ナレッジマネジメントなんぞくそ食らえ


 ナレッジマネジメント、知識や情報を資産として扱おうということですな。この考え方自身に異を唱えるつもりは無いがその運用については適切な方法がとられていないことが多いのでは無いのだろうか。その為か知らないがうまくいっているという話を聞いたことが無い。

 実は前の職場を止めた原因のひとつでもあるのだがこの手の情報共有がうまく行かないのは個人個人で提供できる情報量に差があるからである。極端な状況になると情報を提供する側と受け取る側は常に固定された状態で安定してしまう。しかも必ずしも情報を提供する側が適正な報酬を受け取れるかと言えばそうではない。むしろ情報を多く持つ側が不利益をこうむる場合が多いのだ。

 私のようなへなちょこのエンジニアでさえ情報などという物はある程度自分で仕入れるものだと思っている。自分の商売は自らのスキルを売り物としているのだからある意味当然の事だ。それを何で他人に提供せにゃならんのだ?むろんGive&Takeの関係を保てる相手ならば積極的に意見交換を行う気も起きるのだが、、自ら情報を提供もせず探しもしない相手に何でわざわざ教えてやらなあかんねん。自分が個人で仕入れている情報だってそれなりにコストかかってるんやし。

 前の職場ではこの点で最悪の運用がなされてしまった。いわゆる懲罰的運用という形式である「情報を提供せんやつは査定を下げるから覚悟しろ」という。最初聞いたときは「本気かよおい。」とか思ったのだが残念ながら目いっぱい本気だったようだ。結局私は非協力的であるとしてお目玉食らう羽目となってしまった。(査定に影響したかどうかは未確認)。

 一応、この話が出たときに条件は出しておいたのだが全ては却下されてしまった。別段非現実的なものだとは思わなかったのだが言いだしっぺのシステム管理者を納得させることはできなかった。私の出した条件とは以下のようなものであったのだがむしろ懲罰的運用に比べれば現実的なものであったと思う。

 Q&Aの場合回答者ではなく質問者が情報をまとめサーバーにアップロードすること。
 データを管理するサーバーは情報を提供する側の利便性を考えシステムを構築すること
 メーリングリスト等を活用すること、議論の内容についてはサーバーに保存し全文検索が可能なようにしておくこと。
 情報を提供したものにはそのコストに見合った報酬を与えること 

 結局全部却下されてしまった挙句、さらに数値目標まで設定された。しかも数値目標とは情報をアップロードする個数だ。結果情報共有サーバーに集まったねたは「viの使い方」のようなゴミであふれかえる事になる。予測した中で最も最悪のシナリオを辿ったわけだ。

 情報などというものは常にS/N比が問題となる。いくら有益な情報があったとしてもゴミで埋め立てられたら無いのといっしょだ、しかも検索手段も限られていればなおさらである。自らの情報がゴミであるならば提供しないのもひとつの理性であるはずだ。

 その後については私が退社してしまったので見届けることはできなかったのだがその時点で失敗することは明確であった。まああの惨状を見た管理者、上位職者サイドが心を入れ換えれば話は別だと思うのだが。アップロードした情報の個数で評価するとのたまったやつに内容やS/N比について説いたって無駄だろうけど、せいぜい後生大事にゴミ箱抱えてなさい。


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