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「変な法律」管理人のある日の日記です
 
 
 
・「助けてくれ」はダメ「残念」はOK?
慰謝料請求権と相続
 
 「慰謝料」って、芸能人の離婚の時にマスコミに登場するよね。「夫に慰謝料として1億円請求」とか。
   
 慰謝料とは、ひと言で言うと「くやしい料」です。「浮気されてくやしい」「殴られてくやしい」などの精神的損害を被ったときは、それを金銭に換算して慰謝料として加害者に請求することができます。
 
 慰謝料の請求権が、相続との関係で問題になるの?
 
 かつて、慰謝料請求権は被害を受けた本人のみが請求することができる権利とされてきました。ただ、被害者が生前にその請求の意思を表示したときは、慰謝料請求権は相続されるとされました。
 例えば、交通事故で大怪我した夫が「慰謝料請求したい」という意思を表示して死亡した場合、妻は夫の加害者に対するの慰謝料請求権を相続により取得することになります。
 
 なるほど。それで?
 
 被害を受けてから死亡するのである程度の時間がある場合はよいのですが、被害を受けて今まさに死にかけているときに明確に「慰謝料請求したい」という意思表示は通常しません。
 
 そりゃそうだよね。自分が今まさに死亡しそうなとき、そんなこと言わないよ。
 
 そこで、被害者保護の観点から、判例は工夫をしてきました。被害者が死亡する前に以下の言葉を発した場合、被害者に慰謝料を請求する意思が認められ、相続人は慰謝料請求権を相続により取得するとしましました。
 
・交通事故の被害者が病院に運ばれる途中「残念、残念」と言い死亡した。
 
・交通事故の被害者が病院に運ばれる途中「むこうが悪い、むこうが悪い。止める余裕があったのに止めなかったのだ」と言い死亡した。
 しかし、判例は、以下の事例について、被害者に慰謝料を請求する意思は認められないとしました。
 
・船が転覆し、被害者が水中から手を出して「助けてくれ」と叫んだ。
 「残念、残念」や「むこうが悪い、むこうが悪い」だと慰謝料を請求する意思は認められるけど、「助けてくれ」だと認められないのね。なんか、ヘンな判例だね。
 
 それに、もっと根本的な批判がなされました。この判例の理論では、交通事故で即死した場合など、意思表示する間もなく死亡したときは、すべて慰謝料を請求する意思は認められないことになるという批判です。
 
 そっか。事故にあって死亡するまで時間があって意思表示することができればいいけど、即死の場合は意思表示できないもんね。
 
 そこで、昭和42年最高裁判所は以下のように判決をしました。
 
昭和42年11月1日 最高裁
 
  最高裁は「原則として、被害者にその機会を与えれば必ず慰謝料を請求したであろうと思われる場合は慰謝料請求権は相続する」と判断した。
 この判決により、被害者が「慰謝料請求したい」という意思表示をしなくても、慰謝料請求権は相続されることになりました。
 
 ということは、即死でもOKってことね。
 
 そうなんですが、なんかイヤな言い方ですね。