BEFORE GET IN SLEEP

02.04
今日が月曜日だと分かっていなかった。あすの朝まで余裕・・・と思っていたことがそうではなかったりして、土日だから連絡がつかないと思いこんでいたところに実は連絡がつくことに気づいたが後の祭だったりもして、もう人間失格・・・って、今に始まったことではない!という声が聞こえてきそうだが。
しかし、人間失格といえば、今回の雪印。この事件に感じる薄ら寒さは何だろう? 何トンもの牛肉を産地を偽った箱に詰め替えるには、たくさんの人間がそうと知りつつ働いたはずだ。5歳の子供でも分かる、人間としてやっちゃいけないことをやってしまう人々。たぶん、現場の人々は隠しきれるはずがないことも知りつつ、しかし、会社の命だからとやっていたに違いない。
常々、感じてきたことだけれど、この国の教育というのは、そういう人々を生み出すためにある。人の道に外れたことは、社長の命令だろうが、総理大臣の命令だろうが、背を向けて帰ってくるのが正しい、とは決して教育されない。その一方で、組織の一員としての行動は、個人の良心とは切り放して考えてもいい、ということをじわじわと刷り込まれる。
十数年前だが、僕はとあるホテルのロビーと人と喧嘩しそうになったことがある。公衆電話の使い方に関して、若いサラリーマン風の男に文句を付けたからだが、その男は電話をかけながら、僕に向かって「社用だ〜」とだけ怒鳴った。五回ぐらい繰り返して大声で怒鳴った。「社用」という言葉がかくも免罪符のように使われるのだということを僕はその時、思い知った。
僕のように会社勤めの経験のない人間が何を言うか・・・と思う人もいるだろう。もちろん、社会の中で生きていくには、妥協だって必要だ。しかし、人間としての基本を外れた行動は、最終的にはその個人に返ってくる。組織を盾にできる時代はもう終わりだ。雪印を見れば、それが分かる。会社が潰れても、元雪印なんて人間に再就職の口があるだろうか。
しかし、この事件を知った多くの人は、こういうことをやっているのは雪印だけではないはず、と考えているようだ。薄ら寒いのはそこだろう。それはつまり、悪いことと知りつつも、個人の良心には蓋をして、やってしまうことが許される社会だということだから。程度の差はあれ、僕だって、会社相手に仕事する中で、そういう場面には、たくさんたくさん遭遇するのだ。僕の抱えるストレスのほとんどは、実はそこから来ているようにも思えたりする。
なんだかんだとバタバタするうちに夕方に。スタジオに行って、昨日のミックスを聞き返してから、セッティングをバラす。3部構成の組曲のようになっているので、マスタリングもパートごとに変えられたら良さそうだが。
そうそう、電源、電源とこないだから言っているが、ついに物凄いものを買ってしまった。巨大なクリーン電源。機能としては単なるタップと変わりないのだから、なんでこんなに巨大なのか?と思う。クリーン電源というのはAC電源を整流しなおして供給するもので、綺麗なサイン波形になった交流が出てくるらしい。周波数も変えられるので、その気になれば、関東でも60ヘルツで使うことができる。しかし、音も何も出るわけではないのに、値段はとんでもない。それでいて、電源容量が限られているので、スタジオのすべての機材にクリーンな電源を送るのは無理。888I/OとNEOTEKの卓とAVALONのEQ/コンプとマスターDATに電源を奢るだけだ。で、音の違いは・・・卓に立ち上げたプロトゥールズのチャンネルを聞いているだけではよく分からず。たぶん、次のミックスをする時に実感されるだろう・・・と信じることにする。
夜は朝日と作業。イルリメの岡村トリビュート収録曲を仮マスタリング。ブラックボトムの曲の編集を少し。途中で、COLD FEETのWATUSIが来訪。そういえば、COLD FEETはスターバックスで売っているヴァレンタイン・デー・コンピレーションのCDに入っている。スターバックス・ジャンキーの僕にとってはスゲ〜って出来事だったのだが、当人達はそうでもないみたいだ。でも、スターバックスのコンピレーションって、初回15万枚だそう。やっぱりスゲ〜。
一休みした後、最後は朝日の新曲のプリプロ。といっても今日はコード進行や構成を確認して終わり。いつものようにピアノで作られた曲だが、オルガン主体で行くことを提案。

02.05
いろいろと厄介なネゴシエーションあり。音楽をやっていれば付き物だけれど、いろいろとコミニュケーション・プロブレムもあり。そういうことを抜きにして、今、僕がやろうとしていることが成り立つはずもないので、時に怒ったふりなどもしてみるものの、実はほとんどいつも平静にしか受けとめていない。結局のところ、自分が残す仕事の質によってしか、状況は変えられないのは明らかなのだから。男は黙って精進、しかないのだ。前進している実感がある人は、困難な状況にいても、不平不満を口にすることはない。人を見ていると、それがよく分かる。恵まれた環境にいるのに、不平不満を口にする人は、その人自身が停滞しているからに他ならない。
といって、停滞することが悪いわけではない。誰だって停滞はする。が、そういう時は人や社会に不平不満をぶつけるより、自分の仕事の質をアップさせるために、何かをすればいいのだ。手っ取り早いのは金を使うことだ。道具を良くしよう。僕がクリーン電源を買った理由もつまりはそういうことなわけで・・・ん、ちょっと強引だったか。
しかし、機能は四つ口の電源タップと何も変わらないのに、NEOTEKの卓とさして変わらない値段のするこの巨大なブツはいまいち、効果が実感されない。理由は・・・うちのマンションの電源もともと電源波形が綺麗だったので整流しなおす必要がなかった? それとも、コレは図体でかいだけのデクの坊だったりして。こういう高価な機材は一生懸命聞かないと効果のほどが分からないのでは困る。パッと音を出した瞬間にオッと思うくらいでないと。
そうそう、関係ないが、よく漢方薬は飲み続けていれば、そのうち効果が実感される、というけれど、知り合いの漢方薬局によれば、アレは嘘。二週間で効果が出ない時は処方が間違っているのだという。
納得いかないまま、一日が過ぎて、ふとマニュアルを見たら気がついた。アレ? 117V側のタップのジャンパー設定が間違っていて100Vしか出ていない。これじゃ、卓が電圧不足になる。音が良くなるどころか眠くなっているはずだ。設定を変えてみたら、もう全然、音の出が違う。NEOTEKの卓は音が太く、柔らかい分、角が丸い印象があるのだが、キリッとした切れ味が出た気がする。なんとか一安心。
夜にレコーディング。こないだ風邪でレコーディングを休んだヌマちゃんのドラムを川崎のスタジオに録りに行く。もうリズム録りの予算は使ってしまったので、スタジオ・ブッキングはどうしたものかと思ったが、ドラム単体の録りなら比較的、余裕あるブースがあるプロ・トゥールズ・スタジオを見つけた。行ってみたら、なかなか良い感じ。アシスタントのKくんはアイソトープのCDを聞いていたりして、音楽的にも違和感無し。普段、あまり自分の趣味ではないバンドのレコーディングが多いので、PHATみたいなバンドの仕事が来て嬉しいと言う。
マイクは全部、持ちこみ。キックにテクニカとクジラを、オヴァーヘッドにソニーのC37Aをひとつ、アンビエンスにC38B、スネアとハイハットにSM57を立てる。基本的にはデッドで、嫌な反射音はない部屋。が、ちょっと床が柔いのかキックがボンつく。ヌマちゃんと一緒にセッティングを詰める。ヌマちゃんは自分でマイクが立てられるドラマーなので、こういう時はやりやすい。マイクプリは持ち込んだNEVEとAPIとスタジオにあったAMEKとHBBのチューブ。オヴァーヘッドに置いたC37Aがポイントの柔らかくて華のある音を作ってみる。
他のふたりの演奏に後からオーヴァーダブすることになるので、音楽的な方向性を話し合いながら、3テイクほど録る。ヌマちゃんは自分の演奏の細かい箇所にこだわったりしない。というより、そこには絶対的な自信を持っているので、自分の演奏のあそこがヤバい、あそこを直したい、とかいうことよりも、曲全体を見渡した中でのドラムの役割をプロデューサー的に見ることができるのだろう。そんなドラマーは決して多くはない。
プロ・トゥールズのトラブルで時間を食い、午前3時くらいまでかかってしまったが、良い感じで終了。帰りにバワリー・キッチンに寄って、ヌマちゃんといろいろ話す。思えば、PHATはこの1年間でミニ・アルバムを2枚、フル・アルバムを1枚作った。ライヴもひっきりなしにやってきた。ここに来て、次のステップをそれぞれが考えているようだ。

02.06
ちょっと余裕かまして、ヴィデオ三昧などしているうちに、ど〜っと押し寄せてくる物事。二月は短い。頑張らないと。
グッド・ニュースはPHATのサンレコ取材決定! ERROR RECORDINGのスタジオ取材こみ。個人的には今回はサンレコの取材ありかなしか?しか考えてなかったりして。しかしまあ、今日、数えてみたら、去年1年間でボツになったものも含めると、二十数曲のミックスダウンをERROR RECORDINGでやっていた。二週間に1曲のペース。エンジニアとしてのスキルがどのくらいアップしたかは、PHATのアルバムを聞いてもらえば分かるかな。
昼からスタジオに行って、こないだからやっている朝日の曲のピアノ・パートをひがしみえちゃんに弾いてもらう。みえちゃんは大きな包みを抱えて登場。なんとバースデイ・プレゼント。尾道で買ったコーヒーと綺麗なランプ。ギャ〜と喜ぶ。20歳以上も年下の女の子からのゴージャスなプレゼントだもん。
あれこれ雑談後、遅れてやってきた朝日を加えて、ピアノ・セッション。が、今日の僕はかなりひどいコントロール・フリークだった。というのも、この曲のピアノ・パートは、僕の頭の中に和声もリズムもここはこうあるべきという図が完全に描かれてしまっていた。それをピアニストらしい流れの中で弾いてもらえれば・・・というエゴ・トリップにみえちゃんを付き合わせたわけだ。しかし、演奏者というのはそれぞれのキャラクターを持っているわけで、22歳の女の子にジャマイカのじじいみたいなピアノを弾けと言っても、弾けるはずがない。
にもかかわらず、リズムの跳ね方はこう。ここのソロで使って良い音はこの5音だけ、と指定に次ぐ指定。鍵盤にガムテでマークまでして音階制限したりして、だったらオマエが弾け、クソジジイ、と言われても仕方ないよな〜。でも、みえちゃんは頑張ってくれて、最終的には僕の欲しいものがすべてあり、なおかつ、みえちゃんのキャラも乗ったピアノ・パートが録れた。ご苦労様。
終了後、タワレコに行きたかったので、朝日とみえちゃんを無理やり連れて、渋谷へ。閉店間際のタワレコで徳間ジャパンのOさんに会ったり、今村健一さんに会ったり。今村さんはミュージック・マガジンでPHATの取材をしてくださったそう。最も信頼できる批評家のひとりである今村さんから、「アルバム、バッチリでしたよ」と言われて、嬉しくなる。が、2Fの売り場では「KING OF PIMP」が品切れ。う〜ん、せっかくJ-WAVEでかかっている時期なのに。ま、売れてるってことかな。
200円の割引きクーポン券を十数枚使って、久々の大量購入。1、3、5Fで知らないアーティストばかり、どかどかジャケット買いする。たっぷり待たせた女性陣ふたりにゴメンゴメンしつつ、中華料理屋へ。「お疲れ様」ってことでビール。
が、実は仕事はまだまだアリ。終電近いというのに、朝日とふたりでスタジオに戻って、モユニジュモとの共作曲の歌入れをする。インディーっぽいムードを出した方が良さそうなので、あえてSM57で録る。しかし、この歌入れも難しい。オケはもともとのベーシック・トラックを変調して作ったノイジーなものなので、和声感があるようなないような状態。なので非常にピッチが取りづらいようだ。パート、パートでピッチの基準が上下してしまう。しかし、トラックを無視して、アカペラで録ったとしても、今度はトラックとのマッチングで響きが良いかどうかは分からない。午前4時くらいまでかかり、なんとか、OKテイクを得る。

02.07
あれこれ雑用であっち行ったり、こっち行ったり。土佐有明くんから電話で、面白い話をもらう。夕方に家に戻って一息ついてから、スタジオに。昨日、歌入れした朝日+モユニジュモの曲のミックス。ミックスといってもオケはすでに2ミックスになっているので、ヴォーカルを加えて、トータルのバランスを作る、どちらかというとマスタリング的な作業。ヴォーカルをまだ差し替える可能性がありそうだったので、とりあえず、レーベルに渡すCD-Rのみ作る。続いて、PHATの「ソニー・ムーン・フォー・トゥー」のミックス。まずはトラック整理して、ドラムとベースのテイク選び、グルーピングなど。本チャンのミックスはあした。帰宅後、ヴィデオで「ステレオ・フューチャー」を観るが、途中で寝てしまった。

02.08
意外に早起きして、余裕な気分。こないだ買ったCDを次から次に聞いてみるが、最近は惰性で買っている感もあるエレクトロニカ/音響系はなんだかビョークのカラオケみたいなのが多くて、どうもパッしないな。そんな中にあって、TATSUHIKO ASANOは良い。ムードマンやデイジー・ワールドのコンピに入っていた人だったと思うが、アルバム「GENNY HANIVER」はレイ・ハラカミやリョウ・アライらと同じく、アルバム1枚聞き通せるインストゥルメンタル作品。「MEETS」にレヴューを書いたので、関西の人はチェックを。
午後にスタジオに。PHATのミックスの続き。ほどなく、メンバー3人もやってくる。曲のミックスは意外にてこずる。原因は録り音。スタジオのモニターに騙されてしまった。こういう時はドラムの1トラックづつにEQをしなけれならなかったりする。曲が3部構成になっているのだが、メンバー3人がいっしょに演奏したわけではないので、繋ぎの部分が今一つスムーズさに欠ける。オーディオ編集でそのあたりをしのぐにも時間がかかってしまった。
とはいえ、怒涛のアルバム制作を終えたチームではあるので、コミニュケーションにはブレはなく、アルバムからさらに前進した1曲を作ろうという意志がみんなの中にある。ひとつひとつ問題クリアーしていくうちに、カッコイイじゃん、この曲。途中まで、どうしようかな〜って状態だったのが、ある一点を越えるとエフェクトでもなんでも、すっと決まり出すから不思議。そうそう、最近、手に入れたAPIのEQがドラム・トラックに大活躍。やっぱり、APIのホットなキャラクターは最高だな。
夕方にダイスケが帰り、近所の定食屋で夕飯を食べた後、チョースケも帰って、あとはヌマちゃんとふたりで作業。ヌマちゃんのバランス感覚はいつもながら素晴らしく、信頼に値する。ふたりでかなり細かいところまで詰めて、ほぼ完成形に。通して聞いてみると、、オオッ、これはひょっとして、PHATの今までのレコーディング作品の中では最高傑作かも。アルバムでやれなかったことが出来た気がする。ダイスケからパンニングやステレオ・エフェクトに関して厳しい制限が出た(僕はステレオ・フェチなので、やたらと多用するのだ)のが逆に幸いして、自分的に新しいミックス・バランスに到達できた。
帰宅後、なんだかゴキゲンな気分でワイン飲みながら、また「ステレオ・フューチャー」。

02.08
起きたら、軽く頭が重い。ゆうべは調子に乗って、ちょっとワイン飲み過ぎたかも。といってボトル半分くらいなのだが。
ここ最近は僕はほとんどワインしか飲まなくなった。別に気取っているわけではなくて、健康上の理由が大きい。ビールも大好きなのだが、どうも身体が冷えるようだ。疲れているのにビール飲んで、寝る直前に風呂に入って、倒れたように眠る、というような生活をしていると、よく風邪を引く。これをやめたら、てきめんに風邪を引かなくなった。風邪は・・・考えてみると、5年くらい、熱出して寝込むような風邪や何日も咳や鼻水が続くような風邪は引いていない気がする。ひょっとして馬鹿ななのか?と思うくらい
「ステレオ・フューチャー」はすごく良くて、起きて、またつらつらと見直しみたくらい。といっても、映画として素晴らしい映画というのとはちょっと違うかもしれない。中野監督のデティールへのこだわりを見て楽しむというか、個人が作りたい物を作り通す痛快さみたいなものに惹かれているのだと思う。彼の作品を初めて見たのはディー・ライトのヴィデオ・クリップだったと思うが、「サムライ・フィクション」も「ステレオ・フューチャー」もやはり、映画畑の人の撮った映画ではないのが如実に分かる。映画のような膨大な人間が絡む製作物は、そのことから生まれる重厚さが魅力にもなるかわりに、その重厚さに絡めとられてしまう危険性も多分にあるだろう。音楽だって、デスクトップ・ミュージックだったら、個人の閃きを瞬時に注ぎ込むことが出来るけれど、大きなスタジオで大オーケストラを使ってレコーディングするとなったら、たくさんのルールをふまえた上で準備し、遂行しなければらならない。しきたりに従えば、ちゃんとしたものは出来る。でも、そこで失うものもある。
「ステレオ・フューチャー」はもちろん映画だから、膨大なスタッフと仕事した結果ではあるだろうけれど、デスクトップ・ミュージック的な、個人の閃きをスピーディーに注ぎ込んだ作品という感触が強い。日本映画の多くは、低予算であるくせに、あるいはあるがゆえにかもしれないけれど、いかにも映画的な、手垢のついた映像や演出で水増しされた、映画らしい映画に見えてしまう。面白い映画ではあっても、その水増し感に、どこか釈然としない気分を味わうことが多い。「ステレオ・フューチャー」はそうではない。が、そうではないけれども、映画史への愛情(オチョクリも含む)を滲ませた、映画的情感というべきものに到達した作品ではある。ちょっとばかりプログレな手法を凝らした、深夜ドラマの類とは明らかに違う。日本の映画界みたいなところで、そんな作品を作り通すエネルギーはきっと並大抵のものではないはずだけれど、でも、あくまで軽妙にやってのけているところが痛快。僕もこういう軽さが欲しいなと思ったり。あと、清水靖章の音楽も良い。
夕方から、朝日美穂レコーディング。コーラス・パートの一部、やりなおしをした後、リード・ヴォーカルを録る段になって、また歌詞に関して協議。僕が2ヶ所に疑問を出しして、彼女の顔を曇らすが、あともう一歩なので、ここは粘るしかない。数時間頑張って、いろんな言葉を試し、歌詞を完成させる。しかし、夜遅くなると、声が出なくなってしまうので、今日は仮歌しか録れなかった。
帰宅後、ヴィデオでスパイク・リーの「サマー・オブ・サム」を。主人公がエーヴェックス本根くんにそっくりなのがおかしかった。

02.09
世の中は連休らしい。家でおとなしく原稿準備など。夕方、スタジオに行って、タイスケ・マツオのフル・アルバムのマスタリングの最後のやりなおしを。1曲だけ、すでに3度、マスタリングしているのに、タイスケのOKが出ない曲がある。アコースティックな質感を損なわず、音圧を出すには?と悩んだ末、今日はオール・デジタルで処理。帰宅後、また家で原稿準備。

02.10
せっかく買ったデジカメをほとんど使っていなかったのだが、ちょっと思いついたことがあって、昨日から持ち歩いている。何を撮っているかは・・・そのうち、展示でもしてみましょう。
夕方より朝日美穂レコーディング。一昨日の続きでリード・ヴォーカル入れ。数テイク歌ってもらって、ほぼOKかなと思ったが、試しにマイクをC12AからC37Aに替えて、もうワンテイク録ってみた。このマイクは今までドラムにばかり使っていて、ヴォーカルに使ったことがなかったのだが、試してみたら、これがナチュラルで良い。この曲にはこっちの方が合っているみたいだ。しかも、この試しのワンテイクが良かったので、それを採用。二、三ヶ所だけパンチインする。
思えば、ハードディスク・レコーディングが主流になってから、パンチインをすることは少なくなってしまった。何テイクか録ってから、それを編集する。その良さもあるけれど、パンチインはパンチインで良いものだ。歌い手とエンジニアで共有する独特の緊張感がある。テープ・レコーディングでトラックが限られていた時代には、パンチインは前のトラックを部分的に消す作業でもあったので、タイミングはシビアだった。失敗したアシスタントは殴られても仕方ない。
歌のパンチインは歌詞によって、繋がりやすい歌詞と繋がりにくい歌詞がある。サ行やカ行などの子音からだったらバッチリ繋がるが、母音からだと上手く繋がらない。だから、どこからパンチインするかというポイントを探すのにも頭を使う。テープ・メディアの時代にこの作業を死ぬほどやったのは、今も歌録りにおいて、すごく役だっている。パンチインは慣れてくると、あたかも時間の進みがゆっくりになったかのように、歌手のアクセントやブレスのポイントが余裕を持って、聞き取れるようになるのだ。
歌録り終了後、もろもろのコピー作業などに時間がかかり、結局、夜中まで。三軒茶屋でツタヤに寄って、ティム・バートンの「エド・ウッド」を借りるが、眠くて観られず。