倍速(台湾製):70
ソニー16倍速(台湾製):70
ソニー12倍速(太陽誘電OEM):95
IMATION 8倍速(太陽誘電OEM):96
というわけで、IMATIONの8倍速とソニーの12倍速が今日、テストした中ではぶっちぎりで音が良かった。少なくとも僕の耳には。いや、フジワラダイスケも前に試し焼きしたIMATION8倍速を持ち帰っていて、この金色のが音良いですよ〜と言っていた。つまり、太陽誘電OEMの、3〜5年くらい前に生産されたものだろうデッドストックが、現行の最高水準である太陽誘電のマスター用、アクシアのオーディオ用よりもはるかに魅力的な音質だったのだ。う〜ん、ショックといえばショック。でも、違いは明らか。音の出が、0.5デシベルくらいレベルが高いんじゃないかと思うくらい違う。なおかつ、ハイローが伸びていて、音場に透明感がある。ソニーの12倍速は10枚ワンパック、数百円で買ったもの。これが1枚400円の太陽誘電のマスター用よりもはるかに高音質なのだから、どうなってんだよお?
しかし、怪我の功名というか、実はERROR RECORDINGではこのソニーのCD-Rをよく使ってきたのだった。理由は駅前で売っていたからに過ぎないのだが、去年やったブラウニーのマスタリングでは、太陽誘電のマスター用が手に入らなかったので、買い置いてあるこのソニーをマスターCD-Rに使った。先日のPOCOPEN & NISHIWAKIのマスタリングでも、西脇くんが太陽誘電のマスター用よりも試し焼きに使ったソニーの方が音が好みだというので、ソニーをマスターCD-Rにした。先週やったCONTACTのマスタリングでは太陽誘電マスター用とAXIAI ORO FOR AUDIOを最初使ったが、若干のデータの手直しをした時にIMAITIONの8倍速を試したら、音が太く感じられたのでこちらに差し変えた。なので、図らずも、高音質なCD-Rをマスターに使ってきてはいたのだ。そこで何となく感じていたことが、今日の実験で裏づけられたわけだった。西脇くんの耳が正しかったのも分かった。
ソニーの12倍速とIMAITIONの8倍速は甲乙つけがたい。IMATIONの方が少しだけ、ハイエンドが澄んでいる気がする。でも、ソニーの方が中域の押し出しが強いようにも思う。盤面に刻まれているロットの表示を見ると、ソニーもIMAITIONもPM*****というロットだった。今まで使ってきた太陽誘電のマスター用の盤面をチェックしてみると、去年の前半頃まで使っていたのはPM*****ロットだったのが、最近、買ったのはPA*****ロットに変わっているのが分かった。最近の太陽誘電のマスター用は以前ほど音が良くないように感じていた理由がこれで分かった。低倍速で焼くCD-DA用にはPM*****ロットが良かったのだ。
しかし、いつもいつも思うことだけれども、こうやって品質というのは知らない間に下落していくわけです。50年におよぶオーディオ・ヒストリーで、音は果たして良くなったのか?ということに、僕がしばしば疑問を感じるのも、だからこそ。CDのマスタリング〜プレスにおいて、U-MATICマスターが廃れていき、CD-Rマスターになっていく方向が明らかなのに、メディアの質がこんなことになっているのではたまりません。誰かなんとかしてくれ。幸い、IMATIONの8倍速は先日、使いきれないくらい大量確保したけれど。なので、ERROR RECORDINGでのマスタリングは安泰です。
夕方より朝日美穂レコーディング。歌録り。APOGEE AD8000SEにはヘッドフォンアウトがあるので、歌録りの間、卓ではなくこのI/Oのヘッドフォンアウトを使ってモニターしていたのだが、あまりに音が良いのでビックリ。このくらいの音でモニターしていたら、歌い手や演奏者も気持ちが違ってくるだろう。今度、ヘッドフォン・アンプの類をチェックしてみよう。GRACE DESIGNのは高過ぎるけど、DAが付いてて、APOGEEのデジタルアウトから直に引っ張れるというのは便利かもしれない。というか、このAPOGEEのヘッドフォンアウトをそのままブースまで引っ張っていけば、それでいいのかも。延長ケーブル作るかな。いやはや、キリがないです、音に関することは。