BEFORE GET IN SLEEP

10.14
寝坊。三日連続で走らず。すぐに自転車飛ばして、実家に。まあ、往復15キロ以上はあるからいいか。自由が丘から懐かしい奥沢や雪谷の街を抜け、南久が原に。母親と弟夫婦、小学校4年になる甥っ子に会う。寿司などつついて話す。母親も弟夫婦も年を追うごとに穏やかになっていくように感じられる。オレも少しはそうなのだろうか。家族との繋がりが薄いことを心のどこかで恥じてはいるものの、僕は相変わらず、自分の人生と格闘することで精一杯で、何もここに持ち帰ることが出来ないでいる。良い人達だなあ、という他人めいた感想を抱いてしまうことに、自分でも驚いたり、呆れたり。
奥沢神社にお参り、お願いごとしたり、さながら音楽フェスティヴァルの様相を呈している自由が丘商店街をふらついたりした後、一度、帰宅。夕方からスタジオに。朝日美穂レコーディング。今日はアップルズ黒田くんに書いてもらった曲のリズム録りの準備。といっても、朝日は相変わらずソファで歌詞と格闘中。時々、同意を求めつつ、ベーシックなパートをプロトゥールズにどんどん録っていく。BPMが変わったので、こないだ黒田くんに弾いてもらったベースをフレーズだけもらって、再びMIDIで打ち込み。メインのコード楽器は今まではエレピだったが、アコースティック・ギターに変えることにする。こういう16ビートの曲をアコギのストロークでやると、岡村ちゃんやスガシカオっぽくなりますね。アメリカにはあまりない、日本独自のファンク・フィーリングとも言えるかも。久しぶりにテイラーのギターで弾いてみるが、ワンテイクでまずまず弾けた。細かいミスはあるがグルーヴは出ている。たぶん、これ以上は僕には無理。チダにでも弾き直してもらおう。
スタジオの温度が上昇気味なのか、途中からマックのエラーが頻発。ホーンやストリングスのアレンジの詰めは後日することにして、今日は朝日に仮歌歌ってもらって終了。これもワンテイク。まあ、以前に比べると、彼女も僕も作業効率は多少上がっているような。三宿の蕎麦屋〜三茶のツタヤに寄って帰宅。眠い、眠い。

10.15
初心に戻って、ウォーキングのみ4キロ。さぼっていた間もなぜか体重減少していて、63キロジャスト。もうほぼ標準体重ですね。体脂肪率が知りたくなってきた。
ところで、この日記を定期的に読んでいる人は知っているかもしれませんが、僕には休暇というものがありません。結果として、今日は休んでしまった、ということはあっても。基本的に、毎日、何かしら生産的ではあろうとしている。
が、今日は何も出来ませんでした。ずっとずっと曲のイントロのアレンジを考えていたのだが、4小節、あるいは2小節でもいいかもしれないイントロが思いつかない。そうだ、こないだ買ったエレクトーンの教則用レコード(一時期、ヒップホッパーの間で話題になっていた方チャンネルがドラムのみのヤツ)の解説にイントロの作り方が書いてあったと思い出し、バンプ型イントロとか、解説通りに試してみるが、なマニュアル通りで出来るわけはないですな、グッと来るイントロが。
でも、思うに昨今はグッと来るイントロって少ないかもしれない。ベーシックなリズムを示すだけのイントロ(つまり、そのバンプ型)や、本編と無関係なSE的イントロは多いが、60年代の音楽にあったようなマジカルなイントロ、このイントロなしにこのヒット曲はなかったと思わすようなイントロはないように思うなあ。
なので、今日は終日、家にいたのだが、結果として、休んでいたのと同じ。フラストレーションたまりますね、こういう日は。最初から休みにしてしまえば良かったのに。

10.16
ウォーキングのみ6キロ。午前中より原稿書き。
午後、東芝EMIでPHATのジャケット・ミーティング。デザイナーの菅原さん、ヘアメイクの森川さん、ダイスケと僕。非常にクリエイティヴなミーティングだったのだが、いざ撮影のスケジュール調整したら、どうしてもスケジュールが合わない。結局、森川さんにはお願いできず、他の方を紹介してもらうことになってしまった。森川さんのチャレンジングなメイクをとても面白く、今日もワッと思うようなアイデアを出してもらったので、本当に残念。
東芝でもう1本、ミーティングの後、ダイスケと赤坂デリーでカレー。赤坂にもデリーが出来たの知らなかった。でも、ルーはここの店で作ってるのかな? レトルトと同じ味のような気も。コルマ・カレー、独特でおいしいけれどね。
品川のホテルでクマ原田さんとミーティング。たくさんのジョークを交えつつ、シリアスなこともいろいろ話す。プロデュースの手法について、レコーディングの環境作りについて、勉強になること多し。
夜はスタジオ。一足先に来ていたダイスケとともに、PHATのアルバム用の曲のエディットを少し。それから渋谷のバーでのジェフ・ミルズを囲むパーティーに。その種のパーティーですから、東京のテクノ・サークルの重要な顔ぶれが集まっていたのだと思われますが、僕もダイスケも知っている顔は少し。でも、SONAR FESTIVALの仕掛人の広石さんや野田務さんなどと話す。野田さんの話はいつも面白くて、野田さんは僕のことを先輩というのだが、全然、そんな気になれません。音楽シーンが盛り上がるには、良質なハイプというか、みんながより面白く音楽を聞けるような、ちょっとばかり新しい物の見方が必要とされることがある。ミュージシャンとリスナーで、今、音楽はこういう方向に向かっているんじゃないか? だったら、もっと面白くするためにこうしよう!というような。でも、そんな提案ができる評論家や雑誌編集者はきわめて希。野田さんは数少ないそのひとりだと思う。
ジェフ・ミルズにはPHATのアルバムのラフ・ミックス集を手渡す。ラフ・ミックスなのに手渡しちゃうオレ達。パーティーは12時過ぎて、人も増えて盛り上がってきたが、僕達は退席。三宿で蕎麦食べて帰る。

10.17
ジョギング4キロ。調子戻ってきました。時間があればもっと行けたな。
午後、ゼップ東京で東芝のコンベンション。高宮マキのライヴなどを観る。思いがけない人にもたくさん会う。楽屋に行って、あれこれ歓談の後、クマさんと山口泰と僕で来週のPHAT&高宮マキのセッションの打ち合わせ。といっても、僕と山口は出たとこ勝負のセッションを幾つとなく一緒にやってきた仲なので、マイクやモニターの算段などして、あとは現場のノリでってことに。
山口とトモちゃんの車に乗せてもらい、久しぶりの雑談などしつつ、中目黒まで戻る。スタジオ行って、ギターのチダと23日のセッションの打ち合わせ。僕がプリプロ用に弾いたアコギをとりあえず完コピしてもらう。彼は器用なので、さらっとこなす。
遅れてやってきた朝日と、同じ曲のイントロ作り。こないだから悩んでいたネタ。ホーン・リフかストリングスのメロディーか。往年のディスコ・ヒッツのそれを頭に描きつつ、あれやこれや何パターンも試す。まずまずのものは幾つかあるが、最後にそれまでと違う、後半に一ヶ所さけ出て来るコード進行をイントロに持ってくるのにトライ。アコギで弾いてみたら、なんだ、このアコギだけでイントロ良いかも。上にホーンなど乗せてはみるが、やっぱりアコギだけの方がカッコイイ。なので、あっけなくイントロも完成。
三茶に出てパスタ食べて、ツタヤ寄って帰宅。パタンキュー。

10.18
軽くウォーキング4キロ。午前中に原稿を1本書き上げて、午後は銀座で朝日新聞試聴室選考会議。今月はベテランの力作で埋まるラインナップ。電話で来週の高宮マキ・セッションの打ち合わせの続き。山中湖でのレコーディングなのだが、うちから相当の量の機材を運び出すことになりそう。
3時過ぎにスタジオに行って、今夜のイヴェント「喜々VOL.2」の準備。レコードの段ボール一箱、ギターはどうしようか迷って、ES125とストラトと両方持っていく。ジジむさくES125でやりたいが、ハウリングの嵐になりそうな予感もあったので。あとはヘッドフォン・モニターとミキサーとケーブル類と。しまったギターのエフェクターがない。サンズ・アンプやワウは自宅に。ディレイは・・・と思ったら、ボスのコンパクト・ディレイが壊れていた。仕方なく、LINE6のフィルターだけ持って出ることに。
ダイスケが車で迎えに来てくれたので、積みこんで渋谷に。でも、ちょっと早く着きすぎ。ディレイを買いに行くことにする。渋谷のヤマハでLIEN6のディレイを購入。今日のライヴはエフェクターはLINE6の2台だけってことに。
ほどなくMEMORY LAB ORCHESTRAの面々が集結。ダイスケ、YAMAUCHI、タイスケマツオ、ダイチャン(佐藤大輔 from SU)に僕。一度もリハーサルはしていません。とりあえず、セッティング。タイスケがラップトップとI/Oを持ちこんで、メンバーの音をライヴ・プロセッシングして出すということになっていたのだが、なかなか、簡単ではないようだ。過激なエフェクトでいきなり爆音が出てしまったり。僕はLINE6のマニュアルをパラパラするが、ほとんど把握できず。
なんとか全員の音が出て、サウンドチェックしただけで、リハの時間は終了。曲は1曲もやることできず。僕は幾つかネタを考えてはあったのだが、それも試せず。リハの後、ラジオの取材。インターFMのクラブ・キングの番組でMEMORY LABの特集をしてくれることになり、全員のコメントを収録。
みんなでパク森行って、カレー食べつつ、作戦会議。「曲はどうしよう?」「ひとり一曲づつモチーフを提示してやる?」などと話し合うも、最後は「じゃあ、完全フリーってことで」。このメンバーならフリーといっても、ただ混沌としたフリーにはならないだろうという読みはあるから、何が起こるかを楽しみにやることに。
9時にイヴェント・スタート。1時間ほど回すうちに、どんどんお客さんが増えていって、LOVADELICのライヴが始まる頃には超満員。クール&ザ・ギャングやバーケイズで煽りに煽ってLOVADELICに繋ぐ。LOVADELICは前回よりもはるかに勢いのあるライヴ。PAが歪み気味だったが、それもまた雰囲気だったりして。やっぱり二十代前半のエネルギーって凄いわ。
PHONESまでの間にまた短いDJ。PHONESは新曲をたくさんやったステージで、まだこなれていない曲もあるけれど、バンドらしい、良い意味での土臭さみたいのが加わってきたのが新鮮。DJのsasakidelic氏が到着したので、交替の準備。彼はCDのみのDJだったので、セッティングを組み替える。
リハの後、ダイスケとタイスケは僕のスタジオに行って、プログラムの組み替えなどをしてきたらしい。夜も更けて、終電を逃した人のために、MEMORY LAB ORCHESTRAの初めての、ひょっとすると最後でもあるかもしれないステージ。気がつくと、ダイスケと僕で何か演奏していて、気がつくと、リズム・セクションが走り始めていて。気がつくと、タイスケのエフェクトが宙を舞っていて、後は何をやっていたか、よく憶えていません。僕以外は楽器バカウマですから、どんどん行っちゃうわけですが、コード楽器は僕だけなので、ヴォイシングを作っていくことを楽しむ。フリー、インプロといっても、演奏そのものよりも、即興で作曲していくことを楽しむことを知っているメンバーなので、僕も一緒にやれるということもある。テクはお話にならないですから。
なるべくジャズ的ではないヴォイシング、13thだのフラット9thだのディミニッシュだのを極力使わないで、オープンなコード感でやることと、自分のルーツ的な部分、例えば、グレイトフル・デッド的なものだったりを出していくことは考えていたかもしれない。フジワラダイスケはどうしたってジャズメンなわけですが、今日のメンバーにはジャズはない。そういう中で彼のサックスを響かせるのは面白そうだったし。しかしまあ、キーすら決めないでセッションして、耳だけで面白い構造のところに持っていくメンバーの力、あと、初めてだというのに音で会話し始めた瞬間にすごく信頼感のある関係が生まれていたのにはビックリ。
PHATのケースケが観に来ていて、「PHATよりカッコイイ」と言ってたのが、なんだかおかしかった。たくさんの人から「ギター弾くの初めて見ました」「健太郎さんて、こういう人だったんだ、知らなかった」などと言われる。そうですね、ああいう状況の中では自分を出すしかないので、ああなります。残念ながら、テープは録っていなかったので、すべては目撃してくれた人達の記憶の中にしかないけれど。
ツー・ステージやって、さすがにフラフラ。初めてビールを飲む。アフターアワーズのsasakidelic氏の選曲がミニー・リパートンだったり、ア・トライヴ・コールド・クウェストだったり、アル・グリーンだったり、めっちゃ染みる選曲で酔いが回る。三十代はぱらぱらと散っていき、「打ち上げ行きましょう」の声に乗ったのは二十代前半ばかり。25歳のダイチャンが兄貴感を出しているような中に混じって、さらに飲む。ダイスケは帰ったので、明け方、ひとりでタクシーに大量の荷物乗せて、スタジオに。3階まで階段4往復。でも、楽しい一日でした。

10.19
さすがに走れず。昼頃、一度、起きたものの、ベッドに戻り、夕方までゴロゴロ。暗くなってからスタジオに行き、来週の高宮マキ・レコーディングの準備。それから、朝日美穂レコーディング。23日にレコーディングする曲のエレピをやりなおす。アコギのパートを決定したので、それとぶつからないように、まびいたヴォイシングで弾きなおすが、僕は鍵盤はほとんど弾けないので、何小節かやっては細かく手直し。また何小節かやっては・・・という根気の入る作業を繰り返す。12時頃にようやく終了。
続いて、ホーン・セクションをやる。ホーンを生で録るべきかどうか迷ったが、この曲はスリー・リズムを生で録る。生楽器が増えると情報量が飛躍的に増えて、ダイナミズムやニュアンスには富んでくるけれども、一方でトータルなデザインを保つことが難しくなり、ポップさに欠けてくることも多い。ホーンはシンプルなリフの繰り返しで、現状でも良いグルーヴが出ている。イーミューのプリセットの音色がかえってチャーミング。なので、このままプロ・トゥールズに録っていくことにする。グリッサンドのニュアンスが要るトロンボーンのパートやちょっと不協なバリトン・サックスのパートなどを個別に味付け。気がつくと、朝の5時。今日も割増無しのタクシーで帰宅でした。

10.20
今日も走れず。10時に母親の電話で叩き起こされ、そのまま都立大学まで歩いて出て、彼女に会う。眠かったが、なんとなく、その足でスタジオに向かう。昨日の作業の確認して、CD-R焼いたり、なんだかんだ。あしたから山中湖に持っていく、たくさんの機材の搬出準備も。
雨があがった隙に、自由が丘に出て、ちょっと買い物。一度、帰宅。それから吉祥寺に。MANDA-LA2でさかなのライヴ。共演のONIKI YUJIさんに勝井さんが客演。ここで勝井さんのヴァイオリンを聞くのは懐かしい。その後、さかなを観ながら、勝井さんとちょっと話す。不思議な感覚。物販の準備していたので、最後のセッションは観れなかったけれど。
鈴木くん、西脇くんとちょっとお喋り。もう少し居たかったけれど、POCOPENにフジワラダイスケ・ソロのCD-Rを手渡して帰る。下北沢で深夜、朝日と23日のレコーディングのためのミーティング。新曲のMDをもらう。帰って、原稿を1本。あすも朝は早いぞ。