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前回の特集では、ヨーロッパと比較した様々なまちづくりと環境問題を取り上げましたが、今回はその折に書ききれなかった緑化の問題をお話ししようと思います。
ヨーロッパの中でも、特にドイツは環境問題に力を入れており、その中で緑化面にも力を入れています。ドイツでは酸性雨でかなりの森林が被害を受けており、先日の京都会議でも二酸化炭素排出削減のためにかなり努力していることがうかがえました。そのために二酸化炭素を浄化する「緑」に対して神経質になるのはよく理解できます。私は、ドイツのフォルツハイムという都市での河川の再自然化の現状を視察したことがありますが、現場に着く前にバスの中で資料に目を通したとき、「さすが人に見せるだけのことはある」と驚いた河川の写真が、現場に着いてみると、工事前の写真だと解って二度驚いたことがあります。竣工後の現地は、まるで発展途上国の河川のように藪で覆われ、ここまでやるのかと感心しました。それ程真剣に力を入れているのです。
ドイツの大都会では、ほとんどの建物が壁面緑化をされています。また、可能なところには屋上緑化がされています。地方都市に行けば、一寸した斜面の住宅街はどこに住宅があるのか判りません。壁面と屋上緑化のうえに、庭の木が良く茂っているのです。それもその筈で、ハイデルベルグなどでは、敷地内の直径20センチ以上の木は切ってはならないと言う法律がありました。ここまで徹底したことが出来るのは、市民意識がそれだけ緑化に対して真剣に浸透しているということと、彼らは元々狩猟民族であり、森林の中に住んでいた民族であるために違和感なく、我々からみれば「藪」の中に住めるからではないでしょうか。ただ、街並みを見ていて気がついたのですが、意外と街路樹が少ないのです。理由を何人かのドイツ人に聞いたのですが、あまり確固たる答えが返ってきませんでした。これは今後調べて見たいと思います。
ただ、この街路樹と言うものは我が国では非常に多く、緑化と言えば一般的には街路樹と短絡的に考えがちです。しかし、これは大きな欠点も持っています。たいがいは道路に沿って歩道に植えられますが、落葉樹の場合は落ち葉の清掃に多大な費用を必要とします。熊本市などの路面電車のある街では落ち葉により電車の制動距離が伸び、事故の心配があるので、軌道に砂までまいています。もっと大きな問題としては、街路樹が成長して隣接した建物に干渉し、ひどい場合には建物の本体に影響が出ている場合もあります。また側面的には、街路樹の葉が茂って隣接した商店の看板が見えず、経済的に影響が出るばかりか、それにより見えなくなった看板を立て看板でカバーしようとして、街路樹の根元より車道よりに看板を立て、景観をそこなう場合もあります。このように弊害も多い街路樹ですが、緑化と言う側面からは邪魔者には出来ず、経済的効用から最近はこれに関する疑問も多く耳にするようになりました。
ここにおいて、我が国でもドイツの例に習い、もっと壁面緑化や屋上緑化を活用してはどうでしょうか。この方法は街路樹を植えるより、現在問題とされているヒートアイランドの防止にも非常に効果があります。ブロック塀に風呂の余り水をかけると夏でも大変涼しいといって実行している人が居ますが、我が国に非常に多いブロック塀と、建物のコンクリートの壁がなければ、気温は2度は下がると言う話もあります。これらをなくすことは不可能ですが、緑化をすることによってそれが緩和されるのです。
ただ、これを実行するためには、建物もこれに対応するように構造を変える必要があります。今後新規に建築する場合はまだしも、既存の建物でこういう緑化を図る場合、多額の出費を伴います。また、新規建築の場合でも建築単価が上がることが問題となります。社会貢献と考えてやっていただければいいのですが、それには強制力がありませんから、遅々として進まないことが考えられます。
そこで、私は弊害が多く管理費もかかる街路樹を新規に増やすより、その予算で行政が建物の対応費を補助としてみてくれないものかと思っています。壁面緑化などは樹木でなくとも、窓辺に溢れる花でもいいと思います。ヨーロッパなどで、建物の窓から花が溢れている様子は実に心が和むものです。これは意見が様々にわかれ、街路樹はの人もいらっしゃると思います。ただ、物事には適材適所ということがあり、そのまちの状況やそこに住む人の意見で決められていけばいいのではないでしょうか。今の社会での、緑化と言えば街路樹と言う感覚に、選択肢が増えたと考えていただければいいと思います。
最近、北国を中心に道路沿いにフラワーポットを置き、街が花で溢れているのを目にするようになりました。東京の都心でも、ビルの窓辺に花が溢れている光景もあります。樹木は確かに二酸化炭素の城下に必要です。幹線道路の排気ガスの多いところには桜の木の強力な二酸化炭素除去能力が有効なのも知っています。ただ、緑化ということを、このように樹木に限らず環境問題として幅広く捉え、空気の浄化だけにとらわれず、我が国、わがまちなりの潤いあるまちづくりを進めていくのもおもしろい選択肢かもしれません。
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