05.20 決心! 「HOLIDAY」のマスタリングを1曲、「バスタブライムス」のみやりなおすことにする。小鉄さんに電話してお願い。マスターをもう一度、作り直して臨むことに。あすの夕方までにやらねばならない。
月曜日なので、プレス会社やディストリビューターなどとも、連絡業務多し。午後は自転車飛ばして、広尾のグラス・フルーツのスタジオに。関島さんのホーン・ダビング。エンジニアはハウスの磯崎さんにお任せ。僕は譜面渡して、細かい部分の指示するのみ。チューバとトロンボーンを4トラック。MIDIでデモを作ってあったのだが、やっぱり、生はいいな。
3時間ほどでセッション終了。自転車飛ばして、J-WAVEへ。ささっとプロモーション。再び自転車飛ばして、代官山へ。朝日と「HOLIDAY」のジャケットの仕様に関してミーティング。さらに自転車飛ばしてスタジオに戻り、夜はカンちゃんのヴォーカル・セッション。こないだ聞かせてもらったポップな曲。デモの段階で、コーラスのトラックが10トラック以上ある。それをひとつひとつ吟味して、使えるトラックを残し、一部やりなおしたり、ダブルにしたり。リード・ヴォーカルに部分的に付け加えるファルセット・パートなども作る。
12時すぎに今日はここまでってことで終了。カンちゃんとふたりで韓国料理屋へ。いろいろ話す。ちょっとお酒飲みすぎ、フラフラしつつも、自転車漕いで帰宅。しかし、「HOLIDAY」完成して、少しは時間に余裕ができると思いきや、出来ませんね。メールを開くと、隙間を狙ったかのような飛びこみ仕事も幾つか。なんでもやりまっせ、こうなったらもう。
05.21午前中に自転車飛ばしてスタジオに。今日のマスタリングやりなおしのため、新しいマスターDATを作る。ちょっと込み入った技術的要因で、レベルを少し下げたマスターを作らねばならない。と同時に、前回、小鉄さんにマスタリングしてもらった仕上がりが中域抜けで音圧が足りなく思えたので、少しだけトータルEQもすることにする。プロトゥールズをエフェクターとして使ってデジタル・ドメインで処理したDATと、一度、アナログに戻して、APIのEQをかけたDATと2本作る。どちらにも一長一短あり。
渋谷でミーティングひとつ。ちょっとばかりタフなネゴシエーション。軽くレコード店回り。マスタリングに行く準備はして出たのだが、夕方までまだ時間があったので、一度、スタジオに戻る。やるべき仕事はたくさんあるのだが、そういう時に限って別のことがやりたくなる。今度、僕がマスタリングをすることになったビーカーズというバンドのマスター音源をチェック。プロ・トゥールズに取り込んで、軽く仮マスタリングしてみた。以前にもらったデモよりも格段に良い」歌と演奏で、これは楽しみな仕事になりそう。
夕方、新子安のJVCマスタリング・センターへ。小鉄さんと1曲、マスタリングのやりなおし。難しい。今日作った2種類のマスターでトライするがうまく行かず、もともとのマスターに戻す。小鉄さんにたくさんたくさん注文を出して、何種類ものEQをしてもらったが、コレというのには行き着かない。2時間ぐらい試行錯誤して、結局、オリジナル・マスターのノンEQの状態に戻り、コンプ/リミッターだけで処理する方向でなんとか決着。でも、こういうことになるのはマスター自体に問題ありなのだろうなあ。マージンがギリギリ過ぎ。マスタリングで追いこむための余裕を残したマスターを作らないと、ここぞという時に無理が効かなくなる。今回は勉強になりました。
それにしても、ついについに本当に完成したミニ・アルバム「HOLIDAY」は僕が今まで作ったことのない種類のレコード。もうすぐやってくる夏を予感しながら、ラジカセに放りこんだCD-Rを今朝も聞いてしまう。作り終えたレコードをそんな風にして聞くことは実はあまりないが、だって、これはもう、ただのポップスだもの。
でも、ハッピーなポップスを作ることは、余裕や抑制をたくさんたくさん必要とする。人には見せてはいけない汗や涙や口論や無念だってたくさんたくさん。そうやってポップスを作ってきただろう無数の先人達に思いをはせ、音楽の奥深さはあらためて知り、オレはまだまだ未熟だと思い知ることも多いレコーディングだった。でも、終ればすべて楽しき思い出。今朝はもうちょっと初夏の匂いがする。
05.22慢性の睡眠不足解消せず。目が覚めた途端に起き出して、CD聞いたりするのをやめればいいのに。でも、ここのところステレオではなくて、ラジカセで小さな音量でCD聞くのがなぜか楽しい。今朝もスバ・トリビュート聞いていたら美しくて美しくて、この音楽を作った人達の気持ちや呼吸がす〜っと自分の中に入ってくる気がして。たぶん、今朝はきっと他のCDでもそんな風に感じられたのかもしれない。何を聞いてもつまらない時だってあるし、そんな風に聞ける時もあるのが音楽で、だからこそ、面白いのだろう。
珍しく、午前中に朝日から呼び出し。アート・ワークの最終確認。一ヶ所だけ文字色で迷っているという。意見を求められる度に僕は「黒」と答えるのだが、「じゃあ、黒で」とはならず、また「う〜ん」。「だったら人に意見聞くな」とうちの親だったら言うぞ。でも、迷う時間があるうちは人は迷うのだ。僕のように残り時間が少なくなってきたのを感じ始めた人間は迷ってなどいられない。無謀なほどの判断の早さが備わってきているのを自分でも感じる。
スタジオ行って、イトウミキオさんの終らない最後の一曲。フリーボ石垣くんのギター・ダビング。まずはベーシックのギターをもらう。さすがに力感のある、僕には決して弾けないロック・ギターを弾いてくれた。それに絡むリフと一部オブリのギターを自分でトライ。なかなかうまくいかずに数テイク。それをガイドにしてもらった上で、石垣くんのソロをもらう。物凄いソロ。そばにいたので、生のピッキングの音がガツガツ聞こえた。最後のサビの繰り返し部分がどうもうまく行かないので、ふたりで構成自体を検討。一部、編集して変拍子に。僕のパートはあとでもう少し、きちんと弾いて、バリバリに編集した方が良さそうだが、とりあえず夕方に終了。
渋谷行って、プレス会社営業とミーティング。デザイナーのところに行って戻ってきた朝日が途中、合流。「HOLIDAY」の全パーツが入稿に至る。スタジオ戻ろうとしたら、カンちゃんから電話。体調不良で今日のヴォーカル・セッションはキャンセル。時間が開いてしまったので、朝日とふたりでJ-WAVEに行って、軽くプロモーション。TOKIO HOT100のチャート見たら、「だいすき」が再びチャートインしていた。渋谷まで歩いて戻る途中、ニーノ・トリンカ角森さんとバッタリ。お元気そうでした。
ひとりでスタジオ戻り、さて、イトウミキオさんのアルバムもラスト・スパート・・・と思いきや、大事故発生。NEOTEK卓のマスター・チャンネルが片方飛んでしまった。マスターフェーダーまでは生きているので、たぶん、マスターのオペアンプか。ここのオペアンプはオリジナルの5534を非常に高価なバーブラウンのに換えてあるのだが、バーブラウンは発熱に弱いのかも。痛い! それ以前に今日はもう仕事にならないので帰るしかない。帰り道、久しぶりにヴィデオでも見ようと思って、近所のレンタル屋に自転車飛ばしたら潰れていた。そういえば、今日は渋谷でマックスロードに行こうとしたら、これも潰れていた。桜ヶ丘のふもとのマックスロードは思い出の詰まった店だったのに。
深夜、J-WAVEを聞く。マーブルトロンのセッキー=関口泰正がナビゲイターになった番組。冒頭にいきなり朝日美穂の「日曜日」がかかる。かかるとは知っていたのだが、それでもちょっとビクビクっとする。自分が関わった曲をラジオで聞くのは、とりわけ、最初に聞く時にはやはり緊張するのだ。この曲はヴォーカル以外の全楽器の演奏、録音からミックスまでひとりきりでやった曲だから、ラジオから聞こえてきても、細部の細部まで聞こえ方が気になったり。
ナビゲイターのセッキーは普段ほど声が高くはなくて、プロっぽい喋りではないものの、落ち着いていて、すごく魅力的な語り手に聞こえた。ゲストの市川実和子さんとのトークはスムーズかつ、ふたりとも本音で喋っている感じで、深夜のトーク番組としてはかなり良質ではないでしょうか。古い知り合いがそんな新しい仕事をしているのを見る(聞く)のはすごく励みになる。
そうそう、自分の身近な知り合いが何か新しいことを始めようとする時に、ネガティヴな反応を示す人が多いのを僕は昔から感じている。「アイツにできるのかよ」的なね。ハッキリ言っておくが、僕はそういう人は友人とは思わない。「オイオイ、・・・だってよ」「ハハハ、・・・と来たよ」というような嘲笑ばかりしている連中は。僕くらいの年齢になると、そういう連中がことに増えてくる。ソイツラ自身が固定観念に凝り固まって、身動きが取れないことの裏返しなのにね。若い友人と付き合うのが好きなのは、多分にそのせいもあると思う。
05.23スタジオに行って、NEOTEKの卓のトラブル対策。オペアンプを秋葉原に買いに行くのは明日にして、とりあえず、バスアウトを使って作業できる状態にしようとワイアリングしなおす。が、アレ〜、バスアウトも片チャンネル出ない。メーターは振っているのに。これはおかしい。原因は外部にあるのか? ワイアリングをひとつひとつチェック。・・・と、卓のアウトからアヴァロンのコンプに行って、次にタスカムのDATに行くのだが、そのタスカムのDATに行っているケーブルが原因だった。卓自体は問題なしと分かって一安心。
昨日の仕事の続き。石垣くんのギター・パートを整理し、自分で弾いたパートの使えるところをピックアップ。が、サビの裏メロ的なパートはもうちょっとだったので、何度も弾きなおす。決まったメロを弾いたものはフレッシュさがなくなってしまうが、直感で弾いたものは歌とぶつかる箇所が必ず一ヶ所くらいはあるので、そのへんのバランスが難しい。数テイク録って編集。なんとか形になってきた。
夕方、朝日がやってきて、「HOLIDAY」のプロモ資料の相談。続いて、sasakidelic氏がタイスケマツオのジャケットの絵を返却のために来訪。が、僕はそのまま作業。人がいるところでギター弾くのは恥ずかしい。
三人で居酒屋に。軽くビール。スタジオ戻って、ミックスを始める。一度、ギター・ダビング以前にミックスしたので、ヴォーカルなどはかなり処理してあったのだが、轟音のギターで埋め尽くされてしまったので、トータル・バランスはいちから。サビの部分のヴォーカルに長〜いディレイをかけて、そこは緩くダビーに聞かせる感じにしたら、すごく良くなった。午前2時くらいにミックス完了。時にはリード・ギターが3本くらい飛び交う中、ヴォーカルがすごく魅力的に聞こえるミックスに到達できたので大満足。
05.24早起きして、新譜CDをあれこれチェック。銀座で朝日新聞試聴室選考会議。秋葉原でパーツ屋を回るが目当てのものは見つからず。イギリスから輸入かなあ。市谷の某出版社でプロモーション。夕方、スタジオに。
さて、イトウミキオさんのアルバムで残るは先日、関島さんにホーン・ダビングしてもらった曲のミックス。ミックスといっても、この曲はほとんどピアノと歌だけなので、こみいったことは何もない。間奏前からホーンが入るのだが、トロンボーン4本の柔らかいアンサンブルがなんとも気持ち良い。クロマチックのフレーズ多用がいかにもオレらしくもあり。間奏は自分で弾いたギター・ソロ。かなり前に試しにGIBSON ES125Tで弾いたものだが、何度も聞くうちにコレを超えるものはないと確信。複弦のフレーズ多用がいかにもオレらしくもあり。ハタチくらいの頃はこんなギターばかり弾いていた。最近になって、その頃の感覚が戻ってきた気がする。
ミックスしてみたら、ギターとトロンボーンの相性もバッチリ。この曲はミキオさんのピアノも歌も大好きだし、その歌と寄り添うようなホーンとギターが付け加えられて、すごくハッピー。
というわけで全曲完成したので、ダーッと聞いてみる。当初、僕は1枚のアルバム中に曲想のヴァラエティーがあり過ぎ、と思っていたのだが、僕がリプロダクションしたら、さらにヴァラエティーが出てしまった。最初の頃にやった曲はいかにもプロトゥールズでエディットかけまくった感じのデジタルな感触。が、リミキサー的スタンスが途中で、どちらかというとダブ・エンジニア的スタンスに変わってきて、最後になったら生楽器のダビングが増え、自分でもギターばっかり弾いていて、なんだかバンドのレコーディングみたいになっていた。ミキオさんには一度も会ったことないというのに。
でも、今日、最後の曲を仕上げている時には非常に彼の声を身近なものとして感じていた。たぶん、音楽をやる上で、自分が一番、力を発揮できるのは、シンガー・ソングライターの傍らにいる時だと思う。一緒に歌うように何かできる時がいい。フェーダーひとつ書くにしてもね。今日はそういう感覚に到達できた。
最初にやった曲を聞くと、努めて客観的であろうとしていた自分が見えてくる。あるいは、強引だったり、挑戦的だったりもする。が、それはそれでその時にベストを尽くしたものだから、やりなおそうと思ったりはしない。マスタリングまであと一週間あるので、曲を並べてみて、そのあたりの起伏もうまく聞かせられたらいいな。
05.25午後よりスタジオでビーカーズのマスタリング。彼ら(といっても5人のメンバーのうちヴォーカルとフルートのふたり)とはさかなのライヴで何度も顔を合わせるうちに、何となく顔見知りになっていたのだが、ミニ・アルバムのマスタリングを頼まれたので喜んで引き受けた。送られてきた4曲入りのCD-Rは曲が面白いっ! のほほんとしているようでいて、どこか奇妙にねじくれたところがあって、ゴーキーズ・ザイコティック・マンキとか思い出したり。マスタリングは僕に出来るだけのことはやりました。いつになく楽しんでしまった仕事。リリースが楽しみ。
続いて、今日はマスタリング・デー。ミキオさんのアルバムを全曲仮マスタリングして、並べてみた。指定の曲順ではしっくり来ないので、違う曲順に並べてみる。イトウミキオというミュージシャンがどういうミュージシャンか、あるいはどういう人となりか、聞き進むほどに分かってくるアルバムにしたいなと思って、僕はリプロダクションした。だから、全編に僕のフィルターがかかっているわけだけれど、それでミキオさんの音楽性が見えにくくなるのでは失敗。そうじゃなくて、僕はエフェクターというか、オーヴァードライヴ踏んだり、ワウを踏んだりする感じで、イトウミキオという存在をより強く人に印象づけることができたら、と思ってやってみたのだが、曲順を変えたら、そういうアルバムに聞こえてきた。やっぱりコンパイルって作業は重要。
夜、新川くんから電話。まずは謝る。今週月曜日までの彼の展示会に行けなかったからだが、聞けば、大成功だったそう。たくさんの人が見に来てくれて、CDも60枚売れたそうだ。CD買った人は幸せになれたはず。彼の抑制された表現は、今時珍しいくらいの幸福感に包まれたポップを生み出す。23歳のやせっぽちなフリーターの青年が作っているというのに、素晴らしくスタンダードな肌触り。来週からは彼のアルバムの仕上げだ。
05.26雷が鳴って不穏な空。でも、こうやって空を見上げて、地球が動いていることを感じとれることがすごく貴重で、幸せなことに思える。ニール・ヤングの「SEE THE SKY ABOUT RAIN」口ずさんだり。田園調布〜自由が丘をふらふら。乱れに乱れた基本生活を立て直すべく、FRANC FRANCであれこれお買い物。自由が丘は凄い人出。
うまい具合に最初の夕だちの前に帰宅。夕方、スタジオで人に会うはずだったがキャンセル。かわりに夜、エッグサイトに行くことにする。雨がやんだので出掛けようと思ったら、2度目の夕だち。でも、傘さして自転車乗ってスタジオに。もろもろ雑務。それからエッグサイトへ。
コモンビルのステージの開始直前に到着。直枝さんと鈴木祥子さんのライヴは残念ながら見逃した。コモンビル、実はライヴ見るの初めて。でも、玉川さんのパフォーマンスに目ウルウル。一瞬のギターのザクッとした思い切り。カントリーとファンクは同じものだ!というのが大学時代からの僕の持論なのだけれど、玉川さん見て、あらためてそう思ったり。
終演後の打ち上げで土佐くん、詩野ちゃん、直枝さんなどとお喋り。グラスフルーツ磯崎さんにミキオさんの仮マスタリングしたCD-Rを渡し、その場で試聴。違う環境で聞くと、いろいろ分かるもので、マスタリング課題を幾つか見つける。