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「変な法律」管理人のある日の日記です

・眼のいい警察官
はぢめての職務質問
 
 ある夏の夜のことだった。友人の家まで自転車で行き、その帰り歩道を走っていたときのことだ。車道を一台のパトカーが併走して、自分の10メートル位先で停まった。
 
 パトカーは、サイレンは鳴らしていなかったが回転灯を点滅させていた。「なにかこの辺で事件があったのかな」と思った。
 
 自分の自転車が、パトカーまで5メートルぐらいまで近づいた頃であろうか「そこの自転車停まってください」とのスピーカーからのアナウンス。やがて、警察官が二人パトカーから歩道に出てきた。
 
 びっくりした。何か悪いことをして警察官に呼び止められるのは合点がいくが、少なくともその時はなにも悪いことはしていなかった。
 
 一瞬「そのまま自転車で逃げちゃおうかな」とも思った。警察官職務執行法に基づく職務質問は任意捜査である。よって、職務質問に応じるか否か選択はこちらの自由である。しかし、任意捜査であっても、警察官がある程度の物理的有形力を使用することは判例上認められている。その認められている物理的有形力の中に「職務質問に対し逃げようとした相手の手首を掴む」ことがあったのを思い出した。
 
 ここでスピードを上げで警察官をすり抜けて逃げようとしても、その前に手首をつかまれてしまうだろう。それに、誤って自転車が警察官にぶつかりでもしたら、公務執行妨害で現行犯逮捕なんてことにもなりかねない。ここは、すなおに職務質問に応じることにした。
 
 二人の警察官の前で自転車を停めた。若い警察官と、中年の警察官だった。若い警察官が「どちらに行かれるところですか?」とたずねてきた。「自宅に帰るところです」と答えた。「ところで、この自転車はあなたのものですか?」と再びたずねてきた。どうやら、盗んだ自転車ではないかと疑っている様子だ。
 
 「失礼なヤツ」だと思った。「人を見たらドロボーと思え」的な発想ではないか。これでは自転車に乗っている人はすべて職務質問の対象だ。などと思ったのが相手に通じたのか、若い警察官は「いえ、自転車のカギがついていないもので」と続けた。
 
 今度は「あっそうか」と思った。先日、自転車のカギを無くしてしまったので、前輪のカギ本体を壊して乗っていたのだ。だから、盗難自転車に乗っているのではないかという嫌疑を受けたのだ。警察官は「人を見たらドロボーと思え」的な発想ではなく、合理的な判断をしていたのだ。
 
 カギの経緯を話すと、今度は住所と氏名をたずねてきた。自転車には防犯登録済みのステッカーを貼ってあるので、無線で照会するとのことだ。照会は中年の警察官の担当らしい。パトカーの中の無線機でなにごとかやり取りをしていた。
 
 照会には少し時間がかかるらしく待たされた。その間心臓はドキドキしていた。もし、照会センターのデータベースが誤って登録されていて、「それは他人の自転車だ」なんてことになれば本格的に窃盗罪の嫌疑を受けることになる。
 
 時間にして2分ぐらい経ったであろうか、パトカーの中年の警察官が若い警察官に何か言った。若い警察官は「問題ありませんでしたので、お気をつけて」と言った。ほっとした。無罪放免である。
 
 翌日、自転車のカギをつけたのは言うまでもない。
 
 しかし、どう考えても不思議なのは、警察官が夜の街灯もまばらな道を走っている自転車に「カギがついていない」ことを判断できたということだ。よほど目のいい警察官だったのであろうか?