残業は長い友達


 エンジニアのアフター5には2種類ある、つまり残業する日とサービス残業する日(別名自己啓発と呼ぶ)である。

 真っ当な職業に就いておられるかたは「んな、馬鹿な」と思われるかも知れないが99.98%真実だ。これがエンジニアの平均的な姿であって今就職活動をされているかたは今一度考え直したほうがよい。決して「不況だから手に職をつけて・・」等とは思わないほうが無難である、あなたが今の技術を手にする頃には、時代はあなたが手にした技術をあっという間に追い越している。

 まあ、かくいう私もエンジニアの端くれではあるのだが、もともと然したる技術を持っていないが故に毎日が綱渡りでその日暮らしというヤクザな生活をしている。聞くところによると本当に綱から落ちてしまってヤクザになってしまう輩がいるそうなのでこの業界は侮れない。もっとも綱の上も下も大差ないのかもしれないが。

 というわけでエンジニアと残業(もしくは自己啓発)は切っても切れない関係にあり、この世におぎゃあと生まれ出た瞬間からの気心が知れた友なのだが、理解の無い上司だとこの付き合いを認めてくれない。「そんな、悪い友達と付き合っちゃだめです。」と教育ママゴンの様にヒステリックに叫ぶ。

 無茶を言ってはいけない、世の中にはできることとできないことがある。不可能を可能にするためにはそれなりの努力が必要なのだ、言うだけで実現できると思っているのは大人の諸行ではなく只のだだっ子なのだが、残念ながらこういう上司は少なくない。

 大体に於いて「帰ろうとするだけ」無駄、理由は単純で*1お客である側のエンジニアも残業する予定で仕事をしているので5時ぐらいになると大抵電話が鳴る、メールが来る、しかも大体の場合急ぎの用件だ。付き合わないとしょうがない。「朝来てやればいいだろう」のような神を冒涜するような台詞は吐いてはならない、お客様は神様だからだ。

 もし人事のかたが読まれたいたら一つお願いがある。エンジニアの残業はしかたないのである。責めないでいただきたい、ましてや残業を減らすようにと管理者をつつくのは止めていただきたい。余計な会議や仕事が増えるだけだ、結果的にますます本来の業務が遅れるだけなのである。

*1お客のエンジニアはたいてい大手メーカーの開発部隊に所属している、こういうところはプロジェクト毎に「お疲れさん休暇」と称して長期の休暇を取って勤務時間や休日出勤の帳尻を合わすので然したる問題にならないところも多い。エンジニアをやりたいなら大手開発部か、理解のある経営者のいる小さなところがいい、中途半端にデカイところは営業系の管理職が回ってきて面倒を起こすことが多い。しかもこう言うヤクザな部署に回されるやつはろくでもないやつと相場が決まっている。


Return TOP