Last update 25 Oct. 1999
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Miscellany

 とりあえずここでは、思い付いたことをテキトーに書きます。きちんとカテゴライズするのが面倒だったってのは内緒です。内容に明らかな嘘はない、と信じていますが、多少胡散臭い箇所はあるかもしれません。見つけた際にはぜひご指摘お願いします。



エネルギー

 飛行機の機動の話になると「エネルギー」という言葉がしきりに出てきます。ここでも当たり前のように使っていますが、実際のところ「それって何?」という方も少なくないと思います。僕が昔、初めてこの言葉を聞いた時には「あぁ、積んでる燃料のことかぁ」などとアホなことを考えていました。ホントにしょーもない(--;

 で本題「エネルギーって何?」ですが、誤解を恐れず簡単に言ってしまえば「速度(ホントは二乗)と高度の和」がこの場合におけるエネルギーです。速度による分は運動エネルギー、高度による分は位置エネルギーと呼びます。速度が速ければ速いほど、高度が高ければ高いほど、その機体の持つエネルギーは大きくなるのです。そして重要なことは、速度、高度は互いに変換可能である、ということです。

 たとえば、高々度からダイブしたとします。すると、高度を失うかわりに速度を得る(高度→速度への変換)ことができます。逆に高速で水平飛行している時に機首を上げて上昇に移れば、速度を失うかわりに高度を得る(速度→高度への変換)ことができます。俗に言う「B&Z」は、まさにこの理屈に則った戦術です。高々度からダイブして加速し、そのまま敵機を攻撃、その後加速分を上昇することで再び高度を回復する・・・これを繰り返すことでエネルギー優位をキープしたまま一方的に攻撃を加えるわけです(もちろん実際には言うほど簡単ではありませんし、空気との摩擦その他によるエネルギー損失も存在します)。

 このエネルギーは、エンジンが発生する推力によって常に少しづつ補給されています。逆に、エネルギーは空気抵抗によって少しづつ失われていきます。この空気抵抗は速度に比例して大きくなりますから、ある速度(=その機体の水平最高速度)に達した時点で均衡状態となり、それ以上速度が増すことはありません。また、上昇、下降、旋回など、何らかの機動を行うと誘導抵抗と呼ばれる抵抗が増大し、速度は大きく失われます。この抵抗は揚力の二乗に比例し、そのため高G旋回では非常に大きな抵抗となります。レシプロ機(要はプロペラで飛ぶ機体です。いや、本当はピストンの上下運動を軸の回転運動に変えてプロペラを回すエンジンを積んだ機体を指します。てなわけなので、レシプロではないプロペラ機も存在します。この辺はどうでもいい話ではありますが)ではエンジンパワーが小さい為、推力による補給では機動に伴う損失を補充しきれません。

 まぁ、あまり理屈にばかり拘ってしまうと自分の飛び方を見失って泥沼にはまります。ある程度理解したら、後は飛び倒して身体で覚える方がいいかもしれません。そこんとこを勘違いすると僕みたいになります(笑、ぢゃなくて笑えないんだってば)。「エネルギー」なんてちょっとハイカラな言葉を使ってはいますが、要は戦闘における優位、劣位を多少定量的に表そうとしたモノ、程度なんです。



追従

 と書くと「?」って感じですが、要は敵機後方を取れたはいいけど射撃位置にはまだつけない、じゃ追いかけるべ、って話です。

 追従、と一言で言っても、その方法は乗っている機体や敵機の性能、状況によって全く変わってきます。一般に、俗に高速機と言われている機体ほどごまかしが効かなくなり、早めに敵機の機動を予測しておかないと間に合いません。もっとも、この手の機体の場合追尾しきれなければとっとと上昇して仕切り直したりするのが普通なのですけどね。かといって、格闘戦に優れた軽戦ならテキトーにやっていればいいかというと、そうでもありません。無茶やって速度をぎりぎりまで失った機体など、一撃離脱をかける側にとっては止まっているのと同じです。そこでどれだけトリッキーな機動ができたところで意味はないのです。そういう意味では、逆に軽戦こそシビアな速度管理が要求されると言えるかもしれません。

 敵機の後方につけた時、追従方法には大別して3通りあります。

  1. リード・パーシュート
  2. ピュア・パーシュート
  3. ラグ・パーシュート

 リード・パーシュートは、常に敵機の未来位置を目標とします。ピュア・パーシュートは敵機そのもの、ラグ・パーシュートは敵機の過去位置(というか後方)をそれぞれ目標として追尾する方法です。おおざっぱに言うと、敵機そのものを照準に捉えて追尾するのがピュア・パーシュート、敵機機首方向の空間を照準に捉えて追尾するのがリード・パーシュート、そして敵機後方の空間を照準に捉えて追尾するのがラグ・パーシュートとなります。

 トリガーを絞る瞬間には、敵機が直進しているか至近距離でない限りリード・パーシュートの形になります。よく「見越しをとる」と言うのはこの事を指します。最終的にはこの形にする必要があるわけです。そのため、速度を活かして一撃離脱する際には最初から大き目に見越しを取っておき、敵機の未来位置に向かってできるだけ緩い旋回ですむような飛び方をする必要があります。敵機を照準に捉えた状態で追尾を続けると、接近するにつれ激しい旋回をしなければならなくなり、一撃離脱を行う側としては具合の悪いことになります。

 敵機の機動に食らいついて叩き落とす場合には、ラグ・パーシュートでエネルギー消費を押さえつつ敵機後方に占位し続け(できなければ離脱するなり他の手を考える)、頃合いを見て敵機の未来位置に機首を向けて射撃、というパターンが多くなります。旋回性能で決定的に劣っている場合、これでも追従できない場合が多くあまり効果はありませんが、大きな差がない場合は非常に有効な手段となります。

 ラグ・パーシュートで追尾する時には、最初にも書いたように敵機より緩い旋回であるため、エネルギー損失は比較的少なく、速度を高く保つことができます。このため旋回半径は大きくなりますが旋回角速度を稼ぐことができ、場合によってはそのまま敵機の真後ろをとることすら可能です。特に、Bf109シリーズのようにコーナー速度近辺での旋回性能の高い機体で格闘戦を行おうとする場合、この機動はHigh-YoYoとならんで不可欠のものとなります。

 この機動を敵機から見ると、こちらがオーバーシュートしたように見えます(実際、ある意味オーバーシュートしているのですが)。もし、これを見た敵機が旋回を切り返してシザースを狙ってきても、こちらは無理してオーバーシュートしたわけではないので、その分精神的に余裕を持って操作できるはずです。敵機が目の前を横切る一瞬にうまく合わせ集中弾を浴びせられれば撃墜、もしそれが無理でもHigh-YoYo、バレルロールなどの選択肢があります。戦闘を終わらせたければ、このまま相手と逆方向へ機首を向け、そのまま加速して離脱すればいいでしょう。

 ラグ・パーシュートを行う場合、敵機の上方に出るか下方にでるかの2パターンがあります。それぞれのメリット・デメリットは、


となります。基本的に趣味の問題だったりもするのですが、慎重を期す場合は上方に出るのがいいと思います。旋回性能がそれなりに良かったり、勝負に出る場合は下方に潜る手も面白いです。この場合、敵機が不用意に旋回を切り返そうとしたり、直進に移った時がチャンスです。ここで一気に墜としてしまいましょう。

 Bf109のような機体でこの機動を有効に活用するには、追従しきれるか、それともしきれないかの判断が重要です。追従できない、と判断したのであればすぐに次の行動を起こさねばなりません。ある程度エネルギー差があるうちであれば、High-YoYo系の機動やバレルロールアタックが可能かもしれませんし、上昇力に優れた機体であれば単に緩上昇で離脱という手もあると思います。どちらにしろ、この判断はタイミングを逸してはいけません。エネルギー優位を失ってしまうと非常に危険です。



交差角

 敵機に攻撃を仕掛ける際には、敵機と自機の機首方向がなす角度が重要になります。例えば目の前を高速で横切る敵機に対して、有効なダメージを与えるのは困難です。こちらの射線内に入ってくるのは一瞬ですから、数発命中弾を与えられれば御の字でしょう。

 一般的に、射撃する際にはできるだけ敵機後方の空間から攻撃することが望ましいです。戦闘機同士の戦闘では、敵機後方にいる限り*絶対*反撃されることなく一方的に攻撃できるわけですから、この位置を占位した方が絶対有利となります。

 一方、見越しがいらないという意味では、Headon、つまり真正面から向かい合っての射撃も同様です。しかし少し考えればわかるように、これには相手も同様に射撃可能だという大きな問題があります。また、運良く敵機の銃弾が当たらなかったとしても、今度は衝突の危険性を考えなければなりません。撃墜を焦るばかり、回避機動が遅れれば思いっきり衝突してしまうでしょう。これらのことを考えると、HOからの射撃はできる限り避けるのが無難でしょう。特にこちらがエネルギー優位にある時は、わざわざHOにつきあって優位を無駄にしてはいけません。

 HOからの射撃に関して言えば、ラダーを使って横滑りさせ、相手の射線から外れながらこちらの射撃を命中させようと試みることはできます。敵機の経路を軸にする形で小さく緩いバレルロールをするような飛行ができれば、危険率はかなり低くなるでしょう。しかし、個人的にはそれでもなおHOでの射撃は回避することをお勧めします。もちろん、選択肢がそれしかない時は仕方ありませんが・・・

 あ、HOから撃墜すると、うだうだ文句を言い出す人もいたりしますが、気にする必要はありません。逆に、HOでやられたからといって文句は決して言わないようにしましょう。HOでやられるのが嫌なら早めに回避すればいいだけの話です。基本的に、どんなやられ方をしても文句を言うのはあまり感心できたことではありません。こんなことで文句を言うのはてめぇの下手さ加減をわざわざ暴露するようなものです。これに限らず、相手の戦術や飛び方にケチをつけたりするようなことは止めましょう。ましてや100chで罵倒したり、相手の人格まで否定するような真似は論外です。もちろん、モニタの前で「ぐおおおっ、このクソッタレが。次は刀の錆にしてくれよう」とか言ってる分には全く構いませんが(笑)

 お、ちょっと話がそれました。

 逆に、防御側としては、まだ余裕のあるうちに交差角をできるだけ90度に近づけるような機動が基本となります。機動性に優れた機体であれば引き付けておいて急激な機動で躱すとか、色々できると思うのですが、相手の射撃タイミングが読めていないと回避に移る前にボコボコにされてしまうなど、なかなか難しいものがあります。で、敵機が接近してくるタイミングに合わせて旋回を強め、相手の腹側へ潜り込むように躱す、ってのが一番基本的なパターンだと思います。

 ただ、WarBirdsで飛んでいるパイロットは基本的に非常に優秀です。単純な回避ではまず間違いなく落とされてしまうことでしょう。何せGによる影響が人体まで及びませんから、見越し射撃も楽に行えてしまうのです。そこで、回避中にラダーを使うなど工夫して、敵の予測を絞らせないように注意します。見越し量・方向が常に変化するような機動も有効でしょう(バレルロールなどはそうですね。ただ、これも単純にやると読まれてボコボコにされてしまいます)。と、簡単にできれば苦労はしないのですが・・・また、不必要に速度を落とさないことも忘れてはいけません。理想は、最小限の旋回で敵の射撃を完璧に躱すことですが、なかなかうまくいくものではありません。回避することを重視するか、うまく逆転して反撃することを重視するかは状況と好みに応じてやって下さい。僕は根性なしなのでとにかくきっちり回避することを重視することが多いです。例外は高速性能のよくない機体が上から降ってきた場合で、この時は速度超過を誘って相手がうまく機体を操れない間に逆転します。典型的なのはほとんどダイブに近いスパイラルダイブから、相手が速度超過に陥ったころを見計らって反対方向へ高Gバレル、または早めにスライスターンを開始し、徐々に下方向へのベクトルを大きくしてダイブ角を深くさせる、なんてパターンがあります。



狙うヘッドオン、避けるヘッドオン

 上で、「HOからの射撃は避けよう」と書きましたが、僕自身は結構積極的にHOからの射撃を試みていたりします。とはいえ、何がなんでも撃つわけではなくて、それなりの状況判断の上で決定しています。

 まず狙うのは、「敵機の機首がまだ完全にこちらを向けない」場合です。これはどういう事かというと、例えば最初のヘッドオンですれ違い後、お互いに旋回を開始したとします。こちらの旋回性能が多少上であったり、相手が何らかのミスをしたとすると、こちらが完全に相手に向ききったにも関わらず敵機の機首はまだこちらに向ききれない、というようなケースです。この場合、相手の未来位置へ射撃し、着弾確認できようとできまいと旋回を開始します。こうすることで、その後に予想される敵の射撃による危険を最小限に押さえるのです。

 次に、「敵が先に上昇(下降、旋回etc.)を開始した」場合です。この場合、敵パイロットは明らかに「すれ違い後の戦闘」を念頭においています。単純に上昇力を活かしてエネルギー差を広げようと考えているのかもしれませんし、リード・ターンからの旋回でこちらを圧倒しようと考えているのかもしれません。ここで、こちらが取り得る選択肢はそれなりにあるのですが、その意図するところは、といえば当然、


のどちらかでしかありません。もし、前者を試みようと考えているのなら、HOから射撃しようと思ってはいけません。ここで射撃しようとすればその分対応が遅れることになり、既に次の局面へ向けての機動を開始している敵との間に致命的な差を(自ら)つけることになります。逆に、離脱するつもりであれば、その前に射撃を試みるのは悪い選択肢ではありません。

 この場合も、相手の未来位置へ射撃しますが、あまり射撃に固執してはいけません。特にヘッドオン前に上昇を開始した敵機を深追いすると離脱しきれなくなる可能性が大きいです。敵パイロットがタイミングを誤って早く上昇(下降etc.)を開始してくれた場合には大きなチャンスとなりますが、エースと呼ばれるレベルのパイロット達はまずミスしません。

 まぁ、上記の2ケースを「HOからの射撃」と呼べるかどうかには疑問の余地がありますが、どちらにしろ、HOでの射撃を狙うということはその後の局面への対処が遅れるということになります(もっとも、これはタイミング次第という話もあります)。このことは頭に入れておいて下さい。

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