10.01 昨夜の大きな買い物に気もそぞろ。あれこれ雑用を済ませた後、夕方からスタジオに。PHATのミックスの続き。あまりはかどらず。夜、yamauchiのヴィデオ・クリップ制作チームの野原くん、志水くんとミーティング。さらにフレパイ瀬川くんとミーティング。瀬川くんからDVDドライヴをもらう。瀬川くんに昨夜の買い物について話すが、ふ〜んという反応。んなもんかあ。
10.02もろもろの遅れを戻すべく、今日も朝からやらなきゃいけないことリストと格闘。宅急便屋や郵便局、銀行など駆け回る。夕方、六本木の某ケーブルTV局(奥の方)でミーティング。好感触。
それから日本武道館でレディオヘッド。ダウナーな空気に支配された二時間。時折やってくる爆発も天井を突き抜けはしない。変拍子が多用されるので、何度も手で数えてしまった。バンド自体は数年前に観た時からさして垢抜けてもいなかった。が、形態的にはロック・バンドでありながら、何かまったく違う種類のパフォーマンスにも思えてくるのは、トム・ヨーク個人のインナートリップの、ド〜ンと奈落に落ちていきそうなくらいのディープさゆえか。こういう音楽で、ここまでの人気を獲得するというのは、率直に凄いことだと思う。
渋谷に出て、ちょっとレコ屋でも見てから、ひとりでメシ食おうと思っていたら、岡村詩野とバッタリ。彼女はAXでスーパーチャンク観た帰り。違うコンサートに行ったのに、こんなところで会うなんて、縁がないわけでもないんだねえ、とメシに誘うが、お腹空いてないということで、知り合いのバーに。ふたりでワイン飲んで、アレコレアレコレアレコレ話す。三十女と四十男の会話ですからね、ま、いろいろっす。
10.03深沢のスタジオでPHATのレコーディング。今日はフォーカスライトのコンソールのあるプロ・スタジオ。エンジニアはフリーボなどのエンジニアで知られる土井さん。アップルズのライヴ後の打ち上げで何度かお酒飲んだことはあるのだが、仕事するのは僕も初めて。もちろん、メンバーも初めて。
今日は「FOOD」と「FF」という2曲を録る。ゲスト・パーカッションのコースケを含めて、4人でせ〜の。同じルームで演奏しているので、後で直しもできない。が、プロ・トゥールズ編集を前提としたレコーディングが続いたので、あえて、そういうクラシックなジャズ・スタイルでのレコーディングもしてみることにしたのだ。土井さんはジャム・バンド好きなので、一緒にやってみるのも面白そうだったし。
夕飯までにOKテイクを取り終えて、そのまま土井さんにミックスしてもらう。録りの段階で場の空気感を生かす形での録りを心がけたので、ミックスでもEQやエフェクトは最小限。当然ながら、いつもプラグインを限界まで使っちゃう僕のプロ・トゥールズ・ミックスとはまったく肌合いが違う仕上がりに。でも、2曲ともカッコイイ。
「FOOD」はSUBAのアルバムを思い出したりもするクールなジャズ・ファンクに。「FF」は昨日のレディオヘッドを思い出すようなダークでアグレッシヴな曲に。普段、サックスの入っている音楽なんて聞かないロック・ファンががんがんにヘッド・バンギングしながら聞いてもおかしくないような曲になった。夜中の2時過ぎに終了。帰宅後はベッド直行で爆睡。ぐお〜。
10.04早起きして、「SEA OF MEMORY」のフライヤーのデザイン。今日はリキッドルームでさかなの出演するイヴェントがあるので、急遽、作らねばならないのを思い出した。
三軒茶屋で雑用を済ませ、渋谷のキンコーズに行って、600枚ほど作った後、リキッド・ルームに。さかな+フリーボ・リズム・セクションのリハーサルを見届ける。いやあ、面白いわ、コレ。まさに下半分フリーボ、上半分さかなのバンド・サウンド。思えば、ベースの入ったさかなを見るのも初めてだし。
楽屋でみんなとお喋り。西脇にでっかい買い物の件を話したら、「エッ! あのシカゴのですか?」「そうそう」ってことで、初めて何を買ったか分かって反応してくれる人に会う。めちゃめちゃ羨ましがってもらったので満足!
一度、リキッドを離れ、銀行行って、JASRACで著作権申請して、表参道で物の受け渡しなどして、リキッドに戻ると、ちょうど開演時間。トップバッターのダウニーがギター・アンサンブルといい、リズム・セクションといい、めちゃめちゃカッコイイ。テレヴィジョンとポーティスヘッドが合体したみたいな音楽。しかも、CD聞いているような演奏力。またじっくり観たいバンドだった。
二番目はロレッタ・セコハン。以前、PHATとの共演したのでスタッフも含め、顔見知り。続いて、さかな。フリーボ石垣くん、なおちゃん、田中亜矢さんなども観戦に来ていた。エノキくんのイケイケのベースがカッコイイ。広瀬くんのどしっとしたキックもめちゃめちゃ気持ち良い。POCOPENがちょ〜ゴキゲンなのも分かる。でも、僕と石垣くんが終わってすぐ口にしたのは「鈴木くんの凄さが分かった」ってことだったりもした。
さかなの後はクラムボン、先週も観たナタリー・ワイズ、そして、イヴェント企画者でもある浜崎貴志。朝日やHARCOの青木くんやいろいろ顔見知りが楽屋に増えていく。クラムボン郁子ちゃんとちょっと深い話。郁子ちゃんと仲の良い坂本美雨さんを紹介してもらう。終演後、軽い打ち上げに参加。でも、あすも早いので、タクシーで帰宅。眠いよ〜、もう。
10.05飛び起きて、スーツ着て、赤坂ブリッツへ。今日は東芝EMIの大きな業界コンベンションにPHATが出演する日。昨夜、会場でのリハーサルは済ませてあったので、メンバーはまるっきり落ち着いている。PHATの前に中国の二胡奏者、チェン・ミンが演奏。素晴らしい音色に唸る。
PHATは15分ほど演奏。「MOON」とエディ・ハリスのカヴァー「FREEDOM JAZZ DANCE」。まったりしていた客席でいきなり身を乗り出した人達多数。自信に溢れた見事な演奏ぶりだった。PAもブリッツとは思えないくらい良くて、音の太さ、グルーヴの加速感はかなり印象づけられたのではないだろうか。やっぱり、こういう場所では、本物の演奏力を持ったバンドというのは強いな。
コンベンションではその後、スターセイラーが演奏。バンドは並だが、ヴォーカルのちょっとボノや初期デヴィッド・ボウイに似たぬめっとした太さは強烈な印象を残す。イギリス独特の嫌味なくらいに上手いロック歌手だ。たぶん、彼は大きくなるだろう。
近所のレストランで東芝のPHATの宣伝スタッフと軽くミーティング。会場に戻ると、ラッキーなことに、ちょうど畠山美由紀さんのライヴの時間。これがもう、息が止まるくらいに素晴らしかった。たった2曲だけだったけれど、歌声の美しさ、こぼれ出る情感の豊かさに打ちのめされてしまった。
僕が畠山さんを初めて観たのは6、7年前、まだポート・オブ・ノーツのレコードも出ていない頃、下北沢のスリッツでダブル・フェイマスを観た時だった。何語だか分からない言葉で歌っていた彼女の声の太さにびっくりして、その頃、レコーディングしていたチエコ・ビューティーのアルバムにコーラスで参加してもらった。でも、こんな凄いソロ・アーティストになるなんて・・・ともかく、物凄く感動してしまった。真の意味でオーセンティックな、音楽本来の良さを持った音楽。彼女のソロは絶対に成功すると思う。
楽屋に行って、ちょっと挨拶。ベースは当然ながら鈴木正人くんだったので、「SEA OF MEMORY」のサンプル盤を渡す。あんな歌を歌った後なのに、畠山さんはいつも通り、男っぽい感じの話しっぷりでガクッ。
渋谷に出て、久しぶりにレコード・ハンティング。DMRでゴソッと買う。タワーではヴィンセント・ギャロほかのCDを少し。それからエッグサイトでアップルズのライヴ観戦。「はらいせ」というなかじ〜がスリー・フィンガーで弾くギターだけで歌った曲が新鮮だった。でも、ちょっと短い曲だったな。あのまま、分散和音をいろいろ重ねたインスト・パートを作って行ったら、シカゴの連中がやっているようなスケール大きい曲になりそう。
エッグサイトを出たら、朝日から電話。彼女は青山でくるりとミーティングしてきた帰りで、ちょうど渋谷にいるという。なので、駅近くで会って、岡村トリビュートの進行状況について、軽くミーティング。物凄いアルバムになるのが、現実として見えてきた。しかしまあ、いろいろあった一日。疲れた〜。
10.06このところ自転車日和。毎日、乗っていると、確実に体調が良くなったのが分かる。身体が軽く、切れがある感じがする。8〜9月の体調不良は忙しかったこともあったけれど、自転車が盗まれて以来、タクシーばかり乗っていて、運動不足だったのが大きかったかも。
今日も公園をひとめぐりして、ピキヌーでカレー食べてから、スタジオに。午後から朝日とニーネの大塚くんがやってきて、3人で岡村トリビュート用のニーネの曲のミックス。曲は「ラヴ・タンバリン」。大塚くんのコルグD16からプロトゥールズにマルチを取りこみ、あれこれ試行錯誤しながらやってみる。思えば、ギターの入ったロックンロールって、アップルズ以来、やっていなかったなあ。
大塚くんの作ったラフ・ミックスがすでに良い感じなので、トリートメントを凝らしすぎて、疾走感がなくなってしまわないように気をつける。少し全体の重心を下げつつ、歌がポップに聞こえることを心がけたミックス。かなり良い仕上がりアルバム中でも目立つ1曲になるはず。大塚くんも気に入ってくれたみたいで何より。
岡村トリビュートはHARCOの「ターザン・ボーイ」も完成。朝日がDATをもらってきたので3人で聞いてみたら、これがまた予想以上に素晴らしい。柔軟なアレンジ・センス、カラフルな音色感覚ともにいかにもHARCO。岡村オリジナルよりポップ。これはホント、凄いコンピになるなあ。
勢いが出てきたので、先日、レコーディングした露崎春女さんの「ライオン・ハート」のミックスのやりなおしもする。プロトゥールズにマルチを取りこみ。フェーダーをゼロに並べただけで、こないだのミックスがほぼ再現される状態になっていたので、そこから各トラックの質感をさらに作り込んでいく。ライン録りだったオルガンに空気感を与えたり、ヴォーカルの耳にきついところを波形編集も駆使して、丁重に取り除き、NEVEのEQとUREIのコンプで滑らかさや温かみを微妙に加えてみた。ピアノの重心を下げて、ゴスペル・フィーリングを強調。パッと聞き、大きな変化はないようでいて、全体のグルーヴ感や歌心が確実にアップしたミックスになった。しかし、名曲。しかも、名演。
なわけで、一日でまったく違うサウンドの2曲をミックス。手際よく出来たので満足。比較的、早めに帰宅。ヴィンセント・ギャロの歌にはまる。
10.07昼はyamauchiの「樹海」の一部やりなおし。マスタリング&オーサリングをふたりで試みるが、デジタル・コピーの問題にぶつかり、苦闘。プロ・トゥールズにバウンス・ファイルを作らせた時、いかに音が劣化するかがよく分かった。リミットぎいぎりまでレベルの入ったマスターファイルをすべてスルーでバウンスすると、波形上はまったく同じファイルができるのだが、明らかに音の立ち上がりが違う。に加えて、驚くことにメーターの振れも違うのに気づいた。オリジナルで赤がつくところでバウンス・ファイルはつかない。が、うちのプロ・トゥールズはヴァージョンがまだ5.01なので、ステレオ・ファイルを作るにはバウンスしなければ駄目。早く5.1にしないと駄目なのは痛感する。結果が良くなかったので、火曜日にプレス会社と相談しつつ、もう一度、対策協議することに。しかし、このプロジェクトは時間かかるな。
夕方からはひとりでPHATの「VENESIAN DANCE」という曲のミックス。音像のイメージはあるのだが、なかなか到達できない。録り音の問題か。アコースティックな感触を失わず、クラブなどでかかってもパワフルなリズムを作るのは難しい。数時間やって、ようやく形に。が、11分もある曲なの全体のストーリーはもうひとつ。大胆な抜きのミックスが必要かもしれない。
夜中に自転車で帰宅。アフガニスタンへの攻撃が始まったのを知る。が、テレビを観る気にはなれなかった。すごく空しい気持ち。