BEFORE GET IN SLEEP

12.10
午前中に原稿書きを終えて、午後からスタジオに。朝日とクラムボンのミトくんが来て、岡村靖幸トリビュート・レコーディング。ブラック・ボトム・ブラス・バンドの演奏に総勢十数人のヴォーカルを加える予定なのだが、トップバッターとしてミトくんが歌うことになった。ホントは郁子ちゃんも来るはずだったのに・・・ブツブツ・・・だったのだけれど、ミトくん、歌うまいのだ。ピッチは良いし、オクターブで重ねてみることを提案したら、ワンテイクでピッタリ重ねて歌ってしまった。リード・ヴォーカルを録ったのは初めて経験だそうだけれど、基本的な音感が良いんだろうな。聞けば、両親とも演奏家だったそうだし。
歌入れはサラッと終わったが、完成しつつあるトリビュート・アルバムの曲をアレコレ聞きながら、なんだかんだとお喋り。といっても、朝日&ミトは熱烈な岡村ファン。世代も近いから、思い出話に花が咲いていたが、さすがに僕は着いていけないわ。さらに蕎麦屋に移動して、3人でお酒。ミトくんはしかし、物知りだ。僕よりもずっと蕎麦屋に詳しい。レコードも詳しい。ハードコアからプログレからジャズまで、二十代半ばとは思えないくらいの博識。朝日は「あなた達似ている」と呆れていた。結局、閉店まで店に居座って、ようやくお開き。

12.11
深沢のスタジオでPHATのレコーディング。2曲、カヴァー曲を録る。1曲はYMOのカヴァー。もう1曲はそのYMOもカヴァーしていたアーチー・ベル&ザ・ドレルズの「TIGETEN UP」。エンジニアはYAMAUCHIのミックスもやった吉光くん。音作りはスムーズに進んだが、アレンジに関しては、いつになく僕がたくさん注文を出した。今日は僕はDJの耳で曲を聞いていた。使えるトラックかそうでないか、それだけが問題。
途中、やや難航したものの、なんとか2曲とも録音完了。YMOのカヴァーはバリバリにエディットして、ハービー・ハンコックの「ロッキット」みたいにしてしまおうともくろむ。なんとか、あと10日間でアルバムを完成させられるだろうか?

12.12
疲れていて、午後まで寝過ごす。自転車がスタジオに置きっぱなしになっていたので、用賀方面にふらふらと歩いていくことにする。めざすはコジマ電気。246と駒沢通りの間の住宅街の細い道を抜けていくのは面白い。アパートの一室でミニカーのコレクションを売っている店があったり、民家の庭でカフェ(?)を営業しているおばさんがいたり、畑もこのへんにはたくさんある。時間があったら、もっと散歩したいな。
コジマ電気でFIREWIREのハードディスク購入。せっかく歩いてきたのに、これだけでは、と思い、家電製品を見て回るが、僕には欲しいものがない。こんなにも欲しいものがないのか、と自分でも奇妙に思う。だいたいデザインがひどい。なんで、今の家電製品はこんなにもデザインがひどいんだろう? 夢もこめられていなければ、ストイックな機能美もない。
深沢に戻り、昨日のスタジオでPRO TOOLSのデータをハードディスクにコピー。エンジニアの吉光くんと雑談。吉光くんの作っているトラックを聞かせてもらう。ノーマン・クックを思い出したりするハッピーなブレイク・ビーツもの。
渋谷に出て、タワレコなどを軽く回った後、PHATのストリート・ライヴ。アレ、やってないのかな?と思って、近くまで行ったら、今日はベースアンプを持ってこれなかったそうで、完全なアコースティックでやっている。べースが聞こえるようにヌマちゃんも抑えてプレイしていたようだ。でも、次第に人も集まり、アンコールまでやって終了。
PHATは昼間はSASAKIDELIC氏の仕切りでBLUE NOTEからのアルバム用のフォト・セッションをやっていた。カメラマンはもちろんPHATを撮り続けている田中さん。ポラを見せてみせてもらったが、ロン毛の男が3人並んだアー写はなんだかヴィジュアル系のバンドみたい。
東芝EMIのスタッフも交えて、近くの台湾料理屋へ、入っていたっら、あちこちから「健太郎さん」と声をかけられる。見れば、HARCOの青木くんやキセルのふたり、その周辺のスタッフなど知った顔ばかり。クアトロのイヴェントの打ち上げだったそうだ。

12.13
午後からひとりでスタジオ作業。PHATのPRO TOOLSデータの取り込み。それから12月22日の京都メトロでの朝日美穂ライヴ用に新曲のカラオケを作る。夕方から自由が丘のスタジオでそのライヴ用リハーサル。といっても、今回のライヴは朝日ソロ+モユニジモなので、基本はピアノ弾き語り。何曲かサンプル・リズムを使うのでそのチェック。さっき作って持ってきた新曲のカラオケは、1曲だけムード変わりすぎちゃうってことでボツ。自分のスタジオに戻ると、山口泰がこの間やった自分の曲の手直し中。終了後、山口に手伝ってもらって、NEOTEKの卓を再び、壁に立てかけて開封。収まっていたかに思えた左チャンネルのトラブルが再発したのだ。

12.14
午後から卓のメンテ。しかし、マスターアウトプット・セクションの左チャンネルが歪む問題は、もう治療すべき箇所が見つからない。オペアンプは全部交換してしまったし、主要なコンデンサーも交換してしまった。音質補正用の小さなコンデンサーは幾つか残っているが、これが原因とは考えにくい。回路図と睨めっこしたが結局、やることなし。実はアンプ部分ではなく、メーターに行くあたりにトラブルがあるのではないかという結論に落ち着く。が、せっかく開封したので、インプット・チャンネルやサブミックス・チャンネルのレベル・マッチングやフェーダー・カーブの怪しいチャンネルを改善しようともくろむ。なので、オペアンプとコンデンサーを一部交換。が、通電してみたら、バチっと言って、煙が出た。間違ったオペアンプを入れてしまったせいだった。オソロシ〜。蓋をしてから通電してたら、しばらく気がつかず、火事になっていたかも。
おかげで、前から調子の悪かったサブミックスの5チャンネルがさらに不調に。でも、今日はもう諦めることにする。PHATのダイスケがやってきたので、手伝ってもらって、卓をもとに戻す。ふたりであらためてワイヤリング。AVALONのEQ/COMPを買ったので、卓のマスター・ミックスの後にそれを繋いで、トータルEQ、コンプが出来るようにした。それをさらにTCのFINALIZERでAD変換して、デジタルにDATに送るというシステム。これが最良かどうかは、しばらく使ってみないと分からないが。
サンフランシスコに住むダイスケの友人のクレイグからポエトリー・リーディングが送られてきたので、それをPRO TOOLSに取り込み。「DEFLECTION」という曲にこのポエトリーが乗る。クレイグはこのオケをヘッドフォンでモニターしながら声を入れてきたのだが、送られてきたCD-Rには声しか入っていないので、オリジナルのタイミングは分からない。が、ダイスケとふたりでタイム・アジャストを試みる。ラップのように完全にビートにはまっているわけではないが、いろいろなタイミングで聞いてみると、いろいろな聞こえ方をする。あるポイントに来た時、それまでより急にリズミックに聞こえだしたので、ここだ!ということで、それからさらに小節単位でベストのポイントを探す。最終的に到達したポイントは、構成的に考えても、クレイグがモニターしていたポイントに違いないとの確信を得る。
続いて、こないだレコーディングしたYMOのカヴァー「体操」のエディット。まずは10分以上演奏したメインパートを4分に凝縮のが目標。8小節単位でバサバサと削っていき、まずは5分くらいにする。しかし、この8小節とあの8小節を合体、とかやっていても、PHATの場合、いともたやすく繋がってしまう。普通はアタマのタイミングがずれて、バチバチ行ったり、ハイハットなどのヴェロシティーが違うので繋がって聞こえなかったりするのに。ヌマちゃんのドラムの正確さは本当に恐ろしい。
編集していたら、かなり良い感じに聞こえてきた。レコーディングしていた時は思わなかったのだが、テクノなシーケンスの上でライヴ・ジャムを繰り広げるPHATというバンドの特質を凝縮した1曲に出来そうに思えてきた。ライヴ・ジャムをPRO TOOLS上で再編集して、奇妙なカットアップもたくさん作ってしまうところもPHATならではだろう。
ダイスケと深夜、スパゲッティを食べつつ、あれこれ話す。PHATの次のアルバムが出た後のプランについても。来年はダイスケの音楽家としての勝負の年になるのは明らかだ。メジャー・デビューなんて言葉に浮かれている暇はない。
ひとりでスタジオに戻って、さらに「体操」の編集。ゴリゴリにリズムの組み直しもする。といっても、エディットは基本的にバンド全体でするのがルール。3人の演奏の時間軸は常に揃えておいて、バンド全体が8分音符で切り刻まれたパートを作ったりするわけだ。メインパート以外のふたつの短いパートも合体させて、ほぼ、これで良いと思える構成に到達。これは凄い曲になりそう。帰宅は明け方。

12.15
午後から岡村トリビュートのレコーディング。昼頃には起きたのだが、バタバタしていて、ちょっと遅刻。今日はこないだミトくんのヴォーカル入れた曲にHARCOの青木くんとニーネの大塚くんがヴォーカル・ダビング。どちらも比較的、さらっと終了。大塚くんの絶叫は凄い。さすがロッカー。この曲はさらに直枝さんやブラウンノーズ、くるりもヴォーカルを入れる予定。なんだか、サークル部室ノリの騒がしい曲になりそう。
終了、朝日のライヴの相談。こないだの新曲のカラオケが没になってしまったので、1曲足りなくなったのだが、モユニジモとのコラボレーション用に朝日楽曲でヒップホップ化できるものはないかと考える。で、とある曲のテンポを落して、4小節のループにすることに。サンプルCDを利用して、シンプルなリズム・トラックを作り、アコースティック・ギターを録音。なかなか良い感じ。
途中、来年、MEMORY LABからデビュー予定の新川くんが来訪。新曲を3曲ほど聞かせてもらう。やっぱり彼は天才。曲も歌も演奏も良い。キリンジあたりが好きな人はハマルだろうな。曲がだんだん揃ってきたので、リリース方法なども話し合う。
さっきのコラボ用の曲のミックスを仕上げて、近所のちゃんこ鍋カフェへ。あしたは一日休むぞ〜と決めて、ワインを3杯ほど。

12.16
休むと決めたら、ともかくベッドから出られない。結局、遅い午後に起きて、自転車で公園を抜けて、ピキヌーに。「今年はありがとうございました」と挨拶されて、エ?と思ってたら、明日からイタリア旅行をするので、年内は今日で終わりだそう。今日、来ておいて良かった〜。
トムヤムとカレー食べて、家に戻ったら、再び眠くなり、ベッドに戻る。気がつくと、あたりは真っ暗。でも、せいぜい9時頃だろうと思って時計を見たら、午前3時。年内、休めるのは今日が最後かもしれないのに、洗濯すら出来なかった。あすからガンバロということで、日記まとめて書いて、再び寝ることに。