BEFORE GET IN SLEEP

02.18
自分のBBSに書きこみした内容に「フライングです」の指摘。諸々のリリース情報は、後日、きちんと書き直しましょう。見てしまった人は他言せぬよう。
体調は悪いのだが、気分的には回復。というのは、身体が病んでいるのか、精神が病んでいるのか分からない状態でモヤモヤしているところから抜けて、ああ、体調が悪いのだとハッキリしたからかも。幸いなことに、今週は自分がハード・ワークをしなくても良い週なので、身体をいたわりつつ、地道にスケジュールをこなせばいいだろう。
午後にスタジオに。ほどなく、朝日と山口泰が到着。4月発売予定の朝日のミニ・アルバムのミックス開始。とっかかりは「雨あがり」という曲。ドラムはシンプルな打ち込みで、ベースが松永さん、オルガンが北村くん、ピアノがみえちゃん、僕がギターとメロトロン。往年のハイ・サウンドやマイアミ・ソウル、それにジャマイカのロック・ステディの要素が混じり合ったリズム・アレンジ。そういえば、グリーディー・グリーンにも「雨あがり」という曲があって、そこではドラムの中岡がアル・グリーンの「レッツ・ステイ・トゥギャザー」風のタムのパターンを使っていた。まったく偶然なのだが、朝日美穂の「雨あがり」も打ち込みながら、同じようなタムのパターンを使っている。松永さんのベースはもろにハイ・サウンドだし、メロトロンによるいなたいストリングス・パートもアル・グリーンの「シャララ」なんかを意識したところがある。そこに北村くんのジャッキー・ミトー風のオルガンとみえちゃんのアラン・トゥーサンぽいピアノを絡めて、米南部からカリブへと抜けていくような、適度な緩さと温度感のあるグルーヴをめざした曲。
でも、それを僕がミックスすると、オールド・タイミーなアレンジのまんまになってしまうので、山口のミックス手腕に期待というわけ。山口はクレイグ・デヴィッドのCDをリファレンスにして、システム・チェック。なるほど、クレイグ・デヴィッドみたいに柔らかくて、でも、現代的なグルーヴが付け加えられたら良いかもしれない。久しぶりに3人で仕事するわけだが、やっぱり、このチームのバランスというのは絶妙だなと思う。音楽の志向性の微妙なズレが逆に面白いというか。僕のようなロック・ルーツやオーセンティックなR&Bやレゲエからの影響みたいなものは朝日も山口も持ち合わせていないが、そのかわり、山口にはヒップホップやクラブ・ミュージックと触れ合ったミックス・センスがあり、朝日にはキャッチーとアブストラクトが渾然一体となった歌作りの異才がある。ミックスダウンという時間を通じて、それらが1曲の中で微妙なケミストリーを生み出すから面白いのだ。
基本的には御任せでやってもらうので僕はソファでのんびり。半分、居眠りなどしながら、気持ち良く聞いていただけ。山口がミックスすると、グルーヴが研ぎ澄まされていく。夕方にはほぼ形が見えたが、3人で夕食を食べた後、今日中に落すことはやめにして、あすの昼に一気に仕上げようということにする。
ふたりが帰った後、やや元気回復した僕は、別の仕事開始。PHATの演奏による某FM局のジングル制作。ハードディスクの中を探し回り、まずは一昨年にレコーディングした未発表曲のエンディング部分からテーマ・リフを抽出。最近の録音に比べると、かなり音はしょぼかったが、そこはプラグインによる力業で乗り切ってミックスする。20秒ほどのジングルがひとつ完成。でも、ちょっとFMのジングルにはハード過ぎるかも。ジングル用にもらってきたアカペラ・ヴォーカルとも合いそうにはない。
そこでもうひとつ、こないだ「ソニー・ムーン・フォー・トゥー」のレコーディングの時にやったジャム・セッションのファイルをオープン。僕がギターを弾いて30分以上もセッションした中に、気に入ったコード展開の部分があったので、そこからグルーヴの良いパートを抽出。テーマになりそうなサックスのフレーズも見つける。が、このジャム・セッション、パーカッションのコースケは入っているが、ドラムのヌマちゃんは病欠で参加していない。なので、ヌマちゃんのドラム・パートはまた別の曲から探し出して移植する。丁重にテンポとタイミング合わせをしたら、見事にPHATらしいグルーヴが出てくるから面白い。これまたガーッと直感的なミックスを凝らして、30秒ほどのジングルがもうひとつ完成。これはヴォーカル・パートをちゃんとレコーディングしてみるのが良さそうだ。
なんのかんので明け方、帰宅。アレ? 身体いたわるはずだったのだが。

02.19
体調はまだ今ひとつ。なにしろ、僕としたことが食欲ないのだから。カレーなら食べられるのだが、そういえば、ピキヌーはこないだ1カ月、イタリアに行ったばかりなのに、今月はタイに旅行中でお休み。おかげで僕は体調崩したというのも、あながち、冗談ではないところがある。仕方ないので、今日は祐天寺でナイアガラに。半年に一度くらい、見入られたように入ってしまうのだが、入ってみるとやっぱり・・・。でも、そういう店ってあるでしょう、誰にも。
午後から山口と昨日のミックスの続き。山口が確信を持って、どんどんフェーダーも書き込んでいく。かなり良い感じなので、今日も僕はほとんどソファでごろごろ。ミュージック・マガジンのPHATのインタヴューやレヴューを読む。インタヴューは今村さんでレヴューは土佐くん。やや身内っぽい人選だが、だから好意的ってわけじゃないよね。どちらも、すごく力の入った原稿だった。PHATの「色」は去年の後半、バンドも僕も出すものを出し尽くしたって感じで作り上げたものなので、自分達では良いものなのか、ヒドイものなのか、分からないところがある。あそこまでやれば、そんなこと、どうでも良くなってしまう。でも、今村さんと土佐くんの原稿を読んだら、自分達が何をやっていたのか、分かったところがあった。例えば、トータスのやっていることとどこが違うのか、とか。
たぶん、ライターとしての僕は多くのミュージシャンにそういうことをしてきたのだろう。作り手自身には分からないこともある。批評家の言葉というのは、だから、作り手にとっても必要なのだ。作品を作り終えて、さあ、次に何をすべきか、と考えるのにも。
夕方にミックスはほぼ完成。僕のリクエストはリズムの絡みに関して少しだけ。あとは自分で楽器のオンオフとフェーダーを少し書き加える。いつもはヴォーカルのフェーダーも僕がやるのだが、今日は山口が完ぺきに仕上げていた。それが終った頃に朝日がやってきて最終確認。これまたコーラス・パートの処理にわずかなリクエストがあっただけでOK。それからDATとCD-Rとプロ・トゥールズ内にミックスダウン。アナログもしくはデジタル経由での機器間のレベルのマッチングに関しては、いろいろと実験をしてみた。とにかく、山口はどこでもレベルを突っ込もうとするが、僕はメーターを気にして、少しづつ戻す。NEOTEKの卓にしてから数カ月、まだマスターの作り方に関しては、ベストな方法が見つかっていない気がする。今日は意外に卓アウトをただノー・コンプ、ノーEQ、ノー・デジタルでDATに送るのが良いような気がした。
「雨あがり」の完成後、あしたミックスするマドンナのカヴァー曲、「ホリデイ」をちょっと聞いて、方向性を打ち合わせ。それから3人でイタリア料理屋へ行って、今日のミックス作業は終了。でも、山口が帰った後、僕と朝日はもう一仕事。昨日、ミックスしたジングルに朝日にヴォーカルを入れてもらう。テンション取りまくるメロディーを憶えてもらうのに一苦労。でも、コーラスを5パート重ねて完成。かなり良い出来。もともと、このジャムは僕のソロ・アルバム用にってことで録音してみたものなので、PHATの曲というよりは、僕の曲をPHATに演奏させて、朝日に歌わせたみたいなものになってしまったが、果たして採用されるだろうか。
ヴォーカル入りのジングルをミックスした後、週末の朝日のライヴ用のプリプロ。コルグのエレクトライブでリズムを作る。なんのかんので今日もまた夜中まで。

02.20
体調やや持ち直した気もするが、相変わらず、食欲はあまりない。
タイスケ・マツオとYAMAUCHIのフル・アルバムのジャケットの表1が相次いで完成したので、トップページに飾ってみた。どちらも4月10日発売・・・の予定だが、今頃、表1が上がったなどと喜んでいるのだから、ヤバ目の展開ではある。音源自体は去年のうちに完成しているというのに。原因は・・・デザイナーの尻を叩けない僕の腑甲斐なさか。
PHATの「色」の発売も迫ってきたが、こちらはMEMORY LABから移籍しちゃったアーティストなのだから、ジャケットを飾るわけにはいかない。ちょっと淋しい気も。でも、ブルー・ノートに移籍なんていっても、別に何があるわけではないんだよな。親御さんへの話の通りがちょっと良いくらいで。ま、その点では「朝日新聞に音楽評書いています」とかと同じくらいの効果はあるかもしれない。
そういえば、昨日書いたマガジンの話、とある人から「三つ目の記事を忘れてませんか?」という指摘。そうだった、今回もジャズのコーナーで点付け。なんと6点獲得。前回は4点だったから2点もオマケしてもらったわけだ。しかし、「KING OF PIMP」と「色」は同時期の一連のレコーディングの中で作られたので、前作よりもドラマーやサックス奏者が進歩したなんてことはあるはずがない。しかも、「色」はエレクトロ色を強めたアルバムでもある。前2作に入っていたようなアコースティックなセッションは1曲も収録しなかった。あえてジャズ・サイドの曲は外したと言ってもいい。
にもかかわらずの2点アップは謎。メジャー・デビューへのご祝儀? ブルー・ノートの名前が脅した? 「エレクトロニクスとの共存関係では、相変わらず何の面白みも生まれていない」のだったら、2点も上げちゃマズイはずだが・・・。
例えば、「色」の2曲目の「ストリーミン・エコー」という曲のコンセプトは、エレクトロ・マイルスだ。エレクトリックではなく。マイルスが生きていたら、マウス・オン・マーズやオヴァルにだって興味を持ったんじゃないかなどと考えながら、僕はこの曲のミックスをしたのだが、その一方でエレクトリック・マイルスのことはこれっぽちも意識しなかった。エレクトリック・マイルスの焼き直しなんて、手垢のついたことをしても、既成のジャズ・ファンクやフュージョンの枠組みの中に墜落するのがオチなのだから。
そうそう、PHATのメンバーは聞いてもいないだろうけれど、コーネリアスの新作にはコレもエレクトロ・マイルスか?と思える側面があって、「ストリーミン・エコー」のミックスには実はコーネリアスからの直接的引用(なんて回りくどい言い方だが、つまりはパクリ)があったりする。
人が何を面白いと思うかはそれぞれだから、僕なんかがやっていることに面白味を感じない人もいる・・・というより大多数はそうであるに違いないけれども、でも、昨日から考えてよ〜く分かったことは、PHATはメデスキやギャラクティックとは違うし、カール・クレイグやイアン・オブライエンとも違うし、トータスやアイソトープとも違う。ROVOやデートコースとも違う。その違うことをやりきらなきゃいけないということだったりする。「色」にはそれをやりきっただけの何かは残っているはずだ。どう考えても、誰にも似ていないもん、コレ。
午後よりスタジオで朝日美穂ミニ・アルバム、2曲目のミックス。今日はマドンナの「HOLIDAY」のカヴァー。青柳くんに弾いてもらったアコースティック・ギター中心のシンプルなアレンジ。今日もまた特にリクエストすることなく、山口泰にお任せ。僕は外でミーティング。一度、帰宅して、もろもろ事務仕事など。夜にスタジオ戻ると、ミックスはほぼ完成していた。素晴らしい出来映え。テープエコーの長〜いフィードバックが絶妙に使われている。ヴォーカル・パートを少し編集したかったので、朝日と山口が食事に行っている間に、ザッと編集。あとは中間部に出てくるシンセサイザーの音色を調整しただけで、今日もすんなりミックスは終了。ふたりは帰る。
が、僕は今日もまた深夜の部。朝日&モユニジュモのコラボレーション曲のミックスを先日、録りなおしたヴォーカルを使って、やりなおす。前のミックスはトラックの中から抽出した要素を使って、歌の回りに絡む音を作ってみたのだが、今日はトラックは一切いじらず、ノーEQ、ノー・コンプでやる。そのかわり、ヴォーカルのエフェクトでアンビエンスを作り、曲全体を包みこむようにしてみた。さっきまでのミックスで山口が作ってあったテープエコーのセッティングをそのまま利用する。ヴォーカルのコンプのかけ方にも、ちょっと面白い方法を試してみた。普通はレベルの高い部分にコンプがかかり、低い部分にはかからないが、この曲では高い部分はノー・コンプでオープンな雰囲気に、低い部分がガシッとコンプがかかって、音像が前に貼り付くようにしてみた。なんのかんので4時までかかってしまったが、かなり良いミックスになったはず。とりわけ、ヴォーカル処理は今まで出来なかったレヴェルに達した気が。

02.21
PHATの「色」のサンプル盤がどかっと届く。ジャケットは色校で見たより良い感じ。プラスティック・ケースに入って、キャラメル包装された時の感触というのは、色校ではなかなか分からないので、違和感を覚えることも多い。音の方は・・・ちょっと悔しいなあ。スタジオで卓アウトを聞いていた時以上の音になっているか、なっていないかというのが、最終的にCDになった時には問われるわけだけれど、以上にはできなかった。マスタリングからプレスの間の工程では得るものもあれば、失うものもある。レコード会社の使っているプレス工場によって、音質のバラツキもあるし、そこで失われるものも大きい。そのへんまで読んで、マスター・テープを作って、マスタリングをしなければならないのだが、今回はギリギリの工程の中でマスタリングに立ち会えなかったりして、追いこみ切れなかったところがある。ERROR RECORDINGでのマスター・テープの作り方も、もっと考えねばいけないな。
午後にスタジオに。今日は岡村トリビュート用のブラック・ボトム・ブラス・バンドの曲のミックスを山口がやる。その準備のために、朝日とふたりで最後のヴォーカル編集。なにしろ、ヴォーカリストが9人も入っているので、整理するのが大変。山口が到着したところでお任せして、リハスタに。あさっての朝日の大阪でのライヴのリハ。完全ソロ・ライヴなのだが、リズム・トラックのバランスなどをチェック。こないだエレクトライブで作った「雨あがり」のリズムは良い感じ。こっちの方がレコードより良かったりして。コルグのリズム音源は音色といい、ノリといい、ホントによく出来ている。
夕方、僕は帰宅。レーベル雑務。夜遅くにスタジオに戻ると、ミックスはほぼ完成。アレンジを担当したBBBBのモンキーさんがやってきて最終確認。ハデ〜なミックス。お疲れさまってことで、今週の山口との仕事はおしまい。僕と朝日は深夜のカフェでもろもろミーティング。ミニ・アルバム・リリースまわりの話のはずだったが、途中から音楽の作り方の話になって、いつになく長時間に。話している間に、店内のBGMでジャクソン・ファイヴの「ネヴァー・キャン・セイ・グッバイ」が流れたのだが、どうしたら、こんなポップ・ソングが作れるのだろうか?とふたりで考え込む。考え込んでいるうちに、しまった、今日も明け方だ。

02.22
朝日新聞の試聴室選考会議。今月は久しぶりに候補作がたくさん。僕も8枚も推す。イチオシはもちろんレベッカ・ゲイツ。
秋葉原に行って、パーツ屋をめぐる。NEOTEKの卓のアップグレードのために、目の玉の飛び出るような値段のイギリス製オーディオ・パーツをオーダー。日本製ならゼロがひとつ少なくて済むというのに。
渋谷のタワーレコード・オフィスで岡村靖幸トリビュートのプロモ・ミーティング。初めてアルバムのジャケット用のイラストを見る。B4くらいのカラーイラストが8点。マジ、ヤバイわ、コレ。CDのジャケットにするのが勿体ないくらい。なんだか、もう魔法でも見ているような気分。こんなアートワークのCDがもうすぐレコード屋に並ぶんだぜ。メジャーのレコード会社がどんなにお金かけても、こんな素敵なものは作れない。こういうことがあるから、やっぱり、生きているのは楽しい。
4社8人の関係者によるミーティングも非常に前向きなムード。このスタッフのキャラクターがまた、なかなか面白いのだ。首謀者の朝日以外は、みんな、なぜか巻き込まれてここにいるって感じなのだが、絶妙の取り合わせと言うか、ヴァラエティーに富んでいて、捨て駒なし。こういうミーティングをすると、よ〜し、ヒットさせなきゃという気分が盛り上がってくる。
スタジオに戻ったところに、PHATのダイスケ来訪。PHATのライヴを録り続けているテーパーからもらったDATやカセットをふたりで聞く。タワーレコードのインストア・ライヴの時にファン・サーヴィスに配るライヴ・テープを作るため。先日の「オーガニック・グルーヴ」で演奏したあの曲も収録することにした。プロトゥールズに一度、取り込んで、プラグインとアナログEQ、コンプで仕上げる。カセット・ウォークマンで録ったライヴだって、演奏さえ良ければ、魅力的な音源に仕上げられるのは「KING OF PIMP」の「&'S」で実証済み。しかし、こんなもん、タダで配るとは太っ腹。
PHATは今夜はライヴなのでダイスケは11時すぎに去るが、僕はそのまま作業。あしたから大阪に行くので、そこに持っていくCD-Rなども作っていたら、アッという間に1時すぎ。今日はPHATのライヴ観に行くと約束していたのに。どうも、こうやってライヴ見逃すこと多いなあ。PHATも随分、ライヴを観ていない気がする。さかなもその他のいろんな友達のライヴも。

02.23

早起きして大阪に。東京駅で朝日と待ち合わせ。珍しく彼女はオンタイム。僕は20分遅れた。
堺にオープンしたクラブ・マッシヴというハコのオープニング・イヴェントに呼ばれたので、ライヴをすることになったのだが、僕は基本的にはローディー。セットは去年の暮れに京都メトロでモユニジュモとやったライヴとほぼ同じだが、今回はゲストなしの完全ソロ。
新大阪からさらに1時間、地下鉄に乗って百舌鳥(なかもず)に。なんだか、こないだ行った川崎の梶が谷みたいな風景のところ。いわゆる郊外だ。こんなところにクラブなんてあんのかな? クラブ・マッシヴという名前からたぶん地下にある、レゲエっぽい雰囲気のところと勝手に思っていたのだが、実際は渋谷のデセオをちょっと小振りにしたくらいのライヴハウス。もともとは不動産屋の事務所だったらしく、ドアなどにはその痕跡も残っている。対バンはアドヴァンテージ・ルーシー、メロディオンズ、地元のバンドもひとつ。いずれもギター・バンド。そんな中に朝日のピアノ弾き語りのライヴがまじるわけだ。
ま、それ自体は問題ではないのだが、リハを始めようとしたら、アラ、大変。PAの左チャンネルの高音が出ていない。たぶん、最初にリハしたアドヴァンテージ・ルーシーの時も出ていなかったのではないだろうか? それでもバンドの場合は生音が飛んでくるので、なんとなく聞けてしまうが、朝日のセットはすべてがPAから音だけなので、これでは左側がモワモワで話にならない。
そうそう、このライヴハウスは昨日オープンしたばかり。PAエンジニアは若い人で、どうも、こういうハコを任されるのは初めてのようだ。仕方ないので、僕が手伝うことにして、左右の結線を入れ換えて、アンプの問題かスピーカーの問題かチェック。スピーカーが飛んでいることが分かる。しょうがないので、余っていたコロガシをツイーターがわりに使う。見知らぬライヴハウスでこんなことするとは思わなんだ。しかし、コロガシでは出力的に足りないのと、セッティングできる位置が低すぎるので、左の高音はどうしても足りなくなる。まあ、すでに時間は押しに押しているので、これで行くことに。卓のEQでハイを補うが、おかげでステージ上はハイ上がりのパリパリの音になってしまう。でも、朝日には我慢してやってもらうしかない。
しかし、トラブルはこれで終らない。4系統の回線がなかなか来ない。結線が間違っていることが判明するのにまた時間が。1曲だけ、長めのディレイが欲しかったので、「460ミリセカンドくらいのを用意しておいて下さい」、「ハイ」ということだったのだが、ン? ディレイは来ないでヒュ〜ヒュ〜と何かがフィードバックし続けている。しかし、エンジニアは朝日がそういう音を出しているものと思っているみたいで、全然、気づかない。「ディレイですよ、ディレイ」、「エッ? 出てませんか? すみません、本番までに用意します」みたいなやりとりが何度も繰り返される。そんなこんなで、ステージでは朝日が待ちぼうけのまま、すでに2時間押し。ともかく、音が出るようにするので精一杯で、曲のリハはほとんど出来ず。モニター状況などもチョ〜不安なまま。
しかしまあ、怒るにも怒れないので、本番頑張りましょうってことで楽屋に。妙にだだっぴろい、でも、プレハブみたいな作りの楽屋でアドヴァンテージ・ルーシーのメンバーとお喋り。ベースの人がノーナ・リーヴスのサポートをやっていたりで、意外に朝日と共通の友人の多く、すぐになごむ。「THRILL MARCH」も買って持っているそうだ。ライヴハウスの外には時間が押したため、人がたくさん並んでいる。オープンしたら、まずまずの盛況。アドヴァンテージ・ルーシーのファンが主体のようだが、凄くあったかいムードのイヴェント。ひとつだけ異質なアーティストが混じっているわけだけれど、朝日のライヴの時も誰ひとりお喋りしないで熱心に聞いてくれていた。
ライヴの内容の方は・・・ライヴハウスもオープンしたてなら、朝日もソロ・ライヴは初めてって状況で、お互いトラブル出しをしたってなものだったかも。弾き語りの曲を覗いては、リズム・トラックと生音のバランスもめちゃめちゃなら、モニター状況もめちゃめちゃ。そんな状況で、朝日のプレイもミス満載。それでもなんとか、声の魅力だけで聞かせられたかな。
トリのアドヴァンテージ・ルーシーもPA状況に相当苦しんでいたみたいだが、でも、こういう時、バンドは強いわけで、最後は良い感じに飛ばしたライヴだった。魅力的な新曲が多くて、ギター・バンドの型にはまらないアレンジも随所に聞けて、2年くらい前にイヴェントで観た時からかなり変化しているようにも思えた。
打ち上げは特になし。宿泊はなんばのホテル。今回、呼んでくれたのはヨシモト・ミュージック・エージェンシーだったのだが、まさにそのお膝下。吉本の観劇チケットや土産物をフロントで売っているようなホテル。心斎橋や梅田にしか泊まったことがなかったので、これは意外に新鮮だった。近所の居酒屋で軽く食事して、早めに寝る。

02.24

目を覚ましてみると、ホテルは家具屋街の中。実はこのエリアはよく知っていた。去年、リトル・クリーチャーズのメンバーと一緒に行ったボサノヴァ喫茶のすぐ近所。このボサノヴァ喫茶は過去、4回くらい行っているのだが、その度に道に迷ったので、周辺エリアはぐるぐる歩いていたのだ。もちろん、今日も直行。行ってみたら、おじさんが今日はレコードのセールをするという(そうそう、本当はここはヤカタ・レコードという店でもある)。ワオ! ラッキー! が、午前中はまだレコードを置いてあるブースは閉められていて、4時に開けるということ。じゃあ、4時に来ます。
このエリアでもうひとつ、足を運びたくなるのはちとせという店。ここの肉うどんは自由軒のカレーと並ぶ大阪B級グルメの金字塔。直枝さんを連れていきたいってなこと話しつつ、朝日と昼飯を食いに行く。やっぱり、今日も全員が肉うどんを食べている。ここの肉うどんは、うどんとしてはおいしいわけではない。麺は手打ちではないし。そこらのうどん玉。肉もスープもそれ自体、大きな特徴があるわけではないが、しかし、肉うどんという食べ物としては完璧なバランスというか、なぜか、一度食べたら忘れられない、何度でも食べたくなる不思議な魅力がある。
大満足の後、梅田へ。DAWNの近くのコロニーというカフェへ。ここがまた良い感じ。カプチーノもタルトもうまい。で、ここでイルリメ〜モユニジュモの鴨田くんとミーティング。例の朝日とのコラボレーション曲のミックスを聞いてもらう。基本線はOK。幾つか鴨田くんから注文をもらって、東京に帰ったら、もう一度、落しなおすことに。その後、3人で長々とお喋り。岡村トリビュートのことやイルリメの新しいアルバムのことなど。4月にPHATが心斎橋クアトロでイヴェントに出演するのだが、この共演がヘリコイドとECDとイルリメなので、ヒジョウ〜に楽しみ。PHATの「色」も渡しておく。
南船場に行って、アンズ・セレクションを覗いてみたが、残念ながら、羽野くんは不在。それからなんばに戻って、もちろん、僕はボサノヴァ喫茶に飛んで行く。ところが、7時にはもう閉店してしまっていた。6時からバータイムと書いてあるのに、今日は日曜日だからか。ガックリ。日曜日の晩で、やることないので、夜は朝日と酒とメシ。珍しく彼女も日本酒をグビグビ飲んだり。でも、あすは朝早いので、早めに部屋に戻る。こんな、何もしないでダラダラする日も珍しいな。テレビのオリンピック報道はな〜んかヤな感じ。ネットしたいが、近所にはインターネットカフェも見つからず。

02.25

9時過ぎにチェックアウトして、FM802に。今日はプロモーションデイ。といっても、メインは岡村トリビュートのプロモーションなので、セールストークは朝日にお任せ。その後、僕は軽くPHATのプロモーションをするだけ。
まずは朝の生番組を終えたばかりのヒロTさんに。いつもながら、ヒロさんはクールかつ、インディペンデントな(それでいて趣味性に落ちない)音楽紹介者としての意地を覗かせていて、こういう人は東京にはなかなかいないなと思う。
一度、802を出て、梅田に。地下街のトワイニングのカフェで昼飯。ここが思いもかけぬ大阪らしい店でちょっとしたカルチャーショック。僕はランチ・プレートをオーダーしたのだが、これがレディ・グレイの紅茶とのセット。レディ・グレイの紅茶のポットはそれだけで800円もする。が、ランチ・プレートは1000円。こりゃあ、お買い得じゃん。
しかし、パッと見ではサラダ中心の軽いお総菜が乗っている感じに見えたこのランチ・プレートが凄かったのだ。まず、プレートが想像していた1.5倍はでかい。でもって、乗っているのがおろしトンカツ2枚、鶏肉のバンバンジー・サラダがドカッと。それにフルーツの乗ったポテト・サラダ、さらにグリーン・サラダとパンが3切れ。お店はエレガントな英国ムードのトワイニングのカフェですよ。なのに、この、POCOPENが喜びそうなプレートのヴォリューム! 何はともあれ、紅茶と一緒におろしトンカツをいただくとは思わなかった。
しかし、大阪の凄いところは、このおろしトンカツが旨いところだろう。せっかくなら、和洋中揃えようとばかり、おろしトンカツあり、バンバンジーあり、さらに、女性客を意識して、ポテサラには苺やキウィを乗せ、でもって、紅茶は花びらの浮いたレディ・グレイ。ここまで倒錯的なメニューを出す店って、東京だったら、味は終っているに決まっている。が、トワイニングのおろしトンカツは下手なトンカツ屋より旨かったのだ。いやあ、やっぱり大阪の地下街恐るべし!
なことで盛り上がった後、今度は梅田と心斎橋のレコ屋まわり。大阪はライヴでもプロモーションでも、いつもあったかく迎えてもらえて、気持ちが良くなる。思えば、朝日は3年もオリジナル作品をリリースしていないわけだが、旧作を支持してくれているお店の人はいて、岡村トリビュート以後の流れを一緒に考えてくれたりする。それに応えるだけの作品を出さないとなあ。
再び、802に戻って、僕の旧友でもある編成部、古賀くんとミーティング。PHATのFM802での生ライヴについても話す。もう世話になりっぱなしだぜ、マイマン。今年は僕は大阪に来る機会が多くなりそうだ。
夕方の新幹線の東京に。新宿まで朝日を送って、お疲れさま。家に帰って、三日ぶりにネット。オークションはやっぱり全部負けていた。