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前回お知らせした、熊本市議会の情報公開については、6月に各会派代表による討議の場が設けられました。そのなかで、一部会派からは熊本市の情報公開条例に、実施機関としての議会を追加すればすむという意見もありましたが、やはり議会はより透明性を持たせたほうがいいという意見が多かったことに加え、熊本市の情報公開条例に加わるとすれば、若干の問題が生じる恐れがあるため、議会独自のものを作るという結論に達しました。
議会独自のものを作るということは、熊本市議会議員のモラルと政治市政の向上であり、大変に好ましいことであると思います。ただ、ここで話しに出る「問題」とはなんでしょうか。問題というと、いかにも何か秘め事であるかのように思われますが、決してそうではありません。それは、行政上の秘密という代物です。行政上の秘密とだけ言えば、ここにもあたかも覆い隠しているものがあるかとも感じますが、それも違います。
たとえば、議会の中では本会議という最終審議機関の前に、議案を付託して詳細に審査する常任委員会というものが設置されます。これは法によるもので、必ずどの議会にもあるものです。ここでは、自由な討議が認められており、議員と執行部の間で予告もシナリオもない熱心な討議が交わされています。そしてその中では本音で討議するために、かなり個人や行政の深部まで討議が及ぶこともあります。また、瞬間に答えなければならないため、時として執行部の記憶による答弁内容もあります。
ここにおいて、熊本市の情報公開条例をそのまま適用したとすれば、この委員会の討議内容は一言一句たがわず公開する必要があります。しかしその場合、法で認められた公務員の守秘義務はどうなるのでしょうか。一方では守秘義務を遵守しながら、委員会会議録ではすべて白日のもとにさらけ出されるとすれば、行政が混乱することは目に見えていますし、市民のプライバシーがおかされることも考えられます。
一方では、守秘義務の範囲内で答弁をすればいいじゃないかとも言われそうですが、その枠のはまった狭い範囲内で、市全体の方向性や市民生活を守るための真剣な、かつ突っ込んだ討議ができるかどうかはたいへん疑問です。私達議会は、ともに守秘義務のあるものとして、そこにおける討議内容のうち、必要なものは委員長報告として、不必要な部分を割愛したものを本会議にて報告し、この内容はすでに公開されています。
さらに内幕を暴露すれば、私達議員は選挙という関門を抱え、そこで支持を得られなければ議席を得られませんし、市の方向をつかさどる活動はできません。そのために、自分の名前を売り、活動をPRするという悲しい性があります。委員会の討議内容がすべて公開になれば、誰がその発言をしたかということが注目の的となり、ある意味でのスタンドプレーが発生する恐れもあって、それが自由闊達な討議を阻害してしまうことも考えられます。本来あってはならないことですが、これは一部選挙民に問題があるのも避けられない事実です。
もうひとついえば、この委員会の会議録は書記職員の要点筆記により作成されています。討議の内容によっては聞き取りにくい場合もあり、会議終了後に発言内容を再確認する場合もあります。加えて、委員長報告となったときに内容の錯誤が発覚し、本会議での報告前に訂正となる場合があります。その場合も筆記内容に公開の義務が発生すれば、混乱が生じる恐れがあります。それを防止するために録音または速記とすれば、多額の費用を要すると同時に、これがまた自由闊達な討議を阻害してしまうことも考えられます。
また、議会が熊本市の情報公開条例をそのまま適用したとすれば、政策形成にともない、打ち合わせに使用したメモ書きも公開の対象になります。そこには陳情の内容や、様々な事情も書かれることもあり、委員会の討議内容と同様、混乱を生じることは十分に考えられますし、さらには特定の政治的意図を持って、悪用されないとも限りません。
このような中、今回の議会の判断は、手前味噌ながら好意的に受け止めていいと思います。独自の条例を策定することにより、全国どこに出しても恥ずかしくない条例内容とし、情報公開の趣旨が十分に生かされるものであれば、これが最善の策だと思います。
情報公開があたり前という流れの中、遅まきながら熊本市議会は本年中にこの条例を策定することとなり、議員のモラルも向上しています。私もこの委員となっていますので、このページに恥じないように一生懸命やって行きたいと思いますし、出来上がったときの評価と審判は、そのときに皆様にお任せすることとし、それまで期待をしていただきたいと思います。
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