Game Review


Princess Holiday〜転がるりんご亭千夜一夜〜 (Dreamcast) 2003.6.9

My Merry May (Playstation2) 2003.5.27

My Merry Maybe (Playstation2) 2003.5.27

SNOW (Windows) 2003.3.8

マージ MARGINAL (Windows) 2003.2.11

夏色の砂時計 (Windows) 2003.2.11

あいかぎ〜ひだまりと彼女の部屋着〜 (Windows) 2002.11.12

みずかべ. (Windows) 2002.10.14

Princess Holiday〜転がるりんご亭千夜一夜〜. (Windows) 2002.10.14

それは舞い散る桜のように. (Windows) 2002.8.24

結い橋. (Windows) 2002.8.13

D.C.〜ダ・カーポ〜 (Windows) 2002.7.24

夏色の砂時計 (Playstation2)2002.6.30

はぴベルラヴ×2ハネムーン (Windows) 2002.6.16

マイ・メリー・メイ (Dreamcast) 2002.6.1

ねこねこファンディスク (Windows) 2002.5.19

みずいろ (Dreamcast) 2002.5.19

水月 (Windows) 2002.5.4

Sky〜スカイ〜 (Windows) 2002.4.21

flutter of birds II 天使たちの翼 (Windows) 2002.4.6

月陽炎〜千秋恋歌〜 (Windows) 2002.3.16

バイナリィ・ポット (Windows)2002.3.4

めい☆ぷる (Windows) 2002.2.16

ひまわりの咲くまち (Windows) 2002.2.11

いきなりはっぴぃベル (Windows) 2002.2.3



Princess Holiday〜転がるりんご亭千夜一夜〜

メーカー:アルケミスト
年齢指定:全年齢
対応機種:Dreamcast
発売日:2003.5.29
価格:限定版 \7,800 / 通常版 \6,800
ジャンル:AVG
ボイス:フルボイス
メディア:GD-ROM × 1
その他:VGAボックス,ぷるぷるパック対応,限定版はレティシアの声の出るカート付き

Windows用18禁ゲーム「PrincessHoliday」の一般化移植作です。
移植にあたっての変更点はおおよそ以下の通りです。

・新ヒロインの追加
Windows版の舞踏会イベントでクリフと最初に踊った宰相令嬢「ディアナ・ペシュカ・ホリー・エリンギ」がヒロインとして追加されました。Windows版では名前も出てこず、CGもフェイスウインドウのみだったのですが、メーカーサイトとテックジャイアン誌に収録された「オーガスティックエトセトラ」とどちらが先かは確認していませんが、名前も公開され、発売後の人気投票では攻略対象ヒロインを上回る票を得る人気となりました。「ディアナのシナリオを作って欲しい」という要望はメーカーサイトでも見られ、移植に当たって攻略ヒロインとして追加になりました。
なお、Windows版でも声は付いていましたが、Dreamcast版では南央美さんが声を充てています。

・各ヒロインのエンディングが2種類に
Windows版ではレティシアとシルフィーのみエンディングが2種類あったのですが、Dreamcast版ではディアナも含めて全てのヒロインに2種類用意されました。これによって、既存のエンディングも含めて全てのヒロインにクリフが王様になるエンディングと王様にならないエンディングがつきました。

・登場人物のフルボイス化
Windows版では女性のみフルボイスになっていましたが、Dreamcast版では師匠やウエン、国王といった主要キャラは勿論、顔が出てこないりんご亭の客など全ての登場人物に声が付けられています。

・一般化移植のための修正
Dreamcastでは年齢制限タイトルも作られるようになりましたが、本作は全年齢向けであるため、そのための修正、変更がなされています。Hシーンの削除は当然ですが、下着が見えるのは必ずしもダメというわけではないようです。モロに下着が見えていたり、裸エプロンなどはNGのようですが、少し下着が見えるくらいはOKなようです(レティシアの着替えを見てしまうイベントはCGが修正されていません)。湖での裸の水浴びも一部を隠すだけで、CG自体は削除されていません。同じ家庭用ゲーム機でもPlaystation2ではこうはいかないでしょうから、Dreamcastはかなり規制が緩いのでしょう。とはいっても、全年齢タイトルとしてはぎりぎりかなぁと思いますが。

・おまけシナリオの追加
Windows版でも本編クリア後におまけシナリオをプレイできましたが、Dreamcast版ではおまけシナリオも追加されて、数が倍くらいになっています。勿論、おまけシナリオでもHシーンは削除されていますが。Windows版のおまけシナリオではヒロインでも声のないものがありましたが、本編同様こちらも全ての登場人物がフルボイスになっています。

追加要素の目玉はディアナでしょうが、ボリューム不足と感じました。ディアナの初登場はぶどうの月22日に発生する舞踏会イベントなのはWindows版と変わりません。各ヒロインの個別シナリオは25日から始まるのですが、ディアナは舞踏会イベント後、一度移動場所選択(ヒロインイベント選択)があるだけで(条件を満たしてないと発生しません)、25日以降の個別シナリオへと移行します。とはいえ、ディアナの場合、舞踏会後に登場する事自体が彼女のシナリオですから、ルート分岐前にエンディングと無関係にイベントを用意するのは難しいとは思いますが。
で、そのディアナですが、移植版の追加要素としては合格というところでしょうか。レティシアと性格付けは変えられているものの、基本的にはお嬢様系のヒロインで、一からゲームを作って、レティシアとディアナの両方が登場するのはバランス的にないかと思います。仮にディアナが最初から登場しても、ルート分岐前のイベントは「世間知らずのお嬢様」というレティシアと似たようなイベントがでてくることになるでしょう。ディアナのファンにとっては嬉しい追加要素でしょうし、私も悪くないとは思いますが、あくまで追加ヒロインでしかないというのが感想です。

既存ヒロインの追加エンディングですが、これはと思える物がありませんでした。レイチェルが王妃となるのを受け入れるのはどうも納得いきませんし、エレノアの追加エンドは国に残る事にはなるものの、彼女の「剣士として出来る事」という悩みに対する回答はやはりありませんでした。それと、国王となる追加エンドではクリフは王になる事をヒロインの側にいる事の手段にしている面を強く感じます。まぁ、ヒロインを攻略する恋愛AVGですからそんなものだと言ってしまえばそれまでですが、あまりに即物的な感じがしました。王妃に迎えるにしてもシルフィーのトゥルーエンドのように時間を経た結果にするなど、それなりに納得できる物にして欲しいところです。

追加CGはオリジナル以外のスタッフも参加しているためか、オリジナルのCGと少々違和感を感じる物もあります。それ自体は仕方のないことでしょうけれど、一部少々出来の悪いように感じるCGもありました。Windows版ではかなり安定した質のCGだっただけに少々残念に感じました。まぁ、大幅な追加要素であるディアナのCGは良く出来ていると思うので、全体として見ると満足度は結構高いのですが。

攻略面ですが、好感度による攻略の正否は基本的にWindows版と変わらない物の「おたすけナビ」が追加されています。これは選択肢毎にどちらを選ぶと誰の好感度が上がるかを表示してくれる機能です。この機能によりWindows版の様に攻略を失敗する心配は無くなりました。環境設定でOFFにすることも出来ますが、このゲームに攻略面での楽しみを求める人もいないと思うので、是非使うべきでしょう。但し、このナビ機能に完全に従うとCGが100%にならないので、その点は注意が必要です(CGが100%になることで登場するおまけシナリオがあります)。

システムについてはWindows版とは全く別物である物の、Windows版でサポートされていた機能はほぼ全てDreamcast版にもあります。Windows版に劣るのはセーブ/ロードの画面で常にカーソルが最初のデータに合わされてしまう点でしょうか(Windows版では最新データのあるページが表示されます)。Windows版より便利なのはスキップモードが完全にロックされる点で、選択通過後や未読部分から既読部分に入ったときには自動的にスキップされます。ヒロイン攻略のために共通シナリオを何度も通過するので、この仕様はかなり便利です。但し、スキップモードがONになっていると、常に画面の左上にそのマークが表示されています。少々鬱陶しいとも思いますが、仕方のないところでしょうか。

全般的な評価はWindows版とさほど変わりません。キャラ萌えゲーですので、物語性にこだわらず、ヒロインとのイベントを楽しめればOKという人には勧められます。Windows版とどちらがよいかといえば、Hがあった方がいいならWindows版、Hは別に要らないというのであれば、追加要素のあるDreamcast版でしょうか。でも、こういった移植タイトル自体がオリジナルをプレイした人向けのファンアイテムかと思いますが。
Windows版をプレイ済みの人だと、このゲームをリプレイしても楽しめるくらいに気に入っている人なら追加要素もあるので、買いでしょう。もしくはディアナのファン向けというところでしょうか。

お気に入りキャラ:レティシア・ラ・ミュウ・シンフォニア姫


My Merry May

メーカー:KID
年齢指定:全年齢対応
機種:PlayStation2
発売日:2003.1.30
価格:\6,800
ジャンル:AVG
ボイス:フルボイス
メディア:DVD-ROM × 1
その他:初回版はスペシャル音楽CD「Debugging Fix Tracking Six!」同梱

Dreamcast(以下"DC")タイトル「マイ・メリー・メイ」のPlaystation移植版です。 DC版からの変更、追加要素ですが、シナリオについては一年前の記憶に頼ってなので定かではありませんが、ほぼ変更無し。CGはバリエーションをカウントしなければレゥが3点、みさおが1点、その他に分類される者が4点(そのうち恭平が2点)と少ないので、移植版としての魅力は乏しいです。

発売順とは逆に「My Merr Maybe」コンプ後にプレイしたのですが、そのおかげでそいうことだったのかと思える箇所もあり、「My Merr Maybe」へのつながりが後付の物ばかりではないと感じられました。但し、私が気づいていないだけで、シナリオに手が加えてられていてそう思うのかもしれませんが(^ ^;

システムはDC版を移植した物ですが、表示枠にデザインとは思えない、がたつきが見られました。後に発売された物と比較するのは公平ではないとは思いますが、Albumモードのプレビュー画面の表示が妙に遅かったりと、システム的に煮詰め不足を感じます。Dreamcastエミュレータが動いてたりするのでしょうか?(笑)

「My Merry Maybe」をPS2で発売するに辺り、同一プラットフォームに前作を移植したというところでしょうか。追加CGは少ないですし、「My Merry Maybe」へのセーブデータの引き継ぎといった要素もありませんから、DC版をプレイ済みならあえてプレイする必要はないでしょう。


・初回特典 スペシャル音楽CD「Debugging Fix Tracking Six!」
OPテーマ「BUG?」EDテーマ「ナツノ宇宙」とその2曲のRemixバージョン、「二日酔いの朝〜杵築 たえの日常〜」を収録したボーカルCDです。

お気に入りキャラ:レゥ、結城 みさお


My Merry Maybe

メーカー:KID
年齢指定:全年齢
対応機種:PlayStation2
発売日:2003.4.24
価格:\6,800
ジャンル:AVG
ボイス:フルボイス
メディア:DVD-ROM × 1

主人公、岸森浩人は教育実習の為、携帯電話も通じない田舎の町「清天町」へと向かうが、途中で列車がなくなってしまう。中学校の校長が運転する迎えの車で清天町へと向かう途中、車のライトに少女の姿が浮かび上がる。少女にぶつかることなく車は停止したが、少女は気を失い、その左手は「取れて」いた。清天町唯一の診療所に運び込んだところ、その少女は人工生命体「レプリス」である事が判った。「レゥ」と名乗るそのレプリスはこの地に車での記憶が無く、以前に「つくみこうこうのあみりょう」で「おにいちゃん」達と暮らしていたのだという。主人公は行きがかり上とりあえずレゥの行き先が決まるまで「保護者」になることになった。すべてのレプリスの始祖である「レゥ」の名を持つレプリスを巡って、主人公は清天町の人々そしてレプリスに関わる人々に出会い、大きな運命の歯車に巻き込まれることになる…

ちょうど一年前(52週前)前に発売されたDreamcastタイトル「マイ・メリー・メイ」の続編です。前作同様、具体的な日付は明示されませんが、主人公が清天町にくるのがGWの最終日でプレイ期間はおおむねその日から教育実習期間の三週間ということになります。プレイ開始当初は前作からの経過時間は判りません。そのこと自体がこの物語の謎に繋がっています。

実習先の中学校の生徒を除けば、登場人物の多くが主人公より年長であり、主人公の言動が独りよがりで自己中心的に思えることが何度もあるのですが、私に言わせればまだ社会に出ていないことを考えれば、こんなものでないかと思います(大学時代の経験は人によって大きく異なるでしょうし、その間の人格形成にも差が出るしょうから、感じ方は人それぞれかとは思いますが)。「授業には行かない日の方が多いくらい」、「単位を取るため実習に来た」という割には、教育実習に対する取り組みはまじめですし(もっとも、これはシナリオによって差があり、話の展開によっては教育実習の方がおざなりになるのですが)、中学校の生徒達への接し方も好感が持てました(耳を抓るくらいは体罰とは言わないように(笑))。事が事だけに主人公の力で解決できないことも多いのですが、そんな中にあって主人公はヒロインの事で悩み、そしてヒロインの支えになることができます。

前作の後、レゥや恭介達に何があったのかが物語全体の謎なわけですが、レゥ以外のヒロインは2人ずつで大まか話の流れ、というか謎解きのレベルを共有しています。レゥ編、由真編&みのり編、鏡編&リース編、穂乃香編&???編となります。レゥ編はメインヒロイン、レゥのシナリオでハッピーエンドではある物の、物語全体の謎解きにはなっていません。穂乃香編そして???編で謎の核心に迫ることになります。穂乃香シナリオは穂乃香と???を除く5人のヒロインのシナリオクリア、そして???シナリオは穂乃香シナリオクリアというクリア順序規制がかかっていますが、謎解きの順序を考えれば妥当な物だと思います。

ただ、全般的に哲学的というか悪く言うと説教くさいと感じる事もあります。まぁ、前作シナリオに特に難を感じず、本作をプレイしようと思う人なら問題はないかと思います。

謎解きとしては、全シナリオをコンプリートしても不明点が残りますが、シナリオ上に登場しない人物がしたことまですべて判ってしまうのは、ある意味不自然ですし、私自身は不満は感じませんでした。

キッドのPlaystation2プラットフォームタイトルをプレイしたのはこれが初めてなのですが、システムはDreamcast版の発展形という感じで、良くできています。元々、Dreamcast版のシステムも良くできていたと思いますが。ゲームコントローラーの多ボタンを活かし、メニュー上でのサブメニュー選択にショートカットを割り当ててあり、操作性が向上しています。同じくPlaystation2プラットフォームではある物の、Dreamcast版の操作系をほぼそのまま移植した『My Merry May』はこれに比べると見劣りがします。もっとも、その『My Merry May』のレベルに達していないゲームは多く、キッドのゲームシステムのレベルの高さを感じます。システムメニューが随時呼び出せ、セーブ、ロードの他、すべてのシステム設定の変更が可能。既読および強制スキップ、オートプレイ、そして選択肢通過後のモード継続。クイックセーブは最大64箇所。オートセーブは章変わり毎、そして選択肢毎のセーブの有無を設定可能。前回ゲーム終了箇所からのプレイ再開、読み返し画面ではボイス再生、そして既読、未読の色別表示、など、考えつく機能がほとんど網羅されています。
残念なのは、既読スキップモードが未読箇所に入ると解除されてしまい、再度既読箇所に入ってもスキップされないことでしょうか。これについては好みの問題もあると思うのでその機能を更にシステムで有効/無効を設定できれば完璧かと思います。後、これはシステムの機能というのとは違う気もしますが、前作にあった、スキップ時のデフォルメ表示(紙人形劇風)が無くなったのが残念です。

キャラクターデザインは前作同様興水隆之氏。作画はキッドらしく安定しています。キッドの作画は以前から質がよいように感じていましたが、1年前のタイトルを移植した『My Merry May』に比べるとCGの質が向上しています。ただ、前作にもあったのですが、男物のシャツの合わせが間違っていました(^ ^;

攻略に関しても、前作と同様に各ヒロインルートへの分岐自体は難しくないものの、それまでのフラグ調整に失敗すると個別シナリオへ分岐した時点で既にバッドエンドが確定してしまいます。ただ、オートセーブを選択肢のみにすれば、1プレイ分の選択肢を巻き戻すことが可能だと思われるので、トライアンドエラーでのエンディング探しが苦にならないですから、攻略することは難しくないでしょう。

全般を通して「明るく楽しい」とは言えませんが、前作をプレイした上で本作をプレイしようとする人なら問題はないでしょう。プレイを重ねることで謎解きがされていくため、コンプリートまで惹きつける要素もあると思います。続編であるため、前作をプレイ済みでないと十分に楽しめないと思いますが、その分前作を気に入った人にはお薦めできると思います。
ただ、これは個人的な感情論ですが、この作品自体が前作の後に、レゥにとって幸せが長くは続かなかった上で成り立っているというのが残念でした。

お気に入りキャラ:玉村 穂乃香


SNOW

メーカー:スタジオメビウス
年齢指定:18禁
動作環境:Windows 98/Me/2000/XP
発売日:2003.1.31
価格:\8,800
ジャンル:AVG
ボイス:なし
メディア:DVD-ROM × 1(DVD-ROM版)/CD-ROM × 4(DVD-ROM版)
BGM:PCM
必要HDD容量:1.8GB
画面サイズ:640×480(ウインドウ/フルスクリーン)

主人公、出雲彼方は従姉の佐伯つぐみが経営する温泉旅館「龍神天守閣」を手伝うために「龍神村」を訪れた。10年前に両親に連れられて訪れた記憶も今では薄れている龍神村は年中雪の絶える事がない。それは遙か昔、龍神が村の男に叶わぬ恋をし、その思いを断ち切るかのように龍が雪を降らせ続けるのだという。彼方は村を訪れかかったところで山崩れに巻き込まれ、目を覚ますとなんと葬式の最中で自分は棺桶の中。
生き返った(?)彼方は10年前から彼方との再開を待ち続けていた雪月 澄乃、澄乃の親友の橘芽依子、何故か他の人間を彼方に近づけまいとする少女、日和川旭、雪積もる山中で一人で暮らす北里しぐれ、龍神の社で両親の帰りを待ち続ける幼い娘、若生桜花たちと出会う。久しぶりにあるいは初めて出会う少女達と彼方の間には一体どんな関係があるのだろうか。

制作開始から発売までにどれだけの月日が過ぎたのかはもはや覚えていませんが、ようやく発売となったタイトルです。その間にボイス有りからボイス無しへ、ヒロインの一人、若生桜花とのHシーンの削除などの仕様変更がありました。
まず、この作品を語る上で避けられないのがkeyのゲーム「Kanon」と「AIR」の存在でしょう。情報が公開されるに連れてゲームの雰囲気などが「Kanon」の影響を大きく受けている(あるいは類似している)という印象が強くなり、メーカー側もそれを否定はしませんでした。発売されたゲームをプレイしてみるとOPの作り、ゲーム開始時点のシチュエーションなどが実際に「Kanon」と近い物を感じさせました。シナリオをクリアする事によりプレイ可能となる、過去編のシナリオ、その中で語られる物語と現在との因果関係、タイトル画面の変化などは「AIR」の影響を受けているでしょう。そういったKey作品との類似性故にスタッフがそれを意識していないかもしれない部分でもそういう勘ぐりをしてしまいます。この世に出される多くのゲームが何らかの形で過去の作品の影響を受けているのは確かでしょうが、こうもあからさまにそれを全面に出すのはメーカーの製品、プロの作品としては如何な物かと思います。

さて、key作品との類似性についてばかり書いても仕方がないので、内容の方に移ります。

プレイ期間は2月2日から3月上旬まで(Legend、桜花シナリオを除く、また桜花シナリオでは途中で数ヶ月の経過があります)。2月12日までに個別ルートへの分岐を確定させ、以降個別シナリオへと入っていきます。ルートが確定しない場合は、2月12日でゲームオーバーになります。
攻略対象となる4人のヒロインはいずれも彼方と前世(?)での関係があります。これは過去編の Legendで語られるのですが、Legendをプレイしない状態でプレイすると関係が不明なまま、理不尽に不幸な展開となっていくためにストレスが溜まります。特に澄乃シナリオはクリアする事が Legendシナリオのキーとなっているため、Legendプレイ前にしかプレイできません。旭シナリオはLegendの前でも後でもプレイ可能ですが、それによってプレイ中のプレイヤーの心境はかなり違った物になると思います。しぐれシナリオ、桜花シナリオはいずれもLegendクリア後にのみプレイ可能で、シナリオ自体がLegendのクリアを前提として作られています。
主人公は昔に起きた哀しい出来事から続く輪廻を断ち切る者だと語られます。確かに各ヒロインのシナリオ毎にそれなりのエンドを迎えるわけですが、悲恋の最当事者である澄乃(=菊花)のシナリオのエンディングが意味不明であり、全体として過去の出来事の精算としては中途半端な印象があります。各ヒロイン毎のシナリオを作るのは悪くありませんが、ゲーム全体としてのトゥルーエンドと呼べるエンドを儲けるべきではなかったかと思います。最も、そうしてしまうとますます「AIR」との類似性が増してきそうですが。逆に言うと変に「AIR」の展開を真似て失敗している感じがします。と、またKey作品との関係になってしまいましたね。シナリオそのものはかなりお約束的ではありますが、そう悪くないと思うのですが。

CGはイベントシナリオがバリエーションを除いて110枚。作画も仕上げもかなり良好です。
Hシーンは澄乃を除いて1回ずつ。選択肢によって回避可能です。また、選択肢皆無の Legendでは桜花と身体を重ねるものの、そのシーン自体は描かれません。この辺の構造がまたKey作品を連想させますね(苦笑) Hシーン自体はKey作品のようにおざなりな物ではないのですが。前述のように桜花とのHシーンは削除されました。最も、完成したゲーム上での主人公と桜花の関係ではHシーンの入り込む余地は無いと思うので、Hシーンの作画まで為されていながら桜花シナリオはその後に大幅な変更が行われたのでしょう。
作画そのものではないのですが、画面上に降る雪はそのときの天候などに合わせて変化し、状況を感じさせる効果があります。登場人物の身長差が大きいので (要するに旭と桜花の背が低いのですが)登場人物の身長に合わせて主人公の目線が変化する「目線スクロール」桜花を抱っこしたときに立ちキャラが抱っこした絵になる「抱っこシステム」など、状況に応じて画面の表現を変えるのは巧く作られていると感じました。ただ、全面に押し出す程の「売り」とまでは思えないのですが。

システムは選択肢を選んだ後も有効な既読/強制スキップ、テキストのバックスクロール、随時セーブ/ロード、CG鑑賞とイベント再生、BGM鑑賞と無音声のゲームとしては一通りの機能を備えています。気になったのはセーブ/ロード画面でのサムネイル表示の遅さです。このため、セーブ/ロードは軽快とはいえません、私のプレイ環境はメーカの推奨スペックを遙かに上回り、世の中のゲームプレイ環境の平均よりも上だと思うのですが、それでこの遅さなので、多くの人が遅いと感じているのではないかと思います。
また、インストールはユーザに選択の余地はなく、1.8GBとかなりの大容量を必要とします。しかし、これで全てのデータがインストールされるわけではなく、 BGMデータは起動用DISCから読み込みます。BGMはCD-DAではないので(DVD-ROM版ではそれも当然ですが)、最近の高速なCD/DVD-ROMドライブでプレイするとドライブの駆動音が気になります。ボイスが無く、BGMデータもインストールしないで一体何がそんなに容量を必要とするのかというとCGデータとおぼしきフォルダが 1.5GBと大半を占めています。そのフォルダにあるファイル数は5,041個。おそらくはCGがかなり細かいパーツに分割されているのでしょう。しかし、これだけの数のファイルがあるとそのことだけで容量を喰ってしまうのですから、アーカイブファイルにするなどの工夫は必要だと思います。圧縮をせずともファイルを連結させるだけでもかなりの容量節約になるでしょうし。

攻略面は選択肢での好感度の上下は読みやすいので、キーイベントさえ押さえれば個別ルートに入る事は難しくありません。個別ルートに入った後の選択肢も間違えることはないでしょう。ただ、クリア順規制があり、クリア順序の自由度がほとんどないので、そこを読み違えると無駄足を踏む事になります。

前述のように「Kanon」「AIR」をプレイした人はどうしてもそういう視点でこのゲームを見てしまうでしょう。かといって、「Kanon」「AIR」無しにこのゲームが生まれたわけではないので、「Kanon」「AIR」を知らずにこのゲームを評価するのも正しいとは言えないでしょう。「『Kanon』『AIR』に似たゲーム」というのが印象になってしまう作品を作ってしまった事はやはり評価できない点があります。 CGやシステムなどの作りでは良い面もあるので、同じスタッフでオリジナルな作品を作って欲しいものです。

お気に入りキャラ:雪月 澄乃


マージ MARGINAL

メーカー:ACTRESS
年齢指定:18禁
動作環境:Windows 98/Me/2000/XP
発売日:2003.1.24
価格:\8,800
ジャンル:AVG
ボイス:女性のみフルボイス
メディア:CD-ROM × 2
BGM:PCM
必要HDD容量:1.4GB
画面サイズ:640×480(ウインドウ/フルスクリーン)

幼い頃に両親を亡くし、一人で生きてきた主人公「天璋院 糾」にその存在すら知らなかった祖父が死の床にあるという知らせがあり、主人公は祖父の元へ駆けつける。幼い頃の記憶の中にわずかにある祖父。その祖父が主人公に残した唯一の遺産は山の奥にある大きな洋館だった。何年も訪れた人も無いという無人のはずの別荘を訪れた主人公を待っていたのは5人のメイドだった。初対面のはずなのに何故か親しさを感じさせるメイド達。主人公は彼女たちが普通の人とは何か違うのを気づき始める。彼女たちの正体を知ると共に、主人公は自らの血にまつわる運命と向き合う事になる。

プレイ期間はゲーム中の日付で一週間程度ですが、日付は明示されません。ゲーム形式は移動場所選択式というかキャラクター選択式AVGです。はっきり言って、オンリープレイが鉄則のゲームで、個々のイベントも全イベントを見ている事を前提に書かれています。そのため、移動場所選択とはいえ、イベントには連続性があり、主人公とヒロインの関係がそれなりに深まっていることは感じられます。

一週間を終えた時点で特定のヒロインのフラグが立っていれば個別シナリオへと入っていきます。個別シナリオにはいると選択肢などは一切登場せず、読み進めるだけになります。個別シナリオではそれぞれに謎解き要素があり、結構楽しめました。それぞれのシナリオには連続性はないのですが、全部をクリアする事で全ての謎が解けるようになっています。クリア規制がかけられているのはメインヒロインのマージのシナリオだけですが、謎解きの順序を考えるとクリア順序は「エリカ→アメリア→このは→フィン&ファム→マージ」が良いのではないかと思います。
マージの個別シナリオはゲーム全体の最終章であり、全ての謎が解けるます。同時にマージがヒロインとなるシナリオでも有るはずなのですが (実際、マージとのHシーンもあります)、全体の最終章としてそのラストは全ヒロインエンドのようになっていて、メインヒロインでありながら、マージエンドが無いような感じでした(不満点)。

CGはイベントCGがバリエーションを数えずに約100枚と結構ボリュームがあります。仕上げも良く、崩れを感じさせる物もありません。背景も館内部の様子や庭などが丁寧に描かれており、全体的にCGのレベルは高いと感じました。Hシーンはヒロインによって1回から4回とかなり差があります。

ボイスは女性のみフルボイスで、主人公「糾」への呼びかけも入っています。主人公名は変更可能なのですが、その名前自体に意味あるので、変更する必要はないと思うのですが。

システムは既読/強制スキップ、テキストのバックスクロール、バックスクロールでのボイス再生と最近のゲームとしては一通りの機能を備えています。が、最大の欠点はセーブ機能です。セーブは選択肢が出たとき、あるいは移動場所(キャラ)選択の時にしか行えません。AVG部ではまだ良いのですが、前述のように個別シナリオに入ると一切選択肢が無いため、セーブが出来ません。個別シナリオをクリアするにはそれなりに時間がかかるので、時間の少ない平日などにプレイするのには困りました。ただ、既読スキップが高速なのでセーブできずに終了しても、最終セーブポイントから再開すれば、それほど時間をかけずに終了した場面に到達できるのが救いといえます。

攻略面は前述のようにオンリープレイが鉄則です。反面全くヒネリはないので、ゲーム要素はかなり弱いです。

ゲーム紹介などからの「メイドさんがいっぱい出てくるゲーム」というイメージとは少々異なるように感じますが、CGもシナリオも作りは悪くなく、買って損はしてないゲームだと思います。

お気に入りキャラ:マージ・フォイエルバッハ


夏色の砂時計

メーカー:Berries
年齢指定:18禁
動作環境:Windows 98/Me/2000/XP
発売日:2002.12.28(コミケ先行版)/2003.1.24(一般販売版)
価格:\5,000
ジャンル:AVG
ボイス:フルボイス
メディア:CD-ROM
BGM:PCM
必要HDD容量:最低68MB/標準388MB/フル534MB
画面サイズ:640×480(ウインドウ/フルスクリーン)
その他:ゲームパッド対応

Playstation2用アドベンチャーゲーム「夏色の砂時計」のWindows移植版です。Playstation2版で使用されていた画面効果を再現するためか、特にビデオ機能での要求性能が高めで推奨環境はVRAMを16MB以上搭載したDirectX8.1対応のビデオカードとなっています。発売前からメーカーサイトで「ゲーム動作性能チェック」ツールや体験版が公開され、ユーザーによる動作確認結果が書き込まれていました。私も体験版を2台のマシンで動作させたところ、旧マシンのPentiumIII-500MHz+MilleniumG400-32MBという構成ではプレイ自体には支障はないものの、一部画面効果が再現されない箇所がありました。パソコン用ゲームソフトは動作環境がそれこそ無数にあるため、メーカー側で完全な動作検証を行うことはできないのですから、こういったユーザーと協力しての動作検証もは双方にメリットがあるのではないかと思います。もっとも、そのためにはメーカー側からの早めの情報公開が必要ですし、実施するからには細かいサポートが必要になりますが。

ゲーム内容自体はPlaystation2版の18禁化移植で、それぞれのヒロインについてHシーンが一回ずつ追加されており、そのためにヒロインによっては他所のシナリオも若干変更されています。また、リージェンについてはPlaystation2版ではラストにいくまで主人公への心情の変化が描かれることがなかったのですが、Windows版では若干シナリオが追加されていてリージェンエンドについての唐突さが若干緩和されています。Hシーンはそれ自体は悪くないのですが、元々Hシーン無しで作られているシナリオに追加しているため流れ的に無理を感じるシナリオがありました。真魚と朋代は初デートの前にHシーンがあるという流れになりますし。

18禁化のため、声優陣は変更されていますが、オリジナルのイメージに近い声の声優さんを選んでいるように感じ、あまり違和感はありませんでした。また、Playstation2版ではメイヒロイン芹沢香穂役の水樹奈々さんがEDテーマを歌っていましたが、これも他の人によるカバーバージョンとなっています。OPテーマについては変更はありません。
その他、ボイス絡みではPlaystation2版では主人公のボイスと主人公視点でのナレーションにも声がついていましたが、Windows版では無声になっています。

CGは追加されたHシーン以外は一部出現箇所の変更はありますが、追加も削除もされていません。追加されたCGはスタッフに変更がないのか、オリジナルのCGとの違和感は感じませんでした。 SPECIALメニューはPlaystation2版ではCGとBGM鑑賞のみでしたが、シーン回想(Hシーン再生)、エンディング確認、おまけが追加されています。
エンディング確認は見たエンディングの数によって確認画面に表示されているCGが埋まっていくこともあり、バッドエンドまで見たくなります。また、このメニューでシナリオの既読率も確認できます。
おまけはPlaystation2版の初回版に同梱されていたCDに収録されていたボイスドラマをゲーム化したものです。内容はそのままで選択肢もありません。また、当然ながら声優人もWindows版のもので新録となっています。

その他の変更点としてはPlaystation2版では3種類あったOPムービーがOPテーマ「went away」を使用した一種類のみとなっています。

特筆すべきはシステムの使い勝手の向上でしょう。ゲーム機とパソコンゲームでは使い勝手が異なるのは当然ですが、ほとんどの操作をテキストウインドウに配置されたアイコンで行えます。これは、マウス操作によるフリーカーソルを前提としたWindowsならではとも言えますが。
ゲーム終了時に余韻を無視するように挿入されたセーブ了解確認のウインドウも出ません (これもHDDへのセーブだからですが)。
セーブ関係はかなり改善されています。通常セーブは最新セーブデータの項目がありますし、クイックセーブもプレイヤー任意のクイックセーブの他に選択肢と日付変更時のオートセーブも行われます。画面上のアイコンからのクイックロードは最新のクイックセーブあるいはオートセーブデータがロードされますが、ロードメニューからはクイックセーブあるいはオートセーブの最大5個の履歴からのロードが行えます。ただ、クイックセーブデータはゲームを終了するとクリアされてしまうのが惜しいと感じました。
既読スキップは選択肢や未読箇所を過ぎた後も有効になっていてます。また、既読テキストの変色機能もあり、既読箇所に入ったことを知らせてくれます。
バックログはPlaystation2版ではシーン毎にクリアされてしましたが、Windows版では常に最大量まで残されています。また、バックログでのボイスの連続再生機能もあります。

供給メディアのCD-ROMにはコピー防止としてSAFE DISCプロテクトが施されていて、起動時にメディアチェックを行います。私の環境ではパソコンの起動前からCD-ROMが入れてあると殆どの場合、正常に認識できませんでした(DISCがないことになります)。また、メーカーサイトにあるFAQによると一度CD-Rメディアを読んだドライブではオリジナルのCD-ROMを入れてもCD-Rと認識されてしまう事があり、その場合はシステムの再起動が必要となるそうです。SAFE DISCもバージョンが上がるたびにプロテクトが強力になっているようですが、そのために正規に購入するユーザーにも弊害が出るようになっています。最も、悪いのはメーカーではなくコピーするユーザー(という言葉はふさわしくないのでしょうが) なのですが。

Playstation2版をプレイ済みの人がプレイするかどうかはオリジナルへの思い入れ次第でしょう。但し、オリジナルの声優さん達に思い入れがある人には勧められません。未プレイの人にはHシーンを除いても、システムの使い勝手でWindows版がお薦めです。

お気に入りキャラ:芹沢香穂


あいかぎ〜ひだまりと彼女の部屋着〜

メーカー:F&C FC02
年齢指定:18禁
動作環境:Windows 98/Me/2000/XP
発売日:2002.8.30
価格:F&Cカード付き\9,800/初回版/通常版\8,800
ジャンル:AVG
ボイス:フルボイス
メディア:CD-ROM × 2
BGM:PCM(WMA)
必要HDD容量:最低650MB/標準1.3GB
画面サイズ:640×480(ウインドウ/フルスクリーン)

主人公は幼い頃に母親を失い、姉も仕事のために離れて暮らしており、父親と二人で暮らしていた。大学への推薦入学も決まり、学園は自由登校のため、怠惰な日々を送っていたある日、父親が交通事故で亡くなってしまう。姉の陰謀もあり、主人公は姉の友人であり学園での担任教師、また憧れの人である葉月彩音と、その妹で主人公に密かな想いを寄せる千香の姉妹と同居することになってしまった。卒業までの日々、主人公の想いは一体誰に寄せられていくのだろうか。

プレイ期間は各ヒロインの個別シナリオに分岐した場合、2月1日から2月18日か22日(彩音のみ)まで。その後、卒業式。更に、エンディングへと続きます。個別シナリオへの分岐はヒロインによって異なりますが、2月9日までで確定します。分岐できなかった場合は、すぐに卒業式(汎用エンド)を迎えます。
共通シナリオ部は一日2回(朝/夜)の移動場所選択とコマンド選択の複合となっています。移動場所選択画面では何処で誰に逢えるのかは表示されず、実際に選択してみないと判りません。

各ヒロインとも関わっていくうちに、それまでの学園生活では気付かなかった秘めた想いや悩みに触れていくことになります。主人公はその状況(進路確定で自由登校)故、ルート確定までは何もしてないで遊んでいるように思えますが(一応バイトもあるのですが、自由出勤状態で働く場面の描写も少ないです)。
個別ルーツに入ってからはヒロインの悩みに積極的に関わっていくように感じられ(惹かれている女性の問題なのですから、当たり前とも言えますが)、葉月姉妹との同居においても自分から役割を買って出るので、この手のゲームにありがちな「寝てばかりの主人公」という感じではなく、結構好感が持てます。
シナリオは特に奇をてらった展開ではなく、各ヒロインの問題も現実的にあり得る物です。プレイヤーに媚びを売るような萌え的展開もさほどなく、強く印象に残るということもないように思えます。ただ、突っ込みたくなるようなアラや破綻もない堅実な造りは、F&Cらしいと言えるかもしれません。ヒロインの個性付けはそれなりに特徴的で、彩音は朝に弱くて、言動も教師とは思えないくらい幼く(但し、締めるところは締めるのはさすが年上のヒロインという感じです)、主人公に対しても積極的に関わってきます。千香は反対に主人公に強い思いを寄せながらも引っ込み思案な性格のため、突然同居することになった主人公におっかなびっくり接してきます。そして、姉は妹を、妹は姉を思いやっているのがよく解るのも好感が持てます。それに対し、他の二人のヒロインは口より先に手が出るようなクラスメイトに自分の役割に拘りすぎて堅すぎる生活指導教師と個性付けはされているものの、やはり彩音と千香に比べると印象が薄くなりがちです。そもそも、姉妹との同居がこのゲームの主題ですから、仕方がないといえば仕方がないのですが。

CGは難があります。特に汎用の立ちCGは体のバランスの悪い物が多いです。イベントCGにしてもHシーンなどで全身が入るかそれに近い物ではやはりバランスの悪さを感じます。F&Cも必ずしも良作ばかりを作っているとは言えませんが、CGの仕上げについてはここまでレベルが低いのは珍しいように思います。それも、外部委託ではなく、社内チームのFC02が作成したタイトルだけに意外というか残念な出来と言えます。ただ、CGの出来が悪い物は祐希とめぐみの物に多く見られ、彩音と千香に関しては比較的マシに思えるので、作画担当者をヒロインによって分けていたのでしょうか。

Hシーンはメインヒロインの彩音が多めの4回で、その他のヒロインは2〜3回です。まず不自然に感じたのは過去に恋人と同棲した経験がある彩音が処女だということでした。別にその恋人が不能だったというわけでもないようですし、「Hをしそうになったのに結局‥‥」という話も出てきます。しかし、半年間同棲していてその気がなかったわけでもないのに処女のままというのはどうにも不自然に感じました。メインヒロインが初モノの方がウケが良いというのは解らないでもないですが、不自然に感じさせるような設定にしてまでそうする必要もないと思うのですが。
Hシーン自体はまぁ普通というところですが、上でも書いたように祐希とめぐみはCGの出来が良くないので楽しめません。

攻略ですが、ルート確定までの移動場所選択は総当たりで目当てのキャラの攻略に繋がる選択を探すしかありません。キャラによっている場所の傾向も無いわけではないですが、「家の中をぶらつく」を選択して、それから外出するというようなパターンもあるので、行き当たり場当たりで探すしかありません。また、場所選択は4箇所から行い、攻略対象ヒロインも4人ですが、常に目当てのヒロインのイベントがあるとは限りません。また、1回の選択に対し一人のヒロインに2箇所で逢えることもありますが、その場合攻略に結びつく好感度の上昇する選択は1箇所だけのようですので、目当てのヒロインが登場したからといってそれが正しい選択とは限りません。とにかく移動場所選択画面でセーブしてトライアンドエラーで見つけるしかありません。また、移動場所選択だけではなく、コマンド選択の方もルート確定に影響してきます。とはいえ、コマンド選択の方はそのヒロインに好意的な選択は判りやすいように思います。ルート確定までは難しいというより、移動場所選択のため面倒くさい感じです。ルート確定後はHAPPY ENDを迎えるのは難しくはないと思います。但し、彩音を除く三人はHAPPY ENDに繋がる選択を行うと、見られないHシーンがありますので、CGやHシーンをコンプリートするためには、あえてBAD ENDを迎える必要があります。Hシーンに繋がる選択は見れば判ると思うので、そこでセーブすればコンプリートは難しくないでしょう。

システムはF&Cのゲームではお馴染みのADVWIN32.EXEが使用されています。以前は時間が経てば経つほど重くなるという問題があったシステムですが、最近の作品ではそれを感じません。熟成されたシステムで、機能にも不足はありません。ホイール操作だけで呼び出せるテキスト読み返し、テキスト読み返しでの音声再生、既読スキップ、随時セーブ/ロード、クイックセーブ、選択肢での自動セーブ、ゲーム中断箇所からゲーム再開と機能としては充実しています。
但し、操作面では多少難を感じます。画面上にはテキストウインドウの右にメニューボタンがあるだけで、殆どの機能はここから呼び出します。画面はすっきりしますし、操作の統一というのも解らないではないですが、必然的に階層メニューになってしまうので、操作が煩雑になります。クイックセーブですら「MENU」→「QUICK SAVE」という動作が必要になるわけで、これではクイックセーブとは言い難い気がします。せめてクイックセーブとクイックロードのボタンくらいは付けて欲しいところです。
後、コマンド選択、移動場所選択共に一度選択した物は色が変わって識別できるようになっているのですが、移動場所選択については一通りプレイしただけで複数の場所に色が付いてしまうので、実際にはあまり意味がありません。

CDにはプロテクトがかけられています。私が知る限りではF&CがCDメディアにプロテクトをかけたのは初めてではないでしょうか。プロテクトがかけられたCDでよくあるように一部のCDでは正常にインストールが行えないことがあるようです。また、正常にインストール出来る場合もDISC1を認識させた後にDISC2に入れ替えて認識させ、もう一度DISC1に入れ替えてからインストールを初めて、インストールの途中でDISC2に入れ替えなければならず、操作が煩雑です。DISC2の認識はDISC2に入れ替えた時に行えば良いとも思うのですが、DISC1が正常に認識出来てDISC2のみ認識でない場合は半分インストールしたときに初めてエラーになるので、それを防ぐ意味で最初に2枚とも認識させるのでしょうか。コピーしたDISCならばそれも問題ない(自業自得)と思いますが、上記のようにオリジナルのCDでも発生する場合があるので、その場合は時間がかかった上にエラーとなりますからユーザーの怒りも大きくなるでしょうから、一部のドライブで正常に認識できないことは最初から想定していたのでは?というのは勘ぐりすぎでしょうか。
当然の対処ではありますが、オリジナルのCDでこのエラーが発生したユーザはユーザサポートに連絡をすれば対処を行ったユーティリティーが送付されます。但し、正規ユーザー識別のためか、マニュアルのサポート用紙(コピー可)に記入して郵送する必要があります。ユーティリティ自体はEメールにて送付されるとのことですが、ゲームを買ったのにプレイできるまで数日を要するのではユーザも納得できないのではないでしょうか。製品アンケートをweb化しているのですから、こういった対応も電子化できると思うのですが。
一旦、インストールが済んでしまえば、プレイするのにはCDは必要ないので、プロテクト自体の実効性には疑問を感じます。極端な話、ディスクを借りてインストールさえしてしまえば、プレイできるわけですし。また、このエラーに引っかかった人が知人からインストールしたフォルダをそのままコピーして貰ったところプレイできたということですから、正式なインストール手順を踏まなくともプレイは可能なようです。
寡聞ではありますが、ゲームへのプロテクトはメーカーではなく流通の要請によるもので、18禁ゲームメーカとしては最大手の一つであるF&Cがプロテクトを行ったという事自体に意味があるのかもしれません。と、プロテクトの話が長くなりました。なお、私は2台のマシンでインストールを行いましたが(途中でプレイするマシンを替えたため)、2台とも正常にインストールできました。但し、SCSIとATAPIの違いがあるとはいえ、両方とも同じメーカ(PIONEER)のドライブなので当然と言えるかもしれませんが。

取り立てて突出した点もありませんし、CGの出来もあまり良くないので、お薦め度は高くありません。CG、シナリオ共に葉月姉妹への比重が高いので、この二人を気に入るかどうかが分かれ目でしょう。

お気に入りキャラ:葉月千香


みずかべ

メーカー:F&C FC01
年齢指定:18禁
動作環境:Windows 98/Me/2000/XP
発売日:2002.9.27
価格:\3,800
ジャンル:アクセサリー集
ボイス:なし
メディア:CD-ROM × 1
BGM:PCM(WMA)/CD-DA
必要HDD容量:500MB以上
画面サイズ:640×480(ウインドウ/フルスクリーン)

同社のゲーム「水月」のアクセサリー集です。とはいっても、アクセサリーは同人作家さん達のCG+オフィシャルCGを用いた壁紙集のみで、メインは本編のアナザーストーリーであるミニADVでしょう。

・ミニADV
本編のメインヒロインである牧野 那波と双子の香坂 アリス/マリア姉妹をメインにしたAVGです。基本的に舞台は本編と同じですが、主人公は本編のストーリーのきっかけとなる交通事故による記憶喪失にはなっておらず、那波も目が不自由ではありません。本編のストーリーとの直接的な連続性や、一部を取り上げたようなストーリーではなく、本編で言われている「夢」と「現実」の関係から派生した数ある可能性の中のひとつ世界というところでしょうか。という設定からか、このAVG内でも主人公は良く夢を見、その夢には本編のストーリーが断片的に登場します。シナリオ自体は一本道のようで、トゥルーエンドを迎えれば、全てのCGを見る事が出来ます。
この主人公は本編に較べてかなり優柔不断でウジウジしています(本編の主人公がキッパリとした性格だったとは思いませんが)、シナリオのテーマの問題も関係しているので、仕方のない面もあるかとは思いますが、「女友達みんなと仲良くやっていきたい」という考え方をラスト近くまで引っ張ってくれます。まぁ、この悩みを越えてヒロインを選ぶのが主題なので、仕方がないかとは思いますが、それでもプレイしていてあまり気持ちよくありませんでした。また、双子の姉妹とのHシーンもあるのですが、このHシーンが那波とのエンディングの続きに出てきます。夢と現実が入れ替わる世界観の上での話ですから、那波との関係とは別に存在する物かもしれませんが、説明無しに唐突に登場するので、状況が理解できませんでした。これなら多少手間をかけても那波エンドと双子エンドに分けるべきだったと思います。

CGは半分以上が本編からの流用ですが、那波と双子のHシーンがそれぞれ2回あるうち、1回は新作CGで、その他にも少し新作のイベントCGがあります。新作CGは仕上げなどは本編から流用した物と違和感がありませんが、絵柄自体が少々幼くなっているように感じました。それ故、更に可愛く感じる気もしますが(笑)
新作のHシーンにもやっぱり放尿シーンがありました。まぁ、本編で全てのヒロインにあったので「水月」としてはお約束というところでしょうか(苦笑)

システムは本編と同じですので、特に感想はありませんが、他社のシステムと較べると熟成度の高さを感じますね。

・壁紙集
同人CG作家29人と本編の原画を担当した☆画野朗氏によるCGを用いた壁紙集です。同人といってもプロとして活躍している方も含まれており、レベルの高い物がいくつもあります。


夏コミで販売された際、すぐに売り切れてしまい、一般販売となった物もやはりほとんどの店で発売日に売り切れてしまったようです。本編は販売店で結構値落ちしており、さほど大人気というわけではなかったと思うのですが、夏コミでの品不足が前評判となったのか、予約していないと入手は困難だったようです(予約自体も秋葉原や通販では早々に締め切られと聞きますが)。でも、実際にプレイした感じでは、さほどプレイできないと残念なほどの物とは感じませんでした。最も、これも入手した上での話ですので、ファンとしては入手できない事自体が問題なのでしょうね。

お気に入りキャラ:香坂アリス
本編イチ押しの花梨は残念ながらヒロインでなく、イメチェンバージョンも見られなかったので。


Princess Holiday〜転がるりんご亭千夜一夜〜

メーカー:オーガスト
年齢指定:18禁
動作環境:Windows 98/Me/2000/XP
発売日:2002.2.27
価格:\8,800
ジャンル:AVG
ボイス:女性のみフルボイス
メディア:CD-ROM × 2
BGM:PCM
必要HDD容量:約1GB
画面サイズ:800×600(ウインドウ/フルスクリーン)

吟遊詩人として諸国を放浪していた主人公クリフ・クラウドに、生まれ故郷の妹から一通の手紙が届いた。三年ぶりに生まれ故郷の王都へと戻った主人公は家に帰り着く前に数人の男たちに囲まれた少女を助け、成り行きでレティシア・アップルと名乗るその少女を家に泊まらせることになる。行くところが無いというレティシア(レティ)は主人公と家族同然の酒場「転がるりんご亭」で働く事になるが、酒場で歌うレティの歌声を聞きつけた主人公の幼なじみである女騎士のエレノアが飛び込んできた。レティはこの国のたった一人の王女であるレティシア・ラ・ミュゥ・シンフォニア姫だという。社会勉強のために城を出てきたというレティは転がるりんご亭で修行をすることになった。

プレイ期間は開始月であるぶどうの月の10日から30日までと、次月収穫の月の3日まで。一週間7日の概念があり、日曜日に当たる天の日には実家の教会で妹のシルフィーが礼拝を行い、酒場も夕方からの営業となります。
10日から14日がプロローグといえる部分で、コマンド選択のみで進行しますが、15日から24日まではどうブランドの前作『Binary Pot』と同じく移動箇所選択(と言うよりはヒロイン選択)を1日に1,2回行います。24日までにルートが確定しなかった場合、主人公はまた旅に出る事になり、BAD ENDとなります。ルートが確定した場合、25日から個別ルートに入ります。

15日から22日の移動場所選択により発生するイベントは日付固定で、形式上それまでに起きたイベントとの継続性がないため少々盛り上がりに欠けますが、魅力的なヒロイン達とのイベントは楽しいですし、萌えの要素もあります。個別ルートに入ると早々にヒロインとの関係が確定するので、ラブラブな展開が十分に楽しめます。
が、エンディングへの展開は少々難点を感じました。主人公には若くして亡くなった先王(現国王の兄)の遺児という設定があり、これがほとんどのシナリオに登場します。レティシアエンドを含みそれが活かされているシナリオもありますが、この設定によって展開に無理が出てくるシナリオもあるように思いました。設定はルートによって異なっていいわけですから、もう少し展開にバリエーションを持たせてもよかったのではないでしょうか。とはいえ、どのエンディングも主人公自身の意志や行動で展開し、ご都合主義感が少ないのは好感が持てました(先王の遺児という設定自体は許容するとしてですが)
ブランドの2作目ですが、既にお約束となっている「トゥルーエンド」があります。王城の地下にある廊下などからある程度類推できますが、見かけの世界観とは全く異なる展開になっていて、個人的にはやりすぎの感があります。各ヒロインのエンドを用意した上での「お遊び」と考えれば許容でなくもないですが、このエンドをプレイヤーが楽しめるかを考えて作っているとは思えず、スタッフの自己満足で作っている感じがします。

ヒロインは5人。お姫様、妹、幼なじみ、年上、ロリ役魔法使いと多くの趣味をカバーできるようになっています。ただ、皆「人が良い」ので、毒や陰の要素はありませんが、このゲームに興味を覚える人ならそういった要素が無い事に物足りなさを感じる事もないでしょう。

CGは前作に較べて手が掛かっています。前作では立ち絵が各服装について1枚で、表情の変化もありませんでしたが、今回は立ち絵の表情が変化しますし、アップもあります。但し、今作でもフェイスウインドウがあり、表情の変化はそちらでも表示されるので、中途半端にも感じますが、やはりよく目がいくメインのCGの方で表情が変化するのは良いと思います。 Hシーンは各ヒロインとも3回、服装を変えてのHシーンもあり、今ひとつHシーンが物足りなく感じた前作に較べてサービス満点です。私としてはレティシア姫のドレス姿でのHシーンがあったのがポイント大です(笑)
作画は前作ではHシーンで少々崩れた感じがあったものの、今作ではそういった点も解消され、レベルが上がっています。

攻略面は前作に較べて難易度があがっています。移動場所選択において目当てのヒロインのみを追いかけるオンリープレイに徹するのは勿論ですが、それだけではルートの確定はできません。決定的なキーイベントはないですが、選択肢による好感度の判定がかなりシビアなように感じます。但し、目当てのヒロイン以外のイベントを起こさないといけないといった意地の悪い攻略要素はないので、プレイを重ねれば攻略できるでしょう。ルート確定以降は選択肢も少なく、別エンドがあるヒロインを除けばHAPPY ENDにたどり着かない事はないでしょう(私は失敗した事がありません)。別エンドも分岐点がはっきりしているので、問題なく見る事ができます。

システム面は万全とはいえませんが、オートプレイに既読/強制スキップ、ホイール対応のバックログ、随時セーブ/ロードと不足無い物になっています。また、バックログは全画面表示に変更され、バックログ上での音声再生もできるようになっています。但し、前作と同じかあるいは前作以上にシステムが重いです。特に重さを感じさせるのはゲーム中でボーカル曲が流れるシーンで、体験版をプレイした際、PentiumIII-500MHzでは前作と同じく歌がブチブチと途切れました。新しく組み立てたCeleron1.7GHzのマシンではさすがにそんなことはなかったですが、それでもWindows2000のタスクマネージャーで見るとCPU使用率は100%になっていました。推奨環境はPrntiumII-400MHz以上となっていますが、それでは私が見たのと同じような現象が起きるでしょう。同じようなゲーム形式でもっと軽いシステムを作っているメーカーは多くありますから(というかこれだけ重いシステムは珍しいでしょう)、今後はこの点も改良して欲しいです。
とはいえ、一度告知した発売日に遅れることもなく、発売日を3週間以上経過してもこれといったバグの話も聞きませんので、その点は評価できます。

多少の難点はありますが、前作でファンを引きつけた要素を正常進化させた作品となっており、期待を裏切らない物になっていると思います。また、新規ユーザーでも雑誌紹介などから感じる雰囲気に惹かれてプレイしたなら十分に楽しめるのではないでしょうか。

お気に入りキャラ:レティシア・ラ・ミュウ・シンフォニア姫


それは舞い散る桜のように

メーカー:Basil
年齢指定:18禁
動作環境:Windows 98/Me/2000
発売日:2002.6.28(CD-ROM初回版)/2002.8.9(DVD-ROM通常版)
価格:\8,800
ジャンル:AVG
ボイス:フルボイス
メディア:CD-ROM × 3(CD-ROM版)
BGM:CD-DA
必要HDD容量:約1.5GB
画面サイズ:640×480(ウインドウ/フルスクリーン)

北海道の雫内から幼き頃を過ごした土地にある私立桜坂学園へ進学し、一人暮らしを初めて2年目の春を迎えた主人公「桜井舞人」は親友から「恋愛否定派」と言われるように、人、特に異性と深く関わることを避けていた。しかし、そんな主人公の心にある女性への想いが募り始める。愛する人と共に過ごす喜びと共に常にある別れの予感。二本の桜の木がある丘の上で出会う不思議な少女は主人公に告げる「どんなに一つになりたいと思っても、一人になるだけ」だと……

ゲーム形式はコマンド選択式のAVG。プレイ期間は4月7日からの一年間。但し、全日をプレイするわけではなく、特に後半はかなり日数が飛ぶため、プレイ開始時の印象ほどにはプレイ時間は長くありません。

主人公は進学校に入学はしたものの、夏休みに補習に出なければならないほどの成績。部活動もせず(ある部の幽霊部員ではあるのですが)、アルバイトもしない。でも、口だけは良く回り、はったりをかますのが得意。という、いわゆる「ダメ人間」タイプなのですが、プレイを進めていけば補習をきっかけに勉強もするようになりますし、さほど嫌悪感は感じません。そして、よく口の回る主人公とヒロインたちとの日常会話は凄く楽しめます。ヒロインたちはいずれも個性的でキャラが立っており、萌え所も十分にあります。また、主人公とヒロインが心を近づけ合っていく過程を描くイベントも良い感じです。その他、幼い少女たちなど、攻略対象外の少女たちも魅力的です。
このように個々のイベントは楽しめるのですが、メインストーリーがいただけません。町はずれにある二本の桜の木がある丘の上で出会う少女「桜香」もう1人の少年「朝陽」との会話によると、主人公も彼らと関係があり、普通の人間ではないようです。主人公は彼らの元を離れ、何度も人間の少女と恋をしながらもその恋が実ることはなく、そして今の恋もそれと同じ結末になるのというのです。
物語の根幹と思えるこの点について非常に説明不足です。情報を与えすぎるのが言いシナリオというわけでもないとは思いますが、あまりにもプレイヤーを無視したストーリー展開だと感じます。そして、彼らの言うようにどのヒロインとのシナリオでも、12月の中頃にはヒロインの心から主人公への想いが失われます。ここから春までの話はどれも同じで、最後に桜香によって、その恋が取り戻されるのも同じです。丘の上の二人との会話の内容もどのルートをプレイしても全く同じです。せっかく、良い感じの恋愛シナリオになっているのに終盤がルーチンワーク的になってしまい、盛り上がりに欠けます。ゲームの魅力を個々のイベントにありと割り切って作ったのだとしても、もう少しシナリオに注力しても罰は当たらないと思うのですが。

CGは西又葵さんの原画でどのヒロインも魅力的です。絵柄も安定していますし(実績のある方ですから当然でしょうが)、CGとしての仕上げの質も高いです。

声はフルボイスでほとんどの声優さんが二役以上を演じています。私が疎いのもあるのでしょうが、エンディングを見るまではそれと気づかず、演技は良いと思います。特に、掛け合いのある二役を同じ声優さんが演じてたりするのは感心します(役ごとに別録りしたのでしょうけど)

Hシーンはメインヒロインの星崎希望が3回と多いのを別にすれば、ヒロインごとに1,2回。それぞれ適度にエロい感じです。みんな初モノ(笑)で、初めての痛みの描写が強調されているように感じます。

攻略は前半部といえる6月中盤までを目当てのヒロインよりでプレイすれば六月後半から個別シナリオに分岐します。特に、キーとなる必須イベントもありません。個別シナリオへの分岐後は少々選択肢が出てくるモノの、基本的に一本道で、HappyEnd以外のエンディングもないようです。攻略面での難易度は非常に低いと言えるでしょう。

システムは随時セーブとロードが可能で、セーブポイントは最大15個。最大3カ所のクイックセーブもあります。更に、外部データとしてセーブデータを作成することも出来ます。もっとも、難易度は低いので攻略目的でセーブをする必要はまず無いので、特定のイベントに印を付けるとかでなければ、15個でも余るでしょう。セーブメニューでは開くたびに1番目のデータのページが開くので最新のデータにアクセスするのが少々面倒です。個々のセーブデータの詳細を表示しない一覧表示もあるのですが、これ自体ページを選び直す必要があるので、さほど便利とは言えません。シナリオは既読スキップが出来、既読の管理もかなり徹底しています。また、スキップはかなり高速なので、複数回のプレイも苦になりません。あと、シナリオを自動送りするオートプレイ機能もあります。それぞれの機能は画面上に割と大きめのアイコントレイの形で表示されていますが、さほど邪魔にも感じません。また、セーブとロードは通常のセーブ、ロードとクイックセーブ、ロードはプルダウンメニューとして使い分けることが出来ます。シナリオのバックログはマウスホイール対応で、ホイールを回すだけで、 バックログを読むことが出来ます。また、バックログ上での音声再生も出来ます。全体的にかなり使いやすいシステムだと思います。ただ、少々不便に感じるのは先に書いたセーブメニューとCG閲覧などの階層メニューに入るとマウスの右クリックで上位メニューに戻ることが出来ない点でしょうか。その程度が気になるのは逆にシステムとしての欠点があまり無いということだと思います。

とにかく日常イベントが楽しいですし、各ヒロインとのイベントも萌え所があります。ヒロインとの仲が深まっていく恋愛モノとしての描写も良い感じです。それだけに、メインストーリーの作りが残念に感じました。「美少女ゲーは萌えだ」という方にはお薦めできるとは思います。

お気に入りキャラ:雪村小町(健気です)、星崎希望(「くきぃぃーっ!」が最高(笑))


結い橋

メーカー:ういんどみる
年齢指定:18禁
動作環境:Windows 95/98/Me/2000/XP
発売日:2002.6.21
価格:\8,800
ジャンル:AVG
ボイス:フルボイス
メディア:CD-ROM × 3
BGM:PCM
必要HDD容量:約1.8GB
画面サイズ:800×600(ウインドウ/フルスクリーン)

『天使はこの地に降り立つけれど、決してこの地に住まうことは叶わない』
そんな言い伝えが残る街「要町」その町には「天使が降り立つところ」と言われる社がある。その社は結界に守られた常春の聖域。社を守る巫女は12年の任期の間、その結界から出ることが出来ない。先代の巫女であった。女性を父親の再婚相手として母に持つ主人公「高月一海」は今の巫女である有坂まつり、幼なじみであり義妹でもある未依、幼なじみの桜井知絵と平凡ながらも幸せな日々を過ごしていた。12年に一度行われる祭りとともにまつりの巫女としての任期も終わりを迎えようとしていた。その祭りの最中、まつりの妹の詩奈が姉の元を訪れた。詩奈はまつりを連れ戻しに来たのだという…

オンラインCG作家として有名なこ〜ちゃさんが企画、原画を担当したということで発売前から話題になりました。

ゲーム形式はコマンド選択式のAVG。プレイ期間はお祭りの12日間(エンディングを除く)。日付は明示されませんが、季節は初夏のようです。およそ最初の3日でルート分岐が確定し、4日目から個別シナリオに入ります。1プレイは詰めてやれば4,5時間程度で、中だるみを感じることもないでしょう。

シナリオは社の結界を中心としたこの町の伝説に絡んで進んでいきます。シナリオにもよりますが、ゲームを進めることでその伝説の謎が証されていきます。とはいえ、このゲームの魅力は全体的なストーリーよりはココのシーンにおける「萌え」の要素でしょう。美少女ゲームに「萌え」を重視する人なら転がり回るシーンが続出するでしょう。
反面、伝説に絡む少々強引な設定や展開、また、大手術が終わったその日に退院をして宴会(飲み会)に参加するなど(これは12日間に納めるためではあるでしょうが)、シナリオ面では少々完成度に難を感じるかもしれません。
登場人物は主人公を含めて、皆善人で、不快感を感じさせるイベントや展開は皆無といっていいでしょう。もっとも、こ〜ちゃさんが描いた「悪人」というものを見たことはありませんし、絵柄的にも向いてないかとは思うので、そういう人物や展開を持ち込むこと自体が無理なのかも(笑)

キャラクターデザインはもちろんこ〜ちゃさん。柔らかく可愛い絵柄で人気を博していますが、一作のゲームという量産体制の中でもそのイメージは全く損なわれていません。まぁ、商業ブランドとしては一作目とはいえ、同人ソフトの大作で場数を踏んでいるスタッフですから、当然といえるのかもしれません。こ〜ちゃさんの可愛い絵柄と萌えな展開のシナリオで萌えること請け合いです(コレバッカリ)。

随時セーブ/ロード可能でセーブデータ数は最大60個。音声、効果音、BGMの個別に音量が設定できる上に音声再生時のBGM音量も設定可能です。ちょっと変わった昨日としてはマウス操作を停止してからカーソル表示を消すまでの時間が設定できます(デフォルトで5秒) これとオートプレイを組み合わせれば、画面上にカーソルを表示させることなくゲームを楽しめます。他にはスキップ(早送り)ではなく、次のシーンまで一気にとばす機能や(既読箇所のみ)、前の選択肢まで戻す機能があります。
既読スキップは環境設定メニューでON/OFFを設定します。スキップ中は環境設定メニューを出すことができないので、任意にON/OFFすることができません。スキップ中に停止させることもできるのですが、一度止めると、次のシーンまで進まないとスキップを再開することができず、スキップ制御については少々不便に感じました。とはいえ、一度未読に入ってもスキップが無効になることがないので、ゲームを効率よくクリアしたい人には文句ない機能だとは思います。但し、既読管理自体はおおざっぱともいえ、同じ文章でも別ルート扱いだと既読とはならず、強制スキップ機能も無いので、その点ではプレイ効率は少々低いかもしれません。もっとも、あまり細かい既読管理をすると、既読文章とはいえそのルートがどういった展開で進んでいるのか判らなくこともあるので、程度問題とも言えますが。

Hシーンはルートごとに2回あるいは3回。パッケージ裏に「濃厚なHシーン」とあるように、結構Hかと思います。

攻略は最初の三日間の行動でルートが決まりますが、ルート分岐の見極めは難しくはないでしょう。ルート分岐後も対象ヒロイン寄りの選択をしていれば問題はありません。ルートによっては12日目のラスト前の選択が少々シビアですが、そこに入る前にセーブして、2,3回プレイすればHAPPY ENDを迎えられるでしょう。Hシーンのバリエーションを除けば、HAPPY ENDルート以外でないと見られないCGも無いので、エンディングを全部見ることにこだわらなければ攻略は難しくないでしょう。但し、4人のヒロインとのHAPPY ENDとは別にもう一つのENDINGがあるのですが、このENDINGを迎えるには特定の二人のENDINGを見る必要があり、好感度のバランスも少々難しいかもしれません。

とにかく「美少女ゲームは『萌え』だ」という向きの方にはお薦めです。当初限定5000本と言われた初回版も増産できた様で、今でも入手は難しくありません。

お気に入りキャラ:有坂まつり


D.C.〜ダ・カーポ〜

メーカー:サーカス
年齢指定:18禁
動作環境:Windows 98/Me/2000/XP
発売日:2002.6.28(CD-ROM版)
価格:\8,800(CD-ROM初回版/CD-ROM通常版)
ジャンル:AVG
ボイス:女声:フルボイス/男声:主要キャラのみ
メディア:CD-ROM × 2
BGM:PCM
必要HDD容量:標準インストール約640MB/フルインストール約1.3GB
画面サイズ:800×600(ウインドウ/フルスクリーン)
その他:初回版はアレンジサントラCD(2枚組)付き

枯れない桜の咲く島、初音島で義妹の音夢と2人暮らし状態の主人公には不思議な能力があった。それは手から和菓子を出すことと他人の夢を見ること(但し、夢は自分の意志に関係なく見せられてしまう)。風見学園附属の卒業と本校への進学を間近に控えた2月下旬。幼い頃に米国へ行った従姉妹のさくらが別れたときと変わらぬ姿で転向してきた。変わらずに咲く桜の下、変わらないような日々の中で、主人公の心は誰に惹かれていくのだろうか。

ゲーム形式は移動場所選択式AVG。平日は学園内の昼休みの移動と放課後の島内の移動。休日は展開にもよりますが、島内の移動を2回選択します。
プレイ期間は2月23日から3月6日までが共通部の移動場所選択式AVGで、それまでの行動により3月7日から各ヒロイン毎の個別シナリオに入ります。個別シナリオでは移動箇所の選択はありません。但し、3月6日までにルートが確定しなかった場合は、バッドエンド(?)となります。

主人公の名前は標準では朝倉純一で名字は固定、名前のみ変更可です。標準名でプレイしても名前の部分は声が入らないので、変更のデメリットはありません。

まず、前半の移動箇所選択式AVGパートですが、ルートを確定するための決定的なイベントは見あたりませんし、各ヒロインは大体会える場所が決まっているので、ルートを確定させるコト自体はさほど困難でもありません。しかし、プレイするからには攻略しているヒロインのイベントを網羅したいですから、この形式はプレイヤーに面倒くささを感じさせるでしょう。個人的にはそれほど面倒だとは思いませんでしたが、多くのゲームが発売される現在、1本のゲームに割ける時間も少なくなっていますから、もっとユーザーに優しい仕様の方が受け入れられるでしょう。移動箇所選択式の場合は選択画面で何処に行けば誰に逢えるのかを判るようにした方が良いと思います。

シナリオですが、魔法の絡んでくる話は説明不足を感じます。少々ネタバレになりますが、主人公が使える魔法や他の不思議な現象は桜の林の奥にある「枯れずの桜」が関係しています (でも、島中の桜が年中咲いているのにこの樹があえてそう呼ばれるのは変な気が) ……という事は解るのですが、それ以上の詳しい事はあまり説明されません。解らないままに話が進み、最後まで解らないままという感じです。プレイヤーに情報を与えすぎるが必ずしも良いというわけではないでしょうけど、想像の余地を残すのと説明不足なのは違うと思います。
それとこのゲームはハッピーエンドを迎えるとスタッフロールが2回流れるのですが、1回目のスタッフロール前はまるでバッドエンドにでもなったかのような切れ方をしてスタッフロールの流れた後、一転してハッピーエンドのになるシナリオが多いです。不幸な状況からの逆転ハッピーエンドは常道ですが、あまりに脈絡が無さ過ぎると感じるシナリオが複数有りました。「解りやすいシナリオ=良いシナリオ」だとは言いませんが、もう少し読み手を意識したシナリオにして欲しいと思いました。
後、シナリオに中で同社の過去の作品のネタが登場するのはまだしも、他の18禁ゲームや12人の妹が登場する一般向けゲームのネタが使われています。確かにユーザ層は重なっていて多くのプレイヤーが理解できるネタだとは思いますが、メーカーの作る作品としては個人的にはあまり感心しません。それと「ゲームみたいな……」という表現が何度か出てくるのですが、ゲームのシナリオ中でこの表現の使うのは自爆でしかないと思うのですが。
シナリオボリュームはヒロイン毎にかなり差があります。隠れキャラのシナリオのボリュームが少ないのは有る意味仕方がないのかもしれませんが、初めから登場しているヒロインでも「あれ、コレで終わり?」という感じがしました。作品として何処に重点を置くかは造り手次第ではあるでしょうが、愛情を注いで創った(と思われる)ヒロイン達に対してちょっと不公平な気がします。
ヒロインは「世話焼きながらも主人公に頼っている義妹」「ちょっと浮世離れした (ぼけぼけな)先輩」「元気な明るい後輩」「勝ち気なクラスメイト」「学園のヒロイン」「同年令のロリな従姉妹」とそれぞれにキャラは立っています。ただ、過去の同系統のゲームのヒロインを「参考」にしている感じはしますが。

システムは既読スキップ、テキスト読み返し、随時セーブ&ロード、オートセーブ、セーブデータ毎の縮小画面表示と一通りの機能を備えていて不足は無いでしょう。同社ゲームの特徴であるあらすじ機能も装備されており、繰り返しプレイにはかなり便利なシステムと言えるでしょう。難点としてはテキストの読み返しがシーン毎でしか有効で無く、短く区切られているのが気になりました。また、セーブする時にはキャラアイコンを毎回指定しなくてはいけません。セーブデータにキャラアイコンが使えるのはセーブデータの区別の為には有効ですが、毎回指定するのは結構面倒なので、前回指定したアイコンを使うか、せめて上書きの場合は同じアイコンを使えるようにして欲しいです。

このゲームの特徴としては「目覚ましシステム」と「ガヤシステム」があります。
「目覚ましシステム」は夜寝る前に翌日の目覚ましの時間を、6:30(早起き)、7:00(いつもの時間)、7:50(寝過ぎ)の3種に設定できます。この選択自体は攻略に大きく影響しないのですが、起きる時間によって朝のイベントが変わってくるので、シナリオやCGのコンプリートの為には全ての日程について3種類のパターンを見なければんなりません。最も、この機能を使うのはシナリオが分岐するまでなので、ヒロイン毎に起きるパターンを変えれば問題ないでしょう。
「ガヤシステム」は昼休みおよび放課後の移動場所選択画面で何人かの話し声が入ります。その中にはあるヒロインが何処にいるかのヒントになるものがあります。ただ、ソレほど攻略に有効というわけでもないと思います。

CGは業界トップクラスとは言いませんが、出来は良く、好みの問題を除けば問題点は無いでしょう。素っ気ない評価になるのは、絵柄は悪くないのですがこのメーカーの CGの仕上げが私の好みと少しずれているからです(^ ^;

Hシーンはシナリオボリュームの大きいヒロイン3人は複数回、ボリュームの少ないヒロインは1回ですが、全体的に見ればHシーンが少ないとは感じないと思います。

攻略的には移動箇所選択画面での面倒くささを除けば難しい点はなく、シナリオ分岐後の選択肢も意図的に間違わない限りはハッピーエンドに到達できると思われます。攻略難易度は低いでしょう。ただ、シナリオクリアリストがあるので、コンプリートに拘る場合は全ての選択肢を選ぶことになりますが。
隠れキャラ1人を含め、2人のヒロインには攻略順規制がかかっています。この2人を攻略するにはある3人のヒロインをクリアしていないといけません。クリア順規制はネタバレの防止やその順序でクリアしないと話が解りにくいという場合には有用だと思いますが、この2人については特にそういうことはありません。確かに隠れキャラが最初から攻略できるのも問題かとは思いますが、それなら誰か一人をクリアすればOKくらいにすれば良いのではないかと思います。

総評としてはゲームの雰囲気も良いですし、ヒロイン達も魅力的なので(個人的には全く興味を持てないヒロインが一人いますが(^ ^;)シナリオの出来が残念というところでしょうか。

お気に入りキャラ:朝倉音夢


夏色の砂時計

メーカー:プリンセスソフト
年齢指定:全年齢
対応機種:PlayStation2
発売日:2002.5.30
価格:\初回限定版\7,800/通常版\6,800
ジャンル:AVG
ボイス:フルボイス
メディア:DVD-ROM × 1 + ミュージック&ドラマCD(初回版のみ)

主人公、牧村耕太郎は勉強はテストで246人中240位、スポーツもボクシング部の幽霊部員と平凡以下な高校二年生。そんな耕太郎は一年の文化祭での演劇部の公演で見かけた美少女芹沢香穂に密かにあこがれていた。夏休みを数日後に控えた7月14日、耕太郎は幼なじみの瀬能あいと悪友の時枝剛士に「夏休み中に芹沢香穂をモノにする」と宣言する。あいと剛士に呆れられ家に帰る途中、耕太郎はコートにサングラス姿という怪しい人物にぶつかり、入浴剤のようなにおいのする粉を浴びてしまう。
翌日、寝過ごして学校に駆けつけた耕太郎は学校の雰囲気がおかしい事に気づく。剛士はこれから始業式だといって耕太郎を体育館へとつれていく。日付は9月1日で、昨日、つまり夏休み最後の8月31日に生徒の1人が不幸な事故で亡くなったのだという。その生徒の名前は芹沢香穂。そして、夏休みの間、香穂と耕太郎はつき合っていたのだという。あまりの事に気を失う耕太郎だが、次に目覚めたのは7月29日。耕太郎は眠っている間にデイドロップ(時間移動)をするようになってしまっていた。
日付を選べない時間移動の中で、耕太郎は香穂を救うため、なんとか9月1日の運命を変えようとする。

18禁ゲームのPlaystationおよびDreamcastへの移植を手がけてきたプリンセスソフトが1周年記念ソフトとして発売した初のオリジナル作品で、同社初のPlaystation2タイトルでもあります。

ゲーム形式はコマンド選択式のAVG。プレイ期間は7月14日から9月1日ですが、デイドロップするため、当然日付順には進みません。また、シナリオによっては余剰の日程が描かれずに過ぎてしまいます。

タイムトリップ物は「夏への扉」くらいしか呼んだ事がないですが(まさにゲームの冒頭で主人公が話しているのが「夏への扉」ですね)、なかなかストーリーは上手くできていると思います。未来を知ってから過去に戻っての主人公の行動や、逆に過去を知らないために判らない出来事が後になって埋まっていくところなど、たるみ無くストーリーを楽しめました。タイムトリップ物のストーリーとしてはつっこめる点もあるかとは思いますが、さほど気になるものでもないし、大前提に抵触しそうな気もするのでよしとしましょう。
メインといえる香穂、あいのシナリオに比べて、朋子や真魚のシナリオは少々力のいれ具合に違いを感じました。それでも、朋子、真魚ともに魅力のあるキャラなので、そんなに悪くなかったです。ただ、リージェンとのエンディングは他のヒロインのルートへ分岐しなかった場合に迎えるもので、リージェンの個別シナリオはエンディング直前のわずかな量しかありません。リージェンも魅力的なキャラなのでその点は少々残念でした。

キャラクターデザインは村上水軍さん。私はこの方の作品は同人時代のものしか知らなかったのですが、18禁ゲームで仕事をされていたようですね。CGは村上水軍さんのデザインほどには魅力的とは言えない感じで、絵も少々ぎこちなさを感じさせたるものもありました。それでも、キャラデザ自体の魅力もあって、ゲームを通じての出来はそんなに悪くもありません。

ボイスは主人公も含めてフルボイス。主人公の名前が固定なので、呼びかけも入っています。台詞以外のテキストも主人公の声で読み上げられます(このナレーションはボイスの有無は設定可能です)。

システムは既読スキップ、メッセージログとログ上でのボイス再生、ナレーションも含めた登場人物毎のボイス有無指定、メッセージ速度、メッセージの自動送りなど、一通りの機能を備えています。面白いのはセリフの早送り再生ができること。早送りなので、高い声になっていまいますが、聞き取れる速度なので、既読扱いではないけど、他のシナリオと重複しているような場面を進めるのには有効かもしれません。セーブデータは50個。それぞれには場面毎のタイトルが表示されます。他にクイックセーブを1点使用できます。セーブポイントはセーブしたその箇所ではなく、有る程度の話の切れ目からのプレイ再開となります。
こう見ると問題ないシステムのようですが、なんというか「かゆいところに手が届かない」出来です。まずメニュー移動で反対側からの回り込みができない(左端から右端へ行けない、等)、セーブデータアクセス時に最新データにカーソルがいかない、セーブデータにゲーム中の日付やセーブした日時が付かない、セーブ完了時の確認などOKボタンでもキャンセルボタンでもいいような場合でも1つのボタンしか使えない、メッセージの自動送りのON/OFFが階層メニュー内でしか制御できない、CGモードでのキャラクターおよびCGの選択時にフリーカーソルになってしまい操作しにくい、等。確かにプレイに支障があるわけではないのですが、こういった細かな心遣いの有無がプレイヤーの評価を左右すると思います。また、シナリオ終了時に、ブラックアウトもせずに、いきなり「クリアデータをセーブしますか?」のアナウンスが入るという心遣いの無さも減点項目でしょう。
まぁ、ゲーム機向け美少女ゲームとなると比較対象はKIDのゲームとかになってしまうわけですが、KIDのゲームシステムにしても何年もかけて改良されてきたものですから、オリジナル1作目のタイトルをそれと比較するのは無理があるとは言えます。これらの点はユーザーの感想に耳を傾け、少しずつでも改良していって欲しいです。

サウンド面もなかなかに良い出来なのではないかと思います(私はあんまり解らないのですが)。主題歌はOPの「went away」がI'veサウンドということでなかなか良い歌ですが、私は香穂役の水樹奈々さんが歌うED「未来この星で」が気に入りました。

美少女ゲームではまだ少ないと思うPlaystation2タイトルですが、確かに画面効果などではPlaystationでは出来ないようなことをしているものの、完全な2次元表示のゲームですからハードの性能を活かせているとは言えないでしょう。でも、PlaytastionのCD-ROMなら1枚には収まらないものがDVDでは1枚になるのは利点ですし、Playstation自体がハード的に時代遅れであり、今はまだ美少女ゲームが多く作られているDreamcastも生産終了しているので、いずれはPlaystation2が主流となることを考えれば、Playstation2を選んだことは悪くないと思います。ただ、BGM再生が「躓く」ようなので、この点は是非とも次回作では改良して欲しいです。

システム面を中心に欠点はありますが、キャラクターに魅力があり、シナリオも楽しめますから、十分に佳作と言えるでしょう。初のオリジナルタイトルであることを考えれば(スタッフには他社で実績のある方も折られるそうですが)、今後のタイトルも期待できるのではないでしょうか。プリンセスソフトのこれまでの移植タイトルはプレイしたことがないのですが、あまり良い評判は聞いたことがありません。でも、この作品でプリンセスソフトの評価も上がるかと思います。

・初回特典:ミュージック&ドラマCD
OPテーマ「went away」のLong version,Short version,Karaoke versionとドラマ「“本当の”はじまりの物語」が収録されています。
「went away」は別売のサウンドコレクションに収録されていないので、今のところLong Versionが聴けるのはこの特典CDだけです。
ドラマは間違えてゲーム本編の一年前に着いてしまったリージェンが主人公の家の前にいるところをあいに見つかり、あいの案内で学校を訪れて、他のヒロイン達と会うという30分弱のストーリーで、あいの一人称で語られます。ゲーム本編でリージェンがなぜあんな怪しい服装で現れるのかという理由も分かります(笑)

お気に入りキャラ:芹沢香穂


はぴベルラヴ×2ハネムーン

メーカー:Terios
年齢指定:18禁
動作環境:Windows 98/Me/2000/Xp
発売日:2002.5.31
価格:\4,800
ジャンル:ファンディスク
ボイス:一部あり
メディア:CD-ROM × 1 + ドラマCD × 1
BGM:PCM
必要HDD容量:約297MB/155MB
画面サイズ:640×480(ウインドウ/フルスクリーン)

Teriosの18禁AVG「いきなりはっぴぃベル」ファンディスクです。
内容は
・クイズゲーム「早押しはっぴぃWedding」
・各ヒロインとの結婚後のエピソードを描いたビジュアルストーリー
・ミニゲーム
・壁紙
・スクリーンセーバー
・ドラマCD「花嫁の条件」
です。
しかし、ゲーム開始時はクイズゲームとスクリーンセイバーそして壁紙の一部だけしか最初は見ることができません。

・クイズゲーム「早押しはっぴぃWedding」
本編「いきなりはっぴぃベル」と同じように椎子が登場する月曜から結婚式を挙げる日曜日までの AVG形式になっています。月曜日に許嫁候補の5人から一人を選びます(一人クリアするとちこりが加わります)。まず、その選んだ許嫁からクイズが出題され、3問正解するとクリアできます。火曜日以降、選ばなかった許嫁候補達がクイズが出題され、それぞれ4問正解でクリアできます。そして、木曜日の晩に椎子から許嫁候補の最終確認をされ、ここで月曜日と違う娘を選ぶと椎子からクイズが出題され、7問正解でクリアできます。但し、月曜日と違う娘を選んでも椎子をクリアした後、主人公は「やっぱり、最初に選んだ娘と結婚する」と言いだし、結局は月曜日に選んだ娘が許嫁になるので、全員をクリアするにはその人数分最初から始める必要があります。金曜または土曜日に許嫁からクイズが出題され、10問正解するとクリアでき。日曜日の結婚式でエンディングとなります。
結婚式のCGは本編のCGが流用されていて、クイズには新作のイベントCGはありませんが、各ヒロインはデフォルメCGで登場します。なお、アドベンチャーパートはボイス無しですが、クイズパートではヒロインの声が入ります。

クイズは時間制限式の4択です。それぞれのヒロイン毎に問題のジャンルが決まっています。
向坂 つぼみ:Teriosに関する問題
篠沢 花梨:芸能関係の問題
後藤 美智子:文学、歴史関係の問題
天国 宙:マンガ、アニメ関係の問題
パステーテ:グルメ、ファッション関係の問題
鷺ノ宮椎子:礼儀作法などの問題
隠れキャラ:格闘技関係の問題
但し、ジャンルとは関係なく、本編の各ヒロインにまつわる問題が出ることもあります。
それぞれ、知っていないと当てずっぽうではなかなか正解できない問題ばかりです。 AVG開始時点でライフポイントが3あり、一問間違える度にライフポイントが減り、3問間違えるとゲームオーバーになります(火曜〜木曜の朝にライフポイントが回復します)こう書くと知らないジャンルの問題を出すヒロインはなかなかクリアできないように思えますが、コンティニューに制限がなく、また、コンティニューする前のポイントは有効なので、当てずっぽうででも答え続ければクリアすることができます。エンディングを迎えると選んだ娘とのビジュアルストーリーを見られるようになります。
但し、この方法ではミニゲームをプレイできるようになりません。ミニゲームをプレイできるようにするためには、コンティニューせずにクリアする必要があります。ロードは問題ないですが、コンティニュー有りでクリアするよりは難易度が上がります。コンティニューせずに木曜の夜を迎え、許嫁候補の最終確認の際、月曜日と同じ娘を選ぶと隠れキャラ(?)が登場し、椎子と同様に7問正解でクリアすると選んだ娘にちなんだミニゲームがプレイできるようになります(但し、椎子はミニゲームがないので変わりに壁紙を入手できます)。この隠れキャラのクイズ自体はコンティニューを使っても問題ありません。

・ビジュアルストーリー本編の7人のヒロインとの結婚後のエピソードを描いたビジュアルストーリーです。一部のキャラを除き、新婚旅行(というには時期が空いてる物も多いですが)の話になっています。それぞれゆっくり読んでも20分程度でクリア出来るショートストーリーですが、それぞれ新作CGが8枚と、ビジュアル的には悪くありません。お話もそれぞれに悪くないと思うのですが…ボイス無しです。キャラクターゲームにボイスは必須だとは言いませんが、本編で声が付いていて各ヒロインのイメージにも声が大きく関与しているのですから、このビジュアルストーリーに声がないのは魅力半減です。

・ミニゲーム
椎子を除く6人のヒロインにちなんだミニゲームが6種収録されています。それぞれ規定以上のポイントを取ると各ヒロインの壁紙を入手することができます。6種のうち5種はアクション要素の強いゲームで、はっきり言って私は苦手です。5種類は頑張って壁紙を入手しましたが、一つだけは点数が届きそうにもないので、諦めました。ゲーム自体はそれぞれそれなりに面白いとは思いますが。

・スクリーンセイバー
4種収録されていますが、ウチ2つはTeriosサイト上で公開された4コママンガを使ったモノで、なかなかおもしろいです(サイトをこまめにチェックしている人はすでに見ている物ばかりでしょうけど)。なお、メニュー上でプレビューが出来ず、実際に登録しないとどんな物か判らないのはちょっと困りものです。

・壁紙
最初から使えるヒロイン集合のタイプの壁紙4種と、ミニゲームをクリアすると使えるようになる各ヒロインの壁紙7種です。各ヒロインの壁紙はコスプレの描き下ろしCGが使われています。前述のように1枚は未見ですが。

・ドラマCD「花嫁の条件」
椎子と6人の許嫁候補が登場する約30分のボイスドラマです。何の弾みか椎子と6人の許嫁候補の八人は南極に飛ばされてしまう。南極に残されていた奥崎家の別荘に避難するが、椎子は暖炉に火をつけることすら出来ない娘の様子に、主人公に相応しい(?)許嫁に慣れるように訓練をすることに…
なお、ドラマに登場しないちこりと朋乃の嘆きが最後に収録されています。

何と言っても、ビジュアルストーリーがボイス無しというのは大減点です。オマケであるドラマCDで全てのヒロインの声を新録するくらいなら、メインであるビジュアルストーリーに声を付けるべきだと思います。購入した人の多くもビジュアルストーリーがメインだと思っていたでしょうし。
それにビジュアルストーリーや壁紙を見られる様にするのに難易度が高すぎるのも問題でしょう。私も壁紙を一つ入手できませんでしたが、人によってはクイズゲームの段階で投げ出してしまうこともあるかもしれません。ファンディスクであるなら、ゲーム性より気軽にコンテンツを楽しめる事の方が重要ではないかと思います。

お気に入りキャラ:篠沢 花梨


マイ・メリー・メイ

メーカー:KID
年齢指定:全年齢
対応機種:Dreamcast
発売日:2002.4.25
価格:\6,800
ジャンル:AVG
ボイス:フルボイス
メディア:GD-ROM × 1
その他:VGAボックス,ぷるぷるパック対応

全寮制の県立津久見高校の一番古い寄宿舎、通称「阿見寮」で暮らす主人公「渡良瀬恭介」の口癖は「何かおもしろい事ない?」幼なじみや悪友達に囲まれて変わらない毎日を過ごす恭介の元に、GWのある日、米国で研究生活を送っている父親から大きな荷物が届いた。中身は国際法で禁止されているハズの人工生命体「レプリス」。「レゥ」と名付けたそのレプリスの起動作業中に落雷があり、レゥにバグが生じてしまう。本来、人間をサポートする役割のレプリスは起動時から様々な知識と技量を身につけているはずが、このバグのためレゥは赤ん坊の様な状態で起動してしまう。更に、寮は異性を部屋に泊めるのは厳禁。レプリスとしても女の子としてもレゥを隠さなければならない主人公は、およそ平凡とは縁遠い生活を送る事になってしまう…

形式はコマンド選択式のAVG。日付は表示されませんが、プレイ期間はおよそ2、3週間。ストーリーはレゥの存在がばれてしまうまでの序盤の後、3つほどの固定イベントを経て各ヒロインへのルートへと分岐します。1プレイはさほど長くないので、中ダレすることなく進める事が出来るでしょう。

テーマは「ロボット(人工生命体)との恋」ではなく、レゥの登場によって変化していく主人公でしょうか。しかし、シナリオ中で何度と無く「変わった」「大人になった」と言われる割には主人公の言動はかなり子供っぽい気がします。私などはまだまだ中身がガキなせいか、高校生だしこんなモンだろうと思うのですが、人によってはかなり気になるかもしれません。
KID作品という事で特に萌え要素は強くないものの、ストーリーは結構楽しませてくれます。しかし、レゥのトゥルーエンドは勿論、あるヒロインの物を除いて、トゥルーエンド(ゲーム中ではそれぞれのエンドA)ではハッピーエンドに見えるのですが、実際にそうなのでしょうか?レプリスが年月を経るとどうなっていくのかはゲーム中では明確に語られませんが、納得ずくとは言え、主人公、クリアヒロインとレゥという三角関係がその後も幸せに続いていくものなのでしょうか。また、レゥエンドにしろ、人間とレプリスの恋は保ち続けられる物なのでしょうか。レゥエンドにおいて主人公の兄は主人公にそれを「罰」だと言います。また、みさおエンドAはこのゲームのシナリオに内包される決して明るい未来だけではないという面を描いているのでしょう。

キャラクターデザインは同社「てんたま」を担当した興水隆之氏。瞳の描き方などに独特の物がありますが、可愛くて嫌みのない絵柄ですので、ギャルゲーをプレイする方なら嫌う人は少ないと思います。KIDの作画レベルは安定しているので、CGも良質ですね。
ただ、服の描き方が変です。レゥが最初に着ているYシャツは主人公の物であるハズなのに左前です。さらには主人公の兄の着ているスーツも左前。何を見て描いたのでしょう。

攻略は各ヒロインへのルートへの分岐は難しくありませんが、前半の好感度調整が結構微妙な感じもします。攻略ヒロインの好感度を上げておく事は勿論、他のヒロインの好感度を上げすぎない様にしないと(好感度を散らす感じでしょうか) 狙うヒロインのルートは入れてもトゥルーエンド(エンドA)には到達できないような感じでした。また、あるヒロインのエンドAには攻略順規制がかけられていて、コレで無駄なプレイをしてしまいました。

KIDのDC版ゲームのシステムはほぼ完璧といっていいほどの完成度です。既読/強制スキップ機能にオートプレイ、読み返し機能とそこでのボイス再生、随時セーブ&ロードに選択肢毎のオートセイブ機能の付いたクイックセーブ機能。一度通過した主要な地点からプレイ開始できるショートカット機能など、ゲームをストレス無くクリアできる機能が充実しています。また、スキップ時にキャラクターを紙人形のようなデフォルメキャラで表示したりと単に機能的以上に充実したシステムと言えます。
PS版からの移植タイトルでバージョンアップして、次のオリジナルタイトルでも使用するという形で進化してきたKIDのDC版ゲームのシステムですが、次のオリジナルタイトルからはいよいよPS2版も作られます。この使いやすいシステムがPS2用でも同じように使えると良いのですが。

前作「メモリーズオフ2」に比べるとやや小品感も無くはないですが、安定した質の作品を作り続けているKIDのオリジナルタイトルへの期待を裏切る作品ではないと思います。

お気に入りキャラ:レゥ、結城 みさお


ねこねこファンディスク

メーカー:ねこねこソフト
年齢指定:18禁
動作環境:Windows 95/98/Me
発売日:2002.1.25
価格:\5,800
ジャンル:ファンディスク
ボイス:主要キャラのみ
メディア:CD-ROM × 2 + 音楽CD
BGM:PCM
必要HDD容量:約700MB
画面サイズ:640×480(ウインドウ/フルスクリーン)

ねこねこソフトの過去の3タイトル「White」「銀色」「みずいろ」のファンディスクです。私は「銀色」と「みずいろ」DC版しかプレイしていないので、判らない物もありますが。

・えちぃモード
コメディタッチのコスプレHが6つ(クリア後の追加含む)収録されています。ハイテンションな状態で、理屈を考えずに楽しみましょう(笑) 「清香ちゃん」は当初、園○服でのプレイが企画されましたが、「大人の事情」でコスチュームが変更されたそうです。なお、○児服バージョンはねこねこソフトのファンクラブである「しょんぼりファンクラブ」の会員に送られた「おかえしCD3」に収録されました。

・ショートストーリー
3タイトルのアフターストーリーあるいはサイドストーリー的なショートシナリオが5本(クリア後の追加含む)収録されています。いずれも、切ないストーリーですが、本編を楽しめた方なら楽しめるでしょう。ただ、他のおバカなノリのコンテンツとは頭を切り換えてプレイするべきでしょう(笑)

・戦えブルー
Whiteのキャラクターが登場するおバカなノリのヒーローモノ。地球を守るヒーロー、ブルーと悪人の戦いを描く全5話のストーリー。ハイテンションな時には良いですが、そうでないと寒いかも‥‥。私が「White」を未プレイなため、十分に楽しめない要素があるかもしれません。

・おまけ
CGモードなどの定番以外に「まじかる☆ひよりん」「探偵 片瀬健三郎」が2話ずつ収録されています。
「まじかる☆ひよりん」は日和扮する(?)まじかる☆ひよりんが活躍(?)する爆笑コメディ。有る意味、このファンディスク最大のお薦めです。3,4話が「おかえしCD3」に収録されています。
「探偵 片瀬健三郎」はトラブルの女神に愛された探偵 片瀬健三郎がヒロインの依頼を解決するストーリーです。登場するヒロイン達はシルエットのみですが、ゲーム中のヒロイン名をもじった名前と声とシルエットから誰かは一目瞭然ですね。ハッキリ言って面白くないと思うのですが(^ ^; 毎回死に役をやらされる進藤さんが少し面白いかも。DC版みずいろに3,4話が収録されています。

・バルドバレねこ
3Dロボット格闘ゲーム「バルドバレット」のロボットをねこねこソフトのゲームヒロインを模したモノにしたゲームです。自機は雪希になっています。私はバルドバレットをプレイしたコトがないので、こんなモノなのかなぁと思うだけですが、プレイしたことのある人には説明の必要はないでしょう。格闘ロボットゲームとしての出来も良いでしょうけど、ヒロインを模したロボットは「HIYORI」がクローゼット(でしょう)を武器にしたり、「NE-CHIN」動きはなるほど「夕奈」を模していると納得できるなど、ねこねこソフトのゲームをプレイしていれば楽しめる要素があります。なお、発売当時、ねこねこソフトの公式サイトでコンテストが開催され、最高成績の方は 492面をクリアしたそうです。私は最高75面です(しょんぼり)

・サウンドCD
「White」「銀色」「みずいろ」の中からリクエストの多いボーカル曲、BGMなど20曲を収録したサウンドCDです。

私自身は「銀色−完全版−」と「みずいろ」のDC版しかプレイしていませんので、全てのコンテンツを十分に楽しめるわけではないのですが、それでも十分に楽しめました。このCD3枚組のタイトルがこの価格なのですから、ねこねこソフトのファンには文句無しにお薦めです。というか、ファンなら入手済みでしょう。ただ、製品の性質上過去のゲームをプレイしていないと楽しめないのは仕方ないのですが、3作品とも全てオリジナルはロットアップ。銀色は完全版として再発売されましたが、みずいろはDC版のみが入手可能という状況です。ねこねこソフトには過去のタイトルの再販もしくは銀色同様にDVD版の発売を望みます。

お気に入りキャラ:片瀬 雪希


みずいろ

メーカー:NECインターチャネル
年齢指定:全年齢
対応機種:Dreamcast
発売日:2002.3.7
価格:初回限定版\7,900/通常版\6,900
ジャンル:AVG
ボイス:主要キャラのみ
メディア:GD-ROM × 1
その他:VGAボックス対応

幼い頃に母親を失い、父親も出張で不在の多い主人公は義妹の雪希との二人暮らしに近い状態の生活を続けている。雪希に「お兄ちゃん」と呼ばれてから何度目かの冬を迎えていた。学校に行けば、子どもの頃からのつき合いの友人達に囲まれる、そんな「なんでもない」日々が続いていた…

同タイトルのWindows版18禁ゲームソフトの全年齢化移植作です。 私自身はPC版を入手していないので、新作ゲーム的なプレイとなりましたが、見聞きした情報によると、PC版からの主な変更点は。

・全年齢化の為のHシーン削除など(パンチラ修正含む)
・新キャラ「石川 冬佳」シナリオ追加
・「早坂 日和」新シナリオ追加

のようです。

ゲームはモノクロトーンで描かれる「過去パート」と「現在パート」に分かれます。どのヒロインを攻略対象とするかというルート分岐は過去パートで確定します。現在パート開始時にルートが明示されるわけではありませんが、誰のルートに入ったかはすぐに判るでしょう。なにより、現在パートでデータをセーブすると、セーブデータにルート名が表示されます。
現在パートの各シナリオはそのルートの攻略ヒロインの為の専用シナリオになっており、状況設定や格ヒロインの性格なども他のシナリオとは少し異なっています。この方式の利点は攻略しなかったヒロインのイベントが中途半端になったり、シナリオ不整合が発生したりせず、自然な流れでストーリーを楽しめる事でしょう。但し、現在パートでは攻略要素が希薄なため、ゲーム性は低くなりますが、それをこのゲームに求める事自体が間違いでしょう。
「普通の学園物」を目指したとのことで、特に劇的な展開はありません(可愛い女の子と出会うことが劇的でなければですが(笑))。シナリオの雰囲気も良いと思います。シナリオにもよりますが、萌える要素はあると思いますし。ただ、その「普通さ」故か、シナリオの展開というか結末が早々に読めてしまいます (シナリオによっては過去パートの時点で)。1シナリオのプレイ時間もそう長い物ではないと思うのですが、結末の読めた状態でのプレイは少々冗長にも感じました。ただ、日和シナリオは「普通の学園物」とは言い難いモノでしょう。PC版の時点でこれが指摘されたことが、日和(新)シナリオの追加の理由とも言われます。
しかし、「授業の大半を寝て過ごす」というカビの生えた様な主人公像はなんとかならないのでしょうか。別にココまでダメ主人公に設定するメリットって無いと思うのですが。別に主人公が起きて授業を受けていてもそのシーンの描写をしなければならないわけでもないですし。ただ、追加の冬佳シナリオはこの設定を生かせてはいますが。

CGは嫌みのないキャラクターデザインで不快感を持つ方は少ないでしょう。汎用の立ちCGとイベントCGの仕上げに若干感じの違いがありますが、ソレ以外は問題ないでしょう。ただ、DC版の追加要素である日和の新CGは旧作からのモノとは少々違和感がありますが、これはしかたのない所でしょう。

前述のように攻略要素は過去パートに集中しています。過去パートで現在パートに登場する全てのヒロインが登場するわけではないので、選択肢の内容からルート分岐を推察するのは難しいですが、過去パートは短いので、多少試行錯誤すればルートの確定は可能でしょう。

システムはセーブ、ロード、環境設定の変更が随時可能で、テキストの読み返し、既読/強制スキップなど不足ない出来です。スキップのON/OFFもスイッチによるトグルになっていて、使いやすいのですが、シナリオの構造上、既読スキップを多用するのは短い過去パートのみです。

多少難点も有るものの、PC版の人気が納得できる作品です。PC版は既に入手不可能となっており、中古ですら品薄で、あってもかなりの高額のようです。現在購入できる「みずいろ」としてはDC版しかないわけですから、未プレイの方にはお薦めできるモノでしょう。ただし、PC版をプレイ済みの方には追加要素の一つである新キャラ「「石川 冬佳」が私の感じではいまいち魅力不足。もう一つの追加要素は日和(新)シナリオですが、こちらは雪希ファンにはあまり評判がよろしくないようなので、日和ファンならお薦めというところでしょうか。


・おまけなど

「みずいろ」
日和(旧)シナリオをクリアするとメインメニューに追加されます。主人公と日和のなんでもない一日を描いた短編。 PC版からあったものだそうですが、日和(旧)シナリオでは日和は主人公と同じ学校に通っているわけではないのですから、日和(旧)シナリオの延長上にあるモノとは言えません。かといって、他のシナリオの延長上であるハズもないわけですが‥‥‥細かいことを考えても仕方がないですね(笑) 普通の幼なじみとして暮らしてきた日和とのアナザーストーリー的なモノというところでしょうか。

「おまけ」「おまけ2」
本編のシナリオを一つクリアすると「おまけ」メニューの中に「おまけ」が追加されます。それをクリアすると更に「おまけ2」が追加されます。内容は「ねこねこファンディスク」に収録されている「探偵片瀬健三郎」の新作です。ハッキリ言ってこのシリーズ、面白くないと思うのですが(爆) 進藤さんの役回りだけは面白いとは思いますが(笑) 「おまけ2」は完結編のようなので、コレ以上の新作はないのでしょう。

お気に入りキャラ:片瀬 雪希


水月

メーカー:F&C FC01
年齢指定:18禁
動作環境:Windows 98/Me/2000/XP
発売日:2002.4.26
価格:\8,800
ジャンル:AVG
ボイス:なし
メディア:CD-ROM × 2
BGM:PCM/CD-DA
必要HDD容量:約700MB
画面サイズ:640×480(ウインドウ/フルスクリーン)

「長い黒髪の少女を矢で射殺す」夢から目覚めた主人公は自分が何も憶えていないことに気づいた…記憶喪失。主人公専属のメイド「琴之宮 雪」の話によると、父親と共に自動車事故に遭い、父親の方は以前意識不明の状態だという。友人との再会などを経て、退院を迎える主人公だが、気づいた日から同じ少女の夢を毎夜見続ける。その少女はまだ会っていない友人「牧野 那波」に似ているらしい。七夕の夜に再会した那波は夢の少女そのままの姿であった。そして彼女も主人公と同じ夢を見るという……

日付は明示されていませんが、プレイ期間はおおよそ7月上旬から下旬までと思われます。ゲーム形式はコマンド選択式AVGで、全画面にテキストを表示するビジュアルノベルです。

キャラクターはそれぞれに個性がありますし、主人公の見る夢と日本の神話伝承を絡めるなど、雰囲気は悪くなく、先への興味を繋いでくれるシナリオだと思います。
ただ、「夢と現実」という話に「神話伝承」や「山之民(日本先住民族)」といった話も重なって来るため、かなり見通しが悪くなっている気がします。たとえば、夢に出てくる「ナナミ」が渡来人であり、その力が渡来人である事に起因しているなら、山之民の力とは別の話になってきます。このあたりは、もう少しキーワードを整理した方が良かったのではないかと思います。
また、那波シナリオの後半では夢から覚めるという形で場面が頻繁に切り替わり場面の把握に少々苦労しました。

F&Cとしては珍しいボイスレスですが、おそらくはビジュアルノベルという形式を考えてあえてそうしたのでしょう。それはそれで問題ないと思うのですが、声がないととっさに誰の台詞が判らない時がありました。ボイス有りに慣れて文章把握力が低下しているからでしょうか(^ ^;

CGは『Canvas』以来となる、☆画野朗氏。そのキャラの可愛さは今回も良好です。

Hシーンは、「スクール水着」「メイド服」「巫女服」と衣装のバリエーションは豊富です(笑) スタイルの良いヒロインにつるペタ系、小さい子(爆)もいますので、年上趣味以外の方は大抵フォローできるかと(笑) ただ、ヒロイン全員に放尿シーンがあったりとライターさんの趣味(?)の偏りも感じます。

攻略的には選択肢の内容が結構わかりやすいので、さほど難易度は高くないと思います。ビジュアルノベルという形式上、難易度は高くない方がふさわしいでしょう。

システムはおなじみのADVWIN32.EXEです。全画面表示のビジュアルノベルという形式上、画面上にショートカットアイコンがありませんが、それを補うためか、マウスの右クリックに割り当てる機能をカスタマイズできます。ただ、どうやってもセーブ/ロードのメニュー階層が深めになるのが気になりました。コレはプレイ継続中はクイックセーブで補えという事でしょうか。バックログはホイール対応ですし、本作では一つ前の選択肢に戻る機能も追加されています。システム面は概ね良好です。
ただ、インストールではWMAの対応について詳しく書かれているのですが、インストール完了後の指示に従ってDISC-Bを入れてプレイすると、BGMは CD-DAになりました。説明書やメニュー画面を見ても切り替えに関する説明が見ありません。結局の所、DISC-Bを入れてプレイすればCD-DA、 DISC無しだとWMAになるようです。この辺の説明不足は老舗らしからぬように思いました。
また、ゲーム開始時に3つある「しおり」から一つを選択します。セーブデータはしおり毎に独立しており、プレイ中には他のしおりのセーブデータにアクセすることができません。但し、既読データや環境設定、CGモードなどはしおりとは関係なく共通ですので、しおり毎に別のプレイヤーを想定しているわけでもなさそうです。結局ひとつのしおりだけでプレイを終えたので、しおりの機能については疑問が残りました。

紹介記事や公開されているOPデモなどから、いわゆる恋愛物ではないように思えますし、実際の内容もそうなのですが、ヒロインはそれぞれに魅力的で☆画野朗さんの絵も可愛いので、そういった点だけで敬遠してしまう人がいるなら少々もったいないように思える作品です。

お気に入りキャラ:宮代 花梨


Sky〜スカイ〜

メーカー:ちぇりーそふと
年齢指定:18禁
動作環境:Windows 95/98/Me/2000/XP
発売日:2002.3.29
価格:\9,800
ジャンル:AVG
ボイス:フルボイス
メディア:DVD-ROM × 1(DVD版)/CD-ROM × 6(CD版)
BGM:PCM/CD-DA(CD版のみ)
必要HDD容量:最大約2.2GB
画面サイズ:800×600(ウインドウ/フルスクリーン)

事故で水泳の道を断念する事になった主人公は、退院後の7月に、海辺の街の学校へと転校してきた。主人公はその街で3人の少女達と出会う。新しい学校では部活動への参加が義務づけられており、運動部に入る気になれない主人公は誘われるままに3人がいる茶道部に入部し、彼女たちと夏を過ごすことになる。

プレイ期間は7月1日から7月24日まで。形式は移動場所選択式のAVGで、平日は朝、昼休み、放課後の3回です。マップ上にはその場所にいるキャラが表示され、イベント発生の有無が判る様になっています。

ヒロインの好感度があがってくると昼休みや放課後の移動ではそのヒロインが「一緒にいってもいい?」と聞いてきて、それをOKすると「平日デート」のイベントが発生します。オンリープレイで進めていると平日デートはかなり早くから発生し、ゲーム期間中のほとんどを「カップル」として過ごす感じになります。

3人のヒロインとのイベントでは「スイートトーク」と呼ばれる会話イベントが発生します。これでは「趣味について」「学園について」といった話題を選択してそれについて会話をします。話題は初めから有るモノにイベントの発生によって追加されます。また、いくつかの話題の内容はヒロインの好感度によって変化します。一度のイベントで選択できる話題の数はそのヒロインの好感度が上がるに従って増え、最大5個となっています。1人のヒロインをオンリープレイで追いかけていると同じ話題を何度も選択する事になりますし、このスイートトークの選択が攻略に関係するわけでもないので、最後の方では少々面倒な感じもしました。

休日にはヒロインをデートに誘う「日曜日デート」のイベントを発生させることができます。日曜日デートはマップ画面ですが、主人公とヒロインが自答的に移動していき、そこに星形のクリックポイントが現れ、ソレを選択する事で会話イベントを発生させる事ができます。選択できる数は最大6個です。6個選択するか、キャラクターが全行程を歩き終えるとデートは終了となります。デートの場所として選択できるのは「海岸」「ショッピングセンター」「マロンランド(遊園地)」の3カ所で、ゲーム期間中に3回の日曜日デートを発生させることができるので、1プレイで全部の場所を選ぶことができます。ただし、クリップポイントの数は選択できる数よりかなり多いので、全イベントを見ようとすると複数回のプレイが必要です。この会話イベントの中には特に攻略のための必須イベントはなく、気軽に楽しめますが、デートの最後近くで出てくる黄色のクリックポイントはCG付きのイベントに続くのでこれだけは発生させるべきでしょう。

このゲームの最大の特徴はオープニングと共にHシーンがアニメになっていることです。しかし、ちぇりーそふとのゲームの魅力はあきら女史原画によるCG、特にHシーンのCGにあると思うので、これは企画として失敗に感じました。アニメの出来自体あまり良いとは言えませんし、たとえ出来が良いとしても止め絵のCGとのギャップはなくせないでしょう。あきら女史自身、スタッフコメントなどで「Hシーンが描けなくて残念」と書かれているくらいなので、アニメにしない方が良かったのではないかと思います。

シナリオは主人公のヒロインへの告白が早いこともあり、ひたすらにラブラブする(笑)感じです。24日以降に個別のイベントが発生しますが、シナリオ的には特に起伏もなく、少々単調に感じました。事故で水泳を断念する事になった主人公や両親を失っているあやめなどそれなりに描き込めそうな設定もあるのですが、それらについて深くつっこんだ印象もなく、設定が活かされていないように感じました。「ケガをするまではスポーツ一本槍だった主人公が転校を機にナンパになって、ラブラブな生活を送る様になりました。」って感じに思えます(爆) 実際、主人公の台詞も今まで女の子に縁が無かった割にはかなり恥ずかしいモノですし(笑)

攻略面ではちぇりーそふとのゲームではおなじみの攻略支援システムがあります。選択肢の画面ではヒントを読む事ができ、選択肢毎の好感度の上下が判ります。また、マップ画面で選択できる「たっくんの店」では攻略のヒントを聞く事ができます。基本的にオンリープレイに徹すれば各ヒロインのエンディングに到達できるでしょう。アニメシーンの全回収を除けば攻略は容易です。CGの全回収のためには、好感度の下がる選択もする必要がありますが、これは一つ前の選択肢に戻る機能を使えば容易にCGを見る事ができます。

ストーリーの展開が起伏に欠ける事。また、Hシーンがアニメという最大の特徴がプラスになっていないなど、ちぇりーそふとのゲームのファンにもあまりお薦めできない感じです。

お気に入りキャラ:檜扇 あやめ


flutter of birds II 天使たちの翼

メーカー:シルキーズ
年齢指定:18禁
動作環境:Windows 95/98/Me/2000/XP
発売日:2002.2.22
価格:\8,800
ジャンル:AVG
ボイス:フルボイス
メディア:CD-ROM × 3
BGM:CD-DA
必要HDD容量:約830MB
画面サイズ:640×480(ウインドウ/フルスクリーン)

イギリス人の父と日本人の母との間に生まれた主人公、進也 シンクレアは幼い頃に失った顔も覚えてない母の故国日本に叔母を頼ってイギリスからやってきた。雪に包まれた町で進也は様々な少女達と出会う…

前作『flutter of birds〜鳥達の羽ばたき〜』からきっちり一年(正確には364日) で発売されたシリーズ第2作。時代的には前作より前になり、直接のつながりはありません。

プレイ期間は2月1日からおおよそ3月上旬まで(ヒロインによって違う)。シナリオの分岐は2月14日が境目で、ソレまでのプレイにより15日からヒロイン毎のシナリオに分岐します。プレイ期間の全日をプレイするわけではなく、シナリオ分岐の条件が満たされれば、とばされる日もあります。
形式は移動場所選択式のAVGで、一日に3カ所に移動できます。ただし、イベントによってはそのまま一日が終わってしまう場合があります。前作ではマップ画面でイベントが発生する箇所にのみ移動出来るモノの誰のイベントが発生するかは判りませんでしたが、本作では誰のイベントか判るようになりました。イベントは日時に完全依存して起きるのではなく、一つの場所についてイベントが順番待ちをしているような状態になっており、マップ画面で誰のイベントがいくつ貯まっているのか判ります。攻略のためには攻略対象のヒロインのイベントが起こせる様に事前にその場所のイベントをクリアしておく必要もあるようです。

前作と違い、主人公は医者ではなく、ヒロイン達も全員病人というわけではないですが、それぞれに重い物を抱えているのに違いはなく、シナリオの雰囲気は似たものがあります。前作の一部の病死シナリオと違い、プレイしていていやになる物はなかったです。
主人公は過去の矢筋(矢の飛んだ軌跡)を見る能力があるのですが、これが活きてこないシナリオもあり、全体的に見て何故主人公にこの能力を持たせたのか今イチ必然性を感じられませんでした。
2月15日以降の独自シナリオは大まかに二人のヒロインで1つの展開になっています。勿論クライマックスはヒロイン毎に独自ですが、分岐後のシナリオに共通のモノが多くなってしまうのは少し残念でした。

前作はシナリオと音楽面は評価できたものの、システム面とCGについてはかなりレベルが低かったのですが、本作ではそれらがかなり改善されました。

システムで改善された点をざっと上げただけでも、
・フルスクリーン、ウインドウモード切替可能
・随時セーブ
・既読スキップ
・読み返しモードでの台詞再生

とかなり快適になりました。でも、これらは別のゲームでも当たり前に採用されている機能ですから、前作が酷かっただけで、本作が特別良くできているというわけでもないのですが。

CGも前作は主線の仕上げがガタガタで塗りも粗い感じでしたが、本作はこの点もかなり良くなっています。
竹井氏による原画も前作はかなり妖しいものもあったのですが、本作はまだ少々バランスの妖しさを感じる物もあるものの、かなり良くなっています。

攻略面はマップ画面でのキャラ表示がされるようになって、かなり楽になりました。決定的な分岐の選択肢も少ないので、さほど難易度は高くないでしょう。

前作の「シナリオは評価できるのに…」といった不満が解消され、かなり良いゲームになりました。シナリオが暗いめなのは作風なのでその手の物が大丈夫な人には結構お勧めできるように思います。

お気に入りキャラ:榧場 かずら


月陽炎〜千秋恋歌〜

メーカー:すたじおみりす
年齢指定:18禁
動作環境:Windows 95/98/2000
発売日:2002.3.1
価格:\2,800
ジャンル:ファンディスク
ボイス:フルボイス
メディア:CD-ROM × 1
BGM:PCM
必要HDD容量:700MB
画面サイズ:640×480(ウインドウ/フルスクリーン)

同メーカーの『月陽炎』のファンディスクです。単独ではプレイできず、『月陽炎』本体がインストールされている必要があります。内容は本編のサブヒロイン「鈴香」「双葉」のオリジナルストーリーのAVG、ミニゲーム「双葉のなないろ事件簿〜純情派〜」、その他デスクトップアクセサリです。

□AVG
本編ではサブヒロイン故、シナリオボリュームもメインヒロインの柚鈴、水月に比べて少なかった鈴香と双葉ですが、人気はそれぞれにあったようで、ファンとしても待望のモノと言えるでしょうか。本編ではもう1人葉桐というエンディングのあるサブヒロインがいるのですが、人妻というコトで、他のヒロインほどには人気も出なかったのでしょうね(^ ^;

・鈴香ストーリー
本編では凛とした振る舞いが印象的な鈴香ですが、このストーリーではその反動とも言えるくらいに主人公にベタベタです(笑) そこがまた可愛いのですが。本編同様、主人公はHに関しては積極的でいたずら好き(笑) はめたまま参拝客の応対をするシーンなどは…(^ ^; バッドエンドを除いて、二つのエンディングがありますが、トゥルーエンドは本編と異なり、主人公を婿に迎えて神社での生活を続けていくハッピーエンドがあり、本編では幸が薄かっただけに、嬉しいエンディングでした。

・双葉ストーリー
本編の双葉ストーリー自体、主人公は実は双葉の祖父から捜査の依頼を受けた探偵という、他のヒロインのストーリーとは異質のアナザーストーリー的なモノでしたが、このストーリーはその後を受けて帝都で探偵業をしている主人公と双葉が再び双葉の祖父の以来で、村に戻ってくるというモノです。この探偵という設定に限らず主人公は18禁AVGの主人公としては「大人」です。このストーリーでもまだまだ子供の双葉をしっかりと受け止められる存在で、その点では主人公を「お兄ちゃん」と呼ぶ双葉を甘えさせる訳としても納得がいきます。
ストーリー自体は若い女性が覚えもなく妊娠するという出来事が頻発する事件を追いかける探偵モノとしても結構しっかりと作ってあります。ただ、双葉と主人公の仲は発展するまでもなく、十分に深いので、その辺の展開はちと不満がないでもないです。Hシーンは十分ありますが(笑) 鈴香ストーリーと違いHシーン以外では選択肢のない1本道です。探偵モノだけに選択肢を入れてもおもしろかったのではないかとも思います。もっとも、バッドエンドがあるとかなりいやな展開にはなるでしょうから、分岐はあってもエンディングは1つになるでしょうけど。


□双葉のなないろ事件簿〜純情派〜
画面上を移動するモノ、パンティ(^ ^;、みりす、参拝客、主人公などを誘導してゲートに導き点数を競うミニゲーム。「なないろ」の由来はそれらが色分けされていて虹色の順にゲートに入れると、高得点をとれるからです。まぁ、テキストだけで説明しても仕方ないですが。ゲーム中の登場人物の依頼(?)を順に解決していくストーリーモードと得点を競うトライアルモードがあります。ストーリーモードは面をクリアするたびにゲームスタッフによる(?)CGが入手できます。トライアルモードは得点をインターネットですたじおみりすのサイトにあるランキングに登録できます。

□アクセサリー類
・みりす付箋紙
付箋紙の機能としてはごく普通のモノといえます。アラームにすたじおみりすの歴代ヒロイン達(といっても2タイトルだけですが)のボイスが使えるのが特徴でしょうか。

・壁紙
パッケージには壁紙とあるのですが、どうやらミニゲームのストーリーモードで入手できるCGのことのようです。ですが、それらを壁紙として登録できる機能があるとか、CD-ROMにBMPファイルで収録されているとかではないようです。これを壁紙と呼んでいいのでしょうか?

・システムボイス
月陽炎のヒロイン達によるシステムボイス集です。CD-ROMに収録されているだけで、特に登録機能などはありません。

□その他
おまけモードでは本編の序章やエンディングの鑑賞が出来るようになります。というか、本編の方にあるべきオプションだと思うのですが。私はどっちかというとHシーンの鑑賞より、その他のイベントの鑑賞機能の方が欲しいと思うのですが。


ファンディスク、それも本編がインストールされていないとプレイできないと言うユーザーが限定されたソフトですが、その分本編のファン、特に鈴香と双葉のファンには納得のいく内容だと思います。
アクセサリー類の登録機能がないなど、ファンディスクとしての完成度は低いと言えるでしょうが、元々アクセサリー類はオマケでしょうから、さほど気にならないでしょうね。

お気に入りキャラ:有馬鈴香


バイナリィ・ポット

メーカー:オーガスト
年齢指定:18禁
動作環境:Windows 98/Me
発売日:2002.2.22
価格:\8,800(初回版)
ジャンル:AVG
ボイス:女声主要キャラのみ
メディア:CD-ROM × 2(ゲームディスク + オマケディスク)
BGM:PCM
必要HDD容量:記載なし(筆者環境でのインストール容量:約613MB)
画面サイズ:800×600(ウインドウ/フルスクリーン)

主人公、芦原洋一は若くして両親からネットカフェ「バイナリィ・ポット」の経営を任されている。また、主人公は夜毎にプレイするネットゲーム「ワールド」で古株の「クリミナルハンター」という顔も持っている。「ワールド」は五感を変換し、完全にその世界の住人となれる、電脳界で世界で最大のシェアを誇る、ネットゲームである。店のコトは大切だが、「ワールド」でもそれなりの役割を担う主人公。現実世界と電脳界の両方で仲間たちと様々な出来事を体験していく…

プレイ期間は3月17日から、大体3月一杯まで。一見、移動箇所選択式に見えますが、実は「キャラクター選択式」です。一日2回選択をします。選択するのはウエイトレスの4人と常連客の女の子一人。店に休日はありませんが、ウエイトレス達はシフトによって、居ないときがありますし、常連客の女の子もいつもいるわけではありません。ですが、そう頻繁に居ないわけではなく、基本的にオンリープレイのゲームです。

主人公が毎夜プレイする「ワールド」の方は多少の選択肢は出てくるモノの、基本的に読み進めるだけです。現実界で誰を攻略するかで、「ワールド」の話も決まってきます。電脳界のストーリーはその登場人物であるナツコとサトミ、ミキとカーマインが同じ話になっています。ナツコとサトミは現実界の奈津子と里美なのは初めから判っているので、まだ良いのですが、ミキとカーマインはどちらか一人をクリアしただけで、両者の正体が判ってしまうのは少々問題かも。最も、クリアしなくても正体が判る人が多いでしょうけど(笑)
「ワールド」は電脳界としての設定はそれなりに出来ていると思いますが、リアルさを売りにしていて、時間の経過感覚も現実界と同じであるなら、1回3時間の接続で、大きな事件に当たるのは少々無理を感じます。まぁ、その辺は「ゲーム」ということでしょうか

攻略キャラとのハッピーエンドを迎える「恋愛モノ」でもあるわけですが、前半から中盤の選択式で進めているパートはもとより、終盤の個別ルートに入っても、恋愛感情に対する描写に乏しく、Hする前になって急に告白って感じがします(^ ^; (優希GOODルートは多少マシですが)。現実界は個々のイベントを、そして「ワールド」では攻略キャラに応じて展開するストーリーを楽しむモノでしょうか。

CGですが、立ち絵は服装毎に1枚で、表情変化はありませんが、テキストウインドウの左にフェイスウインドウがあり、こちらで表現されます。特に目新しい方式ではないですが、個人的には視点がメインウインドウ、テキストウインドウ、フェイスウインドウの3箇所を行き来させねばならず、あまり好きではありません。イベントCGは普通のモノは結構見られるのですが、Hシーンのちょっと変わった(笑) ポーズではデッサンが少々狂っているようにも見えます。CGとしての仕上げは悪くありません。

クリア規制がかかっていると思われるトゥルーエンドを除けば、オンリープレイで進めていればクリアできます。選択肢については全部を試したわけではありませんが、そう深刻にクリアに影響するモノはないようです。好感度によって、エンドが変わったりするわけでもないので、難易度は殆ど0です。

誤字(変換ミス)や、テキスト通りに声が入っていないなど、細かなミスはありますが、新ブランドの第一作で、発売延期も目立った不具合もないというのは評価できます。当たり前と言えば当たり前のコトなのですが、この当たり前のコトが新興メーカーに限らず出来ていないのが現実ですから。
修正ファイルが公開されましたが、該当症状も一部の機種で起きるモノを除けば致命的なモノはなく、差分の適用によってセーブデータが無効になるわけでありませんでしたし。
ただ、CPUパワーを結構必要とするようです。私の環境では最後のスタッフロールで BGMがブチブチ途切れる現象が起きました。OS再インストール直後だったので、サウンドカードのリソースの割り当てに問題があるのかと思ったのですが、そうではなく、NortonAntiVirusを無効にするとかなり解消されましたが、皆無にはなりませんでした。推奨環境がPentiumII-300MHz以上で、ウチはPentiumIII-500MHzなのですが。まぁ、持論としては推奨環境の倍のパワーはあった方がいいと思ってますので、ウチのマシンもそろそろなんとかしたいのですが。

初回板はCDが3枚入っていますが、ゲーム本編に使用するのは1枚だけで、後の2枚はオマケです。
・データ・おまけディスク
デモ版、BGMのMP3データ、体験版、壁紙が収録されています。
・初回特典オリジナルサウンドトラック
サウンドモードやおまけディスクのMP3データと同じ曲が音楽CDになっています。

さほど高得点を上げられるほどのモノではありませんが、新規ブランドの第一作というコトを加味すれば合格点の出来かとは思います。ゲームの雰囲気はサイトの情報から感じるモノと同じで、裏切られるコトはありませんから、キャラや雰囲気が気に入ればプレイしてみても良いかもしれません。

お気に入りキャラ:小津千歳、羽根井優希
私の属性だと優希がダントツのハズなのですが、今回は何故か千歳ちゃんがポイント高かったです(笑)


めい☆ぷる

メーカー:Sweet Basil/Will
年齢指定:18禁
動作環境:Windows 98/Me/2000Pro/XP
筆者プレイ環境:Windows98SE
発売日:2002.1.25
価格:\8,800
ジャンル:AVG
ボイス:女声のみ
メディア:CD-ROM × 1
BGM:PCM
必要HDD容量:最小10MB,標準450MB,フルインストール700MB
画面サイズ:640×480(ウインドウ/フルスクリーン)
その他:ゲームコントローラー対応

ロボットが入り始めた少し未来の社会。主人公、森咲 亮は父親と一つ年下のメイド、森咲 美桜(みゆう)との3人暮らし。美桜は幼い頃に父親と生き別れ、メイドとして引き取られて、森咲家の家事をこなしている。表向きには実の妹としており、事実を知るのは主人公の幼なじみである穂々月 柚香(ほおづき ゆか)一人だけ。父親はロボット研究者で自宅と同じ敷地の研究所に居ながら、亮たちとほとんど顔を合わせることもない。主人公はそんな父親にそして父親が研究しているロボットに嫌悪感を抱いていた。春まだ浅い3月の日曜の朝、父親が連れてきたのは人間そっくりで料理の腕もプロ級のメイドロボット「梨乃」だった。

プレイ期間は3月1日から4月7日まで。そのうち3月3日までは、プロローグで2回目からのプレイでは飛ばすことができます。シナリオによっては4月に入ってからの幾日かが飛ばされますが、それ以外の全日を進めることになります。

ゲーム形式は移動場所選択型AVG。昼休みの学園内、放課後や休日外出時の屋外、自宅内の3つのマップがあり、移動可能な箇所に表示される☆印は重要度で色分けされ、青色(イベント無し)、黄色(汎用イベント)、赤(重要イベント)となっています。シナリオよって異なりますが、移動型AVGの形式は最大で3月29日まで続きます。重要イベントは多くなく、ほとんどが汎用イベントになるのですが、この中で何度も同じイベントが繰り返されることになり、前半から中盤は単調な転会に感じるかもしれません。同じイベントは既読スキップ機能でスキップされますが、家の中のイベントは同じテキストでも場所が違うと既読扱いになりません。

分岐が確定し、個別ルートに入った後のシナリオは結構楽しめました。特に美桜シナリオは、「ある日、人間そっくりの万能メイドロボットがやってきて…」という本作の設定を活かせていて美桜と梨乃の存在が立っていました。
梨乃シナリオは「人間とロボットの恋」ですが、梨乃に機械としての限界があり、それを主人公の努力によって乗り越えるという落とし所も好感が持てました。ただ、ほとんど主人公と梨乃の関係だけで話が進むので、他のキャラの存在があまり活きていないのが残念なところです。
柚香シナリオは「幼なじみとの恋」を描いたものの、設定も生かし切れず、前半のやり取りも単調で変化に乏しいというちょっと同じライターさんのシナリオとしては今イチでした。
隠れ(?)の涼音シナリオは主人公と涼音が惹かれ合う理由が今イチ説明できてないように感じました。他のシナリオとは違う設定は面白いと思いました。

攻略難易度は結構高いでしょう。ゲーム形式的に移動時のトライアンドエラーが必要ですし、オンリープレイではグッドエンドにたどり着けません。

メーカーサイトには不具合修正の差分がアップされていますが、ソレ以外に気になったのはバッドエンドになったときですが、連鎖イベントが途中から始まりました。他には、梨乃が家にいないはずの日に家の中で梨乃のイベントが起きるといった、少々テストプレイ不足と思える箇所が見られました。

橘あかりさん原画によるCGは可愛くて、少々覆い焼きを使いすぎに感じるものの仕上げも綺麗です。ただ、少々等身が小さくて特に美桜の立ちCGでは首から折れそうなくらに感じます(笑)

前半の単調とも言える転会を乗り越えて、個別シナリオに入ればシナリオも楽しめるのですが、攻略難易度がそれを邪魔するという感じでゲームバランスに問題ありというところでしょうか。

お気に入りキャラ:森咲 梨乃


ひまわりの咲くまち

メーカー:FAIRYTALE/F&C
年齢指定:18禁
動作環境:Windows 95/98/Me/2000
筆者プレイ環境:Windows98SE
発売日:2002.2.8
価格:\8,800(初回版/通常版)
ジャンル:AVG
ボイス:フルボイス
メディア:CD-ROM × 2
BGM:PCM
必要HDD容量:標準 400MB以上,最大 約580MB
画面サイズ:800×600(ウインドウ/フルスクリーン)

大学2年生の主人公恋塚英一は新校舎への通学の為、祖父が経営する銭湯兼下宿屋の「恋乃湯」に下宿することになった。そこは主人公が幼い頃夏休み毎に遊びに行っていた場所であり、ひまわりが咲き誇る庭で名前も覚えていない少女と約束を交わした地でもあった。
「恋乃湯」に到着した途端、祖父は再婚しておりこれから世界一周の新婚旅行に出かけるという。英一はオーナー代理としてその間の経営を任されることになった。恋乃湯を切り回しているのは住み込みの管理人で幼い頃に英一とよく遊んだ雛咲祭里(ひなさきまつり)だった。
他にもそれぞれ一クセ有る4人の下宿人の女性たちと、これまた英一と子供の頃からの知り合いである花屋の看板娘、花園さくらを交え、主人公のドタバタな生活が始まる…

まず、オープニング。ゲーム中のCGを使用しないアニメーションで、その出来自体はまぁいいとして、バックに流れるのはメインヒロインの雛咲祭里を演じる山野美嶺さん歌う主題歌なのですが…声優さんに歌わせるのはよしましょうよ。そりゃ、声優さんにも歌の上手い方はいらっしゃいますが、みんながみんな上手いわけじゃないですから。山野美嶺さんを攻めるつもりはありません(^ ^;

シナリオは「○話」と付けられた10個の話が集まって出来ています。明確な日付は付けられて居らず、大学生である主人公の夏休み中の出来事である以上の事は判りませんが、それぞれの話の間には数日の経過があるようです。見ていれば何処が話の変わり目かは判りますが、タイトルや話数が表示されるわけでもなく、セーブをすればソコが何話か判るだけです。この辺りもう少し、プレイヤーに話の変わり目などを明示しても良いと思うのですが。
ストーリーはドタバタの生活の中でヒロインの一人が幼い頃に恋乃湯で約束を交わした女の子であることが判り、約束の内容(ヒロイン毎に違う)も思いだし、結ばれるというものなのですが、なんというか「あれ、もう終わり?」といった感じで、盛り上がりに欠けます。最後にある、とある騒動の決着も非常にご都合主義ですし。ヒロイン毎のエンディングは1つで、Hシーンは2回。ソレも1回目はCG一枚(使い回しのキスシーンを除く)、2回目は2枚と 18禁ゲームとしては魅力に乏しいです。全般的なボリューム不足は否めません。

ヒロイン毎のエンドが一つずつ、全体のボリュームもさほど多くないことから攻略難度は低いです。基本的に攻略したいヒロインの登場するイベントを選んでいけばクリアできます。

画面解像度は800×600。過去に一部のタイトルでも800×600の解像度が使用されていたようですが、昨年の同社の大作「Piaキャロットへようこそ!!3」が 640×480であったように、主流は640×480でした。今回はADVwin32.exeを使用するタイトルとしては初の800×600対応だと思われるのですが、ノートパソコンですら携帯用のミニノートを除けばこの解像度に対応している現在、800×600を主流にして欲しいものです。
さて、CGですが、外注も含めスタッフの多い同社ですので、絵柄がゲーム毎に異なること自体は問題ないのですが、CGとしての仕上げも同社のタイトルとしては少々違和感があります。色指定が原色に近い感じがして、私などは「見ていて落ち着かない」感じがします。絵が悪いとか仕上げが雑だとかいうわけでは無いのですが。ヒロインの顔はハッキリ言って描き分けられていません。髪型と髪の色で区別しているといっても言い過ぎではないでしょう。ヒロインの性格わけは結構ハッキリとされているのですから、眼の描き分けくらいはもう少し出来てもよさそうな気がするのですが。瞳も色が違うだけですから。

システムはF&C社ではおなじみのADVwin32.exeを使用しています。「プレイを続ければ続けるほど重くなる」と言われてきたこのシステムですが、何度もバージョンアップを重ね、それも解消してきているようです。従来のタイトルではシステム周りの設定項目が結構豊富なのですが、同じシステムを使用していながら設定項目が少ないです。 BGMがPCMオンリーでMIDIが無いのはデータ自体を用意していないからだとしても、スキップは既読のみで強制は無し。テキストスピードの設定がない。ドラマティックモードのフレーム有無の設定がない。 CPU使用率の設定が無い。私が好んで使用していたSysytemInfoにある「常にシステムを動作させる」のオプションがない。といった感じで、設定項目がかなり削られています。この最新版のADVwin32.exeを過去のタイトルに適用したからといって、これらの項目の設定ができなくなるわけではないので、封印されているだけのようです。さらに、テキストの読み返しができません。既読スキップを使用した場合、どうしてもスキップしてしまった箇所との前後関係が掴みにくい場合があるので、テキストの読み返しは是非欲しいところです。

残念ながら「絵柄の可愛さだけに惹かれて購入するとがっかりする」タイトルと言えるでしょうか。まぁ、F&C社内のスタッフはFC01〜03に分けられていて、ゲームのブランドしても表示されていることを考えれば、このゲームは原画陣を初め、社外スタッフによって、作られた物なのでしょう。それでも、F&Cの名を冠する2002年最初のタイトルであることには違いないわけですから、同社のイメージを下げてしまう出来なのは否めないところでしょう。

お気に入りキャラ:雛咲祭里



いきなりはっぴぃベル

メーカー:テリオス
年齢指定:18禁
動作環境:Windows 95/98/Me/2000
筆者プレイ環境:Windows98SE
発売日:2002.1.18
価格:\8,800(初回版/通常版)
ジャンル:AVG
ボイス:フルボイス
メディア:CD-ROM × 2
BGM:PCM(DirectX不要)
必要HDD容量:最小 約89MB,標準 約327MB,最大 約954MB
画面サイズ:640×480(ウインドウ/フルスクリーン)


幼い頃に両親が離婚し、一緒に暮らしていた母親とも4年前に死別して、天涯孤独の主人公の所へ、6月のある月曜日に一人のメイドがやって来た。父親の家のメイドをしていたというその女性、鷺ノ宮椎子は父親の「遺産」を主人公に届ける為にやってきたという。その遺産とはなんと5人の許嫁候補だった。5人の中から一人を選んで次の日曜日に結婚式を挙げなければいけないという…

プレイ期間は月曜日から土曜日までの6日間。コマンド選択式のAVGで移動場所の選択は大きく分けて、昼休みと放課後の2回。昼休みは5人のイベントに分岐する選択肢が出てきますが、放課後はプレイ中盤になると昼休みのイベントによって有る程度分岐が制限されます。
プレイ期間の短さもあってか、攻略対象は多いモノの、オンリープレイが原則です。いずれも魅力的(?)な女の子に目移りしている暇はありません。この辺、シチュエーション的にはちょっと残念な感じもします。許嫁候補として紹介されてから一週間で結婚という、あり得ない状況設定自体は、ゲームだからというコトで目をつぶるとしても、実質5日間というプレイ期間は「愛を育てる(笑)」にはあまりにも短すぎる気がします。ゲームのボリューム自体が少ないとは感じませんが、恋愛モノとしてのまったり感がもう少し欲しいところでしょうか。

ストーリーは正規のハッピーエンドルートで言えば、惹かれ合いながらもラス前でひと騒動あり、その後にハッピーエンドと恋愛モノの王道とも言えるストーリーで、悪くはありません。ただ、シナリオ自体は多少難を感じる点もあります。いくかのサイトで指摘されている点として、女性の様子の表現で同じ様な言い回しが何度も登場したり、同じ様な説明が複数回登場したりと、シナリオライターさんの文章力にちょっと疑問を感じたりします。ゲームのシナリオという特殊な形式上、小説のような全体を通しての文章構成は難しいのは確かでしょうが、この辺はテストプレイの後に監修を行うなど、開発システム的も指摘、修正が可能だと思うので、なんとかして欲しいところです。

横田守氏原画によるCGは絵的も仕上げ的もレベルが高く、横田氏の絵自体がキライでなければ、問題無しでしょう。H度も高いので、18禁としての出来も満足できるでしょう。
なお、画面サイズは640×480なのですが、推奨環境は800×600。コレは選択肢でそれぞれのヒロインのイベントに入ったとき、ウインドウ表示をしていると、左上のアイコンがそれぞれのヒロインのモノに変わり、どのヒロインのイベントが起きるのか判るようになっているからの様です。私はフルスクリーン派なので、他の人から聞くまで、知りませんでした(笑) ただ、私の環境である、17インチディスプレイで1280×960という環境ではウインドウ表示でアイコンが変わっても、かろうじて髪の色で判別できるかどうかということです。画面モードを800×600に切り替えて、その中でウインドウ表示を行うくらいでないと、辛いところでしょう。それに、このアイコンに頼らなくても、誰のイベントが起きるのかはすぐに判りますし。

攻略難易度は低くもあり、高くもあるというところでしょうか。許嫁候補6人(隠れキャラ含む)との結婚を迎えるのはさほど難易度は高くありません。ただし、全エンディング、全イベントをコンプリートしようとすると、少々苦労するでしょう。エンディングへの分岐要因は好感度とキーイベントによるフラグの複合のようで、分岐が少々読みにくい感じです。

このゲームにはどの許嫁候補とのシナリオにも結婚に至るルートと「ダークシナリオ」とも言える陵辱ルートがあります。ダークシナリオは概ね主人公の思いを受け入れないヒロインを陵辱するシナリオなのですが、ゲーム開始時点で童貞、あるいは経験の少ない、主人公(童貞であるかどうかはプレイヤーの選択次第で、とあるイベントの発生要因となります)がこういった行動に出るのはきわめて不自然に感じられます。純愛ルートで見る限り、女の子との縁は少ないようですが、そのことで鬱屈した正確というわけではないので、主人公の心に影が生じる理由が弱すぎます。一部のシナリオではその理由として、短期間の間に許嫁を選んで結婚しなければならないというプレッシャーをあげていますが、これも納得できるものではありません。
Naturral/2-DUO-(F&C)のように、純愛/陵辱の両サイドを持つゲームはありますが、 Naturalでは主人公はソレなりに性経験も性知識もあるので、その様な性癖を持つコトも納得できますが、この作品の主人公の場合、ちょっと無理があるでしょう。ハッキリ言ってこのダークシナリオは不要ではないかと思います。
ただ、メインヒロインである向坂つぼみだけは例外で、純愛ルートも、陵辱するルートでも選択肢を間違わなければ結婚式を挙げてハッピーエンドとなります。つぼみのダークシナリオでは主人公がつぼみを犯してからも、シナリオはなんとなくラブコメ調だったりして、他のヒロインのダークシナリオとはちょっと違います。ただ、このシナリオも主人公のつぼみに対する行動を考えるとハッピーエンドを迎えるのは男性にとって都合の良すぎるシナリオという気もします。

このゲーム、私の環境では不正終了が結構頻発しました。決して安定しているとは言えない環境ではありますが、それだけでは納得できない回数でした。私の環境との相性という可能性もありますので、ゲーム側の原因とは言い切れませんが。
また、BGMですが、リピート時の間が結構目立ったり、ノイズが入ったりという感じで、あまり良好とは言えません。DirectX未使用というコトですが、このことに関係があるのでしょうか。

出来の悪い点というよりは、残念な点は見受けられますが、ボリューム的にも内容的にも値段相応には楽しめるゲームだと思います。ただ、ダークシナリオに拒絶反応があるとすると、純愛ルートだけでは値段分のボリュームにはならないでしょうか。

お気に入りキャラ:篠沢 花梨、三間坂 ちこり