| 平成10年3月25日
熊本市議会平成クラブ議員団
団 長 西 村 建 治
交通問題対策にかかる考察および意見
本書の発表にあたって
我々平成クラブ議員団は、熊本市民より選出された市議会を構成する一員として、公平かつ公正な行政運営を監視し、本市の均衡ある発展と、熊本市民全般の幸福感ある生活環境の確保に全力を尽くしている。
今般、その目的の遂行のために本市の様々な状況を調査し、分析研究する過程において多くの問題点を抽出したが、中でも交通渋滞にかかる市民の経済活動と福利厚生、ひいては地球規模での環境問題にもつながる交通問題全般については、特に緊急かつ早急な対策を講じ、解決のための施策を講じる必要があるとの結論に達した。
この点に関しては本市議会も同様であり、すでに交通対策特別委員会が設置され、問題解決のための論議が重ねられているが、当該委員会における討議の一助として、我々が会派において独自に討議を重ねた考察および意見を、その活動内容の報告として本書にまとめ、具申するものである。
本書の内容としては、市民からの抽出意見による問題点を参考にしながら、交通問題にかかる対策を、
1・短期的政策による緊急避難的対策と比較的局所的な処置により解決できるであろう項目。
2・長期的かつ本市行政単独では対応するにあまる各種既存システム改革および新規のシステムにかかるもの。
以上二つに大別した。また更に1については道路改良にかかるものと、近年研究が進むパークアンドライドに関するものに細分化し、2についても道路網および既存の公共交通による対策と、新規のシステムによる対策に細分化して意見を具申している。
交通対策に関しては、全体的かつ総合的な対策がゼロベースで一斉に施行されないと本来の効果が活かせないと言う事実はよく認識するものであり、本書の内容に、さらに様々な意見等を付加したうえで総合的に施行されることを強く望むものであるが、これらがそれぞれの事情により個別に施行されていったとしても何がしかの効果を発揮できるよう意を用いて作成したものである。本書が熊本市議会の総意構築に際し、何らかの形で討議の資料として利用され、議会本来の目的である市民生活の向上と言う部分において、行政執行部に対する議会の意見具申の中で何がしかの役割を果たせれば幸いである。
なお、本書は対策のエッセンスを抽出して簡便にまとめたものであるため、結論を導くに至った討議の経過および細かなデーター類は、表中の討議経過を除き省略した。
1・短期的政策にかかるもの
@既存道路の細部の改良による交通渋滞の緩和について
我々が討議を進めるうえで、局所的渋滞箇所として取り上げ、さらにその解決案を考えたものは次の表に示す。しかし、ここで考えた解決案の中には、後述する長期的政策において問題解決を図らなければならないものもあり、短期的な道路の部分改良においてできるものとしては限られてくると考えられる。
問 題 点 と 改 善 案
田崎市場前
金門橋の例にあるように、朝夕の中央線変更の試行を行う。パーソントリップ調査の結果を踏え、モデルケースとしても可。
竜神橋通り
長期政策にかかるもののうち河川上の車路の部分で対応。
浄行寺交差点
右折高架にて対応。
3号線近見交差点(東バイパス)
東バイパスからの流入車両とそれへの右折車両を、高架により車線を分けて整理し、信号を撤廃する。
十禅寺市道
豊肥本線の高架による踏み切り除去。
白山交差点上り右折
上りの右折が二方向あるので、明午橋通りへは右折禁止とする。
本妙寺踏み切り
道路の立体交差で通過交通を流す。西回りバイパスの早期完成により通過交通を流す。
東バイパス神水交差点
立体交差により通過車両を流す。
東バイパス上水前寺交差点
立体交差により通過車両を流す。
電車通り水前寺公園前下り線右折
電停移動による右折専用車線処理。
57号線下り線竜神橋右折
河川上の車路により対応。
東バイパス保田窪交差点
立体交差により通過車両を流す。
戸島線新外入り口交差点
パークアンドライドで絶対交通量を減らす。
東バイパス西原交差点
立体交差により通過車両を流す。
六嘉県道
パークアンドライドで絶対交通量を減らす。
右折時の交通渋滞
右折禁止交差点の増設
旧体育館前下り線左折
手前からの車線予告標識の設置。
子飼橋
河川上の車路により対応。
この表中、東バイパスにかかる部分については長期的政策にかかると同時に、財政出動の規模が大きいと同時に、道路管理者との協議が必要であるために、真の短期的措置は困難が伴うと考えられ、特に後述の長期的政策に譲りたい。その他についても、右折禁止および通行区分変更を除けば、現在の本市の財政状況を考えれば実行が困難であるものもあるので、長期政策の中に委ねながら早急な解決を図る必要があると思われる。ただし、こういう箇所が緊急に対策を求められていると言う認識はしっかりと持っておく必要があると考えられる。しかし、表中数点にわたって対策として討議した河川上の車路については、特に白川上空について、費用がかかっても都市規模の発展と問題解決を考えると、必ずやるべき事であると確信する。
また、この表に示す局所的渋滞箇所への対策とは別に、一般的な応急処置的交通量削減対策と言うものを討議した。その主なものは次のとおりである。
- 中心市街地での車の流入規制が必要。公共交通機関を利用させるような道路整備を考える。
- 中心市街地駐車料値上げによる流入規制。またその増額分インフラ整備目的税化。
- 白川河川改修後の三号地の駐車場化。
- 右折禁止の増設及びユーターン方式の導入。 立体交差の活用。
- 大企業に対しての車両乗り入れ規制。
このうち1ないし3は中心市街地の渋滞による経済活動の停滞を解消するための施策である。本市の重要事業の中にも中心市街地活性化政策があげられているが、ここの交通の渋滞による「中心市街地離れ」があるのも市民の声として聞こえてきている。また、5に関しては共同配送システムの推進などによる商業車両および営業車両の流入削減が考えられる。さらに、2に関しては市民の経済活動に対する干渉にはなるが、商業車両を除き、一般車両に限定するなどで、他の経済活動への余波を最小限にとどめることも必要であろう。いずれにせよ、この5件に関しては財政の出動をほとんど要せず、市民のコンセンサスさえ得られれば施行できるものであるため、執行体制側の努力によって実現が可能であると思われる。
ただ、本来は市民の経済活動に対し影響も懸念される項目であるため、いずれも施行しないですめばそれにこしたことはないものであるが、我々がヨーロッパを視察し、各種情報を収集する中においては、やむを得ず実施されるか、または実施が検討されているものばかりである。我が国、特に本市においてもその状況下にまで追い込まれていることは明らかであり、早急な実施を要すると思われる。
Aパークアンドライドシステムについて
この事に関しても、現在の本市の試行の状況および他都市の実施の状況、TDMの概念等を考え合わせて討議を行った。その内容および対策としては次の表に示すとおりである。
しかし、この内容を分析すれば、絶対交通量の削減に対しては非常に有効なシステムであることは論を待たない。しかし、公共交通機関を利用するためのメリットを利用者に対して如何に確保するかと言うことが事業成功および存続の最大のポイントである事は自明の理であり、そのためには低廉な料金での駐車場の提供と、位置的利便性、また鉄軌道の利用ということが求められるが、本市においてはその社会的条件からパークアンドバスライドシステムを導入せざるを得ないと考える。
その場合、現在の本市道路インフラの状況では定時制および高速性の確保が困難である。よって、どの部分で利用者のメリットを確保するかと考えれば、それ以上の利便性を確保することである。表中にも述べているが、ヨーロッパの事例にもあるように、乗り換え拠点とでも言うべき郊外ターミナルの建設が肝要であると考える。ただし、建設費用については民間活力参加の再開発としなければ、本市財政がその負担に耐えられない。
そこで一例をあげれば、郊外大型店舗に押されて困窮している既存の買いまわり商店街の救援対策もかねながら、公共融資による共同ビル形態とし、帰宅途中の乗り換え時における日常品買いまわり需要を満たすビルという方式を検討してはどうかと考える。たとえば、利用者の会員登録をして、出勤時に必要品を依頼しておけば帰宅時に駐車スペースまで配達してもらえると言うように、入居者利用者双方に利便の高い施設を作り、その建物の中に公共交通の乗り場があれば、高速性等の確保がなくても利用が見込まれるのではなかろうか。
いずれにせよ、こういうシステム単体だけで構想を進めてしまっては、いずれ機能しなくなり、行き詰まることが考えられるので、複数のシステムを合わせて構築していくことが必要であると考える。
問 題 点 と 改 善 案
制度の研究事例の貧困
ある程度の長期間にて複数回実施する。現在の期間では外的要因により結果の分析が不安定。
駐車場の確保と駐車料金
乗り換え部分に対して駐車場が確保できない。都市計画上の郊外拠点を確保するときに、欧州のように公共交通乗り入れとあわせて駐車場を確保し、天候に左右されず、短時間で乗り換えできるものを確保する。駐車料金についても市中心部駐車場の料金と総合的に低料金になるものとするので、経費的には見合わないが、拠点施設としての民間の家賃その他税収で総合的にペイするものを考える。
有効な路線
益城町方面にかかる東部健軍地区。御船甲佐地区にかかる南部浜線。宇土方面にかかる南部川尻。住宅密集の東部新外または保田窪。北部方面にかかる清水地区。
マイカーとの時間差
できる限り鉄軌道を活用し、10分以上の時間差を設ける。
時差出勤の実施
絶対量の低減と、公共交通の時間当たり輸送量に鑑み、時差出勤および時差退勤が必要。行政が主導し、民間に協力を求めるが、サービス業の出退勤時間に注意する。業務時間の延長にもつながり、市中の活性化ともなる。
2・長期的政策にかかるもの
@既存の公共交通について
我々が討議したもののうち、既存の公共交通であるところのJR、市電及びバスについての問題点の抽出状況とその解決策については以下の表のとおりである。
ただし、これらについては民間の事業管理者との兼ね合いがあることに加え、道路管理者や交通管制との協議が必要となってくる事項を多く含む。さらに、用地関係の問題が発生する場合もあり、多大な財政出動を要すことも考えられるので、長期的視野に立って考えることが妥当であろう。さらに、本市の都市規模を将来的にどのように考え、人口動態をどう捕らえていくか、また、それに伴う都市構造をどういう風に描いていくかと言うことにより、かなりの部分が左右される事項である。よって、現在検討が進められている都市マスタープランとも考え合わせて討議を進めていく必要があることは論を待たない。
しかし、これらは本市の交通問題の根幹に関わるものばかりであるので、直ちに討議を進め、短期間のうちに方向性を立てる必要があることは言うまでもない。特に、鉄軌道に関わる環状線化と言うことに関しては、市民の利便性と絶対交通量の削減の見地からたいへんに有効であると考えるが、完成までの年月とその間の財政負担、及び市民のコンセンサスの構築を考え合わせると、一刻も早く構想に着手すべきものではなかろうか。
さらに言えば、交通結節点の構築と利便性の向上の見地から考えたとき、この三者の既存交通に対しては、それぞれが密接に関係し、相互の機能を保管しあえるものとして、総合的な構想を打ち立てていく必要があると確信する。そのためにも、市民、行政、議会および各事業者が一体となった、真剣な討議の場の一日も早い創設が必要である。
JRについて
問 題 点 と 改 善 案
新幹線と絡んだセクター化
他地域の例に見るように受け皿が問題。以下の三項目との関係を考え、熊本市域は行政が主導してもいい。ただし、その場合は他の公共交通を考え合わせた総合交通体系の構築が前提条件となる。
環状線の構築
現在案の豊肥本線との環状線だけでなく、本来は近隣町村を経由する外環状線を構築し、拠点駅に対する本市中心部からの放射線が必要。ただし、採算性を考えると将来構想とならざるを得ない。
停車駅の少なさ
高速運転との兼ね合いで、都市計画上の郊外拠点を、上記環状線とあわせて考える。
利用者とダイヤ
朝夕の通勤時間は最低10分に1本程度。その他の時間も15分に1本程度運行できれば利用者は多い。
市電について
問 題 点 と 改 善 案
超低床電車の導入の可否
超低床電車についてはその導入費用が高く、福祉面で好評ではあるが、決してそれだけで導入してはならない。LRTとしての性能を考慮し、路線の延伸等と考え合わせて増車を検討する。また、安全地帯の改良とも絡める。
上熊本車両基地の可否
複合施設については多額の費用を要すため一考の余地がある。現地で建て直す方が良い。中間地点である現地に何両かの基地を残すのならば交通局のみでこじんまりと現地で営業すべき。
安全地帯の安全度
ドイツでは安全地帯が広く、車道がそれを迂回している。公共交通が最優先であり、壁を作って安全度を上げ、一般車両は徐行してもよい。車椅子の利用を考えても広い物が良い。
市電の路線の魅力
市電の路線が路面交通であるので、他の交通機関と共存しているため、魅力が薄くなっている。専用軌道を充実したほうがよい。
市電の活性化
市電の路線が短い事が活性化の妨げと考える。川尻電車の廃止も残念であり、子飼地区も廃止を残念がっている。60年のパーソントリップ調査の結果にもあったが、環状化を考えるべき。熊本駅と新港間、健軍から第二空港線を経由した空港間を今のうちにつなぎ、空港と新港のリンクを考えるべき。また、健軍から秋津と保田窪を経由したの環状線も住宅密集地であり有効である。
バスについて
問 題 点 と 改 善 案
バス停の安全度
車両交通の円滑と安全性のどっちをとるかと言う問題になるが、柔軟制のあるバス停安全地帯を確保するべき。ドイツでは電停とバス停が共存し、バスも道路中心部を走行する。新しいシステムの構築も視野にいれるべき。
バス路線網
既存のバス路線網は適切か。1路線が長すぎれば車両のやりくりにより運行本数が減少する。熊本大学における研究結果にもあるように、多少の乗り換えが発生しても、交通結節点を考えた短距離路線往復運行、最小本数の長距離運行と言う新しい方式への再編が必要。さらに、各社間の重複路線については善良な管理者としての責任を持って整理淘汰する必要がある。数珠つなぎ運行による大気汚染問題にも関わると言うことを視野に入れておくべき。
A道路網について
道路網についての既存、新設を含む我々の討議内容は次の表のとおりである。この道路網については、公共交通網がきちんと整備されれば、現在の状態であっても必要十分であると言うのが理想であるが、現実問題としてこの再編は避けて通れないものであると認識する。
これは公共交通が発達しているヨーロッパおよび我が国の大都市を見ても明らかなように、都市機能が発達し、「都市力」とでも言うべき都市の力が向上してくれば、ヒト、モノの動きが激しくなり、行動が多様化してくるために、自由度が高く、毛細血管的輸送力の高い「車両」の動きが激しくなってくる。それを解消するために、必ず必要であるのがこの道路網の整備である。
本市の歴代市長である坂口市長が台湾の高雄市長であったときに、当時さして交通量のないところに一大道路網を整備して人々のヒンシュクをかった。しかし、そのおかげでかの市は大都市へと変貌を遂げ、今では人々から感謝される、という事例があるように、特にこの道路網については先行投資が必要であり、必要が道路を作ると言うよりも、道路がまちを作ると言う認識が必要であると思われる。
本市の場合はすでに立後れた感が否めないが、前項のように、都市マスタープランと考え合わせ、本市の将来構想をしっかりと見据えた大胆な道路網の構築が求められていると確信する。特に、費用対効果をよく検討する必要はあるものの、東京では実例があるような河川上の高架道路及び東バイパスの立体的活用は最重要課題である。
問 題 点 と 改 善 案
放射状幹線道路の不足
放射状幹線道路が不足しているが、新規の用地確保は難しい。大都市の事例にあるように、河川の上空を高架道路として利用してはどうか。右左折も出来るものとし、河川公園の上空を活用すれば建設が可能と思われる。橋梁にて渋滞の原因となっているものの解消にも役立つ。
東バイパスの活用
二階建て構想は頓挫しているが、三階建て道路とすれば、キロあたり60億円の増額で建設が可能であり、用地買収の費用を考えるとこれが効率がいい。また沿線の環境問題にも有効。右折立体交差も最低限必要。
環状線の不足
西回りバイパスの頓挫により環状線が不足している。高規格道路による環状線が必要。また、建設に際してはトンネルを活用しても二穴トンネルとすれば、建設費は6割ですむ。また、大量輸送が可能な骨格的環状道路の築造の必要がある。
通過交通の処理
河内より宇土に抜ける湾岸道路の築造の必要性。
都市計画道路の整備の遅れ
全体の路線計画の見直しと優先順位による計画的築造並びに必要でないもの、できないと思われる道路の計画の廃止、再構築が必要。
B新しい交通システムについて
長期的対策にかかるもののうち、我々は一応新幹線と新交通システムに対しても討議を行った。その経過と対策は次の表のとおりである。
ただ、このうち新幹線については、我々が意図する交通問題とは若干性格を異にする事に加え、討議終了時点では着工が決定していたため、報告にとどめたい。しかしあえてこの問題を論じれば、既に一般的に問題視されているスーパー特急方式にかかる問題点及び、広く経済界を中心に耳にする現在の路線計画の是非があげられよう。
これは、現在の路線計画では、本市の東西の均衡ある発展と言う面からは有効であるかもしれないが、駅周辺整備及び在来線の高架に対する事業効率と費用負担の面、またそれによる既存の公共交通の路線の在り方を考えたときにあまりに多くの課題を含んでいると言うものである。その解決策は、将来構想が管理者の熊本県においても不明確な熊本港との連携をやめ、このグローバルおよびボーダーレスの時代に鑑みたアジアとの窓口との観点から、熊本空港との連携を重要視するために本市東北部の、JR在来線付近に新熊本駅を建設し、一大副都心を構築すると言うものである。この案によれば、確かに用地費も低く、都市は東に伸びると言う世界的原理からも、本市の発展は見込まれるものと思われるが、デリケートな側面を併せ持つために、一石を投じるに止めたい。
また、新交通システムについては、表中の討議の経過にもあるように、他地方都市の成功事例はすべて建設沿線上に人口が集中していることから考えると、費用対効果及び採算性を鑑みた場合、本市への建設はなじみにくいものであると言わざるを得ない。よって、これについては既存の公共交通の機能を強化することで対応するほうが得策であると考える。
いずれにせよ、この新しい交通システムによる交通対策と言う分野においては、新幹線の着工が決定したとはいえ、その開通年次を考え、さらに前述のように新交通システムの建設の効率も合わせて考えれば、今現在直ちに討議するべきものとは考えられない。ただ、新幹線の路線計画において、既存の公共交通等の連携を視野に入れた構想を立てるのみで足りるものであろう。
新幹線について
問 題 点 と 改 善 案
方式
スーパー特急での建設よりもフル規格での建設が必要。
早期着工
モチベーションのための経営計画に伴うもの及び経済波及効果シュミレーションの実施と国及び地域住民へインフォメーション必要。
費用負担率
確実な費用負担率の決定とそれに伴う財政計画の確立。
路線計画
現在の路線計画の再検討。駅位置の熊本市の総合的面的発展の見地からの再検討。上熊本、近見地区の既存用地への駅舎計画変更。
新交通システムについて
問 題 点 と 改 善 案
新交通システムの採算性
本市の乗客需要での採算性が疑問視される。
新基幹交通の導入箇所
四方に広がる本市においては広島市のように縦に長いところと違い、どの方向に建設するのか。建設コストを考えると多方面には建設できない。
既存軌道の基幹交通化。
市電の活性化策とともに改良を加え、本市にふさわしい基幹交通として育てる。
中心部交通
中心市街地交通については流入車両を抑制する事が必要。中心部周辺に駐車場を設け、歩行者の輸送手段を考える。また、ナンバーによる乗り入れ規制、一人乗り車両の乗り入れ規制、中心部通過交通の迂回路の築造などの方策を考える。
−以上−
熊本市議会平成クラブ議員団
団 長 西 村 建 治
宮 原 正 一
鈴 木 昌 彦
奥 田 光 弘
田 尻 清 輝
田 尻 将 博
下 川 寛
山 内 光 昭
内 田 三千夫
田 中 誠 一
藤 山 英 美
提言としてのまとめ
本市交通問題に対し、行政に対する実行提言をテーマ別に簡潔にまとめてみた。
1・短期的政策にかかるもの
@既存道路の細部の改良及び新規システムによる交通渋滞の緩和
現在の本市の交通の状況は、市民の経済活動に対し影響も懸念されている。ここにあげるものはいずれも施行しないですめばそれにこしたことはないものであるが、我々がヨーロッパを視察し、各種情報を収集する中においては、やむを得ず実施されるか、または実施が検討されているものばかりである。我が国、特に本市においてもその状況下にまで追い込まれていることは明らかであり、これらのものが緊急に対策を求められているという認識をしっかりと持ち、早急な実施を要するものである。
- 交通の渋滞による「中心市街地離れ」があるのも市民の声として聞こえてきている。中心市街地の渋滞による経済活動の停滞を解消するため中心市街地での車の流入規制が必要。公共交通機関を利用させるような道路整備を考える。
- 中心市街地駐車料値上げによる流入規制。またその増額分のインフラ整備目的税化。市民の経済活動に対する干渉にはなるが、商業車両を除き、一般車両に限定するなどで、他の経済活動への余波を最小限にとどめることも必要。
- 中心市街地の渋滞による経済活動の停滞を解消するため白川河川改修後の三号地の駐車場化。流入規制との同時実施が必要。
- 右折禁止の増設及びユーターン方式の導入。 立体交差の活用。事例としては東バイパスの各交差点や、県道熊本高森線の各交差点。
- 中心市街地における共同配送システムの推進などによる商業車両および営業車両の流入削減。これについては現在の運輸業界に体力がないため、行政も協力した公設民営型の施設の建設が必要。またこれの施行にともない大企業に対しての車両乗り入れ規制も必要。
- 通勤退勤時の中央線位置変更による渋滞の緩和。事例としては田崎市場前などが考えられる。
- 時差出勤の実施施行による交通量の均一化。
Aパークアンドライドシステムについて
これが絶対交通量の削減に対しては非常に有効なシステムであることは論を待たない。有効な路線としては東部健軍地区、南部浜線、南部川尻、清水、保田窪の各地区が特に有効である。しかし、公共交通機関を利用するためのメリットを利用者に対して如何に確保するかと言うことが事業成功および存続の最大のポイントである事は自明の理であり、そのための制度構築における条件と対策を記述する。
- 低廉な料金での駐車場の提供。
- 鉄軌道の利用。
- 乗り換え拠点の位置的利便性。
- 現在の本市道路インフラの状況では定時制および高速性の確保が困難である。よって、それ以上の利便性を確保するため、乗り換え拠点とでも言うべき郊外ターミナルの建設。ただし、建設費用については民間活力参加の再開発としなければ、本市財政がその負担に
耐えられない。そこでこの拠点については公共交通の乗り場を建物内に持ち、郊外大型店舗に押されて困窮している既存の買いまわり商店街の救援対策もかねながら、公共融資による共同ビル形態とし、帰宅途中の乗り換え時における日常品買いまわり需要を満たすビルという方式を検討する。
- 中心市街地への乗り入れ規制などの他のシステムとの併用。
2・長期的政策にかかるもの
@既存の公共交通について
これらについては民間の事業管理者との兼ね合いがあることに加え、道路管理者や交通管制との協議が必要となってくる事項を多く含む。さらに、用地関係の問題が発生する場合もあり、多大な財政出動を要すことも考えられるので、長期的視野に立って考えることが妥当であろう。さらに、本市の都市規模を将来的にどのように考え、人口動態をどう捕らえていくか、また、それに伴う都市構造をどういう風に描いていくかと言うことにより、かなりの部分が左右される事項である。よって、現在検討が進められている都市マスタープランとも考え合わせて討議を進めていく必要がある。しかし、これらは本市の交通問題の根幹に関わるものばかりであるので、直ちに討議を進め、短期間のうちに方向性を立てる必要があることは言うまでもない。
さらに言えば、交通結節点の構築と利便性の向上の見地から考えたとき、この三者の既存交通に対しては、それぞれが密接に関係し、相互の機能を保管しあえるものとして、総合的な構想を打ち立てていく必要があると確信する。そのためにも、市民、行政、議会および各事業者が一体となった、真剣な討議の場の一日も早い創設が必要である。
JRについて
- 環状線の構築。現在案の豊肥本線との環状化だけではなく、本来は近隣町村を経由する外環状線と、それを結ぶ放射線を築造する。
- 運行本数の増便。
- 停車駅の新設。
- 新幹線に伴なうセクター化による、総合交通体系の一部としての活用。
バスについて
- バス停の安全の確保。円滑な車両交通の確保との両立を考えた安全の確保。ドイツ方式のバス通行帯の検討。
- 重複路線の整理。数珠繋ぎ運行による時間の浪費と大気汚染対策。各事業者の善良な管理者としての整理淘汰。
- 新路線網の構築。交通結節点を考慮した短距離往復運行と最小本数長距離運行。
市電について
- 安全地帯の安全の確保。ドイツ方式の採用。
- 専用軌道の充実による魅力の確保。
- 車両基地の位置の再検討。
- LRTとしての性能を考慮した超低床電車の活用。特性を活かした路線の延伸。
- 市電の環状線化による活性化。熊本新港と空港とのリンクに加えた、住宅密集地にかかる健軍から秋津、保田窪への新規路線の築造。
A道路網について
道路網については、公共交通網がきちんと整備されれば、現在の状態であっても必要十分であると言うのが理想であるが、現実問題としてこの再編は避けて通れないものであると認識する。道路網については先行投資が必要であり、必要が道路を作ると言うよりも、道路がまちを作ると言う認識が必要であると思われる。
本市の場合はすでに立後れた感が否めないが、都市マスタープランと考え合わせ、本市の将来構想をしっかりと見据えた大胆な道路網の構築が求められていると確信する。特に、費用対効果をよく検討する必要はあるものの、東京では実例があるような河川上の高架道路及び東バイパスの立体的活用は最重要課題である。
- 東バイパスの効率的費用効果の三階建て立体化による整備と右折立体交差。
- 湾岸道築造による通過交通の処理。
- 時代の変化に応じた都市計画街路の廃止、再構築。
- 高規格道路による環状道路不足の解消。
- 大都市の事例に見る河川上空道路の築造による放射線幹線道路不足の解消。
B新しい交通システムについて
新幹線については、本市経済の将来の発展の為に必要不可欠であることは論を待たないが、国の決定により、それを基本とした総合交通体系を構築する必要がある。しかしあえてこの問題を論じれば、既に一般的に問題視されているスーパー特急方式にかかる問題点及び、広く経済界を中心に耳にする現在の路線計画の是非があげられよう。この問題は、地方の主体性という観点と、グローバル及びボーダレスという社会構造の変化に対応するアジア方面への将来構想からも一考の余地がある。
また、新交通システムについては、他地方都市の成功事例はすべて建設沿線上に人口が集中していることから考えると、費用対効果及び採算性を鑑みた場合、町並みが四方に広がっている本市への建設はなじみにくいものであると言わざるを得ない。よって、これについては既存の公共交通の機能を強化することで対応するほうが得策であると考える。
いずれにせよ、この新しい交通システムによる交通対策と言う分野においては、新幹線の着工が決定したとはいえ、その開通年次を考え、さらに前述のように新交通システムの建設の効率も合わせて考えれば、今現在直ちに討議するべきものとは考えられない。ただ、新幹線の路線計画において、既存の公共交通等の連携を視野に入れた構想を立てるのみで足りるものであろう。 |