トップページです
全体の構成が分かります
「変な法律」の説明や、当サイトの目的を紹介しています
当サイトのメインです。思わずツッコミをいれたくなる法律を多数紹介しています
奇妙な裁判を紹介しています
法律に関する雑談を紹介しています
まだ未定でございます
他の法律系サイト、相互リンクサイト等を紹介しています
「変な法律」管理人のある日の日記です
 
 
 
・江戸が舞台の劇画漫画に刑法の講義!
「首斬り朝」に出てきた古典派と新派
 
 「首斬り朝」って読んだこと無いけど、どんな漫画なの?
 
 「首斬り朝」は原作小池一夫、画小島剛夕の劇画漫画です。
 主人公は、山田朝右衛門(やまだあさえもん)という江戸時代に実在した武士です。斬首による死刑執行人を務めていたことから、「首斬り朝右衛門」とも呼ばれました。
 
 それで「首斬り朝」っていうタイトルなんだ。
 この漫画に、刑法の講義が登場するの?
 
 「入臓物に高台物」というハナシの中に、刑法の「刑罰の本質」をめぐって、論争する場面が登場します。
 問題のシーンは、無実の者の首を斬ったことを知った山田朝右衛門が、奉行所の役人に真相を明らかにするように抗議に行くところから始まります。
 
 でも、奉行所の役人は抗議を受けつけない?
 
 そうです。そして、山田朝右衛門と役人との間でいくつかやりとりがあったあと、刑法の講義がはじまります。
 
 役人 「別の観点よりその方にたずねたいが、そも刑罰とは何であろうかの。人が人を罰しその生殺与奪権を握ることがその方の論旨によらばできないことになる。その者の正義を個として考えるかぎりにおいては。しかし、衆たるべきところに正義の基準を置くかぎりは人は人を裁ける。ゆえに、刑罰とは見せしめのためにあり、応報のためにある。見せしめの刑を行うことによって、その恐ろしさ、むごたらしさを広く衆に知らしめ、かような報いがわが身にかえってくるよって、罪を犯すなと一般予防の効果をなす。それが人を裁き刑罰を科すことの本義であろうが。」
(句読点はサイトの管理者がつけました)
 役人の立場を「古典派」といいます。原則として古典派の立場からは、刑罰の本質は「一般予防」にあることになります。
 「一般予防」とは、刑罰を規定したり現実に刑罰を科すことにより、一般市民が犯罪を犯さなくなるよう予防することをいいます。
 
 山田朝右衛門は、「古典派」じゃあないんだ。
 
 あたりです。山田朝右衛門は「そうは思いませぬ」と言って、以下のように続けます。
 
 山田朝右衛門 「仏典にあるが如く、人の性は生まれながらにして無心なる善なるものでございます。それが長ずるにおよんで、悪に走るはその者を取り巻く環境(まわり)の故(せい)であると思います。したがって、罰せられるはその人間ではなくしてその犯したるところの悪ではないでしょうか。ゆえに、それがしは罪人を憎まず、その犯したる罪を憎み罰すべきと心得ます。刑罰の本義は、そこに定められるべきであって、一般予防の応報たるべきではなく、その者を再び善に矯正する特別予防たるべきと考えまする。」
(句読点はサイトの管理者がつけました)
 山田朝右衛門の立場を「新派」といいます。原則として新派の立場からは、刑罰の本質は「特別予防」にあることになります。
 「特別予防」とは、犯罪者に刑罰を科すことにより、その本人を改善し二度と犯罪を犯さないよう予防することをいいます。
 
 「一般予防」「特別予防」っていう言葉は、江戸時代からあったのかな?
 
 いや、なかったと思います。でも、刑法の「古典派」と「新派」対立である「学派の争い」を劇画漫画に取り入れるなんて、原作をした小池一夫はスゴイと思います。
 
 で、このハナシはどうなったの?
 後は、自分で読んで確かめましょう。
 
 えー。
 
 今回話題にした「入臓物に高台物」は、道草文庫版では第2巻に収録してあります。
 「首斬り朝」は、eBookJapan、YahooComics、楽天等でダウンロード購入することができます。
 フツウに読んでも楽しめる漫画ですので、お勧めです。