BEFORE GET IN SLEEP

03.18
昼は原稿書き。夕方からスタジオで朝日と昨日のアレンジの続き。ベース・ラインでまだ悩む。ボツにした方のラインの方が良いのではないか? シンプルだが、モジュレーションの具合が絶妙でぐっと来る。なので、こっちのベース・ラインに合わせて、もう少し、アッパーになるようにドラムをいじってみる。キックをシンコペートさせてみたら・・・ん〜、これじゃ今時のツーステップ(死語?)になっちゃうな。結局、もとの四つ打ちに戻す。リズム・トラックとしては、今のままが気持ち良いのだ。でも、歌と合わせてみると、質感がクールになり過ぎる。僕のハーバート好きを知る人はモロ!と思うかも。やっぱり、ポール・マッカトニー・ネタのユーモラスなラインの方が良いか・・・ということで、数時間費やした後、昨夜の状態に戻る。しかし、ベース・ラインひとつで曲想というのは変わるものだ。
もうひとつのベース・ラインに戻って、メインのコード楽器を考える。さっきまでのベース・ラインだったら、もうほとんど楽器は要らないのだが、こっちはロック〜ファンク的なアンサンブルになるので、キーボードかギターが必要。でも、さんざんあ〜でもない、こ〜でもないとやってきた曲なので、もう手駒がない感じ。以前やったことを今のトラックと合わせても、今ひとつ、ぐっとは来ない。何パターンも何パターンもギターを弾いてみるが、セミアコでなんでもない感じでガチャガチャとコードを弾いたのが朝日は良いという。う〜ん、でも、それじゃネオアコだろう。オレは恥ずかしいぞ。でも、それが一番、曲にあっているんですよ・・・みたいなやりとりでまた数時間。
最後にアコギの速いアルペジオをトライしてみたら、これが良い感じ。でも、きちっと録り終えるだけの集中力はもはやなし。

03.19

北中正和さんから「YAMAUCHI、面白かったよ〜」と一言メール。一昨日の日記、読んだのかな? でも、サンプル送って、こういう反応が返ってくるのは嬉しい。MEETS和久田さんからも、サラーム海上さんからもメール。うんうん、手応えあるぞ。てことで、さらなるプロモーション・スケジュールを立てる。が、今日は電話のアポがまったく取れない。さすが音楽業界、遅い午後出社の人の多いこと。
午後、久しぶりに新川くんがスタジオに来訪。彼の曲を2曲マスタリングする。5月のとある展示会に合わせて作る予定の彼の最初のCD。愛用のカセットMTRとリヴァーブ(ともにヤマハ)を持ってきてもらって、2トラックのオケと2トラックのヴォーカル・パートをプロトゥールズに流しこみ、結局、マスタリングというよりはミックスの作業になってしまった。オケはAPI、ヴォーカルはNEVEのEQを通して取り込み。リヴァーブはレキシコンやTCやAKGのスプリング・リヴァーブまで試してみたが、結局、彼のヤマハのREV100を使う。
カセットMTRで作られているにもかかわらず、新川くんのトラックは驚異的な緻密さを誇る。こんなことやっている奴、他にいない。フィフティーズの香りも漂わせたその絶妙なカセット・フィーリングを損なわずに、でも、今のCDと聞き比べても負けない音場感や音圧感を作り出すの苦労する。たったの4トラックにたくさんのプラグインを動員。特にリヴァーブに関しては、デジタルっぽさを消すために、今までやったことないことをやってみた。オートメーションもていねいに書きこみ。結果、素晴らしいマスター完成。CDは5種類のジャケットで、20セットづつ、計100枚だけ作られる。すっごい楽しみ。
PHATのダイスケが来訪。5月の渡米予定とソロ・アルバム制作のプランに関して、いろいろと話し合う。今年は彼にとって勝負の年。ガンガンやるしかない。あすはジェフ・ミルズに会いに行くそう。今の彼は見ているだけでも楽しい。
夜に山口泰来訪。昨日の続きのアコギの録音を手伝ってもらう。エンジニアにマイク立ててもらうのはやっぱり嬉しい。さらっとワンテイク録音。アルペジオをそのまま弾かないで、みっつのパートにバラして弾き、それを重ね合わせてループを作ることにトライ。面白いサウンドになる。でも、ちょっとポリリズミックかつ、曲がまたクールなムードになり過ぎか。なので、深夜にまた悩む。アレンジってほどのアレンジじゃないのに、たったひとつのコード楽器の決定に何故、こんな時間がかかるのか。ストリングスのスコアとか書いている方がよっぽど楽な気がする。
もっとも、新川くんもアレンジと録音には時間がかかってかかって、泣きたくなると言っていた。確かに、彼のアレンジはごくごくシンプルなのに、考え抜かれたゆえの、人に優しい手触りがある。学びたいな、そのへん。

03.20

またやってしもうた・・・ですね(掲示板の件)。
しかしまあ、駒沢公園は桜満開。本当は今日は某雑誌編集部にプロモーションにいくはずだったのだが、午前中にドタキャンの電話があったので、公園をぷらぷらして、カフェ行って食事して・・・久々に余裕かましてみました。
夕方近くに街に出て、VIEWSIC〜ボンジュール・レコード〜トイズファクトリー〜タワレコ・オフィスと回る。リミックスとミュージック・マガジンからYAMAUCHIのインタヴュー・オファー。ボンジュール小松くんからも良い話をいろいろもらう。面白くなってきたなあ。そうそう、SUのダイチャンから4/3に三軒茶屋グレープフルーツムーンでライヴ決定の知らせ。SU+AUPE(PHATの藤原大輔の別ユニット)+YAMAUCHI。メモリー・ラブ・ファン(なんて人がいれば)必見ですな。
夜はひとりでスタジオ作業。昨日、山口泰に作ってもらったセッティングでアコギを頑張る。昨日は編集すること前提のインポッシブル・ギターを試したが、今日は普通に生で弾けることを弾いてみる。コード感もごくごくストレートなものにしたら、シンプルで明るくて、ノリの良い感じになった気がする。これでイケたかな? あした、朝日に判定してもらおう。
ところで、イーグルズ嫌いの僕が最近、なぜかイーグルズをよく耳にする。耳にする度にセンチメンタルな気分になってしまう。理由は書かないけれど、音楽の聞こえ方はこんな風に変わるものなのだな。イーグルズのCDなんて、当然、うちにはないのだけれど、「ベスト・オブ・マイ・ラヴ」が頭の中でループしている。

03.21

朝、サンレコもバックナンバーを読んでいたら、欲しくなってしまったものがあって、渋谷の楽器店でエフェクター購入。LINE6の紫色のフィルター版のやつ。スタジオに戻って、早速、遊んでみる。懐かしのギター・シンセ・モードが面白い。
昨日の続きで、朝日の曲に2本目のアコギを試すが、あまりうまくいかない。加えたいリズム・アクセントがあるのだが、ギターでは音が増えすぎなので、パーカッションに切り替える。こないだ聞いたクレイグ・デヴィッドの曲のトライアングルの音がとても綺麗だったので、あんなトライアングルを入れたいと思うが、手持ちのサンプルにはない。思い立って、WOLDOFのMICROWAVEでいちからプログラミングして作ってみる。シンセで作った音だから、生っぽくはないが、タイトで良い感じのが作れた。思うに、シンセで頑張ってパラメーター追いこんだ音というのは、何年か後に聞いても、愛着が残っているものだ。手軽にサンプル使ってしまうと、ああ、あの頃のサウンドと思えてしまうことが多い。
夕方、渋谷のタワレコでPHATのインストア・ライヴに。久々にメンバー3人に会う。お客さんは結構な入り。初めてPHATを見る感じの人達も多い。音響が良いとは言えず、前半は心配しながら見ていたが、後半に演奏した普段よりぐっとテンポの速い「FF」は凄かった。それにしても、こと渋谷タワレコではPHATは凄いことになっている。1、2、3、5Fの4フロア展開はギネスブックもの?
スタジオ戻って、朝日とトラックの確認作業。トライアングルに続いて、ギロも入れてみる。これはサンプルだが、ワンショットごとに微妙にパラメーターを変えて作ってみた。ユーモラスで良い感じ。さらに、ストリングス・パートを試す。一昨年の暮れに打ち込んだデータがあったので、それを流用してみるが、案の定、うまくは行かない。コーラスとぶつかるので却下。かわりにノード・モジュラーで作った音色でフィルターのかかったパッド的なパートを試すが、「これじゃテノクになっちゃう」と朝日に反発される。テクノのどこが悪いんだよ。
レコーディング末期にありがちな状況だが、この曲は一体、テクノか、ハウスか、R&Bか、ヒップホップか、はたまたロックか?というような訳の分からない話に陥る。朝日美穂という人はヴォーカルのノリに関して恐ろしく細かくて、ハウスと解釈すればこのタイミング、ヒップホップと解釈すればこのタイミング、というようなことをよく言うのだが、正直、僕のタイム感はそこまで繊細でないので、気持ち良いところで歌えばいいじゃん、みたいな答えでお茶をにごすことになる。でもって、この曲は何かといえば・・・そうだ、ポップスでしょ、ポップス。
なんだかんだで深夜までかかるが、間奏前のふわっとコード感を広げたいパートでつまづいたまま。家に戻って、カーペンターズでも聞いてみよ、ってことで終了。

03.22

午前中に自転車飛ばして、下北沢に。オトゲノム北岡さんとミーティング。それから銀座に向かう。朝日新聞試聴室選考会議。いつものように車中でミュージック・マガジンを読む。くるりの新作もオリジナル・ラブの新作も僕はまだ聞いていないのだけれど、インタヴューは面白いですね。共感する発言多数。
さらっと会議終えて、銀座から代々木上原に。JASRACで著作権申請。最近、いろんな人に会う度に話題になるが、去年の後半あたりから、CDが売れないというのが肌身に染みる感じで実感されてしまう。プレス会社の人の話では、去年1年でCDの総生産量は15%減だったそうだ。ともかくエンドユーザーが買ってくれない。そのためにバイヤーが非常に慎重になっている。だから、うちのレーベルみたいなインディーの作品は取ってもらうこと自体が難しい。
レーベルを始めた一昨年はまだ状況が良かった。これからはインディーの時代、みたいな活気すらあったのが、去年1年で霧散してしまった。思えば、「インディーズ・マガジン」も「ダイレクト」も廃刊になっているし。
そんな中で、1年半で10枚もCDを出して、1万枚以上のセールスは上げているMEMORY LABなどはかなりラッキーな方なのだろう。今月もニュー・リリースはないのに、500枚もプレス申請しているし。つまるところ、良い作品を、10年、20年後にも残るような作品を作り続けていくこと以外には道はないのは明らか。今年も行けるところまで行きましょう。
下北沢で自転車を取り、小雨の中、スタジオに。ギターを録りなおしたくなったが、マイクプリ不調で果たせず。修理しようと思ったが、ハンダごてを家に持ち帰ってしまっていた。諦めて、もろもろ事務と雑用こなした後、帰宅。

03.23

原稿書きしながら、久々にビーチ・ボーイズの初期作品をだ〜っと聞く。ピアノとドラムに関して、インスピレーションもらってスタジオに。やっぱり、ビーチ・ボーイズやトッド・ラングレンなのだ、僕がレコーディング・ミュージックの面白さにめざめたのは。向かう途中で、頭の中でピアノ・パートは完全に出来たので、今日は頑張って自分で弾く。なにせ、ピアノは弾けるというレベルにないので、途中、くじけそうにもなるが、シンプルなロックンロール・ピアノなので、人を呼ぶまでもない。コンプを大胆に使って、ゴ〜ンという歪みを出したら、なかなか良い感じに。
続いて、ドラム・パートをサンプルCDから抜いたネタを編集して作る。裏ブレイクビーツ的に部分的に使うパート。作ってみたら、効果はまずまずだけれど、音色面がもうひとつ。手法的にはOKと分かったので、家に帰って、ネタを吟味して再チャレンジすることに。

03.24

昨日の続きのドラム・パート作り。午前中に家でネタ集め。エコーの効いたタムが欲しかったので、ビーチ・ボーイズを中心に、サーフィン系のドラムをいろいろ漁る。午後よりスタジオで作業。ネタをどんどんプロトゥールズに録っていき、細かくチョップし、タイム・コンプレッションを施して組み合わせる。キック、スネア、ハイハット、タムをどれも違うレコードから録ってドラムセットの演奏を組んだので、サンプル・クリアランスは大丈夫だろう。自然なノリに到達するまで、かなり苦労したが、昨日、録ったピアノ・パートにバッチリあったロックンロール・ドラムが完成。
このパートを上手く出来上がったおかげで、曲全体がポップスとして成立した気がする。思えば、ポップスを作ろう、という発想でレコーディングをしたのは初めてだったかも。おかげで、テクノやハウスの手法も随所に凝らされてはいるのだけれど、フィフティーズやシックスティーズの音楽の持つ明るさに到達できた気がする。脱音響系。
吉祥寺に久しぶりにさかなのライヴを観に行く。3人に会うのは今年初めてか。鈴木くんはパパになり、POCOPENはダイエットに成功。ライヴでは「BLIND MOON」以来のフォーク・ロック〜カントリー・ロック的な曲調とはまた変わってきた感じの新曲も披露。浮遊感のあるコードが戻ってきたりもして、ショート・カットになったPOCOPENの雰囲気を含めて、ナツメグ〜SSE時代をちょっと思い出したり。さかなはこういやって変わっていくからさかななのだと再認識。鈴木くんのドラムも印象的だった。スネアやタムのチューニング、ブラシの使い方などの細やかさに、さかなの1/3になった鈴木くんの気概が見えた気がした。
タイバンはロンサム・ストリングスで、こないだ結婚した松永さん、ゲンちゃんや桜井くんなどにも久しぶりに会う。青山さんや川口さんにも遭遇。田中亜矢さんにも会った。黄金の組み合わせに会場は超満員。ロンサム・ストリングスの超絶技巧な演奏に脱帽。でも、残念ながら僕は最後まではいられず。さかなとロンサム・ストリングスの合同セッションがあったみたいなのだが、一体、何を演奏したのでしょう?
池の上のカフェで朝日とミーティング。ついでにパスカル・コラムードほかのCDとロバート・ワイアットのヴィデオ購入。それからスタジオに戻り、一昨日からの孤独な作業の成果を聞いてもらう。反応はバッチグ〜。ピアノまで誉められる。ホント、この曲のアレンジはもう駄目かと思った。でも、ようやく抜けられた。トラック数は50トラックくらいある。録音して捨てたトラックはその倍くらいあっただろう。でも、最終的にすごくシンプルなものになった。無駄な音は一切入っていない。
続いて、アレンジ途中のもう1曲の検討。朝日が作ってきたヴォーカル・トラックのデモを聞いたら、パッと閃いた。「YAMAKASI」のサウンドトラックに聞けるような、明るいヒップホップ・トラックにしよう。そういえば、「YAMAKASI」のヴィデオがもう出たはず。と思って、帰りに三軒茶屋ツタヤに寄ってみるが、残念ながら、全部貸し出し中でした。