2004年10月、ブリュッセルとパリにて上映!

映像作品<六甲の山荘 「在」Be>

陰と影が奏でるニッポンの美

【概 要】

この映像作品は、建築家石丸信明の設計による「六甲の山荘」を題材に、日本人が本来持っている美学や精神性を表現しています。時間と空間との融合、引き算の美学、自然に気づく装置としての家などが表されています。
2年間の撮影、1年間の構成・編集、計3年の歳月をかけてつくられました。たった18分間の映像に3年?そうお思いの方も多いでしょう。しかし何十年たったワインをたった1時間程度で開けてしまう、そんな熟成のときを味わうことができることでしょう。
六甲の豊かな自然と山荘のほの暗い室内の対比を背景に、石丸信明が建築というフィルターを通して日本人のアイデンティティを問いかけています。

【六甲の山荘】

この山荘は、六甲山頂近くに建つログハウスで、1997年に完成しました。阪神淡路大震災によって基礎が被害を受けたことをきっかけに石丸信明が建て替えの設計を担当しました。
作為をあえて消し去ろうとしたデザインによって、光の移ろい、かすかな音、自然の色合いがおのずと際だってくる空間となっています。時間と空間がいったいとなって日本独自のやすらぎスペースがひろがっています。

【映像について】

石丸信明は1995年の阪神大震災において被災し、その経験によってこれまでの建築家としての価値観を大きく覆されました。1人称的な仕事のスタンスの放棄から生まれた彼独特の、装飾を極限までそぎ落とすという設計手法を映像作家藤原次郎が映像表現しています。
刺激満載、ハイテク偏重の映像が氾濫している映像世界において、可能な限り作為を引き算したまったく新しい実験的な作品です。
日本を象徴するようなもの(これまでの和風景ではない)、例えば、雨や湿気、微妙な光の移ろい、陰と影の違いなどを、身の回りにあるさりげない風景で切り取り、風がそよいでいくように構成作家奥村恵美子が映像構成。それらを筆文字のひらがなと英語の副題によって、映像と文字とのコンビネーションによる異空間映像を生み出しました。
タイトルの「在」は、今そこに「在る」ものを「在るがままに」受け入れ、そこから始まる幸せ感を表現しています。副題の「Be」は、be動詞のbeであり、何かと何かをつなぐもの、新しい関係性を創造する装置を意味しています。

企画:ARX KOBE
制作:クリエイティブハウスおくむら
ユニバーサルジョイント
解説:建築家 石丸信明
演出・編集:藤原次郎
構成:奥村恵美子
撮影:安田真一郎・藤原次郎
照明:柳川清志
音効:ガリレオクラブ
題字:上地拝碩
英語翻訳及びナレーション:ピーター・フィンケ

2000年度制作
18分