03.25〜26 朝日美穂レコーディング。といっても、終日、ひとりで作業。新曲のアレンジ。ゆっくりゆっくり進む。シンプルなドラム・トラックを少しづつ、シェイプアップ。これだけで聞けるぐらいのドラム・トラックは作れないものか。ともかく、この曲はベースを最後まで入れずに、作業することにする。
そういえば、このところまた聞き返しているのが、メアリー・J・ブライジの去年のアルバム。当初はドスコイなバック・トゥ・ヒップホップ路線と、ほとんど演歌(怨歌)みたいな歌にあっけに取られていたのだけれど、後半に2、3曲ほどあるエレクトロな曲が面白い。スイス・ビーツって奴のプロデュース曲はまるで往年のスクリッティ・ポリッティ・サウンドなのだが、コイツ何者? このへん、結構、今やりたいことと近いかも。03.27
午後より朝日美穂レコーディング。苦節2年、先週ようやくアレンジ完成した曲の歌入れ。オケがめちゃめちゃ明るいので、ちょっとカラーを差別化したくて、マイクはやや暗めのU67を立てる。
数テイク録って、途中、中目黒に出来たスターバックスに。打倒スターバックスのコーヒー・チェーンを作るにはどうしたらいいか?というのをこないだから喋り続けている。黒を基調としたシックなインテリア。オンナコドモの好む、甘いコーヒーは排する。メニューには哲学者の名前をつけよう。ラテはサルトルとか。エスプレッソはニーチェとか。高級チョコレートと一緒に葉巻を売る。全館禁煙だが、買った葉巻を吸えるコーナーはある・・・なんてのはどうか? レコーディング途中の、特に歌入れとかシリアスな局面になると、こういう関係ないことをダーッと喋りたくなる。
戻って歌入れ続行。さらに数テイク。が、最初に録ったテイクが一番、ナチュラルで良さそう。歌詞間違えたりしているが。今日はここまでということで、ダーッと編集の後、ダブルを試すことを提案。いつものように朝日は疑問視。「ダブルにしてみよう」「エ〜ッ?」「アコピをエレピにしてみよう」「エ〜ッ?」というやりとりを過去5年間で何度繰り返しただろうか。結局、いまだにダブルを本ミックスで採用したことがないのだが、懲りずに試してもらう。
それにしても、寒いですね。去年も桜咲いているのに雪が降っているという日があったけれど。夜中、ヴィンセント・ギャロかけたまま眠っていたら(なんか、暗いヤツみたいだな、コレって)、CD終った後にチューブ・アンプが軽く発振したみたいで、ウ〜ンという音が部屋中に響いていたワッと目が覚めた。なんだか怖かった〜。03.28
雑務多くバタバタ。午後、YAMAUCHIのミュージック・マガジンのインタヴューに立ち会い。インタヴューワーはサラーム海上さん。そういえば、書くの忘れたが、一昨日も僕、リミックスのインタヴュー立ち会ってましたね。
タワレコで軽くプロモーション。ソイツァーやぶちんに久しぶりに会う。渋谷まで自転車で行ったので、そのまま広尾方面へ。なぜか、コモンビルがレコーディング中のスタジオで、コモンビルとは関係ない打ち合わせ。玉川さんに初めてお会いする。ちょうどリズム録りの最中だったので、少し見学。土佐くん、チューニング甘いよ、と脅してみたり。
スタジオ戻って、一昨日の作業の続き。やらねばやらねばと思ってやらずにいたアコギの録りなおしをする。ひとりでアコギを録るのは苦痛といってもいい作業なのだ。ヘタなのが目立つ・・・というだけじゃなくて、音決めも難しい。自分でブースで弾きながら、セッティングをいじることは出来ないから。そのへんを少しづつ詰めていって、何度も録りなおすのは、物凄く精神力がいる。さかなの西脇くんは「BLIND MOON」のレコーディングの時、ここでそれを何百時間もやっていた。やっぱり、とんでもない人だと思う。
ようやくセッティングも固まり、プレイの細かいところも決めこんで、よし、と思う頃には握力がヘタってきてしまう。今日はテンションの高いテイラーのギターでやったので特にキツイ。でも、なんとか録り終える。アコギ録り終えたら、すごく解放されて、あとはサクサク進む。ムーグのベースと、ノード・モジュラーで作ったキラキラした感じのエレピ。ウォルドフで作ったパッド。最近、またシンセ・プログラミングが楽しい。スクリッティ・ポリッティみたいの・・・と考えたり。
ともかく音色はその時の気持ちをこめて作る。でも保存はしない。今日はキーボードも全部手弾き。MIDIも使っていない。でも、こういうやりなおしが効かない方法でやるのがいいみたいだ。アンチ・トータル・リコール!03.29
スタジオ行って、昨日の作業確認。それからバーフアウト編集部にプロモーション。が、いきなり「YAMAUCHI、次やります」ってことで、プロモ・トークの必要もなし。後は雑談。バーフ内田くんは4月からバウンスに移籍だそうだ・・・アレッ、誰かと同じ道辿ってるな。
渋谷に出て、SASAKIDELIC氏とタイスケマツオのジャケット色校の打ち合わせ。それからエッグサイトの無頼庵主催のイヴェントに。着いたら、ちょうど無頼庵が始まったところ。ヴォーカル堀内さんの声の太さに驚く。こんなヴォリュームあるロックンロール・ヴォーカル、日本人にいるかな。バックのフリーボの面々もめちゃ楽しそうに演奏している。あんなにはしゃいで動き回る石垣くんを初めて見た。ライトハンド奏法までしたりして爆笑。でも、どんなに弾きまくっても、ヴォーカルをかき消したりする心配がないので、弾きまくれるのだよな。無頼庵、凄いです。素晴らしく正統。
イヴェントはたくさんの出演者による、メモリアルなイヴェントでもあり、たくさんの知り合いに会ったのだが、残念ながら、無頼庵だけ見て、僕は退場。スタジオに戻って、朝日美穂レコーディング再開。ようやく朝日が歌詞を書いてきたので、昨日まで作っていたトラックに仮歌を録ってみる。2テイク録って、いろいろと検討。曲の構成から歌詞の内容からで、長〜い話になる。いかにして抽象性を排するか、ということを最近は考えに考えてしまう。
結局、3時すぎまで作業。閉店間際のツタヤに飛んで行ったら、「YAMAKASI」があった! 返却直後の1本ゲット。でも、帰ったら、さすがに眠くて見られず。あしたのお昼に見よ。03.30
バタバタと雑用。ちょっと気を抜くと、郵送事務やら経理事務やらプライヴェートな雑事やらがどっと滞っている。至急やらねばならないことからやるので、懸案事項はいつになっても手につかない。どっかで一週間くらい空けて、身辺整理したいと思うが、スケジュールを見ると、2、3カ月はそんな時間はなさそうだ。僕は長い間、二週間先のスケジュールぐらいまでしか決まっていない生活をしてきた。原稿の締め切りなんてのは、せいぜい二週間先だから。でも、最近は1年先くらいまでの、やらねばならないことがおのずから決まって行ってしまう。正直、窮屈な気分は禁じ得ない。気侭な部分がないと、音楽なんていう、訳の分からないものと付き合っていくのは難しい部分があるし。
なんて思いつつも、当面はともかくスタジオ・ワークで手一杯。今日はスタジオにPHATのヌマちゃんがやってきて、とあるアーティストのリミックス、ならぬリセッション・ワークの打ち合わせ。ミリオンくらい売っているアーティストだが、実はヌマちゃんの古い知り合いだったそう。アカペラ・トラックを聞きながら、ふたりでどうしよう?と考えてみるが、BPM90くらいのハネ系の16ビートをこのまま生で演奏してもPHATらしくはない。アカペラに合わせて、ヌマちゃんがMPC2000のパッドを叩く。リズムは5拍子。その上で僕が11拍子でツーコードのギターを弾いてみたら、トライバルな面白い感じになった。本チャンのプリプロは来週やるのだが、なんとなく面白くできそうな感触はアリ。
続いて、僕の個人仕事、とあるアーティストのリミックスに着手。4月中にアルバム一枚作らねばならない。リミックスといってもトラックを作るわけではなく、PHATのレコーディングでの僕の役割を他のアーティストの素材でやるというのに近いかな。今日はインストの曲にトライ。素材から最小限の要素を抜き出し、編集というよりは作曲に近いことをやる。PHATのならもう許されることだけれど、会ったこともないアーティストの曲や演奏をここまでしてもいいのか・・・ということをあえてやる。
思うに、物事やるからには思いっ切りやった方がいい。その結果が拒否されることもあるだろう。でも、そこでプライドが傷つく・・・とかいうことをなしにすればいいだけだ。他人のプライドは大事にした方が物事スムーズだけれど、自分のプライドなんてのは粉々に叩き壊してから仕事を始めた方が、かえって自由になれる。そのへんは鍛えられたな、この数年で(理由はあえて言わない)。
帰宅後、「YAMAKASI」を見る。リュック・ベンソンの映画はいつも内容なんてないので、そのへんは期待もしていなかったのだが、秀逸なサントラが映画中ではさして重要には扱われていなかったのでガックリ。パリの郊外の荒くれたムードがもう少しリアルに出ていてもいいのにな。03.31
ひょんなことから、道端でジョルジオ・アルマーニのスーツを2着もらう。サイズぴったり。さすがの素材と仕立て。
昼はずっと家にいて、生活立て直そうと試みるが、掃除も洗濯もまったくはかどらない。基本的に僕は生活破綻者だ。きちんと習慣づけて出来ることがほとんどない。毎日、きちんとやっていることといったら・・・この日記を書くことぐらいか。コレだけは物凄く素早くできる。あったこと書くだけなんて簡単だし。もっと、なかったことまで書いてみようと時々、思ったり。あ、でも上のアルマーニの話はホント。生きていると、いろんなことがあるものだ。
夕方、スタジオに。フリーボ石垣くんが貸していたギブソンのSGを持ってきてくれたので、駅まで取りに行く。一昨日、久しぶりに石垣くんがギター弾くのを観たけれども、やっぱり最高だったな。帰ってから、フリーボの「BLUE MOON」を久しぶりに聞いたら、やっぱり素晴らしかった。冒頭の3曲、すべてにすべてが完璧と思う。どうして、こんなアルバムが売れなかった(ゴメン)のだろう? 今からでも聞こう!と言っても、もう廃盤だという。文化遺産になりうるカタログを2年もしないうちに自ら殺しちゃう昨今のメジャー・レーベルのやり方にはもっと、みんなで異議を唱えるべき。
喫茶店で石垣くんといろいろ話す。久しぶりだったので、話はあっち行ったり、こっち行ったり。いろんなミュージシャンの話をする。石垣くんは彼自身ももちろんミュージシャンなわけだけれど、自分がやることばっかりに夢中のミュージシャンじゃなくて、周囲のバンドやミュージシャンや音楽を巡る人と人の繋がり方みたいなことを本当に愛している男だなと思う。だから、あんな心揺さぶるギターが弾けるのだ。話しているうちに、思いついたことがあって、スタジオまで来てもらう。とある曲のギター・ダビングを依頼。ふたりでアレンジを考える。SGを返してもらったかわりに、マーティンのアコギを貸し出して、来週弾いてもらうことに。
帰ってから、コレを読んだ。石垣くんからもらったコンピレーションを聞いてみるが、1曲目でとまってしまい、その先は聞けなかった。