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01.06〜08
今年最初のレコーディングはTICAのニュー・アルバムに収録される「キャロライン・ノー」をうちのスタジオで三日間でやることに。マサユキくんは何と嬉しい話を振ってくれるのでしょう。いわく「ビーチ・ボーイズの曲をやるからには健太郎さんに声かけないと」。しかし、緊張します。だって曲があまりに大好き過ぎる。が、一方ではメジャー・レーベル仕事です。他の曲は3348回して、NEVEの卓でミックスしたりしているらしい。ERROR RECORDINGのクォリティーが問われます。
6日はマサユキの持ちこんだコンピューターからオーディオの取り込み。スクラッチ・ノイズで構成されたリズム・パートとアコースティック・ギター。続いて、AJICOなどでお馴染の椎野さんがやってきて、パーカッションの録音。狭いスタジオにジャンベが3つ、コンゴがひとつ、ボンゴがふたつ。よく入ったなあ。ジャンベを3パート、ボンゴを2パート。ナイヤンビンギともハワイアンともつかぬムードのパーカッション・パートを作る。結構、ダビーなムードもあり。やりたい方向は朝日美穂の「HOLIDAY」のカヴァーとちょっと似ているかもしれない。
続いて、エマーソン北村くん登場。エレピとオルガンをレコーディング。ブライアン・ウィルソンの魔術的コード進行をどう解釈するか、マサユキ、北村、それに僕も混じって頭ひねるという図は、朝日美穂&FMOの時代にはよくあったものです。ビーチ・ボーイズに寄り添いすぎない美しいアレンジに到達。しかし、いつもながらマサユキくんのカヴァーの選曲、そしてユニークなアレンジ・センスは抜群ですね。世界一じゃないかと思うくらい。
楽器が一通り入ったところで、マサユキと武田さん、椎野さん、北村くん、そしてマネージャーの小倉さんと食事。イタリアン・レストランでゆっくり。なんか優雅なレコーディングだなあ。
夜遅くから歌入れ。コーラス・パートがかなりあるので2時頃まで頑張るもの終らず。
7日は午後より歌入れの続き。武田さんの歌はとても太く、ゆったりしているようでいて、繊細なリズム感覚が要所に隠れています。素晴らしいヴォーカリストの歌入れというのは最高に楽しく、ヘッドフォンでモニターしていると、ふっと別次元に入ってしまうような感覚があります。あの感覚は録っている瞬間にしかないものです。あまりに気持ち良くて眠りそうになってしまったり。
途中でPHATのフジワラダイスケ来訪。マサユキに紹介。ダイスケは実は大のギター好きで、「リズムとヴォイシングの良いギタリスト」を探しているのですが、僕の知っているそんなギタリストはもちろん石井マサユキしかいません。
リード・ヴォーカルが録れたところで、TICAのふたりは近所でミーティングに。その間に僕はミックスの準備。先日、一年間ほどかけて自分で修理したGATESのSTA LEVELをヴォーカルに使ってみる。ガツっとしたフィーリングが出るものの、全面的に使うにはアクが強すぎるかもしれない。なので、ノーコンプのヴォーカルとGATESを通ったヴォーカルの両方を卓に立ち上げて、パート、パートでバランスを変えてミックスすることにしてみた。
夜遅くにV2レコードの社長の間瀬さんを含めてK'Sキッチンで食事。蛎フライでウハウハ。優雅なレコーディングだなあ。
深夜にかけてミックスの方向を詰めつつ、コーラス・パートをさらに録り足したり。2時くらいまで作業して、50%くらいのところまでミックスして、二日目終了。
ところで、家に帰ると、そりゃあビーチ・ボーズが聞きたくなります。しかし、聞くと絶対にビーチ・ボーイズっぽい何かをやりたくなったりするでしょう。まあ、聞かなくたって、「キャロライン・ノー」が終って、踏み切りの音が聞こえてくる瞬間のタイミングまで僕の頭の中には染みついているから、ここはあえて聞き返さないようにガマンガマン。ジャケットだけ、お守りがわりに飾って寝ることに。
8日はミックス。昼に下北沢に行って、修理に出していたMXRのピッチ・トランスポーザーを受け取る。これも修理に半年以上かかりました。ヴィンテージ機材が増えてくると常に何か壊れています。そのメンテもまた楽し、くらいの気持ちでないと付き合えないですね。
TICAのふたりには夕方に来ることにしてもらって、ひとりでミックス作業。昨夜はかなりダビーな、ON-Uとか、スミス&マイティーとか、そんな感じの音像が思い浮かんでいいたのですが、良い天気だったこともあって、もっとナチュラルなミックスになっていきました。暗いことや病的なことをたくさんやっても、ブライアンの狂気と退廃に勝るものはないしね。2003年の東京の、僕達が呼吸している感覚で楽しくやろうと。隠し味にダブ的なことを沢山やってはいるものの、聞きやすいミックスにはなったかな。
マサユキくん、武田さんの到着の頃にはほぼ完成。ふたりからそれほど注文もなく、あっさりOK。マサユキはとても几帳面な人なので、ここからが長いかと思っていたのに、「いや〜、良いです」を連発してもらう。というわけで、夜10時すぎには三日間のセッション終了。小倉さんを含めた4人で、ちゃんこカフェに。今日は飲めるぞってことで、ワインなどいただく。鍋つつきつつ、いろいろ話す。しかし、優雅なレコーディングだったなあ。最高に楽しかった。こんな機会を与えてくれたマサユキくんと武田さんに感謝。

01.09
今日も名ギタリストが来訪。ロンサム・ストリングス〜シカラムータ〜ストラダなどなどで活動する桜井芳樹くん。そうそう、朝日美穂バンドの歴代ギタリストは最初が桜井くんで、次が石井マサユキで、その次がフリーボ石垣くん、現在はSUのチダ。桜井くんとの付き合いは、ミスター・クリスマスがスイッチ・レーベルでLP出した頃だから、う〜ん、考えても何年前なのか分かりません。
でもって、今日はさかなのトリビュート・アルバムのロンサム・ストリングス・フィーチュアリング・朝日美穂のレコーディング。異色な顔合わせ、でもないか。ロンサムのベースは松永さんだし、ペダル・スティールは田村の玄ちゃんだから、それぞれ朝日美穂のレコーディングにはしばしば参加しています。
あ、ところで、何げに玄ちゃんだけは玄ちゃんと書いてしまうが、玄ちゃんだけが僕より年上なのだよね、この中では。去年、初めてこだま(和文)さんに歳を聞いて、二十年以上、さんづけしてきて正解(一つ年上でした)と胸をなでおろしたのだが、19歳の時に知り合った玄ちゃんは四半世紀以上、ちゃんづけで呼んでいたら、実は二つ年上でした。しかし、若いです。
話戻して、レコーディングする曲は「ロンサム・カウボーイ」。名盤「光線」に収録の。オケはすでに録音済み。秋葉原の福岡史朗くん(ex GREEDY GREEN)所有のスタジオで。意外にチャンネル数が多く、3本のADATから20チャンネルほどのオケをプロトゥールズに取りこみ、そこに桜井くんのダイレクションのもと、朝日のソロ・ヴォーカルを録る。5テイクくらい録って終了。気楽なレコーディングです、カヴァー曲というのは。終了後、3人で韓国料理屋行って、鍋などつつき話す。ミックスは17日あたりに。

01.10
今日も軽いレコーディング。某FMの番組のオープニング・テーマ、いわゆるジングル録り。PHATでやるわけだが、ドラムはハード・ディスクの中から探して、ダイスケのサックスとケースケのベースだけ、うちのスタジオで録る。それぞれ2テイクくらいで終了。
ところで、年末からスタジオ改装に励んできたわけですが、最大の買い物が届く。ソファです。それも革張りの。どうせなら、V2レコード社長まで来訪したTICAセッションに間に合えばよかったのだが・・・と、なんと届いてみたら、これが部屋に入りませんでした。マンションの階段はなんとか昇ったのだが、うちのスタジオは玄関のドアを開けてからまた階段があり、ここが通らない。クレーンで窓から入れるしかないのか?
ともあれ、今日は無理なので、一度、自宅に置くことにする。しかし、自宅にも置場所作らないと。

01.11
ソファ搬入のために自宅の片付け。いつもながら問題は収納できずにいるCDの山。えいっとばかりサンプル盤数百枚を箱詰めして、廃棄処分にすることにした。レコード協会の契約廃棄物処理業者に送るのだが、なんかイヤ〜な気持ちになります、聞かないレコードとはいえ、ゴミにするのは。僕は聞かないけれど、欲しい人は欲しいだろうCDも沢山あるはず。自分で作っているものだしねえ、誰かにこうやって捨てられたらアタマ来るだろう。
仕事部屋のコンピューターまわりを少し配置換えしたら、棚に数百枚分、CDが置けるスペースが出来たので、床を占領していたCDを半分くらいには出来た。
夕方にソファ到着。ベッドルームに入れる。6畳間にベッドとソファ両方入れるのはキツイかと思ったが、意外に良い感じ。大きな革張りソファに深く沈んでクレイグ・デヴィッドのDVDなど観てしまう。思えば、僕は今までソファのある生活というのはしてことがなかった。

01.12
今日もまたレコーディング。なんと朝の9時にスタジオに。2時間かけてADATテープのフォーマッティング。11時に機材搬出。フジワラダイスケの車で三軒茶屋グレープフルーツムーンへ。東京カリー番長フィーチュアリングPHATのイヴェント。大晦日のペンギンハウスに続いて、これをライヴ・レコーディング。セッティングは大晦日のそれを踏襲。ただし、ペンギンはデッドなハコだったが、グレープフルーツムーンはコンクリート打ちっぱなしの地下室なので、リヴァーブが多い。そのへんの違いが録れたら面白そう。演奏は全曲エレクトニクスを使わないジャム。僕もカレー食べつつ、リラックスして録る。
終了して、夕方にはスタジオに機材搬入。続いて夜の部。今日から三日間はカンアトキトシ・レコーディング。CD-Rでオケのオーディオ・データを取り込み。ジョセリン・ブラウン風の正調ハウス。ベースラインが僕の大好きなマクファデン&ホワイヘッド「エイント・ノー・ストッピン・アス・ナウ」に似ているので燃える。12時頃までかけて歌録り。コーラス・パートが多いので、半分くらい録れたところで終了。
昨日の大掃除で埃を吸ったせいか、ちょっと喉が痛く、風邪っぽくなった。今年の冬は風邪ひきやすいみたい。脂肪を3、4キロ脱ぎ捨てたせいか。