BEFORE GET IN SLEEP

07.29
なんか暑さで記憶も飛びますな。
東京カリー番長のサッカリン氏は八百数十日、カレーを食べ続けているそうですが、僕も夏場は週7食固いかも。そのうち一食は確実にピキヌーなわけで、月曜日もむらむらっと来たので飛んで行く。行ったら、こないだ置いてもらった7/31のイヴェント・フライヤーが店中にベタベタ貼ってあって、申し訳ないやら恥ずかしいやら。
そのまま、駒沢大学のリハスタで朝日美穂リハーサル。といっても、僕は最後の方をちょろっと覗いただけ。前回の大阪でやらなかった曲を聞かせてもらい、少しだけ、アレンジに意見を出す。ケースケは最近のPHATのライヴでもメロディックなセンスを発揮しているが、コード進行のある歌もののバックだと、さらに歌心あるフレージングが際立つ。ハーモニクスや弓も使って、かなり見どころあります。
スタジオ行って、フジワラダイスケ「IQ」のミックスをひとりで進める。新しいシークエンスをひとつ組んで、それは良い感じなのだが、全体の音像が今ひとつ、ぐっと来るところまで追いこめない。もっとコンプ欲しいなあ。ディストレッサー買っちゃおうかなあ。
夜、下北沢で朝日と再びライヴに関してミーティング。その後、前から行ってみたかった「東京カリー番長推薦の店」へ。キーマ・カレーは昨日の番長のキーマ・カレーに似ていたかも。

07.30
なんかこう、夏は感傷的になりやすい季節なわけですが、今年の夏はいろいろ考えてしまいますね。ぜ〜んぶやめてどっか行ってしまいたくなったり。多分、それは不安定の中の一瞬の安定がもたらす感情かもしれない。そもそも、会社勤めをしたことがなく、ずっとフリーあるいはインディペンデントな立場で仕事をしてきた僕の人生は不安定の固まりなわけですが、近年は進んでリスクまで引き受けるようになったゆえに、一寸先は闇と言ってもいい。3カ月後には返品の山を抱え、レーベル潰れちゃうなんてこともままあるわけで。先頃のネットワーク・レコードの閉鎖はちょっとしたショックでした。
でも、幸いなことに今のところはなんとかなっている。とりあえず、今年はあと3枚くらいMEMORY LABでCDを出し、東芝EMIでPHATの2作目を作り、その他、もろもろのプロジェクトをやっているうちに終ってしまうでしょう。ライター業もちょっとだけ忙しくなりそうな兆しありだし、まあ、食べてはいけそう。が、そのぐらいの不安定の中の安定というのが曲者なわけで、なんかねえ、オレの人生、こんなものなの? もっとロマンとスペクタクルはないの?と思ったり。
そういえば、夏になると「冒険者達」が観たくなる。今度、ツタヤで借りてこよう。
さて、今日も朝日美穂リハーサルを覗いた後、祐天寺に。夕方にカーナピーナでカレー。ちょっとキーマ・カレーづいていたので、だったら、カーナピーナでしょう!と飛んで行ったのだが、そんな日に限ってキーマ品切れで無念。カーナピーナのキーマ・カレーはそこらの合い挽き肉のカレーとは違って、マトンを挽いて作ってある。非常にジューシーなうま味あるんだが・・・仕方なく、サグチキン。グスン。
スタジオで今日はフジワラダイスケ「5th FLOOR」のミックス。が、あしたのライヴまでやるべきこと多いので、早めに切り上げて家に戻る。

07.31
下北沢440で「HOLIDAY WITH HONEY」。3時頃に下北沢へ。もろもろもろもろありましたが、まずまずスムーズな進行で終えることができました。当日券が予想以上に出て、座れないお客さんがかなりいたのは申し訳なかった。
ライヴはともかく、FLEX LIFEの素晴らしさにやられました。アコギとドラムとヴォーカルというミニマルな編成ながら、りえんぬのヴォーカルはすごく曲にシンフォニックな響きを与える力がある。加えて、3人の醸し出すグルーヴ。グルーヴというとブリブリに演奏することを思い描きがちですが、本当のグルーヴというのは次の一拍、次の小節を招き寄せる何かであって、小音量でもそれがある時は音楽が先へ先へと運ばれていく。とまりたくない、終って欲しくないという感覚を演奏者も観客も共有できたりする。そういう点、FLEX LIFEの演奏は本当に素晴らしいです。曲も良いしねえ。夏の夜のスウィート・スウィート・サレンダーでした。
朝日美穂のライヴは新編成で2度目のライヴ。が、ビギナーズ・ラックも使っちゃった2度目こそが難しい〜。前回の大阪がオオバコだったのに対し、今回はコバコだった違いもあって、サウンド面の問題も多く、うまくアンサンブルしなかった。FLEX LIFEが小編成、小音量を生かしたライヴをやっていたので、学ぶところ多しだなあ。ステージ上でもやっぱりサウンドしていなかったみたいで、終了後、ケースケが「ピッチが取れなかった」と落ち込んでいた。でもまあ、こういうこともあるのがライヴ。次までに立てなおさないと。
YAMAUCHIはますます異形のパフォーマンスに磨きがかかりつつあり、呆気に取られていた人も多かったかも。sasakidelic氏のナイスなDJにも感謝。岡村靖幸さんともりばやしみほさんからの楽屋花にも感謝。終演後、僕もちょっとだけディスコ・クラシックDJを。マクファデン&ホワイトヘッドの「AIN'T NO STOPPIN' US NOW」をたまには爆音で聞きたかった・・・というだけですが。最後にかけたバーバラ・メイソンをりえちゃんがお気に入りだったので、貸し出す。

08.01
昨日の日記を読むと、カレー食べていなように見えるが、実はちゃんと食べました。下北沢に行く前に桜新町のインド料理店をチェック。ヴェジタブル・カレーを食す。う〜ん、悪くはないが、特色もない店という印象。
さて、今日はフジワラダイスケ・レコーディングのはずだったのだが、昼過ぎに電話したら、またしても当日キャンセル。が、PHATのレコーディングが差し迫っていることでもあり、今週は作曲に専念した方がいいでしょう、ということで特に怒りもせずに流す。
昼間も物凄い熱気だったので、外に出る気にもならず、P・ファンク聞きながら、掃除や洗濯。夕方、買い物に出て、久しぶりに自炊の準備。何を作るって、そりゃあ、カレーでしょう。僕は玉葱をたっぷり使ったカレーが好き。なので、玉葱炒めるだけに3時間以上かけたカレーを作る。具はチキンとトマト。6時半くらいに作り始めて、完成は11時。途中、新川くんから電話。カレーのコンピ実現に向けて、アレコレ相談。
で、カレーの出来はといえば・・・自画自賛しますが、やっぱり、自炊こそは究極の贅沢!と言えるクォリティー。かなり長い間、料理から遠ざかっていたのだが、腕は落ちていなかったので一安心。当然ながら、ひとりでは食べきれない量を作ったので、明日の分もたっぷりある。あしたの昼に、誰か食べに来ないかな。

08.02
和風のカレーというのは(なんて、今日もいきなりカレーの話題)、冷蔵庫に一晩置いた二日目が旨かったりするわけですが、スパイスのフレッシュさが命のインド・カレーは二日目は駄目ですね、やっぱり。人に食べさせなくて良かった。
やや曇り空とはいえ、外に出ると暑〜い! 歩いていたら、目の前に親子がいて、幼稚園生ぐらいの息子が「暑い〜」というとお母さんが「暑いね〜」という会話をずっと繰り返していた。それを観ていて思ったのですが、幾ら暑い、暑いと繰り返したって、涼しくなるわけではない。にもかかわらず、人は暑い、暑いと繰り返さずにはいられないわけで、日本中で発されるこの「暑い」というエネルギーの総量はどのぐらいのものだろうか? これを別のエネルギーに変換できないものか?
例えば、「暑い」と言いたくなったら、そのかわりに「戦争反対」と言うことにする。すると、辺り一面「いや〜、今日は戦争反対だね〜」「やってられないすよね、ホント戦争反対」てな会話の洪水。もう日本中、「戦争反対」の大コーラスで、さすが平和憲法国家・・・なんてことを考えている自体が、暑さにやられている証しですが。
午後、スタジオに行って、新川くんとミーティング。膠着状態のジャケットは・・・今日また、新川くんが作業することに。「構成主義的な要素を入れて」と言っていたが、どうなるやら。しかし、彼も頑固。もちろん、そこが面白いヤツなわけですが。
思えば、僕のように二十歳以上も年上の、それなりに音楽の世界に生き残っている人間からアレコレ意見されれば、誰だってグラッと来たり、ズ〜ンと来たりするわけで、でも、物を作る力と意思を持った人というのは必ず、そうは言われてもコレだけは譲れん!というものを出してくる。そのコレだけは!というのが大事なわけで、じゃあ、それを人により効果的に伝えるにはどうしたらいいか? それを考えようということになる。そこのところでの踏んばり方が結局、作品の説得力に繋がってくる。オレひとりを説得できないうちは、世の中の人々を説得できるはずはない・・・てことで、頑張れ!
新川くんをスタジオに残し、祐天寺で買い物などしているうちに雲行き怪しくなる。ベランダに洗濯物を干したままだったので、タクシーで帰る。間一髪で嵐の前に家に着いた。凄い雷。しかし、暗い部屋でベッドに横になって聞いていたら、ちょ〜気持ち良かった。自然の轟音に勝てるものはありませんね、もう。
ふと気がつくと、原稿がたまり始めていたので、夜はぼちぼち仕事。ワインをちびり。

08.03
何していたんだか忘れたが、バタバタしているうちに夕方になり、慌てて、駒沢大学のスタジオに。PHATのレコーディング用リハ。着くと、連中はなんとコード進行のある新曲をやっていた。ダイスケいわく、渾身のポップ・チューンで、テーマは「初デートに出掛ける時」だそう。言われてみれば分かるような、全然分からんような。
PHATのリハの後は、うちのスタジオでダイスケとふたりで彼のソロ・レコーディング。夕食をはさみ、夜の2時頃までびっしりやる。ずっとずっとダイスケが首をかしげ続けている「IQ」。何度も「もうボツにしよう」と彼は言ったのだが、僕が「オレに任せろ」と言って粘ってきた。だって、こんなモダン・ジャズな曲、やったことないもん、僕は。なんとかモノにしたい。で、先日、ヘヴィなキックともベースともつかないシークエンスを作ったので聞いてもらう。「ウワッmカッコイイ」ということでダイスケの顔もほころんだが、しかし、これを採用するとなると、今度は曲の構成、構造を考え直す必要も出てくる。再び、ふたりであ〜でもない、こ〜でもないのエディット作業に突入。
最初の2、3時間のトライは実を結ばなかったが、ひょんなことから、カッコイイ1小節ループが出来て、ともかく、このワンループでもいいから、もっとミニマルな音楽を作ろうということでやっていたら、ついに出来ました。想像もしなかったようなものが。これだから音楽は面白い!
生演奏部分に細かくフィルタリングをしていくアイデアがあったので、ミックスはまた後日。この曲は時間かかったな。でも、ここをクリアーしたので、後はラストスパートするのみ。

08.04
午前中に急いで家中を掃除。パソコンの置いてある仕事部屋から物を大移動。椅子や小さな棚はキッチンに移してスペースを作る。
祐天寺に行って、こないだ撮影許可をもらった家具工房に。ちょっと遅刻したのですでに撮影は始まっていた。ヘアメイクの田野くんとカメラマンの塩田くんで朝日美穂のアーティスト写真撮影。塩田くんは初対面だが、僕の周りにはあまりいないタイプの、ちょっとパンキーな切れのある面白い男の子。イラストレイターの五木田さん(「スリル・マーチ」のイラストは彼)と一緒にノイズ・ユニットをやっているそうだ。
幸い、今日はピーカンではなかったので、良い撮影日和。家具工房での撮影はスムーズに終り、タクシーに3人を乗せて我が家へ。僕の仕事部屋は南側ベランダで、西側の壁もほぼ一面窓という自然光がめちゃめちゃ入る部屋なので、今度はそこをスタジオがわりにする。アナログ・レコードの棚に大きな白い布を貼って、バックグラウンドを作る。ベッドルームには昨日、買ってきた姿見を入れて、ドレッシングルームに。そうそう、今日の衣装は田野くんが大阪のショップから借りてきてくれた古着のワンピース2着。田野くんは大阪のPHATサポーターとして、この日記にも何度か登場していると思うが、いつのまにか朝日美穂のヴィジュアル・スタッフになっている。
3人が撮影している間、僕は仕事がないので、どうしよう? カレー食べる? 食べます、食べますと3人が言うのでカレー作ることにする。今日は3時間も玉葱炒めるわけにはいかないので、ちょっとズルしたショート・ヴァージョン。チキンと茄子とおくらのカレー。さらさらのスープ状。1時間ほどでほぼ完成。撮影の方も終ったので、ご飯焚く間にみんなで駒沢公園に。フリーマーケットをやっていたので、覗きに行く。
家に戻って、奇妙なメンバーでのカレー・パーティー。カレーを作る時、僕はほとんど味見をしない。だって、何度も味見していると、ライスにかけて食べる時の感動がなくなっちゃうからね。今日も味見せずに作ったので、やや不安があったのだが、ショート・ヴァージョンとしてはまずまずでした。ライスをちょっと硬く炊きすぎたが。
3人が帰った後、しばらく休んでからスタジオに・・・行こうと思って、自転車に乗っていたら、雨が降り出した。ヤバそうな雰囲気。家に戻った方が良さそう、と思って、全速力で戻る。戻ったら、案の定、物凄い雷雨に。これではもう出掛けられないな。仕方ないので、CDをいろいろ聞く。雷をバックグラウンドにブンブン・サテライツを爆音で聞いてみたり。
こないだからベス・オートンをよく聞いているのだが、今夜も聞きながら、郵便物の整理をしていたら、オーマガトキからローラ・ニーロのライヴ・アルバムが送られてきていた。ベス・オートンとローラ・ニーロ・・・僕がローラ・ニーロの死を知ったのは、ロンドンのベス・オートンのコンサート会場だった。古い教会で行われた素晴らしいコンサートだったが、終盤に彼女が「今日、ローラ・ニーロが亡くなりました」とMCしたので、凄いショックを受けたのを憶えている。
そんなことを思い起こしながらローラ・ニーロのライヴ・アルバムのCD1、1993年のライヴを聞く。素晴らしい。感傷的に聞く必要などない、真に音楽的に素晴らしいライヴ・レコーディング作品だと思う。楽器は彼女自身のピアノだけで、しかし、コーラスを従えているという編成も魅力的だ。僕もこの会場にいたかったな。ローラのたった一度の来日公演を僕は見逃した馬鹿者だ。
スピーカーの真ん中で最初から最後まで通して聞いた。CD2には行かずに、CD1を二回聞いた。CD2は1994年のライヴ。まだ聞かないよ。CD1を噛みしめてからのお楽しみだ。