Yashica Atoron Electro


 

ヤシカは当初16ミリ幅のフイルムを使用した豆カメラを造っていたが、このカメラの前身であるアトロン(1965年発売)からミノックスと同じカートリッジ入りフイルムを使用する仕様にした。当然ながら画面サイズはミノックスに同じく8x11mmである。また、機構的も似ており目測ファインダーながらパララクス自動補正により60cmまでの近接撮影を可能にしている。そして、近接時のメジャーとしてカメラのストラップに付いた目印を使用するところも本家と同じだ。ただ、大きく異なるのはシャッターでCdsによる電子プログラムシャッターはF2.8・8秒〜F13・1/350秒までを制御する。また、上面に設置されたスローシャッター確認ボタンはファインダー上部にあるランプが点灯することでシャッタースピードが1/30以下にあることを知らせてくれる心憎い機構がついている。しかも、信頼性は高く、現に自分の固体は30年以上を経た今も元気に作動している。日本のエレクトロニクス技術万歳といったところだ。さて、肝心の写りだが、こちらも本家同様の3群4枚のテッサータイプレンズで当時のテスト結果によれば中心部分でミリ135本という驚異の値をしめしているのだから期待が持てようというものだ。ただ、こいつはいかんせんフイルムが細いので扱いが難しくラボでは十分に性能を引き出したプリントをしてもらえないのが残念だ。ところが、現在は家庭で簡単にフイルムをスキャンすることで良質なプリントが得られるのである。ちなみに、私のスキャナーの場合2480dpiなので80万画素程度だが最近の機種ならば140万画素程度のデータが得られる。
なお、当機には本家よろしくフラッシュユニット(右下写真参照)、三脚アダプター、コピースタンド、そして専用のネガキャリアと引き伸ばしレンズが一体となったエンラージヘッドなどが用意され、一種のシステムカメラ的なおもしろさもある。
右の写真は、裏蓋を開けてフイルム室を見た図である。フイルム装填は本家同様に少し巻き上げを行い、フイルム圧板が開いた状態でカートリッジを入れる。巻き上げはボディー側面にあるレバーを引き出すことで行う。当然ながらミノックスと同様のしきたりで最終コマを取り終えたら2コマだけ(これ以上送るとアウト)フイルムを送りケースにカートリッジを入れて現像に出す。ここで完全に巻き上げ側にフイルムを送ってしまうと光漏れを起こすので注意が必要だ。
アトロンの良い機構としてレリーズロックがある。ボタンの周囲にあるリングを90度回すことでレリーズがロックされて誤写を防いでくれる。というのも当機のレリーズは非常にソフトタッチであるのだ。また、前述したが右写真中央のファインダー窓上部にランプがあり、レリーズとは別に設けられた(レリーズボタンの左側にある小さなボタン)低照度確認ボタンを押すことでスローシャッターの確認が出来る。ただ、せっかく8秒ものロングシャッターを備えながらケーブルレリーズが使用できないのは少し残念だ。







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 製 造 国
 日  本
 形式・タイプ
 ミノックスタイプフイルム使用小型カメラ
 画面 サイズ
 8 x 11mm 
 レンズ シノン18mm F2.8 3群4枚テッサータイプ
 シャッター
F2.8 8秒 〜 F13 1/350秒
プログラム式 電子シャッター
 ファインダー
 逆ガリレイ式透視ファインダー
 (パララクス補正付き)
 製造年度
 1970年
 メーカー
 YASHICA