07.15 まだ体調は今ひとつ。スタジオ行ってハードワーク始めれば、多少の喉の痛みくらいコロッと忘れてしまいそうな気がするが、まだ家でグズグズ。原稿仕事はパタッとなくなり、暇・・・なわけではないが、家で雑務だけしているのも、なかなか調子が出ない。
夕方、7/31の下北沢440のイヴェントのフライヤー・デザインを上げて、渋谷に入稿しに行く。その後、夜に急な呼び出しが二件。溜池と渋谷で結構、シリアスなミーティングをすることに。つくづくミュージシャンは大変だと思う。オレにはとても出来ないな〜。出来ないので、逃げているという引け目も、自分の中にはあったりする。だって、日々やっていることは変わりないわけで、僕と一緒に仕事した人達はみんな知っているように、音楽の現場ではプレイしたり、アレンジしたり、ミックスしたりしているのに、ミュージシャンが直面する一番キツイところには幸か不幸か、僕は立つことがない。立ったら、きっと精神が持たない。それよりは、他のところの苦労を引き受けた方がよっぽど楽、と知っているからだろう・・・てのは、自分に意地悪が過ぎか?
にしても、今日は他人に頑張れ、頑張れ、とたくさん言ってしまった。明日からオレも頑張らないと。
07.16書き忘れたが、昨日の深夜、ダイスケから電話。グッドニュース! ワクワクしますね。何が?って、それは明日まで内緒。しかし、こんなにワクワクしているオレにちょっと、自分でも驚いた。
午後、五反田のスタジオに資生堂のCMのMAを見学しにいく。僕はかれこれ10年くらい「花椿」にコラムを書いているので、実は資生堂とは縁が深い。スタジオに入ると、ナレーション録りのまっただなかだった。アレッ! よく見れば、ブースの中のナレーターは野宮真貴さん。なんとまあ、お久しぶり。最後に会ったのはニューヨークだったかも。
さすが、彼女のナレーションは音楽的で、PHATのサウンドとも良い感じで溶け合っている。でもって、CMの映像も超クール。化粧品のCMだというのにモノトーン。最初はドット・パターンが光るところから始まり、めっちゃテクノな雰囲気だったりする。15秒パターンと30秒パターンがあるのだが、30秒パターンに至っては最後の5秒くらいしかナレーションが入らない。つまり、25秒間はPHATの音楽だけ。こんなプログレなCMにオレがプロデュースした音源を使ってもらえるなんて。資生堂サイコ〜!
まだ風邪が完治しないので、早めに帰宅。ちょっと思いついたことがあって、時間を費やす。聞かずに積んであった新譜のCDをいろいろ聞く。青山陽一さんの「COME AND GO」は素晴らしい1曲で、ギター的じゃないギターの使い方とか、アレンジも新鮮。というか、個人的に朝日美穂「HOLIDAY」で僕がやりたかったことに通ずるものを感じたり、でも、僕は青山さんみたいに柔らかい肌合いには出来ないので、う〜むと唸らされたり。
あと、ショックだったのが「ロコモーション」の歌詞カード。さかなのライヴで何度となく聞いてきた曲なのだけれど、きちんと歌詞を読んでみたら、うちのめされてしまった。POCOPENはやっぱり天才! こんな重みのある歌を書ける人が今、他にいるだろうか? 真にロックだと思う。
07.17早起きして、郵便局行ったり、銀行行ったり。午後は某レコード会社でミーティング。アレやコレやと動きアリ。面白くなりそうではあるものの、昨今は簡単には予算が出て来ないのが難。
久しぶりにスタジオに行って、急いで掃除。だって、今日は「二大女王様」のひとりが御来訪。神々しいお声を頂く日なのだ・・・なんて冗談言っているみたいだが、半分は本当。「僕にレコードを作らせてください」と誰かにお願いに行ったことは人生に二回しかなく、それは言うまでもなく、朝日美穂とさかななわけで、この2アーティストとの出会いがなければ、今、僕はここでこうしていなかったのも明らかだ。しかし、さかなに関しては「WELCOME」以後は僕は直接、プロダクションにはタッチしていない。だから、POCOPENのヴォーカル・レコーディングをするのは本当に久しぶり。「LITTLE SWALLOW」の「HAPPY TUESDAY」以来かもしれない。
当然ながら、女王様は1時間ほど遅刻・・・のはずだったのだが、うわっ、定刻に到着。まだ掃除の最中だったので、ベランダでおくつろぎいただくことに。ほどなく、ダイスケも到着。というわけで、フジワラダイスケ・フィーチュアリング・POCOPENという、きっと歴史に残るであろうカルトなレコーディングの始まり。曲は「5th FLOOR」という曲。あ、昨日の日記のグッドニュースとは、この曲にPOCOPENが歌詞とメロをつけてくれたという知らせね。
マイクはPOCOPENには初めて使うU67。マイクプリはNEVEで、コンプは今日はチューブ系を使わず、PURPLE AUDIOの76。じゃあ、とりあえずワンテイク・・・ということで歌ってもらう。ヘッドフォンでモニターしながら、ダイスケが感動に打ち震えている。二週間くらい前、ダイスケは「この曲に果たして、ヴォーカルが乗るのだろうか? 自分には想像できない」と言って悩んでいた。が、僕は「POCOPENに預ければ、彼女は僕達の想像を遥かに越えたものを返してくれる」と断言した。
「いやあ、健太郎さんの言った通りでした」とダイスケ。だろ〜! とはいえ、こんな不定形の、それこそ演奏はインプロで自在に転調していってしまうような曲に、こんなメロディーとこんな歌詞をつけて、歌として成立させてしまう荒業には、僕も驚かされることしきり。やっぱり、POCOPENは天才!
3テイクほど録った時点で、ダイスケと僕はもう大満足。が、女王様はまだ歌い足りない。もうワンテイクいいですか? う〜ん、もうワンテイク! てなわけで、気の済むまで12テイクぐらい重ねましたが、結局、初期のテイクを採用。しかし、POCOPENに限らず、ヴォーカル・レコーディングというのは、理屈でどうなるものでもなく、不思議に満ちていて、ある種、非常にスピリチュアルな体験でもある。特に今日のそれはこの世のどこにもいまだかつてなかった摩訶不思議な音楽を生み出した。ダイスケいわく、「日本人にしか出来ないカッコイイことをやりたかったんだけれど、それが実現できてしまいました」。リリース楽しみに待ってください。
3人で近くのチャンコ・カフェに。ワイン飲んで、POCOPENもゴキゲン。ダイスケが女王様(つ〜より、今日はご託宣を頂いた巫女様か)を車でお送りする間に僕は仮ミックス。さらにもう1曲、仮ミックスを作って、今日は終了。楽しかった〜!
07.18珍しく寝坊。昼過ぎまで寝ていた。気が向いたので、桜新町の方まで自転車で出て、オッ、新しいインド料理屋発見! でも、今日は入らず、うどんを食べて帰る。
午後もダラダラ。プール行こうかと思ったが、思っているうちに日が暮れてきてしまった。平日にこんなんでいいのか? まるで学生の夏休み。だったら、いっそのことと思い、夕方、渋谷に行って、レコ屋巡り。
でも、学生の時と決定的に違うのは、財布と相談せずにレコードを買ってしまうことだ。どこか空しさを感じるのは、そのせいかもしれない。時間の方がもったいないので、目に付いたものをササッと買ってしまう。アナログを20枚くらい、CDを10枚くらい。もちろん、試聴はしない。7割は外れているだろう、と思いつつ。本当はこんな買い方は良くないと思いうけれど、でも、今はそれしか出来ない。
スタジオ行って、深夜にかけて、フジワラダイスケ・ソロのミックス作業。一番の難曲、「IQ」。でも、何時間か試行錯誤していたら、モダン・ジャズをテクノ・トランスで包み込んだみたいな不思議なサウンドになってきた。サックスのブロウがジャズのそれとは違った気持ち良さで聞こえてきた。この線で詰めていけば、今までなかった音楽に到達できるかも。あとは、ちょっとタイスケマツオの手を借りてみようかな。
ところで、アムロちゃん離婚のニュースはふ〜んだったけれど、戸川京子さんの自殺はショックで、思わず、スポーツ新聞を買ってしまった。でも、何も書いてなかった。家が結構、近所だったって分かったくらい。
戸川さんとはもう十年以上前だろうけれど、一度、喫茶店でお茶をご一緒したことがあった。知り合いが彼女と仕事していたからだったか。渋谷の喫茶店だったはずだったけれど、よくは思い出せない。気取ったところのない、とても感じの良い女性で、いろいろと話した気がする。とても美しい人だった。あんな美しい人とお茶飲んで話したことは他にないかもしれない。その後だったか、前だったか、エスカレイターに乗って、彼女が一段前にいて、恐ろしく手足の細い後ろ姿をドキドキして見ちゃったことは、今でも異様によく憶えている。確かそれは彼女が音楽活動をしていた時期で、ライヴも観たのだけれど、それはほとんど憶えていない。
それにしても、首吊りなんて似合わないし、信じられない。自殺した人の気持ちは誰にも分かるはずがなく、想像されるのは、孤独であっただろう、ということだけ。僕は親しい友人が自殺したことは幸いなことにいまだないけれども、知り合いや何らかの接触があった人が自殺したのはもう片手では数えられなくなった。次はもっと近い誰か、という不安もいつもある。だから、みんな、もっと、家族や友人を気にかけよう。誰もが孤独にならざるを得ない社会だから。
戸川さんの御冥福をお祈りします。
07.19銀座で朝日新聞試聴室選考会議。二週間ほど前にピーター・バラカンからとある提案があったのだが、僕が反対を唱え、一時は電話で口論、ではないけれども、お互い拉致があかないなあ、という気分にはなる議論などをした結果、僕がテコでも動かないので、他の選者の方々も同意には至らず、提案不通過。少なくとも、今回は見送りということになった。今日はそのピーターがスペインに家族旅行中でお休み。なので熱い議論の続きはなくて、残る3人でササッと会議終了。レッチリ、プライマルの新作をはじめロック・アルバム多し。別に期待もしていなかったのだが、レッチリはソングライティングやアレンジがていねいな秀作でしたね。フェアファックス・ハイスクールの悪ガキどもも、思えば、もう結成20年を越えるベテラン。彼らのデビュー作を日本で最初に紹介したのは僕だと思うが(「宝島」のコラムだったか)、こんなバンドに成熟するとは思わなかったな。
ところで、最近、あちこちで「新作をドロップ」といった表現を見かけますね。発表とかリリースとかいった言葉を使わずに。別に良いんだけれど、誰も彼もが急にそう書き始めたのはなんだか妙。僕が「レシピ・フォー・ニュー・ドロップス〜新しい飴玉の作り方」という連載を「宝島」でしていたのは、1980年代でした。
あ、これも油納将志さんや松山晋也さんを揶揄するつもりで言うのではないのだけれど、「ミュージック・マガジン」のクロス・レヴューで、宇多田ヒカルのアルバムが「音が良い」という評価を受けているのはいかがなものか。というのも、僕もレコード店の店頭などでかかっているのを耳タコしている時には、さすが金のかかったゴージャスなアルバムだなあ、という印象を受けはした。が、しばらく経ってから、CDを自分のスタジオで聞いてみたら、アレレ? ゴー・ホトダ・ミックス、テッド・ジェンセン・マスタリングでこの音質? 音数の多いアレンジが奥行きのない、平面的な音像で展開する感じで、上下のレンジも足りない。思いもかけない安っぽさに驚いてしまった。
その理由は「キーボード・マガジン」を読んだら分かった気がしたけれども、ともかく、このCDはいかにもドメスティックな音。ミッドハイは派手なので、レコード店の店頭ではゴージャスに聞こえたし、ラジオ乗りも良いだろうけれど、然るべきオーディオ・システムで聞いた時に、より良い音で聞けるCDかというと、違うだろう。ラジカセ、ミニコンでこそ、良く聞こえる音。現代R&Bはそうじゃないよ。ドープなローエンドがないと、アメリカのガキは喜ばないから。
もっとも、テッド・ジェンセンをしても覆すことができなかったそのドメスティックな音像は、プリプロの打ち込み作業から、後ろでずっと監視しているという宇多田親子のオーラゆえかもしれないですね。日本歌謡の深〜い血脈。そういえば、このアルバムの曲って、マイナーの下降進行が多いわ。僕が物心ついた頃には、日本人の琴線に触れる黄金のマイナー下降進行というのがあって、Am-G-F-E7みたいなコード進行ですが、この進行の曲は日本では必ずヒットするとまで言われていた。70年代ぐらいまでは実際、すごく多かった。井上陽水「傘がない」とか。
それが、80年代以後は見事に消えた。渋谷系にはないでしょう、Am-G-F-E7は。例えば、小西康陽くんにこの進行で曲を書いてくれ、と頼んだら、激怒するんじゃないか、と思うくらい。
が、なんと宇多田ヒカルはそれを蘇らせているのだ。しかも、R&Bといういかにも洋楽的な装いの中に。そういうところ、このアーティストは面白いとは思います。語る対象としては。日本人がひた隠しにしようと努力しつつも、心の底では欲しているものを体現しているところは確実にある。そう思うと、戦後最大の国威発揚イヴェント、ワールド・カップで日本が負けるのと時を同じくして、このアルバムが世に出たことも、ある種、宿命的にすら感じられる・・・なんて与太は幾らでも書けますね。なのに、世の中のアルバム評のどれもこれもつまらんこと。平岡正明が山口百恵を語ったように、宇多田ヒカルを語る人はいないのか・・・といっても、クロス・レヴューの方々を揶揄しているわけではないですが(ちょっと苦しくなってきた)。
ただ、世の評論家の方々、音質に言及する時は、然るべきオーディオ装置で聞きましょう。これはマスタリングする立場から言いますが、正直に言って、ラジカセ、ミニコンならバレないけれど、ラージ・モニターで聞かれたらヤバイなあ、と思う音源をCDにしなければならないことは僕にもあります。
日記の部分が全然、進みませんね。会議の後、銀座から一度、家に戻って、今夜のイヴェントのDJ用の選曲。でも、時間があまりなかったので、またしても、そこらにあったアナログ盤を詰め込んだだけに終わる。CDは持っていかないことにした。アナログ盤だけの方がその場でどうにでもなることが多いから。
夕方、スタジオに行って、朝日美穂の次作のプリプロ。朝日が新曲を持ってきたので、聞かせてもらう。なんとまあ、マイナーの下降進行! アレンジはどうしよう? これをキーボード主体のアレンジでやったら、宇多田的な歌謡R&Bに近づいてしまう。それをやりきる度量は僕にはないので、ドローンを使ったアコギでブルージーにやって、ベタな下降進行を中和する方向で考えてみた。なんか、エイミー・マンの曲みたいに聞こえてきた。でも、今日は決め手には至らず、作業終了。
渋谷に行って、7/31のフライヤーを印刷所から受け取る。時間がないので、今日からガンガン蒔かねばならない。とりあえず、閉店間際のタワーとHMVを回る。朝日美穂「HOLIDAY」はどちらも品切れ。着実に消化はされているということだが、バックオーダーは大丈夫か? 心配の種は尽きず。
DJ用のレコードとフライヤーを抱えて街をうろついたので、かなりの肉体労働。でも、今日はこれでようやく前半終了。後半はまた後で書く。
07.19(after midnight)タクシーで西麻布bulletsに。クラブって、最近、ここしか来ていないかも。クラブというよりチル・アウト・バーかな。あんまりケムくないのと、床でゴロゴロできるので、長時間いても、ストレスが少ないのは良い。エレクトロニカ系のイヴェントが多くこないだロンドン行った時も東京のそういうシーンの拠点として、名前知っている人が結構いたのには驚いた。まあ、この種の情報は異国の方が価値を持つので、bulletsでTaisuke Matsuoがやるんだって、スゲ〜!みたいなことにロンドンではなっていたりするのも、あながちないことではない。
「時-toki」というこのイヴェントも2回目。前回と同じくYAMAUCHIとタイスケマツオがライヴ・アクト。DJはAKI、TAKUYA、それに僕という布陣。オーガナイザーのガンちゃんは今回は裏方に撤するということでご苦労様。金曜日ということで、まずまずお客さんも入っている。SUのメンバー、「樹海」のヴィデオ制作スタッフ、YAMAUCHIのPOSH時代のファンの女の子など知っている顔もチラホラ。sasakidelic氏も来てくれていた。しかし、僕の同世代はもちろん、一回り下もいない場だったかな。だからどうということもないけれど。みんなにタメ口聞いてもらっているし。
YAMAUCHIのライヴは前回はPOSH時代のパーカッション、ギター、それにタイスケがコンピューター操作という編成だったが、今回は完全なソロセット。ひとりの方がエレクトニクスの使用も無理がなく、焦点がクリアーなライヴだったと思う。ピアノがどんどん上手くなるのは本当に驚き。7/31の下北沢440でのライヴもすごく楽しみ。
AKIのDJはいつも思うけれど、スムーズで美しい。光と影が交錯する中でふっと気が遠くなるような美しさがある。DJといっても、CD-Rに焼いた素材やMP3プレイヤーに入れた素材も鳴らし、POWEBOOKで「LIVE」というソフトを動かし、LINE6のディレイを使い、という実際にはライヴに近いセット。続くタイスケのライヴは、ライヴとは言ってもシンプルこのうえないPOWERBOOK一台でのパフォーマンスで対照的。その間に僕は必死で持ってきたアナログ盤のチェックをしていたので、タイスケのはあまり聞けなかったが。
2時過ぎより僕のDJ。一晩中、エレクトロニカでは飽きてしまうので、今日はもう少し温度の高いものを、あと、夏だからラテン、アフロ、レゲエ・テイストを入れようかなとは思っていたのだが、結局は出たとこ勝負。オーストリア人の女の子がお客さんにいたので、ルイス・テイラーのクルーダー&ドーフマイスター・リミックスをかけたりとか。中盤以後は好き勝手にガンガン行きました。ヒップホップもダブもかけて、繋ぎとかはかなり粗かったはずだけれども、80年代からDJやっていないと出来ない感じの乱暴なミクスチャーは僕らしくはあったのでは。
DJ終えた後も今日はクラブに残って、いろんな人とお話。新しい知り合いも何人か出来たり。なかなか面白い一夜でした。夜が明けてお開き。もう電車も動いているので、六本木まで歩くことに。しかし、土曜の早朝の六本木というのは凄いですね。奇想天外なファッション、中にはロッキー・ホラー・ショー?と思うような人達までが、朝まで遊んだアフタアワーズをどうしようかとフラフラしている。愛すべき光景です。こういう人達がいなかったら、つまんないよ、都市なんだから、と思う。僕もまだまだやめられません、こういう朝帰り。
07.20寝たのは7時頃だったはずだが、11時起床。なんやかんやで、すぐに午後になり、3時にスタジオに。今日はフジワラダイスケ・レコーディングのはずだったが、30分待っても、ヤツは現れない。電話してみたら、まだ家にいた。もお〜、オマエが昨日、思いついたことがあるから、すぐに作業したいと電話してきたんじゃないのか? オレは4時間睡眠で這うようにしてやってきたというのに!
女の人は当日ドタキャンが多いが、まあ、それは遺伝子に不確定行動因子というべきものが刻まれているからではないかと思う。違う生物なのだから、と諦めるしかないが、男のドタキャンは駄目よ。女の腐った奴め!と悪態つきつつも、仕方がないので、ひとりで作業することに。一昨日の「IQ」のミックスの続き。
夕方、渋谷に。クアトロで新生カーネーション。着いたらもう始まっていたが、セミアコ抱えたギター・トリオは見た目、ジョージ・サラグッドか、はたまたテン・イヤーズ・アフター? しかし、カッコイイっす。直枝さんのギターのザクザクと胸に刺さるような説得力! R&B的ニュアンスも含みつつ、ロック・トリオをグルーヴさせるリズム・セクションも素晴らしい。40代にしか出来ない気迫と慈愛に満ちたロックンロールに、直枝さん、超レスペクトです。やっぱり、老いてはニール・ヤングに従えだなあ、と訳分かんないこと口走ってみたり。
ロビーに出ると、たくさんの人に会う。クラムボンの郁子ちゃん、ミトくん、HARCO、ニーネ大塚くんに朝日と、岡村トリビュート参加者の出席率高し。こういうのは嬉しいですね。久しぶりに会ったのは鈴木さえ子さん! というか、僕と彼女は大学時代からの知り合いで、国立の街でよく会ったさえちゃんなんだけれど。元気そうで、相変わらず、お美しかったです。音楽活動再開して欲しいなあ。
郁子ちゃん、ミトくんとさかなのトリビュート・アルバムの件で話したり、エーヴェックス本根くんととあるコラボレーションの相談したりした後、クアトロを後に。共演のチェンバロとカーネーションで最後に「はいからはくち」と「ライク・ア・ハリケーン」をやるというので後ろ髪引かれたが。下北沢に寄って、440にフライヤー届けたりした後、スタジオに戻る。しかし、さすがに寝不足でソファでうたた寝。寝ている間にミックス・バランスを取ってくれるオート・ミックス・ソフトなんてのはないものか?と馬鹿なこと考えつつ。
07.21昼過ぎまで寝過ごした。最後の方に見た夢をよく憶えていて、フランス人のギャングみたいな親父と僕は話していた。彼がポケットからちっちゃなピストルみたいなのを取り出して、何やらウンチクをたれながら、分解していた。その光景のバックに音楽が流れていて、ブラジルっぽい曲なのだが、女の人がたぶん、フランス語で歌っていて、サビ(?)のアタマのところは「ゴロワーズ」と言っていた。
そこでフッと目が覚めたのだけれど、メロディーも女の人の声もダブルっぽいレコーディングがされた感じも頭の中にバッチリ残っていた。これは一体、誰の声なのだろう? どこかで聞いたことがある曲なのだろうか? ベッド脇のギターを取って、キーを確かめたら、C#だった。キーを変えるとメロディーが飛んじゃうことが多いので、そのままのキーでメロディーとコードをなぞった。いきなりメロが9thから来るのか。憶えているのは4小節だけだったが、そのまま弾いていたら、すぐに前後のメロディーも出てきた。あとは必要なのは、頭の中にある声質の女の人だけ。日本人じゃなさそうだが。
ところで、ゴロワーズといえばムッシュかまやつでしょ、ということで、夢の続きでまだ聞いてなかった「我が名はムッシュ」を聞いてみた。かまやつさんは小学生の頃から大ファンだった。中学生の時、初めて観に行ったライヴはスパイダーズだったし、かまやつさんの深夜放送でリエスト葉書が読まれたことも3回あるぞ。一度はスティーヴィー・ウィンウッドのことについて質問して、ていねいに答えてもらったことがある(背伸びしたガキ)。なわけで。一気にタイムスリップしますね、かまやつさんの喋りを聞いているだけで。でも、音の方は予想以上でも以下でもなくて、途中で飽きてしまった。「バンバン」のリミックスは良かったけれど、「ノー・ノー・ボーイ」はアレンジがよそよそしくて、エロチックな弾き語りのを聞きたかったなあ・・・とか。もっとも、はっぴいえんどトリビュートにしてもそうだったけれど、リアルタイムのヘヴィ・リスナーをこういうアルバムが満足させることは、どだい無理があるのかもしれない。
日比谷野音の「喫茶ロック」の招待状が来ていたが、それで逆に盛り下がって行かないことに。フリーボが出るなら行ったけれどねえ。夕方まで洗濯などしながら、家でCD聞いて過ごす。エイミー・マンの新作は何の変哲もないミディアム・ロック集だが、しかし、めちゃめちゃ良いぞ。ベス・オートンもめちゃめちゃ良いな。聞きながら、彼女達のようにフツ〜に良い音楽をやることがどうしてこの国では難しいのだろうと考えたり。
少し涼しくなった夕暮れ、学芸大学の整体に。腰が痛いだけかと思ったら、かなり全身に来ているのがマッサージしてもらって分かった。首や足も痛いこと。スタジオに行くだけ行ったが、ミックスの続きをするにはワイアリングをしなおす必要があり、そこまで踏み出せないまま、またCD聞いたりして終わる。最近、仕事していないなあ。遊んでもいないけれど。家帰って、またダラダラ。シネマティック・オーケストラのアルバムを聞いてみた。世の中では絶賛されている。聞くと、コンセプト的に今作っているフジワラダイスケ・ソロと重なり合ったりもする。でも、これじゃないな、僕達のやるべきことは。これだったら簡単。もっと違うレベルのこと、あるいは、日本人しか出来ないことをやりたい。でも、それは何だろう? 考えるために二度聞いた。聞き終ったら、スタジオに戻りたくなった。よし、明日からまた頑張るぞ。