免許更新


 先日法令の定る所に従い自動車免許を更新すべく二俣川の自動車試験場なる施設に出向いてきた。最寄りの警察署で更新する方が楽なのだが、警察署では自動車免許の更新を平日しかやっておらんので致し方ない、今は平日に休めるような身分では無いのだ。
 ちなみに今回も免許の色は青色。畜生、俺が何をしたというのだ。<やったんだよ。

 閑話休題

 とにかく、法令の定る所に従って自動車運転業務に支障無き事を確認するために身体検査を行い。法令の定る所に従って更新に関わる費用を支払うために必要な印紙を購入し。法令の定る所に従った書式で受付用紙を記載して窓口に提出したら法令の定る所に従っていないと横柄な態度で突っ返され。法令の定る所に従った免許証に必要な写真を撮りにいったら不意打ちを食らい「撮りなおしを要求する!!」とひとしきり騒いで、法令に定る所に従って60分間の講義を受けに行く。

 免許更新時の講義に付き物は啓蒙ビデオである。免許をお持ちの方は大抵ごらんになられているのだろうが安っぽいお涙ちょうだいもの、こんなドラマより事故回避や救急救命法等の方がよっぽど為になると思うのだが、まあよい。

 大抵この手のビデオの内容は以下のごとしである。
 ・加害者が(飲酒運転|不注意)で被害者を交差点で撥ねる。
 ・事故前は(被害者・家族|加害者・家族)が幸せであったことを物語る。
 ・事故後に、その幸せが失われた事を示す。
 ・収監後の加害者の苦悩と懺悔の独白。

 何故か今回はさだまさしがくっついていて。
 ・ハゲがほにゃふにゃと歌う。
 ・加害者が(飲酒運転|不注意)で被害者を交差点で撥ねる。
 ・事故前は(被害者・家族|加害者・家族)が幸せであったことを物語る。
 ・事故後に、その幸せが失われた事を示す。
 ・収監後の加害者の苦悩と懺悔の独白。
 ・ハゲがほにゃふにゃと歌う。

 と言う具合いであった、内容的にはまあいつもと同じ、いつものように被害者と加害者は既婚男性で一家の大黒柱、事故に遭う前は奥さんは専業主婦、加害者の奥さんは被害者の葬式若しくは通夜で「人の命は金じゃ買えない」と被害者の身内に罵られる。加害者は家族には娘と息子がいて事故後に学校で「人殺しの子供」としていじめられる。内容が全然かわっとらんでは無いか、そのくせ同じソフトは見たことが無いぞ。こんなもの一々作り直さんでよろしい。

 まあ、要約してしまえば「幸せ→事故を起こす→不幸せ」と言う一行にも満たない内容がなのだが、一点気になる事がある。それは事故を起こすことの悲劇を事故前の幸せと対比させることで表現していることだ。  こんな事でよいのであろうか、死亡事故の業の深さとはこんなものでは無いはずである。むしろ世間的に幸福と思えない者を主人公として更なるどん底に突き落とす方が悲惨さを表現する方法として適切であると思われる。つまり我々が日常遭遇する不幸等より殺人者となる不幸の方が比べ物にならない程大きいと表現する訳である。

 と思ってシナリオを例示しようと実際書いたのでは有るがあまりにもあれなので削除。

 しかし、60分の講義の内30分が啓蒙ビデオの視聴つーのは余りにもサボり過ぎやせんか、教官殿。

 受講も終了し更新された免許を受領する…
 「うがぁぁぁ、撮り直しを要求する!!」



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