BEFORE GET IN SLEEP

11.12
昼過ぎに六本木某ケーブル局でミーティング・・・のはずが、担当者が社に来ていなくて無駄足。でも、ボンジュール・レコードのオフィスで、A&Rの小松くんとミーティング。今、日本の音楽は面白いということで、いろいろ一緒に出来そうなアイデアを話し合う。
気温が急速に下がったせいか、それとも風邪を引きかけているのか、昼だというのにやけに寒気がするので、一度、帰宅。夜にまたミーティング。yamauchi&ガンちゃんと来年明けのデビュー・アルバム発表に向けてのプラン作り。

11.13
PHATのミックス・デー。本当はバラードの曲の編集をするはずだったのだが、山口泰のスケジュールが空いていたので、急遽、来てもらって、「MEXICAN PUSHER」という曲のミックスをする。来年明け、東芝EMI(レーベルはなんとブルー・ノート!)から発表するアルバムの中でもメイン・アイテムになりそうなアップテンポの曲。こういうファンキーな音楽のミックスは山口は最高に上手い。世界一じゃないかとすら思う。ここまでドラムをラウドかつ空間一杯に使ったミックスは僕には到底出来ないな。というより、彼がアメリカに行ってしまわなければ、僕は自分でミックスしようとも思わなかっただろうが。
ダイスケ、ヌマちゃん、チョースケが夕方までに集まり、3人の意見も聞きつつ、詰めていく。夕飯時までにベーシックは完成。みんなでスパゲッティ食べた後、PHATの3人は渋谷でストリート演奏に出掛ける。あとは山口で僕で曲全体のストーリーを詰めていく。しかし、今までたくさんのミックスを一緒に作ってきただけあって、何を足りないと思うか、何を過剰と思うか、といったポイントがほとんど一致する。EQやコンプの精密さではまったく敵わないが、僕は僕でいろいろ実験してきた成果はあるので、エディットやエフェクトの組みは大胆にやらせてもらう。こうやって、二人で二日間がくらいかけてミックスしたら、凄いものが出来るだろうなあ。でも、トータル・リコールが効かないシステムなので、夜更けには完成まで追いこむ。


11.14
PHATの「KING OF PIMP」がプレス工場からどかっと届く。今回はプロデュース&ミックスに加えて、自分でジャケット・デザインまでしたので感慨もひとしお。MLAL-0005ってことはMEMORY LABにとって5枚のアルバムになる。もうすぐ上がってくるYAMAUCHIの「樹海」はMLEP-1003で、MEMORY LABにとって3枚目のマキシ・シングル。レーベル設立から1年ちょっとで8枚もCDを作ったていたわけだ。雑誌で言えば、隔月ペースか。さらに、YAMAUCHIとTAISUKE MATSUOのフル・アルバムも完成して、年明けにリリースを控えている。よく続きますね(お金が)、と人から言われるが、続くかどうかなど考えてられない、というのが正直なところ。目の前にはいつも仕事が山積みなので、脇目ふらずに、やり続けるだけ。まあ、お金が続かなくなったら、あなたのところに相談に行くかもしれないので、その時はよろしく!ですね。
原稿準備のため、CDをいろいろ聞きつつ、郵便物作りなど。しかし、これがめったやたらに時間がかかる。結局、暗くなるまでかかってしまった。どうも僕の中には仕事というのは机に向かってするものという意識があるので、床に座って、郵便物作っていても仕事をしたという気がしない。なんか雑用で一日終わっちゃったという気分。
夜、中目黒で朝日とミーティング。さらっとメシ食うつもりで入った店が意外に高級なイタリア料理店だったのでビビる。カード持ってなかったし。パンとエスプレッソがめちゃめちゃうまかったが、料理はフツ〜。あすはブラック・ボトム・ブラス・バンドの岡村靖幸トリビュート用のレコーディングで、朝日と山口泰がBBBBのスタジオに録りに行く。僕は行かないのだが、うちのスタジオから機材を貸し出すので、スタジオ行って、その準備。さらに、ホーン・アレンジのデモを聞かせてもらって、歌との和声のマッチングなどをチェック。面白そうだな〜。


11.15
「レコードコレクターズ」が送られてきたので、パラパラと読む。小坂忠の特集があり、僕は「ほうろう」のレヴューだけ書いているのだが、書いた後にちょっと、あれで良かったのかなあ、と気になっていた。というのも、「ほうろう」は一般には小坂忠の代表作とされるわけだけれど、今回、聞き直してみたら、僕には違う聞こえ方をしてしまったのだ。でも、カムバック作を出して、せっかくレココレで特集されたのに、読んでみたら、僕が書いたレヴューみたいのが入っているというのは、小坂忠その人にとっては気持ち良いことではないかもしれない。
そもそも、僕はレココレ向きの書き手ではないようで、この雑誌にはアーティスト・サイド、ファン・サイドからはネガティヴと映りかねない原稿を何度も書いてしまっている。いまだに話題されるイーグルズ特集やニルヴァーナ特集の原稿。こないだ大滝詠一特集もそうかな。激怒する人がいるのも分かる。だって、ワッ!ニルヴァーナの特集だ!と思って買ってみたら、CDをゴミ箱に投げ込もう、なんて記事が載っているわけだから。
でも、レココレというのは不思議な雑誌で、ニール・ヤングやジョニ・ミッチェルやザ・バンドやリトル・フィートやロバート・ワイアット・・・なんてライフタイム・フェイヴァリットのアーティストについては、僕は原稿を書いたことがない。なぜか、そういう依頼は来ないんだよなあ。まあ、来たら来たで、レココレらしい原稿が書けるのかどうかははなはだ心許無いけれど。
それはともかく、小坂忠特集だが、彼のインタヴューを読んでみたら、僕が聞き取ってしまった「ほうろう」における彼の戸惑い、周囲とのギャップに触れる発言があって、少しホッとした。でも、二十年以上も経ってから、音の背後にこういう感情や気配のようなものが聞き取れることもあるのだから、レコードというのは恐ろしいな、とも思った。僕が作っているレコードもそうなのだろうか。
午後に渋谷でミーティング。VIEWSICのスタッフだが、12月初旬、YAMAUCHIとPHATが続けて番組で特集されることに。嬉しい。
家に戻って、昨日に続いて、原稿準備しつつ雑用。またたくまに夜になってしまう。ブラック・ボトム・ブラス・バンドのレコーディングから朝日と山口が戻ってきたので、スタジオに機材搬入がてら、遅い夕飯。が、スタジオでプロ・トゥールズにファイルを取り込んでみようと思ったら、なぜか、うまく行かない。24BIT48KHZで録ったはずなのに、16BIT44.1KHZでファイルを認識し、読み込むとオーディオ・データは空。BBBBのスタジオはキューベース+MOTU2408らしい。試しにデジパフォでMOTUオーディオシステムでやってみたら、こっちでは24BIT48Kで認識する。が、MOTU用のオーディオカードがないので、48KHZのファイルは再生できない。う〜ん。なにがなにやら、なので、諦めて帰宅。


11.16
引き続き原稿準備。レヴューのために積んだままになっていたサンプル盤をいろいろ聞く。元GREEDY GREENの福岡史朗のソロ2作目を見つける。そういえば、前作は買いそびれていた。思いがけず、優しい声がたくさん聞こえてくるのに驚く。いや、GREEDY GREENの時代も幾つかの心優しい歌はあって、『MW』の中の「影ぼうし」とか「パノラマ」とか、今でも大好きなんだけれど、それよりはシニカルなロック・チューンの方が目立っていたと思う。このソロ作の冒頭のタイトル曲のような行儀良い歌い方は、あの頃の彼は嫌っていたし。でも、僕は彼の音楽のこういうソフトな側面が好きだ。あとは、ファンキーな側面も(これはGREEDY GREENの後期以降、あまり聞けなくなってしまったが)。
良いアルバム。ちゃんとプロモーションされればいいけれど。でも、宣伝資料に入ってたインタヴューはなんだなあ。どういう配慮なのか知らないけれど、人の名前ぐらいちゃんと書けばいいのに。
夕方、スタジオに行って、朝日の曲のコーラス録りスタート。彼女が家でかなりコーラス・アレンジを詰めてきた。なんと、今回は譜面付き。ストリングスやホーン・アレンジに関しては僕が譜面書くこともあるけれど、こうやって自分達で譜面使ってレコーディングしたのは初めてだろう。いつもはコード譜すらない。僕の頭の中にはコード・ネームがあるけれど、そんなもの、彼女にはなんの意味もないのだ。
しかし、このコーラス録りは大変そう。またたくまにトラックが増えていく。イントロのコーラスだけで10トラック。今日はそれ録り終えただけで終了。


11.17
昼に渋谷に出て、ビックカメラでデジカメ購入。こういう人並みな買い物するのって久しぶりだな。僕はハイテクな人と思われがちだが、コンピューターなんていまだにマックのG3以前の9600と7300だし、家の中もハイテク家電とは無縁。コードレスフォンもないし、BSもCSも入らないし、あとは何がないんだろう? あ、電子レンジがないのはよく驚かれる。そんなもの、なんで必要なのか、まったく分からないが。
夕方より、昨日に続いて、朝日美穂レコーディング。怒涛のコーラス録り。彼女はとても気分屋なので、わずかな時間経過の中で、ノリが変わってしまう。昨日、録ったイントロはどちらかというとR&Bっぽいのだが、今日、録ったミドル・パートはよりラテンというか、ブラジリアンというか、そういうノリになってしまった。ひとつひとつのパーツ自体はほとんど変わらないのに、微妙なノリで全体の聞こえ方が変わってくる。Bメロはオープンなハーモニーで進むのだが、ここはしっとりして、カルテート・エン・シーみたいなムードに。1曲の中にいろんな要素が入り込み過ぎか。このへん、難しいところで、R&Bの規範が絶対の人ならば、最初から最後までR&Bだろうけれど、僕達にはそういう規範がないので、作っている間にどんどんイメージが遠くに行ってしまうことがある。
今日もまたたくまにトラックが増えていって、コーラス・パートとボコーダー・パートですでに20トラックぐらいになってしまった。でも、ようやく半分ぐらいのところまで来たのだろうか?


11.18
午前中から原稿書き。毎年、この時期は話題のアルバムがどっと出るのだけれど、今年はあんまり、コレというのが見当たらない。ミックやポールやエルトンや、ベテランのは多いけれど。じゃあ、そういうアルバムをきちっとレヴューしてみようか、などと考える。
ところで、昨日、買ったオリンパスのデジカメがまたもや初期不良。取り替えに行く。しかし、前に買ったスキャナーも初期不良だったし、最近、初期不良多すぎ。僕が買う電気製品(つ〜か、ほとんどは音楽機材だが)は中古、それも二十年以上前のものが多かったりするので、あれこれトラブルにも見舞われるが、しかし、構造はシンプルなので修理すれば、また長期の使用に耐える。が、最近のハイテクな電気製品は2、3年もすれば時代遅れになることが分かっているので、耐久性など、そもそも考えていない。だから、スペック的な性能は良くても、基本パーツが安物。出荷時に検査もちゃんとされていないから、初期不良返品の山を築くのだろう。ビックカメラに行ったら、僕の前に別の客がデジカメの初期不良返品をしてもらっていた。
夕方より、スタジオで昨日の続き。コーラスばっかり録っては編集、録っては編集で、もう何がなんだか分からなくなってくる。あげく、イントロはフィーリングが違うかも、となって、また、振り出しに戻ってみたり。う〜む。