加藤力之輔

陰翳の中の洋花絵

 さまざまな変化と共に新しい出発の季節である春。
私は、古民家を移築した三蔵の空間に、洋花絵の作品を置いてみた。そこには、古に組まれた梁や柱が自ら陰翳の巧まざる美となって生動し、その中で、洋花絵の各々の実相が響き合うかの様に、原色が映える。
 鮮やかなイベリアの色を、和の異文化空間の中へと移動させることでその融合を試みた今回の発表。これからも確かな眼差しをもって展開させていきたい。
 文化は、いつの世にも、そこに時代性を取り組みながら、国を越え民族を越えて、新しい場を求めて移動していくような気がする。

加藤力之輔プロフィール

1944年横浜に生まれる。1972年、渡西しスペイン国立プラド美術館にて4年間 イタリアの画家「ティツアーノ」を模写。後に、神奈川県民ギャラリー、 ギャラリートーシン(1978・1980年)、美術ジャーナル画廊、大阪・高橋公羊堂、京都・同時代ギャラリー(1999年・2001年・2005年・2007年)、小川美術館にて自選展。2004年より異文化空間展ー鎌倉・覚園寺、京都・新善光寺、東京・梅上山光明寺ーなど、各地にて数多くの作品を発表し、現在もスペインにて意欲的に活動中。