| 2004年6月議会緊急報告
平成16年6月熊本市議会総務常任委員会の継続審議の実情
平成16年6月の熊本市議会総務常任委員会で、市長提案の俗称「任期付職員採用条例」議案が継続審議となりました。報道によれば、かなり詳細な理由が書かれていたものの、全体の印象としては市議会の市長に対しての信頼感が欠如しており、対立しているような書き方であるようにも感じられましたので、そうではないことを明らかにするため、ここに生の情報を記載します。
この条例案については、国が定めた同趣旨の法律を地方でも取り扱えるようにするために、いわゆる「後追い」で条例化しようとしたものでした。条文は一般的なもので、最初は取り立てての問題はないかのように感じていました。しかし、運用を視野に入れた立場で条文を見たとき、種々の問題点が見えてきました。
一部では、職員の士気の低下を懸念したり、組合組織の反発ということもあったようですが、委員内外からはもっと根本的な問題点が指摘されました。
一、
退職後に関して守秘義務をどうするのか。
二、
採用後の試用期間が設けられていないので、問題があっても解雇できない。
三、
採用して配属する部署での目的が不明確。
四、
採用に関しては審査官が目的に応じたスキルがなければ判断ができないはず。
五、
採用後の組織内での体制(予算・人員・組織同化)の不明確さ。
六、
採用決定における人事委員会等独立組織の判断が働かない。
七、
企業が個人と結託して制度悪用する祭の防止策がとられていない。
主だったところを集約するとこんなところでした。このうち守秘義務については地方自治法の規定もありましたが、より明確にすることが必要であるとされました。
これらの問題点を指摘し、すべてを盛り込んだ規程を作成しながら運用させるか、またはこのまま可決してうまく運用できなかったときに追及するかという意見もありましたが、市民の大事な財産を扱い、また熊本市の未来を決定していく立場の議会としては、すでに指摘された問題点を放置しておくよりも、せっかく作る条例ならば、あわてずにその条文の中で問題や課題を未然に防止できるものにすべきであるとの考えの元、もう少し時間を与えるので、完全なものにして再提出してほしいと継続審議としたものです。この論議の中で、多くの議員から趣旨賛同という意見が出されたこともそれを証明しています。
これは今回の議案を審議しながら下川個人が感じたことですが、最近の議案は執行部の間でもよく「もまれず」に提出されている感がぬぐえません。こちらが質問しても自信のある答弁が帰ってこないのです。本来ならすべての問題点を検証し、それの対策を論議したうえで議案として上程してくることが当然であるので、それを出発点として議論になるはずなのですが、何を聞かれても明確に答えられない以上、議案に対する信頼度はとことん低下してしまいます。結局、ブームに乗った「うけ」のいい政策を急いでつくってくるので、職員にも議案に対する「思い」がこもらないことが原因なのではないでしょうか。職員の責任というよりも、むしろそれを指示するだけで、問題や課題に気のつかない最終決済権者の責任であると感じ、熊本の将来に不安を感じています。
修正動議提出緊急報告
平成16年3月総務常任委員会の予算修正動議の実情
平成16年3月の熊本市議会総務常任委員会で、異例とも言える新年度予算案に関する修正動議が提出され、というか私が提出したのですが、全会一致で可決されました。予算案に対しては本当に異例のことで大変なことと思いましたが、巷で言われるように議会が市長をいじめているのではなく、むしろ市長支援の修正動議であったのです。
これは熊本市が平成11年の3月に買収し、土地開発公社に保有させていた土地を買い戻し、グランドゴルフ場を建設するもので、社会福祉費の中に計上されていました。総額は約4億5千万円。うち土地代とこの間の金利で約4億1千万円。整備費が4千万円弱でした。最初にこの議案を見たときの思いは、10万20万を節約しているときに、何でこんなお金を使うんだろうというものでした。
調べてみると、この土地には真偽は別として元市議が関与しているなどのうわさがありましたが、私たちの選挙直前の議会中に購入されており、議決事項ではなかったようでしたが、責任を感じる点もありました。ただ、近隣には休眠状態に近い大規模公園があり、交通の便も悪く、必要度合いを突っ込んで検証した形跡も感じられないなど、多くの疑問点が出てきました。なにより、これを実行する職員の間にも「なんで」という多くの疑問の声が聞かれました。また、すでに金利もかさんでおり、これを一般会計で購入すれば土地開発公社を解散できることなどもわかってきました。
ここで悩みました。確かにグランドゴルフ愛好者も多いので、その方々のためにこのまま予算を承認するのか。それともこの予算に対して異議を唱えるのか。しかしここで考えたのは、はたして市長は本当にグランドゴルフ場を作るべきだとの思いで上程してきたのか、それとも市政の大きな流れの中でそのままなんとなく提出したのか。いずれにせよ最終決済をしたのは市長なのですから、表向きは作らせてくれというに違いない。だけど、このままこの予算を通過させてしまえば、せっかくの改革路線に逆行してしまうのではないか。ここは改革という市長の言葉を信じて意義を唱えようと考えました。
そこで一念発起しました。修正動議は提出者も含めて5人の賛同がなければ発議できません。市長と議会が対立しているという誤解を招いている状況の中では、火中のクリを拾うようなものである。もし所属会派に迷惑がかかるようなら、たとえ一人になっても異議を唱え、良識に基づいた行動を貫こう。そう思って退団届も用意し、会派の会議に提出しました。しかし、やはり議員とは捨てたものではありません。市長いじめとの誤解を招くことを恐れず、賛同を得られました。他会派からも次々と賛同を得られ、最後は全会一致の修正という結果になりました。
実はこの修正動議、技術的にも簡単に提出できるものではありません。通常は歳出を修正する場合、歳入と深くかかわり、セットで修正する必要があり、国庫や起債が絡んでいる場合はとても議会日程中に修正案が作れるものではありません。それでやむなく全体を否決するわけに行かずに可決することとなっていたのですが、今回は整備の中に建物が入っていなかったので、単純な市の単費で取り扱われており、比較的容易に修正が可能だったため、繰越金を歳入に当てることで修正案が出来上がりました。
今回の修正は、議会全体が世論の誤解を恐れず、熊本市の将来のために動いたこと。また技術的な幸運にも恵まれて、良識ある行動を貫き通すことができましたが、今後はこういうことができるかは不透明です。ただ、すんなり審議できるような議案を提出していただけるよう、提案者である市長にも良識に基づいた英断を求めたいと思います。
緊急議会報告
平成15年12月の熊本市議会で市長提出条例案否決の実情
平成15年12月開催の熊本市市議会において、市長が提案していた事務分掌条例変更の議案が、議員大多数の反対(52名中47名)で否決されました。これは熊本市議会の歴史上初めてのことではないかと思います。
委員会で否決(賛成者なし)の翌日の新聞報道では、「説明が不十分」などの理由が並べられ、「行政改革の行方が心配」といった内容の表現が見られていますが、私もその採決に関わり、議論した立場として、その内容が適正に伝わっているかどうかが疑問となり、ここに緊急ですが、その経過を報告としてまとめてみました。
この議案は、新市長となってまとめられた行財政改革の中間発表として15年10月に発表されたもののなかに記載をされていた内容を議案化したものですが、提案の理由として、行財政改革をスムースに進めるため及び組織のスリム化を計り、意思決定を迅速にするということでした。内容は企画財政局となっていた局機構のうち企画を分離し、市長室へ移動し、企画広報を市長直属として、さらには財政局の中に契約課を作るといったものでした。さらに、議案外の部分として、部制の廃止とそれに代わる政策調整班を各局内に設け、局次長が統括するという付帯説明がつきました。
この審議にあたり、担当委員会では3時間にわたる議論が行なわれました。その要点を以下にまとめます。
・
行政改革の中間報告に記載され、パブリックコメントの対象であるという説明が議会にあっていたが、コメント聴取前に議案上程されたこと。
・
10万の資金でさえかき集めて節約している時代に、費用対効果の検証すらなく億単位で予算のかかると思われる機構改革を実施しようとしていること。
・
市長室に権限が集中することを避けてきた歴史に逆行して、チェック機能が働きにくいような機構とすること。
・
行革を第一義に行なう中で、やむを得ず必然的に機構改革が求められてくるべきものであるのに、事前に準備から始めようとすること。
・
組織のスリム化といいながら、局次長や調整班を配置するなど、実態上のスリム化に繋がっていないこと。
・
つい先日機構が変わったばかりであり、市民から見て混乱を招きかねないこと。
などのような点が論議された骨子です。この中で印象的だったことは、単に機構を変えるだけに億単位の資金が必要であると考えられるのに、その算定すらすることなく、実態上はスリム化に繋がらないにもかかわらず、議案を上程してきたことが熟度不足であったことです。また、機構改革が行革の絶対条件でもないのに、大げさに準備だけしようとすることが、熊本便で言う「しこだおれ」であったことです。
今回の論議では、参加した各議員が、それぞれに市政に対する熱い思いをもって、何が本当に市民のためになるかという観点があったように思います。
以上がこの論議の実態ですが、私の所感としては、議会がたいへんにいい意味で活性化し、いい緊張感が生まれているのではないかという事と、議案内容に熊本市に対する熱い思いがかけているだけでなく、表面上の手法にとらわれすぎて、物事のコンセプトが欠けていることを感じたことがあげられます。
今回、私が報道だけを見たと考えると、議会が市長に対して嫌がらせをしていると考えると思います。確かに書いてある内容は包括的に考えた場合は的外れではないのですが、記者の所感も記載されており、もう少し物事の本質を捉えながら、記事の与える社会的影響をしっかりと認識して、いいも悪いも正確な報道をしていただきたいものだと思います。
<春の特集>
市議会の常任委員会の公開問題
市議会の情報公開条例ができています。これにより、市議会も情報公開の対象となり、よりいっそう透明性のある運営が図られることになりました。
しかし、ここにおいて更なる問題が新聞紙上をにぎあわせています。それは、議会の中の委員会の公開問題です。なぜ、今この時期に新聞紙上で話題になっているのでしょうか。
もともと、市議会の本会議は完全に公開されていました。傍聴も自由ですし、マスコミも入っていました。しかし、委員会においては制限公開とされていました。どういうことかというと、非公開ではないけれども、委員長の許可なくしては傍聴することができず、その公開事例もありませんでした。マスコミは以前からの申し合わせにより入室していたのですが、一般市民が入室した事例がないので、情報公開条例に伴い、これを完全に公開せよというのが今回の騒動の発端です。
この論議は私が副委員長を勤める議会運営委員会で、昨年の九月、共産党により開始されました。その提案直後、私たちと自民党の与党各党により、「たいへんいいことであり、時流であるので来年、つまり2000年の3月議会をめどに完全公開の方向で検討する」ということになりました。その後、各会派の代表者が討議を重ね、2000年の2月に結論を出すための議論を行いました。
そしてその場で、共産党を除くすべての会派が、基本的には賛成であるものの、「完全公開は必要だが、完全公開までにクリアすべき問題があり、それが解決できていない時期での完全公開は時期尚早」との意見で一致しました。共産党は「3月議会で完全公開するといっておきながら、いまさら公開をしないのはおかしい」と主張し、それをマスコミが取り上げたわけです。
しかし、詭弁ではなく、3月議会から完全公開するといったわけではありませんし、今後公開しないといったわけでもありません。むしろ、各派の認識は「賛成」ということですので、完全公開に向けて大きく前進しているといったほうがいいと思います。
この議論を通して得られた最大の効果は、よりよい議会のあり方について、時間を限った中で、ほとんどの議員が真剣に考えたということです。そしてその中で洗い出され、3月の完全公開を踏みとどまらざるを得なかったた問題点、それは何だったのでしょう。
1.あらためて考えると、もともと熊本市議会は会議公開がすすんでいた。
2.傍聴人の入室スペースが限られている。
3.議員のスタンドプレーがおこる。
4.委員会の自由な発言ができにくい状況がおこる。
5.傍聴人により委員会内容が間違って広報される恐れがある。
内容を要約すると、だいたい以上のようなところです。それでは、個別に解説していきましょう。
まず、1についてですが、熊本市議会は全国的に数少ない状況となってきた制限公開のうちのひとつですが、内容をよく精査してみると、完全公開としている議会では、議案としてあがっている事項しか議論してはならないというところが多く、その他の事柄は一切発言できないところがほとんどで、しかも発言時間が制限されているものがほとんどです。その点、熊本市では発言時間に制限もなく、議論の内容もまったく自由なので、実際に議案は支出一件という場合でも、その委員会の所管する事項であれば自由に質問し、討論できるため、委員会がどうなるかわかりません。当然、いったん開会したらいつ終了するのかの予測もできず、どこまで議論が発展するかもわかりません。その結果完全公開とされているところよりも開催回数も、開催時間も多く、私たちも執行部もものすごい緊張の中に委員会が開催されます。委員会開催日は夜であれその後の予定が入れにくいのは事実です。しかも、その内容は完全公開の本会議の中で、委員長報告として詳細に筆記して報告されます。ここで仮に報告をもらそうものなら、委員長報告に対する質疑ということでこっぴどくやられます。しかも、マスコミは入室しているので、何かあればすぐに記事になります。他都市では、本会議での報告も採決の結果のみというところがほとんどで、ここまでやっているのは熊本市ぐらいです。
2については、前に書いた状況から、執行部も課長まで入室していないと突っ込んだ議論に対する答弁ができないため、大人数で会議する関係上、よく入れて5人程度といったところでしょう。この状態で公開しても、単に公開しましたという帳面けしになってしまい、今後よりいっそうの公開がすすみにくくなるのではないかというのを私たちは懸念しています。そのため、この問題を解決するために、ケーブルテレビやモニターを導入して、多くの市民に公開する手法をとりたい、しかしそのためにはもう少し設備のための時間がかかるというのが大方の意見です。
3については言うまでもないでしょうが、議員というのは「自分がやった」ということをアピールし、利益誘導により選挙を戦おうとする職業病があります。私とて例外ではありません。ここにおいて、多くの議員が活動し、やっと出来上がりそうな政策があった場合、自分の後援会を動員してそれを質問すれば、当然出来上がりかかっているのですから、すぐ実行するという答弁が出ます。そうすると「あの人がいったからできた。たいしたものだ」となり、その人が表面上の手柄を独占してしまうことになります。これが横行すると、本当にやるべきことでも、あいつの手柄になるのならつぶせとか、自分の都合で待ったをかけるとかの事態が起こりかねず、市民に不利益がおこります。あってはならないことですが、可能性が否定できない以上はこの問題も解決する必要があります。とくに、特定政党のPRに使われるのを防止したいと考えます。
4については、いろいろな側面があります。先に述べたように自由に議論する関係上、かなり突っ込んだ議論に発展することがあります。その流れから、時として行政上の秘密に内容が及ぶこともあり、われわれは守秘義務が課せられていますが、それのない一般市民が傍聴していて秘密やプライバシーの議論が起こればもう間に合いません。傍聴人に守秘義務を課しても、人の口に戸は立たないといいますから、個人情報保護条例に抵触する場合が考えられます。また、執行部の側から見れば、答弁の中で言ったことが一般市民に聞かれていますと、その内容に縛られてしまいます。本会議の一般質問などでも、そのために「すりあわせ」という、変な作業が行われるわけですが、現実論としては執行部の自由な答弁ができなくなる恐れがあります。自由な答弁の中で、なんとかひっかけて(言葉が悪いですね)いい結果を勝ち取りたい我々議員としてはたいへん困った事態が起こります。また、議員の側にも問題がおこります。普段の委員会を聞いていると、一般の認識よりもはるかに大所高所の見地に立った議論が行われます。我々の個人の利益としては右と思っても、熊本市のためには左ということもあります。ところがここで、自分の後援会で右だという人が傍聴しているのに左といえば、「あいつは役にたたん」といわれ、次の選挙では票が減ってしまう可能性があります。もっとひどいときは、後援会の中で、右と左という相反する意見の人が来てしまえば、発言して票が減り、しないで票が減りといった事態が起こります。結果、自由な議論どころか、たいへん静かな委員会になってしまうことが考えられます。
5について、ここが一番重要なのですが、人間は言葉の動物であり、言葉で意思を伝えますが、それには上手下手があります。議員が下手であってはならないのですが、そこには感情が入ります。感情が入れば、つい言葉が足りなくなったり、聞くときに思い込みがあったりして、意思が誤解される場合があります。議員同士であれば、発言ができるので、真意を確認することもできますが、傍聴人は発言ができないため、誤解は誤解のままとなることが考えられます。そうしたとき、誤解したままの内容を「自分は傍聴してきた」と言って他の市民に伝えた場合、特にそれが活字媒体となって伝えられた場合は取り返しのつかないことがおこることが考えられます。以上は善意の場合ですが、もし悪意の場合は、「自分は見てきた」と言って、わざと内容を捻じ曲げて広報された場合、それが特に特定団体の利益誘導に悪用された場合などはどうなるか、皆さんのほうが結果はおわかりかと思います。
以上のようなことが、主な理由と状況ですが、この他にも身体に危険が及ぶこともあります。先日は、陳情の趣旨説明者が委員会室で不穏当な発言(議員を馬鹿呼ばわりした)として喧嘩一歩手前と言うこともありましたし、議論の結果を本会議で報告してあるにもかかわらず、議論していないとして「議員は無責任」と言う内容のことを繁華街で広報してきたという脅迫まがいの陳情の趣旨説明もありました。
このように、共産党の提案や、表面上の完全公開と言うことだけで簡単に議論を進めてしまえば、将来に禍根を残すさまざまな事態が起こってきます。
マスコミでは、いかにも議会が消極的なようにかかれていますが、全国一律に考えられない、その土地土地の事情があります。私たちは決して公開を否定してはいません。その証拠に、今後公開を念頭において、よりよい議会のあり方を議員全体と代表者で急いで話し合うと言う結論が導き出されています。
私の会派は、この問題をクリアするために、魚眼レンズなどを使って発言者の顔がわからないようにした委員会中継による公開システムの案を今作成しています。このように、今回の議論を通してよりよい議会が作られていくのではないかと思います。
今回は、マスコミとは相反するような内容になりましたが、意外と皆さんの想像より議会は真剣に変わろうとしてういるようです。 |