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「変な法律」管理人のある日の日記です

・百万円を"壱百円"とした手形の運命は?
最高裁判所判決、昭和61年7月10日
 
 企業間の決済など、大きなお金が動くときに、支払いの手段として約束手形が使われることがあります。
 
 テガタって、細長い用紙にガチャッガチャッって金額を印字して渡すヤツだよね、
 
 その用紙に金額欄を印刷する機械を「チェックライター」といいます。
 ある企業が工事代金100万円分の手付けとして、このチェックライターで「¥1000,000-」と記載された約束手形を振り出しました。
 
 それはなんの問題もないよね。
 
 ところが、この約束手形には手書きで「壱百円」という記載もあったことから、トラブルに発展しました。
 
 つまり、手形には「100万円」と「100円」の二つの記載があったコトなんだ。人騒がせな手形だね。
 でも、100万円の支払いのワケなんだから、当然100万円の手形として有効なんじゃないの?
 
 この手形は、最終的に最初とは別の人に譲渡されることになりました。
 そして、譲渡された人は、手形を振り出した企業に対して「100万円」の請求をしたのですが、手形には「100円」の効力しかないと反論しました。
 
 自分で100万円支払いの手形としておいて、「100円しか効力はない」ってヒドイんじゃない?
 
 そうなのですが、「100円しか効力はない」という主張には法的な根拠があるとしました。
 手形法6条1項には、以下のように規定されています。
 
手形法 昭和7年7月15日
第6条
 第1項
 為替手形ノ金額ヲ文字及数字ヲ以テ記載シタル場合ニ於テ其ノ金額ニ差異アルトキハ文字ヲ以テ記載シタル金額ヲ手形金額トス
 
※条文は「為替手形」となってるが、同法77条2項により約束手形にも適用される。
 手形法では、手形に文字と数字が記載されている場合で両者の金額が異なっているときは、「文字」の記載が優先されるとしています。
  
 そうなんだ。
 で、この条文をテキヨウして、本当に「100円」の手形になっちゃうのかが裁判になったんだね。
  
 この事件は「百円手形事件」あるいは「手形金額重複記載事件」として当時話題となりました。
 そして、注目の最高裁判所は、以下のように判決を下しました。
  
最高裁判所判決 昭和61年7月10日
 
 最高裁判所は、第6条第1項について「最も単純明快であるべき手形金額につき重複記載がされ、これらに差異がある場合について、手形そのものが無効となることを防ぐとともに、右記載の差異に関する取扱いを法定し、もつて手形取引の安全性・迅速性を確保するために設けられた強行規定であり、その趣旨は、手形上の関係については手形の性質に鑑み文字で記載された金額により形式的に割り切つた画一的な処理をさせ、実質関係については手形外の関係として処理させることとしたもの」などとして、手形金額を100円とした判決を下した。

 ええっ、ホントに「100円」の手形になっちゃんたんだ!
 
 「漢数字も数字である」「当時の貨幣価値からすると100円の手形というのは常識的にあり得ない」といった主張があったのですが、最高裁判所は、6条1項の趣旨を重視してこの条文が適用されるとしました。
 もっとも、この判決に対しては「形式的すぎる」といった批判がなされています。
 
 ホントだよね。
 手形にワザと安い金額を記載する人が現れるんじゃないかって、心配になっちゃうよ。