BEFORE GET IN SLEEP

09.09
ちょっと体調が落ちてきた。公園に出た瞬間に足が進まないので如実に分かる。ジョギングは無理と判断して、ウォーキング2キロだけにする。ものの本によれば、筋トレも毎日してはいけないらしい。ちょっと調子に乗ってやり過ぎていたきらいが。
家でぐずぐずと原稿。というか、ほとんどインタヴューの行数を削っているだけの作業。が、フジワラダイスケから例によって急な呼び出し。あす、PHATのリハがあるので、作ったトラックをCDにして・・・・ハイハイってことで、急遽、スタジオ行って作業。しょうがないでしょう、B型の血液には予定を急変させる成分が含まれているので。終了後、ふたりでピキヌー行ってカレー。
ところで、バッドニュース! 東芝EMIが10月から国内制作の音源に関しては全面的にCCCDにすることに。10月ってさあ、もう来月じゃん。PHATは洋楽主体のジャズ・レーベルにいるので、当面、大丈夫だと思っていたのだが、このまま行くと、ブルーノート初のCCCDという名誉を授かることになってしまう。
CCCDに関するダイスケの意見はほぼ、僕のそれと一致している。ある時、PHATのCDを手売りしていたら、買おうとしてるコに横の友達が「オレ、それアールで持っているよ」と言ったために、買わなくなったことがあったそう。そんな経験があれば、ミュージシャンの側にはコピー・コントロールのひとつもしてやろう、と思う気持ちが起こらないわけはない。PHATみたいな、音以外でアピールする部分の少ない音楽はアールでも十分、と思われがちだし、リスナーの層もパソコンを持っている年代が多いだろうという分析もある。
でも、音が悪くなるのは絶対的にイヤだ。何のために頑張ってミックスして、マスタリングするのか。CCCDにすることによる音質劣化に対して、エンドユーザーは元音を知り得ないことを盾に、「屁の河童」とする吉田美奈子さんや「気にする人はパラノイア」とするテイトーワくんの発言には、僕は違和感がある。作品の質を守るためなら、何がなんでも闘いたい、というのがダイスケとの共通の認識。
しかし、東芝EMIの全社的な決定に対して、PHATのような弱小なアーティストが抵抗する術はない。契約破棄する以外は。もちろん、それは彼らのキャリアにとって致命的なダメージを与えることになる。さて、プロデューサーである僕はどうすべきだろうか? とりあえず、リサーチせねばならないことが沢山。この件はまたあらためて。

09.10
今日はジョギング2キロ。低気圧のせいか、息があがる。午前中に原稿を送り、午後はなんだかボーッとしていた。CDも聞かずに。夕方、自由が丘でウィンドウ・ショッピング。知らないうちにインテリア・ショップが増えていて、素敵なものをいろいろ見つけるが、買うには至らず。夜、駒沢大学でタイスケマツオとミーティング。結構、長時間に渡って話す。10月に面白いライヴをやる計画が浮かぶ。メモリー・ラヴ・オーケストラみたなものになるかも。
CCCDの件について、少しづつ調査。現時点で僕がやるべきことは、東芝EMIからPHATの次作を出すにあたって、CCCDでのリリースを回避できるかどうか探ること。回避できないとなった場合、最大限、音質的な不満を残さないCCCDを作るにはどうしたらいいか探ること。おおまかにいえば、この二点になる。
前者に関しては契約上の問題や政治的な問題を孕むし、守秘義務に触れることもあるから、ここで明かせないことも多い。しかしながら、10月以後は国内制作の全作品がCCCDという決定が下されてしまったわけだから、取るに足らないセールスしか上げていない、いち新人バンドがその例外を作り出すなんてことが不可能に近いのは明らかだろう。それでも可能性は探る。そして、逆転の秘策は・・・まあ、それは結果を見てもらうしかない。
後者に関しては、たくさんのリサーチが必要だ。同じマスタリングが施されたソースを通常のCDとCCCDで聞き比べた経験を僕もまだ持っていない。まずは、これをすることが絶対的に必要だ。その上で、音の良いCCCDを作るにはどうしたらいいかを考えねばならない。CCCD用のマスタリングをやったことのあるマスタリング・エンジニアからもヒアリングしたい。それから工場での製造工程についても技術的な説明が欲しい。プレスマスターが作られるまでの工程によっては、マスター納品の方法も変わってくるからだ。東芝EMIのスタッフにはすでにそのためのリクエストを出した。
しかし、与えられた時間はあまりに少ない。アーティストとファンの双方にとって最善の結果が導き出せるかどうか。やれるだけのことをやるしかないですが。

09.11
9月11日だ。今日の一大事は・・・PE'Zの「9月の空」の発売日だということ。冗談で言っているわけではないよ。このアルバムを僕は聞かねばならないのだ、何をおいても。
というのも、このアルバムには「AKATSUKI」と「SPIRIT」の2曲が入っている。この2曲は4月に出たマキシ・シングルにも入っていた。マスターは同一だろう。マスタリング・エンジニアはスターリング・サウンドのクリス・アセンズ。トム・コインの一番弟子。豪華だなあ。だが、マキシは通常のCDで、アルバムはCCCDなのだ。
断っておくが、以下はPE'Zの音楽を貶めるために書くわけではない。昨日、書いた命題「同じマスタリングが施されたソースを通常のCDとCCCDで聞き比べ」する機会を最初に与えてくれたのが、PE'Zのアルバムだったというだけだ。
最初はソニーのMDラジカセ、ZS-M5で聞いてみた。「AKATSUKI」は一聴して、ホーンの音色が違う。CDにあった金管の輝きがCCCDでは鈍る。ドラムはやや歪みっぽく、タイトさに欠けて聞こえる。一枚、膜が張ったような、とCCCDの音を表現していた人がいたが、全体としては、まさにそんな感じ。しかし、曲として聞けば、こういうローファイなミックスもヤニ臭い感じでアリ、と思えなくもない。
続いて、「SPIRIT」。これはイントロのハイハットを聞いただけで違いが明らかだった。生楽器らしい響きが消えて、サンプラー(それもAKAI S1100あたりの)に通したようなハイハットの音になっている。これはマズイよ。何がマズイって、これだけの違いをないことにするのはマズイ。異なったサンプラーにソースを通して音の質感をコントロールする手法のパイオニアだったテイトーワのような人が「民生機レヴェルのオーディオでは全く問題なし。プロ機でも判る人は少ない筈」と言ってのけるなんて。エンドユーザーはどうせマスターの音を知らないのだから、とタカをくくった発言にしか思えない。
メインのオーディオ・セットではどのくらい違うか、さらに聞いてみた。CDプレイヤーはTEACのVRDS25XS、アンプがLUXMANのL-560で、スピーカーはFOCALとDYNAUDIOのユニットを使った自作。が、印象は思いのほか、違わなかった。ラジカセで聞いても歴然とした差があったから、すでに驚きはなかったとも言える。あと、PE'Zの音楽に関していえば、そもそもがさしてハイファイではない。ワイドレンジでもステレオ感の広いミックスでもないので、オーディオによる印象の差は出にくい音楽だろう。が、これがもっとアコースティックで透明感のある音楽だったらどうか? あるいは、リヴァーブやディレイやステレオ・エフェクトを多用したミックスの凝らされた音楽だったらどうか?
午後、滝瀬さんに電話して、話を聞く。滝瀬さんがマスタリングした作品も幾つかCCCDになっているが、結果はとんでもない、と言う。「何のためにマスタリングするのか、仕事する意味がない」とも。僕はCCCDに一定の音質傾向があるなら、それに合わせたマスタリングができるのではないか、と思っていたのだが、滝瀬さんの判断では現状ではそれも難しいということ。エラー補正のメカニズムはハードによって違うだろうから、どのハードでも同じような音の変わり方をするかどうかは分からない。また、ソースによっても音の変わり方は違うので、単純にこの周波数をEQで上げておけばいい、という程度のことでは対処できない。変に先回りした音作りをすると、もっと間違った結果になりかねない、ということだった。
話はかなり長時間に及んだのだが、話せば話すほど八方塞がりな状況が分かってきて、ふたりで暗〜くなる。これまで努力してきたことは何だったのか? 少しでも良いマスターを作るために、ケーブルがどうだ、クロックがどうだ、電源がどうだ、とやってきたのが水の泡。何百万円もする超高精度のADコンバーターを使ったって、ランダムにエラーを書き加えられてしまうわけで、工場からCCCDになって戻ってくるまで、どういう音になるのか、誰も分からないのだ。
しかし、それでも手をこまねいているわけにはいかない。PE'S以外のサンプルも必要だ。出来る限りの情報交換することを約束。
夜、渋谷でビクターのA&Rとミーティング。本題とは関係なかったが、やはり、CCCDの話に。ビクターもCCCDの発売に踏みきるらしい。オーディオ・メーカーがバックグラウンドにあり、最高のマスタリング・スタジオを持ち、CDプレスの質などにもこだわってきたビクターがやるなんて、何と矛盾した愚行だろう。自殺行為にも等しい。小鉄さんはCCCDのマスタリングなど引き受けないのではないか。

09.12
昨日、書いてしまったビクターがCCCDを発売するというネタは、まだ社外秘だったようだ。しかし、もう書いてしまったのだから仕方がない。ただし、この件に関しては、もうひとつ、社外秘を掴んでしまった。昨日はビクターを非難してしまったが、その訂正の意味もあって、さらにリークしてまう・・・というのは、ビクターのCCCDはカクタス・デジタル・シールドではないらしい!
その詳細については何も知らない。が、ビクターは日本のレコード会社の中でも最も音質にこだわってきたメーカーだ。世界的にも見ても、オーディオ・メーカーとしての技術的バックグラウンドを生かして、マスタリング〜CDプレスに心血を注いでいるビクターのようなレコード会社は数少ないと思う。K2のような独自技術を開発してきた実績もある。となれば、CDSのような粗悪なコピー・プロテクトとは違うものを出してくれるのではないか、という期待は募る。
そして、もし音質を損なわない、事故の可能性も少ない方式のプロテクトが可能になったのだとしたら、コピー・プロテクトに反対する理由はない、というのが僕の立場だ。する、しないはアーティストとレーベルの意志次第。それでいい。
レコードが売れない大きな理由のひとつはコピーの氾濫だという論にも僕は賛成しないし、いや、コピーの交換で音楽文化はむしろ活性されるのだという論にも僕は賛成しない。だって、所詮、どちらも推論でしょ。そう思う人もいれば、思わない人もいる。議論したところで堂々巡り。たぶん、プロテクトをして売り上げが伸びる音楽もあれば、落ちる音楽もあり、ネットで無料配信をして、それが有益なプロモーションになるアーティストもいれば、ならないアーティストもいる。音楽業界にいる人なら誰でも感じているように、マーケットの構造というのはそんな単純なものじゃないのだ。
一方で、推論じゃない事実としてあるのは、コピーの交換が現実に行われていて、不法なコピーで音楽を聞いている人達はアーティストにお金を支払っていないということ。だから、不法コピーのアールが1枚だって減るなら、うちのレーベルはコピー・プロテクトをするかもしれない。小鉄さんが音質に関して太鼓判を押してくれるようなCCCDだったら、マジにプレスをビクターに変えてやるかも。
ところで、エーヴェックスの心あるA&Rは、作品をCD EXTRAにすることでCCCD化されることを回避しているという情報をキャッチ。なるほど、パソコンに入れて読ますことを前提のCD EXTRAをCCCDには出来ないということか。東芝EMIでもこの手が通ずるかどうか、探りを入れてみる。結果は・・・結果として分かりますので、見ていてください。

09.13
今週は気がついたら、CCCD日誌となっていますね。書いていなかったが、ダンベル・ウォーキング2キロ、ジョギング2キロ、筋トレはずっと続いております。驚くのはともかくお肌に良いことで、何年か前から右のくるぶしに皮膚がガサガサになってしまった箇所があって、どうしても治らなかったのが、走っているだけでそこまでツルツルしてきてしまった。いや不思議。
PHATのマキシ・シングル制作の一方では、新川くんのアルバムの最後の詰めとプロモーション準備、朝日美穂の次のマキシのプリプロと26日のライヴの準備、さかなのトリビュート・アルバムの制作進行、15日のイヴェント「喜々」の準備などなどがモザイク上に日々のスケジュールを埋めている日々。さらには、マーブルトロンからブラウニーのアルバムのマスタリング頼まれたり、バッドニュースからとあるアルバムの企画制作進行を任されそうだったり、今はまだ書けない来年、メジャーでやりそうなプロジェクトのミーティングが続いたり。まだライターとしての僕を拾う人もいて、ぴあが作る新雑誌でレギュラーで書くことにもなりそうだったり、なんだかんだなんだかんだ。このへんが全部、現実の仕事として廻りだしたら、毎朝走るなんてことが続けられるかどうか・・・まず無理だろうなあ。
でも、今の気分としては完全にトレーニング中心の生活。カッコから入って、とりあえず、短期間でもいいから凝ってみる僕としては、「ターザン」読んで、アニエスBのウィンドブレーカー買ったりしちゃう、自分でも笑うぐらいの健康オタクなヤッピー(死語?)を気取っております。しかし、肝心の体重は変わらん。食生活はといえば、例えば今日は12時頃に家でヨーグルトとシリアル。7時頃に祐天寺「おおむら」でネギ天せいろ。深夜、昼に東急フードショーのキヨズ・キッチンで買ったヴェジタリアンなお総菜とピタパンで軽くワイン2杯てなもんなんだけど、もともと吸収効率抜群の身体のせいか、まだ2キロも落とせない。3カ月で身長170センチの標準体重62キロに戻すのが目標だったのだが、まだまだあと3キロてのは、ちょっと気が遠くなる道のり。
でも、一番の問題は体重なのだ。物書きにしても、レコーディングの仕事にしても、密室に長時間座っていることになるので、僕ぐらいの年齢になると(というか30代ですでにだな)、みんなでっぷりでっぷりしてくる。出不精になって、ライヴに行くことも少なくなり、クラブで朝までなんてとんでもなくなる。オレはヤだもんね、そんなの。まだまだ遊びたい。遊べるだけの身体が欲しいのよ。
そういう意味じゃ、楽しみなのは15日のイヴェント「喜々」VOL.1。踊りたい人、騒ぎたい人だけが来てください。PHONESもLOVADELICも強力なバンドなので、まだ争奪戦に参加していないメジャー・レーベルのA&Rの方も来た方がいいかも。

09.14
気温がぐっと下がった。ダンベル・ウォーキング2キロではほとんど汗も書かないので、今日はその後、ジョギング4キロに挑む。アップルズ黒田くんなんかはよく「今日は軽く6キロ」と書くけれどさ、僕にとっては6週間目の初挑戦。ところが、これが面白かった。というのは、最後の1週に差しかかろうとしたら、後ろから金髪の女の子が追い抜いていった。ん、と思った瞬間、ドドッ〜と金髪の女の子の大群がやってきて、僕をけちらさんばかりに。どっかのアメリカン・スクールが駒沢公園で競技会をやっているようで、アジア系の黒髪の子やドレッドの黒人の子なども混じっているのだが、ともかく、あんなに沢山のナチュラル・ブロンドの女の子を見たのは生まれて初めて。数十人が追い抜いていったかな。
ペースを上げて着いていくなんてことは、もちろん、出来ません。が、全員に追い抜かれたかというと、そんなことはなくて、気がつくと、僕と同じくらいのペースの子達が前後に数人。マラソンでは有力選手にペースを上げさせるために区間、区間で並走するランナーを付けて、それを「ラビット」と呼ぶらしいが、まさに僕の目の前にも兎がいるようなもので、ラスト一周はアッという間でした。女子高生の最後尾集団と同じくらいのペースでは走れるってのは悪くないな〜・・・てなわけで、めでたく6キロはクリアー。あしたから連日行けるかな?
スタジオ行って、今日は朝日美穂レコーディング。といっても、ひとりで作業。仮題「ゴロワーズ」のアレンジを考える。この曲、7/21の日記に書いた、僕が夢の中から持ち帰ってきた曲。だから、僕の作曲ということになるのかもしれないが、でも、自分でギターを弾いて、こういう曲を作ることがあるかと言えば、絶対にないだろう。メロディーはともかく、基本のリズムが僕の身体にない感じがする。だから、ギターのストロークすらも難しい。
完成形のイメージは頭の中にあって、曲調的にはブラジリアンな感じだけれども、絶対にクラブ的なアプローチではやりたくない。今や、クラブ的イコール保守的ってことだから。こないだ出たメアリー・J・ブライジのリミックス集などは顕著な例だったけれど、昨今のR&Bはオリジナルの方が奇抜だったり過激だったりで、リミックスになるとフロア・ライクという名のコンサバなものになっていたりする。まるっきり予定調和。だから、クラブっぽいよりは、ロドニー・ジャーキンスやネプチューンズやシェイクスピアやスイス・ビーツなんかがやっているプログレなR&Bに近い感覚で、ブラジリアン・テイストの曲を作ってみたいのだ。
思えば、ここんとこ、あんまりヘンなことはやっていなかった。「THRILL MARCH」の頃は今思えば、めっちゃプログレ〜エクスペリメンタル〜アブストラクトで、それは日々、聞いている音楽の影響だったり、その頃の気分だったりしたわけだけれど、最近はそれを封印してきた。「HOLIDAY」では一切、難解なことはやらなかったし。でも、この曲は今までやったことのないことが出来そう。出来そうなんだけれど、実際、形にするのは大変なわけで、結局、今日はあれこれCD聞いて、リズム・アレンジのヒント得たり、サンプル・ネタ探したり、シンセの音色作ったりで終わる。
今日はCCCDの話題はないです。あ、BBSの方にちょっと書いたけれど。これから、あしたのイヴェントのための選曲して寝ます。

09.14 その2
一度、寝て起きましたが、気がついたら、今週の日誌はあちこちで反響、というよりは動揺を引き起こしているみたいだ(ビクターさんには社外秘洩らしてゴメンナサイ。東芝の国内制作全作品CCCD化の件もまだ公にはされていなかったようだが、でも、これは内密とは言われていなかったです。それに、10月からだからすぐに分かることですね)。なので、やっぱりCCCDの話。ひとつだけ。
今日、エーヴェックスからスケッチショウの製品盤サンプルが来ていた。CD-EXTRAにすることで、めでたくCCCD化を回避。テイくんやスカパラの面々は「その手があったのなら」と歯斬りしていることだろう。アレ? 気にする人はパラノイアだったっけ。
しかし、CD-EXTRAって、実は音悪いんだよね。普通のCDよりは。前にも書いたように、エンハンスドCD(CD-EXTRAもこの一種)を作る場合は、マスタリングの後に画像データなどとオーディオ・データをコンバインするオーサリングの作業が必要になる。だから、普通のCDに比べると、一世代後の音。なおかつ、このオーサリングの作業は工場で行われる。つまり、プレスマスターの前段階の、オーサリングされた本チャンのマスターは、エンジニアやアーティストの手の届かないところで作られるわけだ。マスタリング・スタジオでオーサリングまでやって、CD-Rマスターで工場に送る方法を取れば、マスターと製品の差は少なくなるはずだが、それに対応できるマスタリング・スタジオは少ないだろう。日本にはあるかどうか。
だから、僕などはCD-EXTRAにも必要ないならしたくないのだ、本当は。CD-RマスターはUマチックに比べて音細いし、工場から返ってくるまで、マスターと製品とどのくらい違ってしまうか、分からないというのもイヤだ。そもそも、CDってメディアは音の容れ物としても良質とは言い難いのだから、そこにアレやコレや他のものを入れようとするのは良くないのよ。
でもって、CCCDの場合は、これもエンハンスドCDの一種であり、CD-EXTRAと同じように、上記の理由に起因する音質劣化は免れない。免れない上に、エラーを書き込んだことによる音質劣化が上塗りされるわけだ。
だったらもう、CDなんてメディアをやめて次に行こうよ、DVDのプレイヤーは結構、売れているみたいだし。DVDオーディオでいいじゃん。最初からプロテクトも考えてあるメディアなんだから・・・と思うが、現状ではこれも上手く行きそうにない。だって、DVDオーディオが本当にCDよりも音が良いんだったら、ハイエンドなオーディオ・ファンはとっくにCDに見切り付けて、DVDオーディオに行っているはずでしょう。理屈から言えば、24BIT、96Kサンプリングなんだから、絶対に音は良いはず。が、ハードとしてはそれを実現していても、DVDというメディアがそれに応えられるかというと、実はソフトの製造面において問題を抱えているらしい。同じプレスマスターから製造した1枚目と100枚目がすでに音が違うとか。
SACDはそういう問題はないようだが、こっちは普及が難しそうだ。ソニーが今後、全タイトルSACD化とかすれば、SACDプレイヤー買う人も増えるかもしれないが、青息吐息のソニーのソフト部門にそんなことが出来るだけのパワーはない。そう考えると、次世代メディアなんてものにも当分は期待薄。どうなっちゃうんだろうなあ、音楽は、そんな明日なき状況の中で。うさばらしに今日はアナログだけ回します。渋谷SOUP(道玄坂、ラーメン屋「でび」の上)で8時から。遊びに来てね。

09.15
低気圧だと、走る意欲が失せる。駒沢公園には出たものの、ダラダラと半周歩いて嫌になり、そのままイタリアン・レストランへ。スープにサラダにパスタのランチ。ま、世の中、連休なんだからさ。無理しない、無理しない。
と思ったが、家に戻ってから、罪悪感にさいなまれ、4時頃からやっぱり走ることにする。小雨模様だったが、ジョギング4キロ。筋トレもたっぷり。
アナログ盤を数十枚抱えて、渋谷SOUPへ。着くと、LOVADELICのリハーサル中。PHONESのメンバーも揃っている。が、ここで問題に気づく。ターンテーブルの設置場所がない! SOUPはかなり狭い店だが、今日は両バンドともまずまずの動員が確定しているので、フロアにDJブースを作るのは無理。なので、急遽、DJは常設のCDJだけでやることにする。アナログだけ回すって書いたのにゴメンナサイ! SASAKIDELIC氏にもその旨、電話。僕は急いでスタジオに。アナログを置いて、かわりにそこらにあるCDを詰め込んで、SOUPにとって返す。
イヴェントは今日は僕は主催者なので、オープニングDJを務めた(CDオンリーだったので、最近のR&B中心にゴリゴリやりました)後はバタバタバタバタ。いろんな人と話す。PHONESとLOVADELICの演奏は、どちらも課題はたくさんあるものの、バンドとしてのポテンシャルはお客さんに響いたようだ。動員も狭いSOUPにこれ以上入ったら酸欠というぐらい入って、まずまずの結果だったかな。DJのササキさんもご苦労様。
12時の終了後、新楽飯店で打ち上げ。PHONESのケースケとLOVADELICのアンディが欠席した以外は全員、プラス、取り巻きが10人くらい。この2バンド、揃いも揃ってキャラがめっちゃ濃くて、面白い。関西色も強し。みんな20代、それも前半中心で、30代はいなくて、なぜか40代半ばのオレがタメ口聞かれながら、混じっているという宴席。あ、LOVADELICのジョーくんの彼女は17歳だって! SOUPにいる時、ビール飲みながら話していたので、後で聞いてビックリ!
料理頼み過ぎで食べ過ぎ。今日はビールも飲み過ぎ。明日また絞らなくちゃ、と思いつつ、PHONES、ガクちゃんの車で送ってもらって帰宅。