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「変な法律」管理人のある日の日記です

・検察官「ラジオ放送でもイケるハズ!」
最高裁判所判決 昭和32年12月28日
 
 新しく作られた法令が有効となるためには、その法令が公表され国民が知ることのできる状態に置かれることが必要となります。
 このことを「公布」といい、現在は「官報」に掲載されたときが「公布」の時期であるとされています。
 
 新しい法律ができたときに、よく「いついつ公布で、いついつから施行」なんてニュースになるよね。
 
 法令は、そのようにして、まず「公布」され、さらに「施行」されて初めて国民に対し効力を持つことになります。
 また、「公布」と「施行」とが同じ日であることもあります。
 
 国民に知らされたら、ソク効力発生ってことね。
 
 かつて、そのように「公布」と「施行」とが同じ日の法令に関する裁判がありました。
 公務員の身分を持つある労働組合員が、昭和23年7月31日に公務員の争議行為を禁止した「政令201号」に違反し争議行為の指示をしたとして刑事裁判の被告人とされました。
 
 法令でキンシされている行為を指示したってコトね。
 
 しかし、この「政令201号」が官報に掲載されたのは、争議行為の指示をした昭和23年7月31日より後の同年8月2日のことでした。
 
 ええっ、つまり、まだ公布されてない法令に違反したってコトで裁判の被告人にされたんだ。
 ちょっとひどくない?
 
 これには理由があります。
 昭和22年に廃止された「公式令」という法律では、法令の公布は「官報」で行うと規定していました。
 
「公式令」 昭和22年5月3日廃止
 
第12条
  前数条ノ公文ヲ公布スルハ官報ヲ以テス
 事件は昭和23年だから、そのとき「公式令」はハイシされていたのね。
  
 そういうことになります。
 しかし、昭和23年7月31日に、ラジオで放送で「政令201号」についての報道がなされていました。
 そこで、この事件を起訴した検察官は、「公式令」が既に廃止されていることから、官報への掲載は法令を公布するための絶対的な要件ではないとしました。
 
 7月31日のラジオ放送で「政令201号」は国民に知らされたんだから、8月2日じゃなくて、そのとき公布・施行されたんだって考えたんだ。
 で、公布・施行と同じ日に法令でキンシの行為がされたと。 
   
 この事件について、最高裁判所は以下のように判決を下しました。
 
最高裁判所判決 昭和32年12月28日
 
 最高裁判所は、公式令廃止後であっても、「特に国家がこれに代わる他の適当な方法をもって法令の公布を行うことが明らかな場合でない限りは、法令の公布は従前通り、官報をもってせられるものと解するのが相当であって、たとえ事実上法令の内容が一般国民の知りうる状態に置かれたとしても、いまだ法令の公布があったということはできない」として、政令201号違反につき無罪とした判決を支持した。
 あらら、「公式令」がハイシされても、やっぱ官報の記載が必要だってされたんだ。
 
 また、報道機関には「報道の自由」がありますので、新しい法令について報道されないことも当然にあります。
 報道されたのか否かいう不確定な事実で、法令の公布時期が左右されるのは問題だと思います。
 
 でも、「公式令がハイシされたんだから、ラジオ放送でもイケるハズ!」って考えた検察官さんは、ずいぶんガッカリしただろうね。