BEFORE GET IN SLEEP

04.01
ちょっと停滞気味。仕事はたくさんあって、よりどりみどり。でも、どれも進まず。ゴロゴロしながら、CD聞いて終わる。隣家の工事も終り、昼寝に最適な小春日和。こういう日も必要だあっ。

04.02

だいたい、現在製作中の音源が幾つあるのだろうか? よくもまあ、平行して出来るものだとみんなに言われるが、自分でもそう思う。でも、僕は日常生活においては記憶力がひどく悪いのだが、なぜか、曲だけはすぐに覚えられる。覚えたら、なかなか忘れない。コード進行とか、仕掛けとか。街で一回、聞いただけの曲でも、ちゃんとインプットされていたりする。レコーディング途中の曲だったら、MIDIデータのクォンタイズの具合がどうだとか、ヴェロシティーがどうなっているとか、細部まで記憶している。が、不思議なことにエンジニアリングに関しては全然、覚えられない。EQがどうとか、ディレイタイムがどうとか。どうも僕の記憶力は曲を覚えるということだけに特化されているみたいだ。
それはともかく、午後に朝日から電話。大阪で今月中盤に岡村トリビュートの販促イヴェントがあり、イルリメと一緒にインストア・ライヴをやるのだが、そのためにトラックを作りたいという。トリビュートには入っていない曲をいちから作るって? こんな時にまた。が、やるしかないので、スタジオへ。スタジオにあるはずので岡村のCDが見つからなかったので、原曲を聞かずにやる。「だいすき」のアレンジの時も実は原曲はほとんど聞かなかった。朝日に何度か歌ってもらって、アコギでコードをつけていったので、原曲とは全然違うコード進行になっている。でも、今日は朝日が譜面を持ってきたので、それを見てギターをジャカジャカ。
しかし、岡村靖幸の曲は難しいな。こんなコード進行見たことない・・・こともないが、こういうコード進行でこういう効果を上げるのか!という点では目ウロコ。しかし、どうアレンジしよう? なんとなく、テンポを落してヒップホップみたいにしてみたくなったので、MPC2000で一小節単位でストップする感じのビートを作る。途中、それが倍のツービートのパターンになるようにしてみて、歌ってもらったら面白い感じ。なので、ドラム・トラックはOK。でも、うわものはアレンジしようとしたら大変だわ。コードが多いし。リズムも変わるし。しかし、インストアでたぶん、ぶっつけ本番でイルリメと何かやるのに、あんまり作り込んだものを持っていくのもヘン。アレコレ、キーボード弾いてみるうちに、クラフトワークみたいな単音シンセのアルペジオのみで進行するのはどうか?と試す。往年のアフリカ・バンバータ風?
「コレどうすか?」と朝日にお伺いを立てるが、「イヤ〜!!!!」と絶不評。じゃあどうすんだよ。こんなコード難しい曲、普通にエレピ弾くとかできないし。ギターならまだ、なんとかなるが。なので、エレキをラフに弾いてみる。ストラトをマーシャル・サウンドでザクッと。そしたら、コレが意外に好評。なので、かなりラフにガーッと弾く。前半はルーズなファンク。後半はパワーコード。でも、コードががんがん進むので、ピストルズ風歌謡ロックみたいでもある。
ドラムもザクザクした感じに音色作り込んだら、なんだかコレで良い感じがしてきた。ベースは・・・弾くの面倒臭かったのでナシ。ジョンスペだってベースいないし。というわけで、MPCのドラムとエレキ1本だけのオケ完成。「アタシ、こんな音楽やったことない」。そりゃそうでしょう。でも、意外に面白いかも。4/17に梅田タワレコでのみお披露目。

04.02

天気が良いので自転車で原宿まで出掛ける。某セレクトショップにてYAMAUCHIとタイスケマツオのプロモーション。原宿は人が多くて、自転車乗りにくい。でも、背の高いビルが少ないのは良い。
スタジオに戻って、フリーボ石垣くんのギター・ダビング。三日前にいきなり頼んだ仕事なのに、きちんとコード譜まで書いてきてくれて恐縮。アコギをマーチンとテイラーで1本づつ。エレキをストラトで1本。その場でアレンジだけでなく、全体のムードを考えたミックス的な作業もやりつつ、作業したのでかなり時間がかかってしまった。11時近くに終了。駅前の居酒屋で食事しつつ、アレコレ話す。フリーボ早く復活してよ。
スタジオ戻って、そのままミックス作業。でも、楽器足りないかなあ。石垣くんはマンドリンを入れることを提案。僕は一応、マンドリン弾きなのだが、テンポが速いので弾くの難しそう。とりあえず、ミックスを完成に近いところまで追い込んでから帰宅。久しぶりにフラットアイアンのマンドリンを取り出して、ちょっと練習。う〜ん、やっぱり難しいや。

04.03

軽い原稿書きともろもろ雑務。午後に渋谷タワレコでミーティング。それからスタジオに。家から持って出たフラットアイアンのマンドリンを試す。僕のマンドリンはチョ〜自己流。マンドリンを弾きはじめたのは大学時代だが、ギターと違って、コピーとかはまったくしたことがなかった。チューニングも普通のマンドリンよりも4度も下げてあるし。ロック・バンドの中で使うのはこのぐらいの音域が良いんじゃないかと思ったからなのだが、そのため、弦もギターの弦を組み合わせて、自分でセットを組まないといけない。
愛用のフラットアイアンは10年くらい前にロスアンジェルスで買ったもの。ハリウッドの大きなギター・センターで片っ端から試奏したら、コイツが一番しっくりきた。ギブソンのオールドよりも良かったくらい。フラットアイアンはポピュラーではないブランドだが、実はギブソンのマンドリンもフラットアイアンが作っているらしい。ともかく工作の精度が高い感じで、チューニングもバッチリ。4度下げて、太い弦張ってある分、普通のマンドリンよりもネックに高いテンションがかかっているはずだが、ビクともしない。
ともあれ、昨日の曲にマンドリンを入れてみることにする。アコギやアコーディオンを部分的にカラーリングする目的なので、たいしたことを弾くわけではないのだが、それでも難しい。指がもつれそうになる。が、決めこみ過ぎても面白くなくなるので、3テイクほどラフに弾いてみて、使えそうなところを編集する。ダメモトと思っていたが、ちょっとラフなプレイでも、オケの中に馴染ませてみたら良い感じ。復弦の楽器がちょっと鳴っているだけで、音楽のアコースティック感が増し、アイリッシュ的なニュアンスも出てきたりする。そのまま、一度、ミックスダウンしてみる。あ〜、部分的にタンバリンが欲しいなあ。でも、タンバリンの天才、アップルズ黒田くんは旅行中だ。
夜は朝日がやってきて、一昨日、作ったリズム・トラックに仮歌入れ。インストア・ライヴで一回使うだけの素材なのに、いつものようにヴォーカルのリズムの取り方に朝日がこだわり、いろいろ試す。さらに、5月に朝日美穂&ブラウン・ノーズでやるインストア・ライヴ用の資料を作ったり。こないだ山口泰がミックスしたマドンナのカヴァー曲を聞き返してみるが、素晴らしいアレンジ!と我ながら感動。

04.05

PHATのダイスケと東芝EMIに出向き、ビジネス・ミーティング。アルバム「色」の発売から一カ月。そろそろシビアな現実が見えてくる頃合いでもある。メジャー・レーベルが数字を突っ込んだはいいが、店頭で商品は動かず、ほどなく返品の山ってことも珍しくないこの頃。が、聞けば、「色」は発売1カ月後の消化率150%! むしろ、四月に入ってから伸びていて、日に三桁のバックオーダーが来ている。う〜ん、一安心。これなら5000枚ももうすぐ。なんだ、5000枚かと言うなかれ。日本人のインストのバンドが、デビュー・アルバムで5000枚を越えるなんて、奇跡に近いことなのだ。
なので、非常に前向きなムードでPHATの今後について、いろいろとプラン出しをする。次のフル・アルバムのレコーディング時期やそれ以前に他のアーティストとのコラボレーション作を作る計画。誰でも考えつくのは、女性のゲスト・ヴォーカルを入れて、ポップなシングル曲を作るってなアイデアだが、もっとハードな方向で切り込むってのもありかも。そういえば、PHATは来週は新宿ロフトでROSSOとタイバンするのだ。
スタジオ行って作業しようかと思ったが、どうにも眠いので帰宅。なんと、9時頃に寝てしまう。春眠暁を覚えず・・・とは言うが。

04.06

ホントによく寝た。朝の9時頃、終ったと思っていた隣家の工事が再開。電動ノコがギ〜ンと鳴ったりしていたが、それでも耳栓して無理矢理、11時頃まで寝続ける。
午後にスタジオに。ほどなくPHATのメンバーが集まり、来週行う、とあるアーティストのリセッション・ワークの打ち合わせ。こないだ、ヌマちゃんと僕でラフにセッションしたのを残るふたりに聞かせると、「い〜じゃん、コレで」。「色」のレコーディングの後半は殺伐としたムードすら漂っていたのが、みんな、うってかわった軽〜いノリ。イケイケ・ムードでプリプロ続行。ヌマちゃんの叩いたパーカッションは5拍子で、僕はその上で11(6+5)拍子でツーコードのギターのパターンを作ったのだが、ダイスケが6拍子のベースラインを提案。早速、チョ〜スケに弾いてもらうと、コレがまた良い感じ。ダイスケがブース行って、ソプラノ・サックスをワンテイク。ちょっとジプシー的なフレージングを試す。すでに、かなりカッコイイ気がしてきた。
歌は普通の4拍子なので、すべてがモアレ状にズレていくわけだが、意外なほどすんなり聞けるし、もとのアレンジよりもむしろ歌がエモーショナルに響く。予算もたっぷりあるので、来週のレコーディングはゴージャスなスタジオ。楽しみだなあ。
3人が帰った後は、先日来からの個人仕事の続き。今日はインストの曲をリミックスする。まずは、素材からパーッカシヴな要素を抽出してループを作り。ここでも4だったり、5だったり、6だったりするループの組み合わせでズレていく、トライバルな感じのリズム・トラックにトライする。頭で考えすぎないように、直感的にガンガン、エディットしていく。フェラ・クティとリー・ペリーとジョンスペをちょっとだけ意識。面白いリズム・トラックが出来たので、上にオルガン・ソロを乗せる。オルガン以外の楽器はほとんどカット。途中、ダブ的な処理で曲の構成を作り込もうかとも思ったのだが、ミュートやディレイ処理などをしないワンウェイ・リズムの方が乱暴な迫力があってグ〜と判断。ごくごくストレートなミックス処理だけして完成。かなりPHATのサウンドに近い感触になったかもしれない。
駅前の定食屋で夕飯食べてから、さらに、もう1曲にトライ。これは簡単と思っていた曲なのだが、始めてみたら、意外に難しい。オリジナルの素材だけでは足りない気がしてきたので、各トラックをフィルタリングして、リレコしてみる。が、決定的なアイデアなり、完成形のイメージなりには到達できず。後日、再トライすることに。

04.07

静かな日曜日。時の経つのは早く、今年ももう1/4が過ぎてしまったのに気づく。幸いなことに、オレのまわりでは物事は進みつつある。PHATは誰もやっていない音楽をやり抜くことによって、確実にシーンに刺さりつつあるし、岡村トリビュートには信じられないような初回注文数がつき、数字を見て、去年の今頃、企画に取り合おうとしなかった業界の人々までがが慌てふためいていたりするのが小気味良い。これもまた、朝日美穂が誰もやろうとしなかったことをやり抜いた結果。最近、お気に入りのFLEX LIFEの曲に「かなう〜、かなう〜、それはかなう〜」ってリフレインがあるのだけれど、そう、大事なのは望み、願い、叶うと信じることであって、つまるところ、人間、やるかやらないかなのだ。他人が首をかしげるようなことでも、やり抜けば、何かは残る。誰に頼まれたわけでもない、個人の思いつきでしかなったことを世の中に刺さるところまで持っていくというのは、最高に面白いことだし。これはやった人間にしか分からない。
YAMAUCHIもまた、誰もやらなかったことをやろうとしている男だし、タイスケマツオにしても、新川くんにしてもそう。そういう人間が僕のまわりにゴロゴロいるという状況はとてつもなく面白い。一方では、音楽をめぐる状況はかつてなく厳しくなりつつもある。が、だからこそ、企てる側に回るしかない、というのが僕の実感だ。他人の企てを観察したり、批評したりしているだけではつまらない・・・というより、それでは生きていけない、というくらいの感覚がある。
午後より、ひとりでスタジオ作業。昨日、やりかけた曲に再トライ。ノード・モジュラーのヴォコーダーで変調し、リレコしたループを聞き返してみたら、すごく良い感じだったので、それを軸に組み立てる。ひとつ気に入った音ができると、昨日、思い悩んだのが嘘のようにサクサクと進む。短いインスト曲だったので、夕方にはミックスダウン。
DATに落していたら、カン(アキトシ)ちゃんから電話。こないだ、僕が日記にカセットデッキが壊れた、と書いていたのを読んで、中目黒のフリーマーケットでカセットデッキを買ってくれたそう。ナント、200円! ほどなく、カンちゃんが持ってきてくれたが、立派に動くティアックのダブルデッキ。いや〜、持つべきは友達。思えば、僕とカンちゃんは歳が20近く離れているはずだが、奇妙なほど、ダチの感覚がある。しばらく雑談の後、カンちゃんの最近、作ったデモを聞かせてもらうが、コレがグ〜。英語だったので、「曲は?」と聞いてしまったが、カンちゃんのオリジナル。失礼しました。でも、カヴァーかと思うくらいキャッチーな良い曲だった。ソロ・アルバム用にもう8曲書いたそう。ガンバレ!
カンちゃんが帰った後、朝日のこないだ完パケた曲のミックスを始める。例のアレンジに2年間かかった曲。パッと聞きはシンプルなアレンジになったものの、その実、トラック数は多く、50チャンネルくらいある。それらをグルーピングしつつ、少しづつトリートメント。このミックスは大変だ。ある程度、整理してからでないと、人にも手伝ってもらえない。
遅い夕食を再びカンちゃんと会って、カンちゃんの友達の女の子と3人で中目黒に。「フィガロ」に出ていた小洒落た餃子屋に行ってみる。安くて美味。なんだかんだ、またバーッと話す。ワインを3杯も飲んでしまったが、夜更けにスタジオに戻り、作業再開。3時頃までやるが、もちろん終らず。