・ハードディスクが「わいせつ物」だ! |
最高裁判所判決、平成13年7月16日
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わいせつ物を頒布したり販売などをすると、刑法の「わいせつ物頒布罪」として処罰の対象になります。
ここでの「わいせつ物」は、人が実際に手に触れることのできる「有体物」でなければならないと解釈されています。
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ワイセツな写真や文書なんかじゃないとイケナイってことね。
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この前提に立つと、ネットワーク上で情報という形でわいせつな写真を頒布をしても、刑法で罰することはできないと考えることができます。
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あっそうか。情報は手に触れることはできないから「有体物」じゃないもんね。
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ある男性が、自分の管理するパソコンのハードディスクにわいせつな画像を記録させ複数の会員が閲覧することができるようにしたとして、刑法の「わいせつ物頒布罪」容疑で刑事裁判の被告人とされました。
この事件について、最高裁判所は以下のように判決をしました。
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最高裁判所判決、平成13年7月16日
最高裁判所は、「わいせつな画像データを記憶、蔵置させた、ホストコンピュータのハードディスクが刑法175条に定めるわいせつ物に当たる」と判断した。 |
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えっ、ハードディスクが「わいせつ物」なんだ。 ハードディスクにワイセツな写真が張ってあったみたいだね。
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「わいせつ物頒布罪」容疑の被告人を有罪とするためには、何が「わいせつ物」であったのかを特定しなければなりません。
そして、その「わいせつ物」は、前にご説明したように「有体物」でなければなりません。
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それで「じゃあ、ハードディスクが『わいせつ物』ってコトにしにようか」ってなったんだ。
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有罪にするためには、そのように判断せざるを得なかったという事情は分かりますが、ハードディスクが「わいせつ物」にあたるというのは無理があるように感じられます。
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最高裁判所クラスの裁判官になると、ハードディスクを眺めるだけで、中にどんなデータが書き込まれているのかが分かるのかもしれないね。
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