BEFORE GET IN SLEEP

07.01
朝から原稿書き。夕方までに3本ほど仕上げる。ちょっとペース上がってくると、物書きってのは効率良いショ〜バイだなと思えてきたり。ワープロ叩くだけなんだから、リスクないしね。レコード作りなんてのは、破滅的な肉体労働をして、果たして、お金になるのかどうか、分からない。でも、やるんだけれどさ。
途中、駒沢のスタジオで朝日美穂ツアー・リハ。メンバーはドラムに佐藤大輔(from SU)、ベースに鳥越啓介(from PHAT)のピアノ・トリオ。が、一部、MDでトラック出しをするので、その確認に。結局、2曲とも、あしたトラックを作り直すことになる。
夜はまた原稿。あと2本。

07.02
このオレとしたことが頭パンクしそうなくらいの連絡業務の山。昼過ぎに久しぶりに事務所に行ったら、普段にはないペースで電話がなり、来客まで続く。今週末の朝日美穂の大阪ライヴのセッティングやらチケットやホテルの手配やらプロモーションのアポやら。名古屋のFMのゲスト・ブッキングに東京のFMのゲスト・ブッキングがかちあってしまい、綱渡りで切り抜けたり。でも、オファーの電話があるのは、もちろん、嬉しいことです。7/31に下北沢の440で朝日美穂とFLEX LIFEのライヴ決定。PHAT、さかな関連でもいろいろオファーがあったり。物事が動く、動く。
そうそう、今週はライヴも多いんだよな。今日のさかなのライヴは行けなかった(共演が二階堂和美さん+イルリメ! 観たかった!)が、7/5はYAMAUCHIが渋谷ROOMでHOT WAX RECORDSのイヴェントに、7/6はPHATがクラブ・エイジアでイヴェント「BETTER THAN TRAVEL」出演、7/7は大阪ベイサイドジェニーで朝日美穂がイヴェント出演。これって無関係なようだけれど、実はYAMAUCHIのドラマーとPHATのベースを合わせると朝日美穂バンドになり、ゲストでイルリメが参加するかもだったりして。
来客のひとりはエレキ・ベースのサカモっちゃん。完成したニュー・アルバムを聞かせてもらう。いや、良いです。こんなことやっているバンドないよ、今。壊れた遊びも多いのだが、実は非常に精度の高いプロダクションが凝らされている。8月発売だそうです。
夕方より、昨日の宿題。朝日美穂ツアー用のリズム・トラック作り。「バスタブライムス」のトラックを手直し。思い切ってモノラルにする。スネアもより機械的で攻撃的な感じにしたりして、ヒップホップ色強くなったかも。もう1曲は「さかさまパラシュート」。去年の暮、京都メトロでのイルリメとの共演用に僕がギター弾いて作ったトラックがあったのだが、「THRILL MARCH」ヴァージョンのセルソ・フォンセカのギターを抽出してループした新しいヴァージョンを作ることにした。しかし、久しぶりに聞いたけれどセルソのギターの繊細なリズム感覚は凄いですな。
深夜、家に戻ると、おおっ、プライマル・スクリームのマスター・コピーのMDが到着。もうインタヴュー記事などはほとんど既出してしまっているが、今頃、パーツが揃って、発売は7/31だという。ライナー・ノーツはオレ。朝までに書きます。

07.03
いろいろいろいろあって、まあ良いことも悪いこともありますが、今日は内緒、内緒、内緒。ひよこのおすめす、ひよこのおすめす。
午前中に原稿をやっつけ、昼から朝日美穂ツアー・リハ。夕方よりフジワラダイスケ・ソロ・レコーディング。いつものように、あ〜でもない、こ〜でもないとやっているうちに形而上的な議論になり、議論に熱中しているだけで音の方はちっとも進ないまま、時間が過ぎていったりもするのだが、ようやく、アルバムの全体像と僕がやるべきことが見えてきた。1曲、POCOPENにヴォーカル・パートを依頼。今月中には完成できるかな・・・となるとリリースは10月くらいか。

07.04
10年くらい前だったか、とあるイヴェントでサエキくんと小西くんのふたりに声を揃えて、「高橋健太郎さんといえば、日本で一番、敵の多い評論家だよね」と賞賛してもらったことのある僕だが、最近は人から「丸くなりましたねえ」と言われることが多い。舌禍がめっきり減ったのには、もちろん、ハッキリした理由がある。一言でいえば、オレのせいで、MEMORY LABのアーティスト達が何かの不利を被るようなことがあるのはやりきれないからだ。オレが敵を作るだけなら構わないが、今はそうもいかない。だから、出来る限り、礼儀正しく、言葉遣いにも気をつけ、穏便に行動するようにはしている(できてね〜よ、全然、という声も聞こえてきそうだが、少なくとも努力はしている)。
評論家なんて仕事だけしていたら、僕は絶対にそんな努力をする人間にはなれなかっただろう。ある局面において、ひとりの人間が絶対的な権力や政治力を持つ、というのは、どこの世界にもあることで、例えば、このギョーカイでいえば、レコード店のフロアではバイヤーが絶対的な力を持つわけだし、ラジオ番組においては選曲権を持つディレクターが絶対的な力を持つわけだ。アーティストをプロモーションする立場からすれば、靴でもなめます、という存在にもなると言ってもいい。その一定の局面においては。
しかし、実はその程度の、一定局面における絶対的な力なんてのは、このギョーカイにいれば、誰だって多かれ少なかれ、手に入れることができるものだ。600万部の新聞でレコード評の選考をしている人間だってココにいるわけだしね。しかし、別の局面ではオレは頭を下げねばならない。編集者やライターやラジオ・ディレクターやレコード店のバイヤーやその他、プロモーションをする必要のある人々すべてに。協力を乞うのだから、当然のことだ。
某FM局のような、昔の仕事仲間がたくさんいる場所でプロモーションをしていると、「大変ですねえ」と声をかけられたりするが、オレはオレの仕事をしているだけなので、頭を下げて回ることなど何でもない。自尊心が傷ついたりもしない。このオレの審美眼に敵った作品を、自信を持ってプロモーションしているわけだから、ど〜でもいいCDを押し込まねばならないメジャー・レーベルのプロモーターのような疲弊感もないし。
しかし、ちっぽけな局面で手に入れたちっぽけな権力を、自分のパワーだと勘違いしてしまっている人間もこのギョーカイには少なからずいる。とりわけ、末端に行くと、勘違いした若造に出会うことが少なくない。努力して手に入れた力でもなんでもない。会社辞めた途端になくなってしまうものなのにね。
先日の岡村靖幸トリビュート・ライヴの会場に、いかにもギョーカイっぽい横柄さを振りまいているスーツ姿の男がいて、何、働いているわけでもないのに、パスを付けていたりするので、どっかの代理店の人間でも来ているのか?と思っていたら、これがとあるアーティストのマネージャーだった。アーティストのマネージャーというのも、一定局面では絶対的な権力を持つことはある。アーティストが大きくなればなるほど、それが自分のパワーだと勘違する輩がいるのも不思議はない。あのライヴ会場にはそんなビッグなアーティストはいなかったけれどさ。
ともあれ、ミュージシャンやスタッフが一生懸命、良いイヴェントを作り上げようと働いている中で、非常に邪魔くさかったのだが、ちょっとしたいきさつから、今日、その勘違いくんとお話せねばならなかった。案の定、本当にちっぽけな局面において横柄さを存分にふりまく一方で、メジャーのレコード会社や媒体の人間に対しての臆病で卑屈な態度が透けて見えてくる。プロモーション受ける側からすれば、こういうギョーカイくんって、一番相手にしたくないよね。や〜めた、協力するの、でしょう。しかし、こんなマネージャーを持ったアーティストは可哀想。アーティストの味方を増やすのがマネージャーの仕事なのに、罪のないアーティストに彼はどれだけ敵を増やしていくのか?
翻って、礼儀正しくしましょう、アーティストとともにある者は。素晴らしいマネージャー、例えば、ワーナー・アーティストの豊岡さんみたいな人を見ると、オレ、何でもしますよ、クラムボンのためならって思うしね。
あ、ギョーカイなビッグ・ニュースはPHATの「MEXICAN PUSHER」が資生堂の夏の化粧品のCMの音楽に決定! WHITESという高級化粧品だそう。降って湧いたタイアップに東芝EMIは騒然。でも、話しまとめたのは僕、てことにしておこう。音楽を通した人との繋がりというのは、忘れた頃にまた、思わぬことに繋がっていくものです。
夜、渋谷タワレコに行ったら、立花ハジメさんとバッタリ。お久しぶりでした。以前は近所に住んでいて、よくお会いしたのだが、聞けば、今は駒沢公園のそばに住んでいるという。なんだ、また近所。新作は岡村靖幸トリビュートに続くバウンス・レコードからのリリース。5Fに横尾忠則さんの作った販促用オブジェがあったらしいのだが、見損ねた。
というわけで、明日より関西方面の方々、よろしく。

07.05〜07
2時間くらいしか寝れないまま、スタジオに。機材を携えて、東京駅に。小さめのスーツケースひとつと2Uのラックひとつ、それにリュック。移動は結構、辛くなる量だ。ホラ、重い物持つの苦手だから、僕は。
東京駅で朝日と落ちあい、昼過ぎの新幹線で大阪に。昨夜、寝てないせいもあって、大阪に着く頃には喉が痛く、咳が出始めた。風邪はほとんどひかない僕だが、夏風邪をひいてしまったかも。僕の喉はどうでもいいが、ハード・スケジュールの中でライヴが2本続く朝日と一緒なので、彼女にうつしやしないか、非常に不安になる。
4時に心斎橋タワーレコード入り。すぐにインストア・ライヴの準備。都内のレコード店では「HOLIDAY」の展開は今ひとつなのだが、心斎橋店は素晴らしい。いたれりつくせりの看板付き展開で、売り上げもインディー・チャートの2位。ちなみに1位は浅井健一、3位ははじめにきよし。このはじめにきよしのジャケットと「HOLIDAY」のジャケットは似ていて、遠くから見ると、よく間違える。
インストア・ライヴは4曲ほど演奏してつつがなく終了。朝日のソロ・セットも安定してきた。平日の夕方だったので、お客さんは30〜40人だったが、ほとんどがサイン会にも参加する熱心なファン。東京よりもヴァラエティーに富んでいて、女の子もいれば、若いヒップホッパーみたいな男の子もいる。イルリメ繋がりで最近、ファンになったのか?
そのイルリメとスポットライト松竹くんも見に来てくれた。岡村トリビュートのスタッフだったヒップランド松枝さん、11月に京都METROのイヴェント誘ってくださった中上さんなども加えて談笑。
夜、冨沙屋にお好み焼きを食べにいくが、旧友、フエダくんには会えず。体調を考えて、ノンアルコール。早めに休む。
明けて6日。午前中から朝日とふたりでプロモーション。まずは梅田タワーレコード。毒舌バイヤー、吉見さんから「心斎橋でインストアやるから、うちでは売らんでもええやろ、と思ったけど」などと脅されるが、しかし、ここでもインディーのナンバーワン・プッシュで展開! 吉見さんはどういうお客さんが買っていくかもよく見ていて、話を聞くと、非常に参考になる。売れゆきも好調らしいが、「あと3枚しか残ってないから、今日中に追加が入らなかったから試聴機から外す」とまた脅される。頼みますよ、ブリッジさん。いざとなったら、オレがホテルからライヴ会場で売る分を持ってくる必要があるかもしれない。
続いて、梅田HMV、梅田WAVEと回るが、どこも良い展開。ハッキリ言って、東京よりはるかにムードはいい。梅田ツタヤにもあったし。カンテ・グランデでカレー食べた後、やはり、大阪に営業に来ていたハイライン・オグミンと合流。3人でHMV安倍野、HMV天満寺、HMV心斎橋、そして、心斎橋タワレコと回る。大阪はこの日、35度を越える暑さ。その中で町中をあっち行ったり、こっち行ったりでさすがにバテた。でも、どの店でも温かく迎えてもらって、大阪は良いなあ、やっぱり。
そうそう、大阪ではどこへ行っても、目に入るのは、聞こえてくるのはエゴ・ラッピン! 昨日が発売日だったのだが、もう街のヒーローですね、彼らは。お洒落なカフェの中でもかかっているけれど、ひなびた商店街のアーケードの中でもかっていて、どっちにも似合う音楽っていうのはなかなかないだろう。カッコイイっす。
夕方、ひとりで再び梅田に行って、ラフト・ミュージックの笹岡さんとカンテ・グランデでミーティング。さかなのトリビュート・アルバムの件など話す。タワーを再度覗いたら、「HOLIDAY」大量再入荷していて、ホッ。 なんばに移動。朝日がひとりでリハスタに入っている間、オグミンとネギ焼き食べながら、アレコレ話す。それから3人でFM802にプロモーションへ。旧友、古賀くんやちわきまゆみさんに会う。
深夜、心斎橋に戻るが、あまりの暑さに食欲もなく、川福で軽くうどん食べて、休む。喉の状態は相変わらず。
明けて7日。ベイサイド・ジェニーで「JUNGLE LIFE」のイヴェント。大阪港にあるベイサイド・ジェニーには初めて行ったが、例えて言えば、ゼップ東京とか、チッタ川崎みたいなハコ。東京から朝7時台の新幹線に乗って、ケースケとダイちゃんが到着。ご苦労さま。昼過ぎにリハ。サウンドは大きな問題がなかったが、ステージ上で朝日のヴォーカルのモニターが十分に取れない。が、全9組も出演するイヴェントなので、問題解消できぬまま、本番に。非常に不安を残す。
4人でうどん屋に行って昼飯。600円のランチが信じられない量と質でウハウハ。ケースケとダイちゃんが楽しそうにしているので何より。さっきのリハでの演奏も落ち着いていた。二回しかスタジオ入っていないとは思えない仕上がりで、きっと十分に復習してきてくれたんだろう。本番まで3、4時間あったので、ふたりは近くの水族館、海遊園に。オレも行きたかったが、そうもいかない。
イヴェントは昼の3時台スタート。十代の女の子達がたくさん開場を待っている。七夕イヴェントということで、かなりの比率で浴衣姿。聞けば、彼女達のほとんどは神戸のサウンド・スケジュールというバンドのファンだということ。東京では名前聞いたことないが。
アッという間に会場は満員になり、イヴェント・スタート。朝日美穂以外はすべてバンドだったのだが、朝日のひとつ前の宙ブラリ(というバンド)は最高だった。ちょっと初期レッチリを思い出した。ヘヴィーだけれど、ファンキーでもある。あんなアクションで、あんなタイトに演奏できるバンドはなかなかないよ。朝日やダイちゃんもめちゃめちゃ気に入っていた。
朝日のライヴは新しくメンバーを集めた最初のライヴとしては、まずまず及第点というところ。モニターの問題が解決せず、ヴォーカルのピッチには苦しさが覗いたが。彼女のバンドは今まではずっと僕がミュージカル・ディレクターで、鹿島くんや北村くんや、その他の僕と交友のあるミュージシャンを集めてやってきたのだが、今回はぐっとメンバーが若返った。平均年齢は15歳くらい下がったかも。そういう意味では、ソロ+サポートというのよりももっとバンドらしい形のライヴが作れるかもしれない。
朝日の出演後は興味を惹かれるバンドもなく、耳が痛い局面も多くて、正直、イヴェント会場にいるのが辛いところはあった。ヒップランド松枝さん曰く、女子更衣室の匂いがするイヴェント・・・なんてねえ。なんで、オレがここいるんだろう? もっとも、ほとんどの出演者が同じように感じていたのではないかと思うが。でもって、トリのひとつ前に登場したサウンド・スケジュールはトライセラトプスみたいなトリオ編成のポップ・ロック・バンドで、ミスチル桜井とチューブ前田を合わせたような、非常に声の通りの良いヴォーカリストがいる。ギターもとても上手かったので、感心して見てはいたが、音楽はまあ、ヤマハっぽい感じでしたね(事務所〜レーベルがヤマハ系らしい)。朗らかでサービス精神たっぷりのアティテュードもヤマハ臭がプンプン。彼らのステージが終ったら、お客さんの8割方が帰ってしまった。
一足先に街に戻っていたケースケ&ダイチャンはマブチくん達の案内でグルメ・ツアー。西船場のタコ焼き屋でウハウハ。12時近くに朝日と僕も合流。北堀画廊(という名のカフェ・レストラン)でドラゴン・ロールや塩辛のスパゲッティを食して、ようやく盛り上がる。ツアー始まって、初めてのワイン。しかし、北堀画廊の料理はどれも絶品です。1時くらいにお開き。疲れ果てて、ホテル戻り、何も考えずに爆睡。あしたも朝早いし。