01.21 強風の中、実家近くの銀行へ。ここに僕は小学生の頃から口座を持っている。口座番号は5桁しかない。そんな古い口座を持っている人はそうはいないらしく、番号を言うと、エッ?という顔をされたりする。今は三井住友銀行だが、ちょっと前まではさくら銀行だった。そのちょっと前までは太陽神戸三井だった。さらにその前は太陽神戸銀行で、その前は太陽銀行。そして、最初に口座を作った頃は平和相互銀行だった。しかし、合併に合併を重ねた今、ここの支店は本当にひどい店になってしまった。無気力が店を覆っているのが端から見ても分かる。マイ・バンクがそんなことじゃ困る、と思わされることしばしば。何度か苦情を言ったが、その時はハイハイと聞くだけで、改善しようと動く人間は誰もいない。今日も客への配慮のなさに怒る、というより呆れた。僕の前の客などは番号札持って帰っちゃったし、こんなんじゃ顧客も減るだろうな。
その銀行のおかげで、JVCマスタリングセンターに遅刻。今日は世界の小鉄さんとPHATのプロモCDのマスタリングとアナログ・カッティングだったのだ。言われるとは思ったが、「今度はテッド・ジェンセンですか。スターリング・サウンド、お好きなんですねえ」とジャブをもらった後、まずは「MEXICAN PUSHER」のプロモCD用ショート・ヴァージョンをマスタリング。じゃあ、聞いてみましょう、ということでテッド・ジェンセン・マスタリングのロング・ヴァージョンと聞き比べ。「テッドのに似せて作りましたよ」と言いつつ、小鉄さんのはやっぱり小鉄さんの音。テッドの方がややハイ上がりなのだが、小鉄さんの方が硬質な感触がある。日本人的な頑固さが表れたような硬質さ。ちょっとだけベースに柔らかな太さを加えることだけリクエストしてOK。
続いて、「MEXICAN PUSHER」、「TAISO」、そして「KING OF PIMP」収録の「VENUSIAN DANCE」の3曲をアナログ・カッティング。アナログはやっぱり良いなあ。小鉄ルームの巨大なジェネレックは最初はハイエンドが派手なので戸惑ったが、アナログ・カッティング3度目にして慣れてきた。マスタリングでこういうラージ・モニターを使うスタジオは多くないが、このぐらいので聞かないとクラブ・ユースの音源は分からないところがある。
夕方に終了。小鉄さんとしばし雑談。音楽業界の現状などについて、アレコレ質問されたり。小鉄さんは好奇心旺盛だ。
帰りに久しぶりに蒲田の街へ。楽器やオーディオに掘り出し物の多い中古屋を覗く。オッと思うギターがあったのだが、置場所ないので諦めて、何故かショートのマイク・スタンドを購入。それから近所の定食屋で肉じゃが定食。この京浜蒲田のあたりは異様に物価が安い。アーケードの感じや串カツ屋が2軒もあったりするあたりは大阪っぽくもある。肉じゃが定食も肉じゃがというより豚の角煮にじゃがいもやにんじんがドカドカ入った異常なヴォリューム。ゴハンや味噌汁がまた大盛りで凄いわ。このへんに来ると、今、住んでいる世田谷の物価の高さはどういうことかと思う。その一方じゃ、最近の世田谷は犯罪多発地区だし。
ホント、冗談じゃなく、世田谷は明らかにおかしい。迷宮入りしそうな一家惨殺、三軒茶屋の駅前では警官が刺し殺されるし、日体大では放火とおぼしき大火事があるし、今度は病院の院内感染で7人も死亡だという。こんな恐ろしいことが普段、自転車で走り回っているエリアで次々に起こるなんて、「ツイン・ピークス」じゃあるまいし。
天候不順なので、スタジオに行くのはやめて、家にまっすぐ戻る。夜はCDをたくさんたくさん聞く。何枚か聞いてはPHATのCD-Rに戻ってみる。制作費の桁が違うCDとも聞き比べつつ、アレコレ考える。もっと太くて、スムーズな音を作るにはどうしたらいいんだろう? 結論はスタジオのさらなるチューンナップ。やっぱり電源からやらねば。
01.22昨夜得た結論は、スタジオに必要なのは、より良い電源、より良いAD/DAコンバーター、より良いケーブル、より良いマスター・レコーダー。あとはNEOTEKの卓の整備と部屋の音響の調整。億単位のお金のかかったスタジオでミックスされた音と比べた時に、どこで差がついているかといえば、そういうベーシックなのだ。しかし、これは 改善するには途方もないお金がかかる。それでも、まずは電源からなんとかせねばってことで、雑誌やネットでアレコレ物色。
NEOTEKの卓は結局、問題が解決しないので、サブミックスを使って作業するなど、騙し騙しやってきたのだが、オークションで純正パーツを購入。買った相手はなんと80年代にNEOTEKで働いていた人だった。さらに、トラブル・シューティングに関して海外からアドヴァイスがいろいろ。NEOTEKユーザーのメーリング・リストでいろんな人が僕の卓のトラブルについて議論してくれている。入会したい人はhttp://www.analogbros.com/neotek/へ・・・って、いないか、そんな人。
午後から朝日美穂レコーディング。ようやく1曲、完パケたので、次の曲のヴォーカル入れ・・・のはずだったのだが、彼女が書き直してきた詩に関して協議。僕は普段、詩に関しては、リズムやメロディーとの関係において、響きが良いとか悪いとかいうことしか言わないのだが、今日はストーリーに関しても意見を。結局、ストーリーを絞り込むことに時間を費やして、歌入れは出来なかった。まあ、こういう日もあるでしょう。
帰りに三茶のツタヤでヴィデオを3本。でも、帰ったら眠くて眠くてベッド直行。
01.23東芝EMIで会議の後、秋葉原へ。パーツ屋を回って、オペアンプとコンデンサーと真空管とケーブル類を購入。S/Aラボのケーブルは電源ケーブル自作用。巷ではかなりの電源ケーブルブームだが、確かに電源ケーブルで音は激変する。うちのスタジオの場合は要所の機材には電源ケーブルを奢ってある。音の入口にある117V機器にはS/Aラボのケーブルからベルデンのタップに送って、NEVEのマイクプリにはオヤイデ、ADLのコンプにはカルダス。100V機器の方はプロトゥールズの888 I/OにはMIT、AVALONのDIにはオルトフォン。これだけですぐに10万円は越えてしまう。でも、コンソールやマスターDATなど重要なところはまだ手つかずなので、今度、自作するつもり。
しかし、こないだ欲しいものがないと言ったが、秋葉原に来ると欲しいものだらけだな。もっとも欲しいものの多くは値段が高い。CSEの美しい電源レギュレイターにはグラっと来たが。
スタジオ行って、NEOTEKの卓のメンテ。といっても、今日は裏蓋を開けるまでのことは出来ないので、不調のフェーダー類をアメリカから取り寄せた新品のフェーダーに交換する。この作業は前面から、フェーダーの付いているプレートを引き出せば、簡単に出来る。4チャンネルを新品のフェーダーに換えたら、やっぱり新品のフェーダーは調子バッチリ。不調だったフェーダーは無水アルコールで中をクリーニング。これで蘇るかも。
マスター・レフト・チャンネルの問題は相変わらずで、NEOTEKのメーリング・リストでいろんな人が議論してくれているが、彼らの多くの意見はトラブルの原因はパーツではなく、どこかの接触不良だということ。しかし、この接触不良を見つけ出すのは難しい。見えないところでハンダが割れているのかもしれない。聞いた話によると、メーカーの修理でも接触不良は故障箇所の特定が難しいので、ともかく片っ端からハンダを盛りなおして対処することがあるらしい。なので、今日はマスターフェーダーまわりを見直してみる。たぶん、故障箇所はマスターフェーダーから最終のアンプの出口までの間。マスターフェーダーも解体してクリーニング。これで直ったら儲け物だが。
夕方より朝日美穂レコーディング。といっても、まだ歌詞が完全に固まらないので、コーラスのパーツを録っただけで終了。入れ換わりに夜中にカンちゃんと彼女がやっている espiradaというユニットのメンバーが来訪。来月やるレコーディングの打ち合わせなど。
01.24今日も卓メンテの続き。フェーダーがこの卓の弱点なのが分かってきた。しかし、新品のフェーダーは4本しかなく、すでに使い果たしてしまった。不調だったフェーダーをもう一度、分解して、チェックしてみたところ、どうもアース側が十分にアースに落ちず、最後までシグナルが消えないフェーダーがある。フェーダーの内部のアース側のハンダ接合箇所にハンダを塗りなおしたら、このフェーダーは直った。それでピンと来て、マスターフェーダーももう一度分解、同じようなハンダ塗りをやってみた。ネジ類も締め直す。フェーダーの動きは固くなったが、以来、数時間、今日は一度もレフト・チャンネルが歪むことはない。
夕方から岡村靖幸トリビュート用レコーディング。イルリメから届いたラップをプロトゥールズに取り込み。一瞬しか出てこないのだが、スバラシ〜。続いて、同じ曲に朝日のヴォーカル録り。途中で山口泰来訪。しばし、機材話など。AKGのスプリング・リヴァーブにいいね、いいねと反応していた。ヴォーカル録りもさらっと終えたところに、今度はCOLD FEETのWATUSI来訪。ROLANDのVS1680を貸し出しに来てくれた。これはイルリメから送ってもらった1680のZIPディスクの読み込み用。が、このZIPが読めない、どころかZIPドライヴに装着できない。ドライヴを換えてみたが駄目。結局、今日は作業できず。WATUSIとアレコレお喋り。NEOTEKの卓購入を薦める。
01.251カ月遅れで「My Christmas has come !」とNEOTEKのメーリング・リストに書いたら非常に受けた。マスターフェーダーの中にハンダ塗りをして以来、一度も歪みは発生することなく、メーリング・リストの人々も応援の甲斐あって、ついにトラブル解決したのだ。
それにしても、こういう時、アメリカ人というのは凄いなと思う。見ず知らずの人々がよってたかって、「TROUBLES OF NEOTEK CONSOLE IN TOKYO」をなんとかしてやろうと、たくさんのアドヴァイスを書き送ってくれて、ついに直った!と報告すると、みんなが自分のことのように喜んでくれる。ニューヨークのボランティアの人々などを見ていても、アメリカ人は「みんなでやろうぜ!」的な、困難に対して協力しあうエネルギーを持っているのを感じる。
午後に朝日新聞の試聴室選考会議。帰りに秋葉原に。探し物は見つからなかったが、かわりにとある店でラックスのL-560というプリメイン・アンプを見つけたので、衝動的に保護してしまった。僕はこのひとつ前のL-550とひとつ後のL-570を使っていたことがある。L-550は往年の温かいラックス・トーンで、良い音がした。純A級でまだIC化されていないオール・ディスクリートのアンプだったから当然といえば当然。が、時代が下ったL-570はより現代的な音で、スピードや駆動力を感じさせるものの、ちょっと高域が荒くれた感じがあって、好みからは遠ざかったところがあった。じゃあ、間を取ってL-560はどうだろう?とずっと思っていたのだが、信じられないくらいに綺麗な状態のものがあったのだ。すでに家には3台のアンプがあるので、どこにどう使うかは考えずにだったのだが。
スタジオに行って、タイスカマツオのフル・アルバムの仮マスタリングを進める。僕がひとりで仮マスタリングしたものを松尾くんに聞いてもらって、それからふたりで最終的な音の追い込みをする予定。といっても、彼の曲はそもそもマスタリングなど必要ないクォリティーとレベルでAIFFファイルになってやってくる。なので、僕が心がけたのは大音響で聞いても、耳が痛くならないようにすることだけ。プロ・トゥールズのプラグインは極力使わず、ほとんどAVALONのコンプ/EQだけで作業。
終了後、NEOTEKの卓を台から下ろし、久しぶりに蓋を開ける。不調のチャンネルのオペアンプを交換。フェーダーまわりの接触不良も徹底的にチェック。結果、数多くのマイナー・トラブルも次々に解消。2チャンネルのフェイズ・スイッチの不調とか、わずかなマイナー・トラブルを除けば、ほぼ完ぺきな状態。ウレシ〜!
01.26昼頃に起きてスタジオに。YAMAUCHIのフル・アルバム発売に向けてのミーティング。ガンちゃん、ゴカンくんとあれこれ相談。続いて、三軒茶屋でタイスケマツオとミーティング。終了後、スタジオに戻ろうと思ったら雪が降ってきたので、ヤメヤメってことにして帰宅。ヴィデオで「サムライ・フィクション」を見る。今日はそんだけか。
01.27TAISUKE MATSUOのフル・アルバムのマスタリング。昼過ぎからふたりでやる。大半の曲は僕がやった仮マスタリングに彼からOKが出たので、3曲ほどマスタリングをやりなおし。それから曲順、曲間を決めていって、夕方には終了。早めに帰ってCDをたくさん聞く。たくさんって言っても、グレイトフル・デッドのボックスをひたすらだったりして。そうそう、到着したL-560は素晴らしい。L-550よりも力感があるが、L-570よりは高域がきめ細かい感じがする。EQセクションが弱いのがちょっと残念だが、しばらく、テレフンケンのチューブ・アンプを休ませて、こっちを使うことに。