05.05〜05.10 ロンドン滞在の余韻は一瞬で消し飛ぶ。なにしろ、4日に成田に着いたその足で渋谷タワレコのイヴェントに。さらに家には帰らず、スタジオ作業再開。なにしろ、今月はやること多い。マスタリングがふたつ控えているので、ともかく、音源を完成させなければならない。たぶん、月の後半には原稿仕事でヒイヒイ言うことになるだろうし。
でも、こうやって働けるのは感謝すべきことだ。仕事があること、あるいは作り出せること、そして、それをヒイヒイ言いつつも、ひとつひとつこなしていくだけの健康体ではあること。タフな、というよりはストレスに鈍感な精神を持っていることにもだな。
5〜6日で遅れを取り戻すべくアレンジ仕事に精を出す。そうそう、今、何をやっているかといえば、6月21日発売の朝日美穂のミニ・アルバム「HOLIDAY」の最後の詰め。発売日は今度は本当です。朝日がまだ1曲、書き上げていない歌詞を落さなければ、だが。
もうひとつ、マスタリングが控えているのは、8月発売のイマイミキオさんのソロ・アルバム。これは去年、出たアルバムを僕の独断でリミックス〜リアレンジ〜リセッションなどして作り直したアルバムになる。曲によって、ただミックスし直しただけの曲もあるし、バリバリにエディットをかけて、曲の構造から換えてしまったものもある。楽器の差し替えもしている。フリーボ石垣くんに先日、ギター弾いてもらったのもそれ。
さらに裏で進行中のプロジェクトは、まずは新川くんのCD。5月の展示会で即売する最初のシングル(100枚限定生産のCD-R)をふたりで焼き上げた。5種類のジャケットは僕はまだ見ていないのだが、すごく楽しみ。夏に発売予定のアルバムも完成。カセット・レコーディングにもかかわらず、すべてが完璧な傑作! PHATのダイスケは今月末、渡米して、ソロ・アルバムをレコーディングする準備中。PHATの次作のレコーディングのプランも進行中。なんかもう、凄いな、次々に。
岡村トリビュートがヒットしてくれたことや、PHATが着実に伸びていて、イニシャルの200%まで来ていることなどが、こうして次のことを考えて、踏み出していく支えになっているのは確か。もちろん、数字がすべてではないけれど、数字が人の気持ちを左右するのは否定できない。バックオーダーが来るか来ないかで、関わるスタッフのムードは一変するし。今の、このムードを次に繋げたいわけです。
話を朝日美穂レコーディングに戻すと、6日にヴォーカル以外の最後のセッション、PHATのチョースケのベース・ダビングが終了。すっごいグルーヴのある、素晴らしいベースを弾いてくれた。これは「バスタブでのアイデア」という曲なのだが、今までにないタイプの曲でめっちゃ面白い。トラック作りはフランスのDJ SPANKのプロダクションを参考にした。といっても、別に似ていないのだけれど、非英語的な間を持ったビートのズラシ方とか、感覚的なところかな。チョースケのベースが入ったら、一方ではかつてのトーキング・ヘッズとか、どこかニューウェイヴ・ファンク的なものにも聞こえてきた。でも、歌はすごく日本語がよく聞こえる。ラップではないけれど、ヒップホップ的な語感の歌。これは山口泰がミックスする予定。
7日はミキオさんの曲のホーン・アレンジ。関島さんに電話して、チューバとトロンボーンを吹いてもらうことにする。オールド・タイミーな、ちょっとハングリー・チャックみたいなムード。本当はクラリネットも入れたいな〜。でも、ギターでもいいかも、と思って、ちょっと自分で弾いてみる。
8〜9日、昼間はミキオさんの作業をしつつ、夜は朝日美穂レコーディング。怒涛のコーラス・ダビング。何度も紛糾しつつ。10日はミックス・デー。山口泰に預ける予定だったのだが、結局、歌録り終らずに流れる。ヤバ。深夜までかかって、何とか、録音は完パケ。
05.11駒沢公園周辺をフラフラして、ちょっとだけ休日気分を味わった後、三軒茶屋へ。珍しくCDを6枚もレンタル。だって、セルの方にはないんだもん。この店はレンタルの方が圧倒的に品揃えが良い。PHATの「色」もセルにはなくて、レンタルにはある。さらには、店員のレコメン・コーナーにはさかなの「リトル・スワロウ」が。今日、僕が借りたのはサントラ盤ばかりだったが、これも趣味良いの揃っている。
スタジオ行って、今日はひとりで作業。イトウミキオさんの曲を1曲完成まで追い込む。レンタルしたCDからサンプルを拾って、面白いシークエンスが出来た。ベースは自分で弾いた。この曲は自分的には今までやった中で一番好きかもしれない。ステレオ・チャンネルのEQを別々にオートメーションで動かして、サイケデリックな効果を生むようにしたのだが、ヘッドフォンで聞いたら、ちょっと気持ち悪くなるかも。
続いて、朝日のミニ・アルバムの構成を考える。ほとんどの曲はイントロらしいイントロがない。いきなり歌で始まるか、ドラムで始まるか。が、その前にSEがつくのはアリだろう。なので、曲の内容と合わせて考えてみる。試しにみっつほど作ってみた。
ミキオさんのアルバムはあと2曲。朝日の方は昨日、1曲は完パケして、山口泰に預けるだけになったので、残るは1曲。が、まだ詩が書き上がらないので、歌入れが出来ない。が、もはや出来ないなんて言っている場合ではないので、ミックスの準備を始める。久しぶりにファイルを開いたファイルは、去年の始めくらいにレコーディングしたんだっけ。ピアノがHARCOの青木くんでベースが鹿島くん。シンプルこのうえないアレンジ。が、試しにアンビエント・ギターを弾いてみることにした。変則チューニングにして、ハーモニクスだけをプレイ。それが長いディレイをかけて、組み立てていく。ドラム、ベース、ピアノのサウンドも作り込んだ。あとは歌入れができることを祈るのみ。
ふと気がつくと、飲まず喰わずで、スタジオ作業連続12時間。ひとりで音に集中していると、僕はしばしば、こうなってしまう。オーディオ・ハイとでも言えばいいのか。
05.12〜13いろいろありすぎ。スタジオでミキオさんの残る1曲のアレンジを考える。昨日やった曲はインダストリアル・ブルーズってな感じでかなりカッコイイ! 最後の1曲はさらに何か自分でも驚くようなことやりたいのだが。
午後、タワレコ渋谷の岡村トリビュート・イヴェントに。面白すぎて、ただただ見てしまいました。朝日美穂&ブラウン・ノーズ、ニーネ、FLEX LIFE、栗コーダー・カルテット、直枝政広&ブラウン・ノーズ+鈴木祥子さんが出演。無料ライヴだというのに見どころあり過ぎで書ききれない。朝日&茶鼻が意外なハマリ物。「VEGITABLE」、このアレンジでレコーディングすれば良かった。ニーネは確信犯の説得力。大塚くん、気持ち入りすぎで、ステージで負傷。FLEX LIFEはますますファンになってしまった。青木さんは歌っている時とそうでない時でなんであんなに変わるんだろう。凛としたたたずまい。ピッチ完璧。リズムが良い、という以上の独特のフロウを持ったヴォーカル。今度はじっくり見たいな。栗コーダー以下は大人の野蛮を見せつけ、ただただ圧巻。最後の「イケナイコトカイ」はベック・ボガート&アピスの「アイム・ソー・プラウド」みたいな演奏で、長〜いギター・ソロが聞きたいぞ、今度は。
客席には川本真琴嬢。十代の子から子連れカップルまで雑多な客層。そういえば、雑多なイヴェントだったのに、仕切りも嘘のようにスムーズだった。さすがソイツァー・アライ。あ、でも打ち合わせぬきで集まったので、同じ曲、みんなでやり過ぎでしたね。
ひとりでスタジオ戻って、マスタリングまであと三日の朝日美穂レコーディング。まだ2曲、完成していないので、必死でやる。三日前になって、こんなことになるのなら、なぜ三週間前に、三ヶ月前に、三年前にやっておかないんだ! 夜遅く、一度、家に戻って作業していた朝日がやってきて、さらに明け方まで作業。ふう〜っ。
明けて13日。朝日の電話で叩き起こされる。ウッソ!って事件で自転車飛ばして、スタジオまで行くことに。そのまま昨日の作業の続きに入る・・・と、なぜかアイデアががんがん出てきた。そんなことしている場合じゃないのに、ギター抱えていたら、なぜか、コードとメロディーが浮かんできて、短い曲が出来てしまったりも。コードは3小節の循環コードで、でも、メロディーは4小節で回る不思議な曲。考えたわけでもないのに、こんなのが口をついて出るのも珍しい。せっかくだから、ブース行って録音してみる。
夕方、山口泰がやってきて、ミックス開始。「バスタブでのアイデア」あらため「バスタブライムス」という曲。こういうヒップホップ・テイストの曲は山口は大得意なので、お任せで預けてしまう。彼が触るだけでグルーヴが200%アップは確実。家に戻って、ちょっと休憩。
9時頃に山口から「出来た」という電話。4時間かからなかった。山口とトモちゃんと3人でイタリア料理屋で余裕の食事。スタジオ戻ったところに朝日もやってきて、ミックス確認。バッチリの出来。わずかな注文だけする。この曲は作り始めた時は割と小品な佳曲って感じだったのだけれど、仕上がりはビッグな曲になった。トラック数はいつになくシンプル。手法的にも特に変わったことをしているわけではないけれど、でも、この感じ、誰もやっていない。
山口とトモちゃんが帰って、残るは1曲、あと1日。手に汗握っている暇もない。今日もまた、気がつけば窓の外が明るくなっていた。